( ^ω^)ブーンが運命に喧嘩を売るようです
- 628: ◆y7/jBFQ5SY :2006/06/28(水) 22:50:08.37 ID:g5qzlFwC0
- 第13話 「2人」
ξ゚听)ξ「きゃああっ!!」
(;゚ω゚)「うわったは!!」
先程から執拗に攻撃を受ける。
筋肉の操作のおかげかまだ何とか無事だが、このままではそう遠くないうちに直撃をくらってしまう。
そうなれば、間違いなく車は大破。僕達は死を免れえないだろう。
……ドクオのように…ドクオのように…ドクオのように…。
( ω )「…なんで…。」
なんでここにあの二つの鉄の塊が…!ニューソクの物じゃなかったのか!!
車がまた大きく縦に揺れる。このままじゃ直撃なんてくらわなくてもぶっ壊れる!
(*゚∋゚)「………。」
筋肉がイキナリ車を止めて外に出た。
…もしかしてたった一人でアレらとやり合おうってのか!?
いくら筋肉が強くてもアレらとなんて無茶苦茶だ!勝てるわけが無い!
(*゚∋゚)「………!」
車が止まったからか鉄の塊から射出される弾が真っ直ぐ僕達の方に向かってくる。
ヤラレル!!!
- 629: ◆y7/jBFQ5SY :2006/06/28(水) 22:51:04.07 ID:g5qzlFwC0
- 目を瞑る事さえ出来なかった僕の前にまたも非現実的な光景が広がる。
筋肉が僕達に爆発の危険が無いところまで向かってくる弾に対して“走って体当たり”した!!
ξ゚听)ξ「クックル!!?」
ツンの叫びに答えるように筋肉は爆発した場所から空高く舞い上がり、無事着地した。
(*゚∋゚)「………!」
(;^ω^)「……!ツン車を発進させるお!!」
今まで全く意思疎通を図れなかった筋肉の瞳から初めて強烈なメッセージを受け取った。
“ツンを連れてすぐに行け!”
瞳がそう語っていた。
筋肉の思いを無下に断るわけにもいかず、僕は見よう見まねで車を動かしてみる。
- 631: ◆y7/jBFQ5SY :2006/06/28(水) 22:51:40.57 ID:g5qzlFwC0
- ξ゚听)ξ「ちょっと、ブーン!あなたこれの操作分かるの!?」
(;^ω^)「大丈夫だお!ツンは僕が助けてあげるお!!」
ξ////)ξ「……!」
色々とガチャガチャ動かすが発進しない!!
筋肉も敵の攻撃を弾いたり叩いたり流しているが、守り一辺倒では消耗してしまう。
くそう!筋肉は何をしていた!何か特別な動作が必要なのか!?
何時の間にか隣の席に来ていたツンが不思議そうな顔をしながら喋りかける。
ξ゚听)ξ「…ねぇ、ブーン?確かここを踏むんじゃなかったかs
ぐいっ
(;゚ω゚)「うきょおおおおおおおお!!!!」
ξ゚听)ξ「きゃあああああああああ!!!!」
おおおおおおおおお!!!速すぎいいいいいいいいい!!!!
- 633: ◆y7/jBFQ5SY :2006/06/28(水) 22:53:44.83 ID:g5qzlFwC0
- (* ´_ゝ`)「いよう!ハ・ジ・メ・マ・シ・テってか!?ようやく会う事が出来てうれしいぜぇ?『原子分解』!!!」
(*゚∋゚)「………。」
(´<_`;)「兄者。はしゃぎすぎだぞ。恥ずかしい。」
ブーン達を乗せた車が発進した後、流石兄弟は戦車の頭頂部にあるハッチから顔を出してきた。
兄者は喜色満面の笑みで、弟者は神妙な面持ちで。
(´<_` )「…失礼。我々はロビーに侵入した貴方を始末するべく派遣さr
(* ´_ゝ`)「そーーんな事はどうでもいい!もう命令なんてシラネーヨ!俺達に“流石”を感じさせてくれや!!」
(´<_` #)「兄者!俺のセリフを遮るな!!」
(*゚∋゚)「………。」
騒ぐ兄者、怒る弟者、黙るクックル。
奇妙な三竦みの関係が出来上がる。
(´<_` )「…とにかく、あなたには我々と戦ってもらう。」
(* ´_ゝ`)「そういう事だ!存分に楽しもうぜぇ!」
(*゚∋゚)「………。」
(*゚∋゚)「……つまらんな…。」
(´<_`;)「……!」
(;´_ゝ`)「んな!喋った!!」
地の底から響くようなバスでクックルは喋った。そして、それは更に続く。
- 634: ◆y7/jBFQ5SY :2006/06/28(水) 22:54:32.41 ID:g5qzlFwC0
- (*゚∋゚)「つまらんわ小童共!そんな玩具で勝てるつもりか!『原子分解』の力!甘く見るなよ!!」
大地を突き破るような怒声が辺りの空気を揺らす。
(´<_` )「…これは何とも…。」
( ´_ゝ`)「…流石『原子分解』、言うねぇ…。」
(´<_` )「だが。」
( ´_ゝ`)「そんなハッタリで引くほどやわじゃあない。」
(´<_` )「俺達はとうの昔にそんな感情捨て去った。」
( ´_ゝ`)「今、俺達が望むのは一つ!」
( ´_ゝ`)(´<_` )「痺れる様な“流石”を感じさせてくれ!!」
戦車のハッチが閉められ、二人はクックルに牙を向く。
二人のの殺気を全身に受けながら、彼もまた、二台の戦車へと駆けて行った!
戦いが始まった!!
- 635: ◆y7/jBFQ5SY :2006/06/28(水) 22:55:24.23 ID:g5qzlFwC0
- (;゚ω゚)「おおおおおおお!!ツン!!!足!!足ぃぃ!!!!!」
ξ゚听)ξ「きゃぁぁぁああああああ!!!!!」
速!速!速!速!!速!!速!!速!!!速!!!速!!!速!!!!速!!!!速!!!!速!!!!!
やばい何だこの速さはこれじゃ周りの確認がそれよりこれどこにむかってんだどこにいこうとしてんだ
ツンが足元の板を踏んだらこんなことになった。
踏んでる当人は気付いてるのか気付いてないのか、悲鳴をあげながらもっと強く板を踏みつける。
………何だか楽しんでません?
パニックのような冷静なようなやっぱりパニック状態の僕の瞳に映ったのは一本の大樹。
きっと樹齢何百年も立っててここの自然の中心なんだろうな動物達もここでは争ういやめるような神秘的な場所にちがいない ただ
進路上にあるのはな〜ぜ?
(;゚ω゚)「おおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!」
咆哮!ただ咆哮!!
僕は今まで出した事のないような叫び声を上げ、いろんな所を目茶目茶に動かしながら目の前の輪を回す。回す!回す!!
僕の世界が高速で回る!形容しがたい甲高い音が何処か近くか遠くから聞こえてくる。
(;゚ω゚)「………。」
ξ゚听)ξ「………。」
(;゚ω゚)「……ツン。」
ξ゚听)ξ「………。」
(;゚ω゚)「……ここ踏むの禁止。」
ξ゚听)ξ「……把握した。」
僕達はなんとか生き残った。
地面には黒い帯状の後が長い事ついていた。
- 637: ◆y7/jBFQ5SY :2006/06/28(水) 22:56:39.03 ID:g5qzlFwC0
- ( ^ω^)「…毛布と…これは地図かお?」
さっきの騒動の後、僕達はとりあえず一息ついてから今後のことを話し合った。
とにかく、もう辺りは月明かりくらいしか頼るものが無いほどに暗くなっていたので、
今夜は先程の大樹の下で野宿をしようということになった。
( ^ω^)「灯りになりそうな物は……なさそうだお。」
僕は先程から車の後ろに詰め込まれた荷物を物色していた。
とりあえず何か食べ物はないかと思い探し出したのだが見つからず、
代わりに毛布が一枚と、地図らしき物を見つけた。
らしきと言うのは、灯りが無いためにイマイチちゃんと見る事ができないためだ。
( ^ω^)「しょうがないお。これは明日の楽しみに取っておくお。」
ξ゚听)ξ「………。」
先程からツンは全然喋らない。僕が何かいっても気のない返事をするばかりだった。
捕らえられていた時に何かあったのだろうか?それともやっぱり…
- 638: ◆y7/jBFQ5SY :2006/06/28(水) 22:57:27.77 ID:g5qzlFwC0
- ( ^ω^)「クックルの事が気になるお?」
ξ゚听)ξ「…え?ううん、そんなことないわよ?」
( ^ω^)「ツン、さっきから様子がおかしいお?何か悩み事あるんなら聞くお?」
ξ゚听)ξ「…ううん、なんでもないわ。クックルなら無事だと思うから。」
どうやらクックルの事とは関係ないようだが、ツンが何か悩みを抱えている事は明白だ。
だが彼女が言いたがらないなら仕方が無い。喋りだすまで待つしかない。
( ^ω^)「…これ、毛布だお。夜は冷えるからこれに包まって寝たほうがいいお。」
ξ゚听)ξ「…ありがとう。」
そう言いながらも彼女は毛布を受け取ろうとしない。
ξ゚听)ξ「……あの…ブーン。」
( ^ω^)「ん?なんだお?」
ξ゚听)ξ「………ごめんなさい。」
( ^ω^)「……?」
ξ゚听)ξ「……あの……あの…。」
口篭りながらも彼女は決心したように喋りだす。
ξ゚听)ξ「…ごめんなさい!!!……あの、ドクオ君のこと…。」
(;゚ω゚)「!!」
- 639: ◆y7/jBFQ5SY :2006/06/28(水) 22:58:31.52 ID:g5qzlFwC0
- ξ゚听)ξ「…アタシは、ちゃんと“視えた”のに…止められたのに…止めなかった…。」
(;゚ω゚)「…何の…事だお。」
自分でも驚くくらい心臓が跳ね上がった。
まさかツンの口からドクオの名前が出て来るとは思わなかったので、完全に不意を突かれた。
ξ゚听)ξ「……アタシは、人それぞれの未来が“視える”の…それで…あの時、ドクオ君の
死ぬ
時の姿が視えたの。」
(;゚ω゚)「…あの…占い…。」
今思うと、あの時からツンは僕やドクオと距離を取っていた気がする。そんな…。
ツンは更に続ける。
ξ゚听)ξ「アタシは…彼を止めることが出来た筈なの…。」
ξ゚听)ξ「何度も、何度も言おうと思ったわ!友達が死ぬのを黙って見ていれないもの!…でも…でも…。」
ξ゚听)ξ「…アタシの立場がそれを止めさせたわ…。」
ξ゚听)ξ「仮にも政府の重要ポストに就いている人間が私情で勝手に動く訳には行かない…行かないのよ…。」
感極まって遂には泣き出してしまうツン。それでもツンの言葉は止まらない。
ξ;;)ξ「アタシは、結局“運命”は変えられないんだって…自分に納得させるしかなかった…。」
ξ;;)ξ「…ごめんなさい…。」
( ^ω^)「………。」
- 640: ◆y7/jBFQ5SY :2006/06/28(水) 22:59:11.41 ID:g5qzlFwC0
- 何となく、分かってた気がする。ツンが政府の人間だという事も、“運命”を視ていたことも…。
それなら僕だって…。
まだ小さく謝罪の言葉を繰り返しながら泣きじゃくる彼女に、僕は僕の非を詫びる。
( ^ω^)「ツン。僕の方こそ謝らなきゃいけないお。」
ξ;;)ξ「ふぁ?」
( ^ω^)「知らなかったとはいえ、僕は政府を、ツンを罵倒したお。」
( ^ω^)「ゴメンなさいだお。」
ξ;;)ξ「…そん、なのぉ…。」
鼻をぐすっと鳴らしながら喋るツン。そんな彼女がひどく愛おしく思える。
( ^ω^)「…いいんだお…。これでお互い様なんだお。みんなチャラだお。」
ξ;;)ξ「………。」
( ^ω^)「これで…いいんだお。ツン、だから泣き止むお?」
ξ////)ξ「……うん。」
ツンはやっと泣き止んだ。
- 641: ◆y7/jBFQ5SY :2006/06/28(水) 23:00:14.62 ID:g5qzlFwC0
- ( ^ω^)「それじゃあ、毛布を被ってちゃんと寝るお。」
僕はツンに毛布を渡し、これまでと…これからの事を考える。
ショボンが言っていた事…。
ジョルジュはどうなったのか?
『アカシャ』とは一体?
『プロジェクト2CH』とはいったい?
僕はどこに向かっているのか?
僕はこれ以上人と関わっていいのか?
ツンをこれからどうするか?
僕が考えに耽っているとツンの声が現実へと呼び覚ます。
ξ゚听)ξ「ブ、ブーンの分の毛布は無いの?」
( ^ω^)「無いお。適当にそこら辺で寝る事にするお。」
ξ////)ξ「………あ、あの…。」
( ^ω^)「?」
ξ////)ξ「…い、一緒に寝ない!?」
(;゚ω゚)「んふぼっ!!」
ξ////)ξ「かかかかかか勘違いしないでよね!!!!!変な意味じゃないんだからね!!!!!
ブーンに風邪でもひかれたらアタシが困るから言ってるだけなんだからね!!!!!!」
なななんなななななななんだってーーーー!!!!!それはまずいってやばいっておかしいってうれしいってまずいってやばい………
結局僕はお邪魔することにした。男として!!…といったら大袈裟だがツンがせっかく言ってくれた事だ。無下に断るわけには行かない。
そんな理由を後付してツンと一緒に毛布に包まったのだが…。
- 642: ◆y7/jBFQ5SY :2006/06/28(水) 23:01:14.20 ID:g5qzlFwC0
- (;^ω^)「………。」
ξ////)ξ「………。」
寝れねー!!心臓がさっき車に乗っていた時より早くビートを刻む。この音自体が聞かれそうだから困る。
隣にいるツンの体温が直接感じられてクラクラしてくる。
(;^ω^)「…ア、アノ…ツンサン?」
ξ////)ξ「…ナ、ナニカナ?…ブーンクン。」
(;^ω^)「ホ、ホシガキレイデスネ。」
ξ////)ξ「ソ、ソウデスネ。」
やばい!これはやばい!会話がなりたたねぇ!!
何か話題を考えていると、ツンの方から話しかけてくれた。……情けねぇ…。
ξ////)ξ「…ねぇ、ブーン?明日からどうするかは決まってるの?」
(;^ω^)「…詳しくはまだ決めてないお。さっき見つけたのが本当に地図ならそれを見て決めるお。」
ξ////)ξ「…そっか…。」
僕は嘘をついた。行き先はもう決まっている。できるだけツンとこうしていたいからついた嘘だった。
- 644: ◆y7/jBFQ5SY :2006/06/28(水) 23:01:41.96 ID:g5qzlFwC0
- ξ////)ξ「そ、それじゃあさ!アタシいろんな所に言って見たいな!」
(;^ω^)「それは良いお。そうしようお。」
また嘘を重なる僕。こんなに嬉しそうで、こんなにはしゃいでるツンの顔を僕は何時までも眺めていたかった。けれど……。
(;^ω^)「そろそろ寝るお?もう寝ないと明日が辛くなるお。」
ξ////)ξ「うん、そうね。それじゃおやすみなさい、ブーン。」
( ^ω^)「おやすみだお。」
行き先はVIP。彼女と別れるために、そのために行く。
僕は、ツンを僕のせいで死なせたくはなかった。死なせるわけにはいかなかった……。
眠れぬ夜は時を刻む事はなかった……。
- 645: ◆y7/jBFQ5SY :2006/06/28(水) 23:03:34.09 ID:g5qzlFwC0
頬を裂くような風が吹きすさぶ中、町のはずれで佇む一つの立て看板。
それは、新しい物だというのに既に周囲の空気と供に色褪せていた。
[反乱組織OPPAIリーダー“ジョルジュ”を、国家転覆を企てた罪とし、明日正午公開処刑と処す。]
風は鳴り止む事もなく、看板を激しく揺らす。
何か強烈な意思に導かれるように。運命に従うように……。
第13話 「2人」 終
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