( ^ω^)ブーンが運命に喧嘩を売るようです

232: ◆y7/jBFQ5SY :2006/06/26(月) 05:00:00.31 ID:vv4YsYe40
  
第8話 「涙と決意と」


アタシはまた(無断)外出している。彼女が心配になったのだ。
自分の息子を…同時に二人も失ってしまって彼女は今、きっと悲しみの渦中にいるだろう。

( ゚д゚ )「残念ながら、君が言っていたブーン君は先の戦闘で名誉の戦死を遂げたらしい。」

コッチミルナの言葉が思い起こされる。
決定的な報告、戦死扱いになった者は九割九分間違いなく死んでしまったと考えていいだろう。…でも、
アタシにはブーンが死んだとは思えない。なにか根拠があるのかと言われればそんなモノは勿論無いけど。
アタシは奇妙な、けれど絶対的な確信を持って彼が生きていると言える。

ξ゚听)ξ「我ながら変な気分だけど。」

元々そんなに仲良しだった訳じゃない。一日だけパーティを供にしただけだ。
最後にはけんか別れしちゃったようなものだし。
それなのに何故こんなに彼のことが気になるんだろう?



233: ◆y7/jBFQ5SY :2006/06/26(月) 05:00:15.70 ID:vv4YsYe40
  
ξ゚听)ξ「それよりも!」

今日は彼女を励ましにここまで来たのだ。
アタシじゃ何の役にも立たないかもしれないけど、精神的に彼女を救ってあげる事は出来るはずだ。

…迷った。
どうしよう、ここからどっちに行けばいいんだっけ?それともこの前の曲がり角だったかしら?

「ツンちゃん?」
ξ゚听)ξ「えっ?」

あたし?呼ばれるような心当たりは無いけど…。
「やっぱり!ツンちゃんだぁ!」
ξ゚听)ξ「あなたたしか…!」

あの孤児院でアタシによく懐いていてくれた子(おっとり天然タイプ)!



234: ◆y7/jBFQ5SY :2006/06/26(月) 05:01:44.11 ID:vv4YsYe40
  
先程の女の子に案内され、アタシは孤児院に着いた。
女の子は お仕事があるから〜 と言って何処かへ行ってしまった。
…ちょっとだけ付いていて欲しかったかな…。
何だか近づくにつれ緊張してきた。どんなことを話して、どんな顔をしていればいいんだろう?

いや、励ましに来たアタシがそんな気持ちでどうするの!
ファイト!アタシ!
そんな張り詰めた気持ちでドアノブに手をかk

J('ー`)し「あら、ツンちゃんじゃない!?」
ξ )ξ「………!!」

空き巣に入ろうとしたところを見つかった泥棒のようにつま先から頭の天辺までツンの体はピーンと伸びた。
完全に不意打ちを突かれた。おば様…やるじゃない…。

J('ー`)し「ツンちゃん?ツンちゃーん!!ノックしてもしもお〜〜し。」



235: ◆y7/jBFQ5SY :2006/06/26(月) 05:02:35.58 ID:vv4YsYe40
  
ξ゚ー゚)ξ「良かったです、おば様が余り気落ちしていないようで。」
J('ー`)し「ふふっw文字通り大家族の“カーチャン”ですからねwやらなきゃいけないことが多くて悲しみに耽ってる訳にはいかないわ。」
ξ゚ー゚)ξ「お強いんですね。」
J('ー`)し「母は強しよ。ツンちゃんも子供が出来れば分かるわよw」
ξ////)ξ「また、そんな相手いないですよ!」

しかし本当に落ち込んでなくてよかった。
自分で来といてなんだけど、本当に落ち込んでたらアタシじゃどうにもならなかっただろうし。

おば様には近所でブーンとドクオが亡くなったと聞いたから、気になって来たと説明した。
政府関係者の訪問というのでは意味合いが全く変わるだろう。
それにアタシがこの人たちにそういう目で見られたくなかった。
殺人者の仲間だと思われたくなかった……。

ξ゚ー゚)ξ「それじゃあ私はそろそろ帰らせていただきますね。」
J('ー`)し「あらっ。もう帰るの?もっとゆっくりして行ってもいいのに。」
ξ^ー^)ξ「いえ。私はおば様の元気な姿を見に来ただけですから!」
J('ー`)し「そう?それじゃあまた来てね。子供達も皆あなたに会いたがってるわ。」
ξ^ー^)ξ「はい!それじゃあ!」



236: ◆y7/jBFQ5SY :2006/06/26(月) 05:03:07.70 ID:vv4YsYe40
  
なんだか気分が晴れやかだ。アタシが来る前からおば様は元気だったけど、
なんだか“善い事”をした気になる。

ξ゚ー゚)ξ「また今度お邪魔しようかな♪」

とても上機嫌で帰ろうとする途中、孤児院に脱ぎっぱなしの上着を置いてきたことを思い出した。
…ばれたらコッチミルナがウルサイし。取りに戻りますか。

ガチャリ

ξ゚ー゚)ξ「すみません。おば様、わすれm
J('ー`)し「ツ、ツンちゃん!?どうしたの!?」
ξ゚听)ξ「いえっ、あの忘れ物を取りに…。」

おば様の目は、傍目から見ても明らかに赤く充血し、頬には涙が伝った後があった。

J('ー`)し「あの、違うのよ、これはね。」
J('ー`)し「そう、あの子達のことは…吹っ切ったのよ…。」
J( _ )し「…吹っ切った、筈なのに、」
J( _ )し「……どうして…あの子達が…。」

そういうなり、おば様は崩れ落ちて静かに泣き始めた。
アタシは、やっぱり何も出来ずに突っ立っているだけだった…。



237: ◆y7/jBFQ5SY :2006/06/26(月) 05:04:15.60 ID:vv4YsYe40
  
あの後、泣き止んだおば様がもう大丈夫だからと言うから、アタシはここに戻った。
けど、どうみても大丈夫そうには見えなかった。

ξ゚听)ξ「…アタシ、何しに行ったんだろ?」

自分のベッドに包まりながら考える。
もしかして、アタシが何か余計なことを言っちゃったのかしら?
所詮、世間知らずのお嬢様には人一人慰める能力も無いのかしら?

ξ゚听)ξ「こんな“力”さえなければ…。」

私も只の女の子になりたい。こんな特別な“力”邪魔なだけだ。
大体この力を使って何かが好転したことがあっただろうか?
わたしのこの力は運命を視る能力。運命を変える能力じゃない。
運命は所詮変えられないものなんだ……。
こんなとこで、

ξ゚听)ξ「アタシ何やってるんだろう…。」
「答えを探しに行けばいい。」
ξ゚听)ξ「……!誰!!」



238: ◆y7/jBFQ5SY :2006/06/26(月) 05:04:38.57 ID:vv4YsYe40
  
(´・ω・`)「答えを探しに行けばいいんだよ。ツン。」
ξ゚听)ξ「……誰!!それになんで私の名前を!?」

男は指と指をクルクルと器用に交差させている。

(´・ω・`)「…僕の事なんてどうでもいい、僕は“登場人物”じゃないから…そしてツン。君には分かるはずだよ?」
(´・ω・`)「それより、君はこんな所に留まってちゃいけない。」
ξ゚听)ξ「分かるって何の事よ。それに言いたいことはちゃんと言いなさいよ。」

なんだか不安よりも興味が沸いてきた。一体この男は何者なんだろう、だれかと似ている気もするけど。

(´・ω・`)「君は世界を見なければいけない。ここに留まっていても君の“成長”はありえない。」
ξ゚听)ξ「成長?それっていったい何なの?」
(´-ω-`)「それは君自身が見つけなければいけない。僕が教えても何の意味も無い。」
(´・ω・`)「君の“成長”が何をもたらすのかは、僕には分からない。」
ξ゚听)ξ「それじゃあ、意味無いかもしれないじゃない。」
(´・ω・`)「そうかも知れない。でも今、君はこの話に正直トキメキのようなものを感じているだろ。」
ξ゚听)ξ「…そう、だけど。」
(´・ω・`)「……少し僕を“視て”ほしい。」
ξ゚听)ξ「別にいいけど…。」
ξ゚听)ξ「………!!!!」

視えない!この人も!

(´・ω・`)「コレがヒントになるかも知れない。」
(´・ω・`)「…僕はもう消えるよ。最後に一つだけ、世界の流れが『アカシャ』に集まってきている。よく覚えておいて…。」

そう言って男は消え去った。



239: ◆y7/jBFQ5SY :2006/06/26(月) 05:06:09.66 ID:vv4YsYe40
  
ξ゚听)ξ「世界を…視る。」

何が言いたかったのかはイマイチ分からなかったけど、
きっと私が望む物はその先にある。

ξ゚ー゚)ξ「世界に…出る!」

それに世界を旅すればブーンに会えるかもしれない。
ブーンから“成長”のヒントを得る事が出来るかもしれない!

行こう!せk

パリーーーーン!!!!


キャーーーー!!!
暗転


第8話 「涙と決意と」  終



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