( ^ω^)ブーンが運命に喧嘩を売るようです

147: ◆y7/jBFQ5SY :2006/06/25(日) 21:08:45.51 ID:YCXfwVd30
  
第5話 「月夜」


( ^ω^)「つまり、モナー達が今この近くで駐屯してるラウンジ軍・VIP軍に戦いを吹っかけて。」
( ^ω^)「その隙にジョルジュ達が警備が手薄になった城に攻め込み。」
( ゚∀゚)「アサピーを狩るってことだ。大体そんな感じでOKだ。」

僕達は明日の決戦に向け最終作戦会議を開いているところだった。
つまりは今現在も多くの兵が出兵中で、更に国境付近でVIP軍が攻めてきたと思わせ残ったラウンジ兵の目もこちらに向ける。
それに乗じてジョルジュ達が潜入する。潜入経路はレギオンのみが知ってる秘密の通路を使うらしい。

( ^ω^)「でも、それは危険じゃないかお?あっちには生粋のレギオン。渋沢がいるんだお?」
( ゚∀゚)「いや、それは多分問題ない。あの人が何故アサピーに付いたのかは謎だが、渋沢さんは強者にしか興味を示さない。多分誰にも言ってないはずだ。」
( ^ω^)「そうなのかお?それじゃあ、その渋沢がどっちに来るかも問題だお。」

会場がざわめく。恐らく渋沢がどちらに来るかで作戦の成功率がまるで変わってくるからだろう。
できれば、戦場の方へ来てもらえると。

( ゚∀゚)「…この点に関しては俺は完全に言い切ることは出来ん。」
( ゚∀゚)「ただ、これは全くの俺のカンなんだが、あの人は戦場の方に来ると思う。戦いを求め続ける戦士。あの人こそがそれを体現していると思う。」
( ´∀`)「結局は蓋を開けてみないと分からないという事モナね。」

それはその通りだろう。どんな偶然が起こるか判らないのだし、必要以上に恐れても意味が無いどころか毒になるだろう。



148: ◆y7/jBFQ5SY :2006/06/25(日) 21:09:12.63 ID:YCXfwVd30
  
( ゚∀゚)「おまえの方は、三月ウサギだな。…大変な相手だ。」
( ^ω^)「そいつのことも詳しく知りたいお。」
( ゚∀゚)「そいつは…。」
( ´∀`)「私が説明するモナ。」
( ´∀`)「あいつは、私の元同僚で、たいした血筋ではないのに実力で軍の最高位まで上り詰めたモナ。」
( ´∀`)「そして、ニューソク軍人最高の栄誉、王直々の『騎士』の称号を承ったモナ。」
( ゚∀゚)「知ってると思うが、あの国では何より血統を重要視するからな。並大抵の事じゃねぇ。」
( ´∀`)「私も抜きつ抜かれつでその地位を争ったものモナ。」

確かに大変そうな相手だ。気を引き締めて掛からなければならない。

( ゚∀゚)「今回のお前たちの作戦は陽動だ!できるだけ被害は抑えたい、出来れば血が流れるのはアサピーだけに留めたい。」
( ゚∀゚)「敵を倒すよりも自分の身の安全を確保する闘いを心がけてくれ!」
( ゚∀゚)「ブーン。お前も分かってるな?」
( ^ω^)「勿論だお!みなまで言うなだお!」
( ゚∀゚)「よし、本日の会議はコレにて終了!皆、明日に備えてゆっくり体を休めてくれ!」

ジョルジュがそう宣言し、皆が部屋から出る。
僕は目当ての人物が部屋に戻る前に捕まえる。
どうしても聞かなきゃいけないことがある。

( ´∀`)「どうかしたモナ?」
( ^ω^)「モナーはどうしてここに入ったんだお?ニューソクでも結構な地位に上り詰めたんだお?」
( ´∀`)「簡単な事モナ。私は国王陛下が窮地に陥る前にこの戦争を本当に終わらせるためには、ここに入るしかないと思ったからモナ。」
( ^ω^)「…満点の解答だお。ありがとう、邪魔したお。」

彼が帰って行く、そうこれでいい。僕の覚悟は鈍らない。
彼が本当に戦争を終わらせようとしているのなら、僕のこの道は間違いじゃない。
僕の 覚悟 は揺るがない!!



149: ◆y7/jBFQ5SY :2006/06/25(日) 21:11:29.32 ID:YCXfwVd30
  
夜、窓から見える。月が何時もより近くで煌いている様でとても綺麗だ。

( ^ω^)「綺麗なお月様だお。」

そういえば、死んだ人はお月様に行くって誰かが言ってたっけ。
それなら、これはきっとドクオが僕の事を見守りに来てくれたんだお。

( ^ω^)「ドクオ。僕頑張るから、応援しててくれお!」

明日、人を殺す戦いじゃない、陽動戦だ。きっと上手くいく。きっと。

「…無駄だよ。」
( ^ω^)「……!!」

窓の所に人が座っている。何時の間に入ったんだ?いやそれより、
そこにいちゃあ月が見えないじゃない。

「…無駄だよ。」
(;^ω^)「お、お前は誰だお!どっから入ってきたお!」

男は僕の言葉など聞いていないかのように、指と指をクルクルと器用に交差させている。
…頼むから其処から退いてくれ。そこにいられたら、ドクオが見えない。
そんな僕の願いを他所に、男は無表情にこちらを見る。



150: ◆y7/jBFQ5SY :2006/06/25(日) 21:12:20.12 ID:YCXfwVd30
  
(´・ω・`)「…僕の事なんてどうでもいい、僕は“登場人物”じゃないから…そして、それは君も…。」
(;^ω^)「何意味不明な事を言ってんだお!さっさとそこを退けお!」
(´・ω・`)「君は僕がこれから言う事を聞かなきゃいけない。そして改めなくてはいけない。」
(;^ω^)「何…言ってんだお?」

相変わらず男の指はクルクルと交差している。さっきは中指で今は薬指という違いはあるけれど。
くそっ!ドクオが、ドクオが!
なかなか喋り出さない男に業を煮やし僕は叫ぶ。

(# ^ω^)「用があるんならさっさと言えお!!何のつもりなんだお!!」
(´・ω・`)「……君は明日戦場にいっちゃダメだ。」



151: ◆y7/jBFQ5SY :2006/06/25(日) 21:13:51.10 ID:YCXfwVd30
  
(;^ω^)「イキナリ何言ってんだお!僕はもう覚悟をしたんだお!それに
(´・ω・`)「ドクオ君のため…かい?」
(;゚ω゚)「………!!!」

な、なんでコイツドクオの事を、ここに来てから誰にもドクオの事は喋ってないはず…。

(´・ω・`)「そして故郷の家族のため、果ては世界平和のためかい?」
(;゚ω゚)「ど、どうしt
(´・ω・`)「僕の事はどうでもいいと言ったはずだよ?今大切なのは、君が明日の出兵を取りやめる事だ。」

なんなんだコイツ!なんで僕の事を!
ドクオ!遮るんじゃないお!僕とドクオの関係を断つんじゃないお!!

(´・ω・`)「僕と君、それに彼女はね。“亡霊”なんだよ。」
(;゚ω゚)「亡…。」
(´・ω・`)「亡霊、悪霊、魑魅魍魎。なんだっていい。僕達は本来いちゃいけない存在なんだ。」
(;゚ω゚)「いけ…ない。」
(´・ω・`)「僕達が他人と触れ合うたび、世界の流れが変わるんだよ。僕達は世界に対して害悪なんだ。」

男の喋るペースが上がると同時に指の交差も早くなっていく。



152: ◆y7/jBFQ5SY :2006/06/25(日) 21:14:31.57 ID:YCXfwVd30
  
(´・ω・`)「僕達が関わるとその埋め合わせに人が死んでいくんだよ。そう
               ドクオ
      君のようにね。」
(;゚ω゚)「…ヒッ!」

怖い、この男は。怖い

(´・ω・`)「理解してもらえたかな?今はまだ分からないかもしれない…、けどそのうち分かるよ。」

そういって消えようとする男を最大限の勇気を振り絞って引き止める。

(;^ω^)「待つお!…僕は明日、絶対に戦場に行くお。それはもう覚悟したことなんだお。」
(´・ω・`)「………。」
(;^ω^)「それと…アンタの名前を聞かせろお。僕だけ知られているのは不公平だお。」
(´・ω・`)「……ショボン…。」
(;^ω^)「えっ?」
(´・ω・`)「ショボン。それが僕の名前だよ。只の『傍観者』さ。」
(;^ω^)「…ショボン。」

僕がそう言うやいなや彼は闇に消え去って行った。
後には、雲に掻き消された窓の風景が残るだけだった。



154: ◆y7/jBFQ5SY :2006/06/25(日) 21:16:26.34 ID:YCXfwVd30
  
( ゚∀゚)「果たして戦場の方に現れてくれるだろうか…。」

いや、もしあの人が戦場の方に赴いても結果は同じなのではないか?
あの人ならばこの程度の人数1時間も掛からずに殲滅させるかも。
それよりも、勝ち目は薄いといっても俺が相手をし、足止めさせている間に他の者にアサピーを討たせたほうが?

( ゚∀゚)「なぜ、アサピーなどに就いてしまったんですか…。」

彼らはあこがれだった。どんな強敵も己の獲物一つで分解するその姿は、ラウンジ国民の力の象徴だった。
俺もひたすらにあの人たちを追い続けた。ひたすらに力を求め、ひたすらに修行を繰り返した。

( ゚∀゚)「なぜ、今敵同士になど……。」

しかし、そんな畏怖の気持ちとは裏腹に、
試してみたい。
挑んでみたい。
そんな欲求が胸の奥から沸々と沸いてくるのを感じる。

コンコン

( ´∀`)「失礼するモナ。」
( ゚∀゚)「ん?どうした、こんな夜更けに?」
( ´∀`)「何、リーダー殿が明日の一戦を控えて良からぬ事を考えているのではと、ね。」
( ゚∀゚)「…相変わらず鋭い奴だなw。」
( ´∀`)「ジョルジュが分かり安すぎるだけモナw」
( ゚∀゚)「ふふwwそうだなww」



155: ◆y7/jBFQ5SY :2006/06/25(日) 21:16:57.50 ID:YCXfwVd30
  
( ´∀`)「…ジョルジュはここまで良く頑張ったモナ。」
( ゚∀゚)「…?」
( ´∀`)「もうちょっと皆に頼る事を覚えてもいいモナ。」
( ゚∀゚)「…全部お見通しかw」
( ´∀`)「短い付き合いじゃないモナね。」

何だか気分がスッキリしてきた。いままでのモヤモヤが全部嘘のように消し飛んだ。
よし!明日は最高のコンディションで挑めそうだ!
ありがとな。モナー

( ´∀`)「昔から、一つだけ聞きたい事があったモナ。」
( ゚∀゚)「オウ!なんだ、モヤモヤはスッキリさせたほうがいいぞ!」
( ´∀`)「なんで“リーダー”なんだモナ?他にも色々呼び方がはずあるモナ。」
( ゚∀゚)「ああン?オメーそりゃ、響きがカッコイイからに決まってんだろww」
( ´∀`)「カッコイイモナww?」
( ゚∀゚)「カッコいいんだよwww!!」

最高の副リーダーが居て感謝してっぜ!モナー!!


第5話 「月夜」 終



戻る第6話