( ^ω^)ブーンが運命に喧嘩を売るようです

506: ◆y7/jBFQ5SY :2006/06/27(火) 22:42:46.44 ID:n7YS9dVE0
  
第12話 「逃走・脱出・大脱走」


(;><)「ブーン!!こっちです!」
(;^ω^)「ワカンナイデス!!」
(;><)「早く!こっちが出口です!!」

なんでここにワカンナイデスが?いや、それより出口って!
入り口の方から怒声が聞こえる。先程よりも近くなってきている。

(;><)「何してるんです!!早くしないと捕まってしもうんです!!!」

ワカンナイデスは本当に僕達を出口に導こうとしているのだろうか?
もしかしたら僕達をはめるためにここに来たんじゃないだろうか?
その可能性は結構高い、彼はいい奴だがロビーの看守で、僕とはまだあって間もない。騙される可能性の方が高いかもしれない。

(;^ω^)「今行くお!!」
ξ゚听)ξ「…付いていって大丈夫なの?あの人ここの関係者なんでしょ?」
(*゚∋゚)「………。」



507: ◆y7/jBFQ5SY :2006/06/27(火) 22:43:29.24 ID:n7YS9dVE0
  
確かに騙される可能性は高い。だが、ここに居たって結果は同じだ。
だったら少しでも可能性のあるほうに賭けた方がいい!
それに、あのお人よしなら大丈夫な気がする。

( ^ω^)「大丈夫だお!あいつとは…友達なんだお!さっ掴まるお。」
ξ゚听)ξ「うん。分かった。そこまで言うなら信用するわ。」
(*゚∋゚)「………。」

筋肉は相変わらず何も言わないが、素直について来ているのを見るに、肯定と見て問題ないだろう。

(;><)「コッチです!!」

ワカンナイデスに連れられるまま、僕達は右へ左へ走っていった。
先程まで縛られていたツンは辛そうだったが、本人が大丈夫と言うので無理をしてもらった。
…ごめんね、ツン。



508: ◆y7/jBFQ5SY :2006/06/27(火) 22:44:41.14 ID:n7YS9dVE0
  
(;><)「これに乗って逃げるんです!!早く!!!」

これは、僕の初陣の時に現れたあの鉄の塊?
違う、あれより遥かに小型だし、なによりあの爆発を起こさせるための砲身が無い。

(;^ω^)「コレはなんだお!?どうやって使うんだお!?」
(;><)「これは“車”と言って、人が走るより何倍も早く動く事ができる物らしいです!!」
(;^ω^)「らしいですって…それで使い方はどうするんだお!?」
(;><)「この鍵を差し込んでなんか色々するんです!!私なんかがおいそれと触れる物じゃないんです!!!」
ξ゚听)ξ「そんな…!それじゃどうしようもないじゃないの!!」
(*゚∋゚)「………。」

筋肉が何も言わずワカンナイデスから鍵を取り、車に乗り込み操作をし始める。
ジジジジ………  ガコン! ブロロロロ………

(;><)「そう!こんな感じです!!これで行けるはずです!!」

何でこんな物の操作法を知っているのかは分からないが、コレで何とか逃げ切れる!
ツンが車の中に乗り込む、僕も乗り込もうとするが途中で留まる。
脱出する前に聞いておかなきゃいけないことがある。



509: ◆y7/jBFQ5SY :2006/06/27(火) 22:45:10.59 ID:n7YS9dVE0
  
( ^ω^)「…ワカンナイデスはなんで自分も危ない目に会うって分かっていながら僕達を助けたんだお?」
( ><)「そんなの、わかんないです!!おまえがいい奴で、こんな所にずっといるべきじゃないと思ったからです!!!」
( ^ω^)「ワカンナイd
「いたぞ!!奴らだ!!!」「車に乗ろうとしているぞ!!逃がすな!!!」
ξ゚听)ξ「ブーン!!早く!!」

もうすぐそばまで武装した男達がやって来ている。その数は今までの比じゃない。

( ><)「さ!早く車に乗るんです!!」
(;^ω^)「ワカンナイデスはどうするんだお!?このままじゃ捕まるお!!」
( ><)「僕は大丈夫です!!人質代わりに連れてこられたとかいいますから!!急いで!!」

半ば押し込まれるように車に乗せられる。筋肉が僕が乗ったのを確認すると車を発進させた。



510: ◆y7/jBFQ5SY :2006/06/27(火) 22:46:41.67 ID:n7YS9dVE0
  
ξ゚听)ξ「…さっきの人が気になるの?」
( ^ω^)「……。」
(*゚∋゚)「………。」

僕が沈黙しているのが何よりの答えになったようで、ツンはそれきりその事には触れないでくれた。
あの時、僕は強引にワカンナイデスを連れてくる事もできたはずだ。
いくら焦っていたからって、そんなことすぐ気付くべきだったのに。
…無事でいてくれるといいが。

ξ////)ξ「そ、それよりありがとうね!その…助けてくれて……。」

ツンは照れくさいのか、最後の方が小さくしぼんでイマイチ聞こえ難い声で、感謝の意を述べた。
さっきもそうだが、何でこんなに恥ずかしがってるんだろう?
最初に会ったときはすぐにありがとうと言ってくれたものだが。

( ^ω^)「そんなの別にいいお。僕もツンに会えて嬉しいお!」
ξ////)ξ「………。」
(*゚∋゚)「………。」

ツンは向こう側を向いてこっちを見ようとしてこない。
何か変なこと言ったかな、僕?



511: ◆y7/jBFQ5SY :2006/06/27(火) 22:47:12.82 ID:n7YS9dVE0
  
( ^ω^)「それにしても筋…クックルはどこで車の操作を覚えたんだお?」
(*゚∋゚)「………。」
(;^ω^)「あの…。」
(*゚∋゚)「………。」
(;^ω^)「………。」
(*゚∋゚)「………。」
(;^ω^)「……ごめんなさい。」
(*゚∋゚)「………。」

やっぱりこいつは分かんねぇ…。筋肉が本体なのか?

ドオオオオオオン!!!!

すぐ近くで爆発がおきる!車体が転覆しそうになるがなんとか戻る。

ξ゚听)ξ「きゃあ!」
(;^ω^)「い、一体なんだお!?」

後ろを見るとそこには、僕に…僕に始めて恐怖を植え付けた
“アレ”
の姿が瞳に映った。



512: ◆y7/jBFQ5SY :2006/06/27(火) 22:48:41.29 ID:n7YS9dVE0
  
(*゚ー゚)「ふふw大丈夫よ。彼女から必要なデータはもう全部取得し終えたわ。」
( `ハ´)「…本当アルか?しかし、万が一ということも…。」
(*゚ー゚)「心配性ね、シナー。大丈夫、処理には流石兄弟を向かわせたわ。」
( `ハ´)「…それならいいアル。それで、結果の方はどうだったアル?」

ここはロビー中枢、“皇王の間”悪趣味な程に豪華な造りになっており、住む者の品位が疑われる。

(*゚ー゚)「それは今解析させているわ。もうすぐ判るわよ。」
( `ハ´)「そうアルか。…それにしても、本当に良かったアルか?お前のお気に入りも確かあそこにいたはずアルが?」
(*゚ー゚)「…くどいわね。大丈夫よ。」
(*゚ー゚)「それに、ブーン君とはまた絶対に会うことになるわ。彼は絶対に死なないもの。」
( `ハ´)「まぁイイアル。そんななんとかとか言うガキなどどうでもいいアル。それより。」
( `ハ´)「例の強化実験の方はどうなってるアル?あれが成功すればすぐにでもVIP、ニューソクを攻め落とす事が出切るアル。」
(*゚ー゚)「経過は順調よ。サンプルはアサピーのほうに送ったわ。」
( `ハ´)「うむ、急ぐアル。お前の働きによって戦況はワタシにとってすばらしいモノになるアル。心してはげむといいアル。」



513: ◆y7/jBFQ5SY :2006/06/27(火) 22:49:17.73 ID:n7YS9dVE0
  
その時、えらの張った男が入り口の方から入室してきた。

<丶`∀´>「失礼しますにだ。結果報告をしますニダ。『アカシャ』の位置を特定する事ができましたニダ。」
( `ハ´)「おお、これでワタシが世界の皇王になる日が近づいたアル!!」
(*゚ー゚)「ふふw良かったわね。それじゃ私はこれで失礼するわ。」
( `ハ´)「結果を聞かなくてもいいアルか?」
(*゚ー゚)「せっかくだけど、今は遠慮しておくわ。後で聞かせてもらうわね。」

ぎぃー バタンッ!

( `ハ´)「…フン!いけ好かない小娘が!『アカシャ』を手に入れた暁にはまずお前を処刑してやるアル!」
<丶`∀´>「全くですニダ!あんな小娘にいいように使われるのは腹の虫が収まらないニダ!」

男達は邪悪な笑みを湛えて笑いあった。



514: ◆y7/jBFQ5SY :2006/06/27(火) 22:50:43.45 ID:n7YS9dVE0
  
(*゚ー゚)「獣が……。」

しぃはそう呟きながら実験施設へと向かっていた。
今日は捕らえた捕虜を使って人体実験をする予定だったのだが、
シナーに呼び出されて大幅に予定がくるってしまった。

(*゚ー゚)「獣が……。」

もう一度そう呟く。
何度呟いたところで気分が晴れることも、失った時間が戻ってくるわけでもないことも勿論知っていたが、そう言わずにはいられなかった。
そうして歩を進めていたが、急にその歩みを止める。

(*゚ー゚)「……あいかわらず便利ね。」
(´・ω・`)「………。」

つい先程まで誰もいなかったはずの通路に、忽然とショボンが姿を現した。

(*゚ー゚)「なんの用かしら?これでも私は多忙の身なのよ?」
(´・ω・`)「………。」

ショボンは何も喋らない。

(*゚ー゚)「…本当に何の用なの?用が無いなら実験に戻りたいんだけど。」
(´・ω・`)「………。」

ショボンは何も喋らない。



515: ◆y7/jBFQ5SY :2006/06/27(火) 22:51:23.54 ID:n7YS9dVE0
  
(*゚ー゚)「用は無いのね?それじゃ私はかえr
(´・ω・`)「君の苦労は全て徒労に終わるよ。」
(*゚ー゚)「…また下らない話を続けるつもり?もうそんな悠長な事を言っている段階じゃないわよ?」
(´・ω・`)「もうこれ以上君を止める事はしないよ。ただし忠告だけはさせてもらう。」
(´・ω・`)「この地にこれ以上“人”が満ちる事はないよ。今が異常なんだ。君がやろうとすることは失敗する。」
(*゚ー゚)「…そんな具合にブーン君も洗脳したのかしら?私はそんな手は食わないわよ?」
(*゚ー゚)「私は父様の意志を最後まで貫くわ。」
(´-ω-`)「そうか…、それなら仕方ないな。僕には君を説得させることは無理みたいだ。」
(*゚ー゚)「ふふw『傍観者』が説得なんて笑い話にもならないわ。」
(´・ω・`)「………。」
(*゚ー゚)「これでいいかしら?お互い“人”として自分の思った通りに生きていきましょう。」

しぃがそういい終わる前に、彼の姿は消えていた。
彼女は先程までの不機嫌さが何処に行ったのかというほど、スキップでもしてしまいそうな足取りで目的の場所へと向かった。



516: ◆y7/jBFQ5SY :2006/06/27(火) 22:53:32.37 ID:n7YS9dVE0
  
(* ´_ゝ`)「おひょひょwwむはっwwうほほっww」
(´<_`;)「OK兄者。ときに落ち着け。どこぞのIT社長になってるぞ。」
(* ´_ゝ`)「これが落ち着いていらいでか!!あの女もたまにはいい仕事を持ってくるww」
(´<_`;)「……やれやれ。」

もはや、まともな会話さえ成り立たなくなってしまっている兄者に対して、弟者は疲れた表情で溜息をつく。

つい先程、流石兄弟の二人はしぃから皇王直々の任務という名目の、しぃ個人の任務を受けた。
しぃが皇王の名を使い、自分の私用を任務として依頼してくるのはいつもの事で、べつに特別なことではない。
どちらにしろ断れない事は明白な上、もし本当に皇王からの任務だった場合の事を考えると、流石兄弟に断るという選択肢は存在しなかった。

当初、兄者はこの任務に乗り気ではなかった。
…いや、乗り気じゃないどころか一応は自分達の遥か上の地位にいるしぃに対して、鼻糞爆弾攻撃で追い帰そうとまで画策していた。
弟者が止めていなければ彼はきっと実行していただろう。

(* ´_ゝ`)「さっきから何をすかしてるんだ弟者よwwこんな近年まれにみるビッグニュース!!浮かれないほうがおかしいぞww」
(´<_`;)「…普通なら恐怖すると思うがな。」
( ´_ゝ`)「何だ何だ。随分冷めてるじゃないか。嬉しくないのか?」
(´<_` )「嬉しいといっていいのかどうかは分からんが…そうだな、少なくとも期待は持てる。」

侵入者と、その侵入者が連れ出した脱走者達が車を奪取して逃走。
至急追跡を行い、侵入者及び脱走者を抹殺せよ。
彼らがいつも行っている退屈な殲滅任務より、更に退屈な任務。
流石兄弟がそう思っても不思議は無いほどに郡を抜いて刺激が無く簡単な任務だった。



517: ◆y7/jBFQ5SY :2006/06/27(火) 22:55:32.38 ID:n7YS9dVE0
  
( ´_ゝ`)「全く、何が“期待は持てますぅ〜”だ。もっと自分に素直になれよ。」
(´<_` #)「んな気持ちの悪い言い方してねぇ!」
( ´_ゝ`)「あの『原子分解』の片割れと戦えるんだぞ?あいつらに勝利することが出来りゃあこれ以上に“流石”な事はないだろ。」
(´<_` #)「勝てれば、の話だろうが!楽観視が過ぎるぞ兄者!」
(* ´_ゝ`)「……怒っちゃいや〜ん☆」
(´<_` #)「………。」

進入者が確かな力の持ち主であることは間違いないだろう。このロビーで進入禁止区域から脱出するのは並大抵の事ではない。
だが、例え個人の力が優れていようと、人間に戦車と対峙する力などあるはずも無い。
しかも奴らは車で逃走していると聞いた。そんなもの、戦車砲を一発撃てばおしまいだ。あっけないにもほどがある。

(;´_ゝ`)「…冗談だ。そんなに怒るな弟者。」
(´<_` #)「……まぁいい。」
兄者の両頬は赤くなっており、先程より膨らんでいるように見えた。

(´<_` )「…それよりだ。現実問題勝てると思っているのか?あの『原子分解』に。」
( ´_ゝ`)「なんだ?弟者は勝てないとでも思っているのか?」

しかし、しぃはそんなつまらなそうなふいん(ry を醸しだしている俺達を見て、いやらしく口を広げこう言った。

 侵入者の名前はクックル。『原子分解』のクックルよ。あなた達の“流石”を試すには最高の相手じゃなくて?



518: ◆y7/jBFQ5SY :2006/06/27(火) 22:55:59.84 ID:n7YS9dVE0
  
( ´_ゝ`)「弟者は心配性だな。俺達流石兄弟と。」
( ´_ゝ`)「こいつらがいれば俺は負ける姿など想像も出来ないがね。」
(´<_` )「…確かに心配していてもなにも変わらんか…たまにはいいことを言うじゃないか兄者。」
(* ´_ゝ`)「あたりまえだろうが!この俺を誰だと……たまに?」
(´<_` )「気にするな。空耳だろう。そろそろ乗り込まんと見失うかも知れんぞ。」
( ´_ゝ`)「…何か釈然としないが間に合わないのは困る。急ごうか弟者よ。」

そう言い放ち男達は戦車へと歩を進める。
自分達が追い求める“流石”を求めるその姿は、一途な男の輝かしさがあった。

( ´_ゝ`)「…ところで弟者、ITってなんだ?」
(´<_` )「………さぁ?」

……………あった!



第12話 「逃走・脱出・大脱走」   終



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