( ^ω^)ブーンが運命に喧嘩を売るようです
- 11: ◆y7/jBFQ5SY :2006/07/03(月) 18:00:14.04 ID:q0enIu6b0
- 第21話 「獣達の狂乱」
( ゚∀゚)「そろそろ…か。」
荒巻王の助力を得た後、俺は無理を言ってすぐに作戦を開始させた。
今、VIPにはブーンの奴がいるはずだ。アイツがいる間に事を起こせば成功する。
そんな不確かで、だが心地のいい確信があった。
( ゚∀゚)「…本当、何でなのかねぇ…。」
そんな事を呟きながら一人ごちる。
特別な力を持ってるわけでは無い。人並みはずれた天才な訳でもない。
ただの一般人だ。それもとびきりの。これでもか!と言う位の一般人。
( ゚∀゚)「…逆にそれがいいのかねぇ…。」
まぁこうやって考えるのは俺の主義じゃない。今は目の前の事象に目を向けよう。
そら、ようやくやって来た。
タカラの部隊に引き寄せられるようにぞろぞろとロビーの軍が。
…やはり、多いな。
少なく見積もってこちらの五倍からいるか…。だが。
- 12: ◆y7/jBFQ5SY :2006/07/03(月) 18:00:41.48 ID:q0enIu6b0
- ( ゚∀゚)「みんな!!よく聞いてくれ!」
( ゚∀゚)「我々は、今から自分達よりも遥かに数の多い敵と戦おうとしている!」
( ゚∀゚)「何も知らない者が見れば、確実に負け戦だと考える程の戦力差だ!」
( ゚∀゚)「だが!私はこの戦!!負けるとは微塵も考えてはいない!!それは何故か!?」
( ゚∀゚)「それは我らがラウンジの民だからに他ならない!!」
( ゚∀゚)「我らラウンジの力!奴らに存分に見せ付けてやろう!!」
そう言って、俺は剣を高く掲げる。
( ゚∀゚)「我等の力はこの程度の戦力差など物ともしない!!」
( ゚∀゚)「この戦!!勝つぞ!!!」
歓声が沸き上がる。兵達の士気は上々だ。
では、行こうか。戦場へ!!
- 13: ◆y7/jBFQ5SY :2006/07/03(月) 18:01:36.54 ID:q0enIu6b0
- ( ゚∀゚)「…!っらぁ!!」
後ろから詰め寄る敵を切り倒す。既に通産で何十人倒したか分からない程に切り倒した。
奴らの主装備が銃な事もあり、若干こちらが不利な状況に陥っている。
( ゚∀゚)「うらぁ!」
また一人倒す。
確かに今は不利だが、奴らは早晩弾切れを起こすはずだ。今のままなら…勝てる。
…ただし、一抹の不安が無いでもない。
このまま推移してくれれば問題は無い…が。
( ゚∀゚)「!ちぃ!!」
銃弾が一斉に飛んでくる。
何発かは弾き返し、被弾することは無かったが、やはり厄介な物には変わりが無い。
あっちはもう進入を開始しただろうか?
一番上手い手は、こちらにそれほど被害が及ぶ前に三月ウサギの方がシナーを殺っちまうことだが、
そんな簡単に行くとは思えない。
やはり、こちらはこちらで勝利することを前提に考えたほうがいいだろう。
- 14: ◆y7/jBFQ5SY :2006/07/03(月) 18:02:04.48 ID:q0enIu6b0
- ( ゚∀゚)「…ぉぉらあああ!!!」
五人まとめて吹き飛ばす。吹き飛んだ奴らが別の奴にぶつかって、巻き込みながら更に吹き飛んでいく。
…今の内に出来るだけで敵の数を削っておきたい。
奴らが弾切れを起こした時にこちらの兵が残り僅かでは意味が無い。
…それに、音に聞こえる“奴ら”がいない今がチャンスだというのもある。
今のうちに…
突然、地を揺るがすような轟音。遠くで鳴り響いているはずなのに、直接鼓膜を振動させられるような感覚。
音と同時に、ラウンジの兵も“ロビー”の兵も冗談みたいに吹き飛ぶ。
( ゚∀゚)「…きや…がった。」
もう一度轟音。また何十人も吹き飛ぶ。
吹き飛ばされた兵達を自軍・他軍の別なく轢きながら姿を現す。
- 16: ◆y7/jBFQ5SY :2006/07/03(月) 18:03:17.06 ID:q0enIu6b0
- (;゚∀゚)「こいつが…戦車。」
生で見るのは初めてだ。正に動く鉄の塊。化け物だ。
…待てよ。確かこいつらは二機あるはずじゃあ…。
そこまで考えが到った時、急に…寒気がした。
(;゚∀゚)「!っうお!!」
反射的にそこから飛びのく。何か考えが有っての事では無いが、この行動は正解だった。
今まで俺がいた場所は爆発によって、ごっそり抉られていた。
前の戦車じゃない。後ろから…!
(;゚∀゚)「お!お!お!ぉぉぉおおお!!!」
今度は前から。次は後ろから。また前!後ろ!前!後ろ!
一発でも貰ったらその時点でアウトになるこの威力!
引っ切り無しに飛んでくる砲弾から避ける事で精一杯になる。
いや、それすらも段々と覚束なくなってくる。爆発の衝撃が徐々に近づいてくる。
(;゚∀゚)「!!!」
前から敵が襲い掛かってくる!馬鹿!てめぇも死ぬっつーの!
馬鹿をなんなく退治したが、そのせいで数瞬、タイミングがずれる。
前後両方から同時に発射されるのを確認。間違いなくこちらに向かってくる二つの砲弾!
やられる………!!
- 17: ◆y7/jBFQ5SY :2006/07/03(月) 18:03:58.98 ID:q0enIu6b0
- 「全く全く。中々楽しめそうな相手じゃないかw」
「………。」
何時までたっても伝わらない衝撃の代わりに、聞こえる声が一つ。気配が二つ。
自分の前後に一人ずつ男の姿があった。
一人は、普通の成人男性より一回りも二回りも大きいその体躯。
何を考えているのかよく分からないその瞳。その腕は全てを原子に還す。
一人は、ダークグレーのスーツを着込み、笑っているような憮然としているような
よく分からない表情を崩さない。そのナイフは全てを原子に還す。
…こいつらは…そう!
( ゚∀゚)「『原子分解』!!」
(*゚∋゚)( ,_ノ` )「……呼んだか?」
畜生…!格好良すぎだろ!あんたら!!!
- 18: ◆y7/jBFQ5SY :2006/07/03(月) 18:04:44.70 ID:q0enIu6b0
- アイツは…正しかったのだろうか?間違っていたのは私だったのだろうか?
「どうか致しましたか?先程から悩んでおられるように見られますが。」
(メ._,)「…なんでもない。貴公には関係のないことだ。それより…。」
(メ._,)「彼らの方は既に作戦を開始した。私達も先を急ぐぞ!」
「はっ!」
…他人に心配される等とは…私が悩んでいるのと言うのか?
モナー。貴様がいつか言った言葉を思い出す。
“私達は国王陛下の人形ではない。陛下のために戦い、陛下のために死のう。”
“もし陛下に災いが降りかかった時、この身を盾にして陛下を守ろう。”
“しかし、もし陛下が道を誤った時、私は憎まれ役を買ってでも、陛下のために誤りを是正しよう。”
…私はこの時随分怒った記憶がある。“陛下が道を誤る事などない!”そう言って。
しかし、実際はどうだったのだろう?正しかったのは誰だったのか?私はどうすれば良かったのか?
…答えを教えてはくれないのか?モナー?
いかん。今は任務中だ。気をしっかり持て。悩むな。突き進め!
「総司令官殿。前方にロビーの兵が数人確認されました。如何致しましょう?」
(メ._,)「…敵の数は?」
「四・五人程度、一般的なロビーの兵のようです。」
(メ._,)「…迂回して気付かれないように進む。みなにそのように伝えてくれ。」
「はっ。」
- 19: ◆y7/jBFQ5SY :2006/07/03(月) 18:04:59.09 ID:q0enIu6b0
- 考えるのはモナーの事。
あの戦いの後、私が収容所になど送らなければ…。
いや、そもそもアイツの話にもっと耳を傾けていれば、ここまでの事態にはならなかったかもしれない。
…アイツは今何をしているのだろうか?もしや殺されてしまったのでは?
私が…私は…私じゃ…。
からからからんっ
!!何だ!どうした!!
足元を見ると金物のバケツ。私が蹴ったのか?馬鹿な!何をやっている!!
「何だ!!」「敵だ!敵がいるぞ!!」「ニューソクの奴らだ!!」
そもそも何故迂回などしようとしたのか。あの程度の数なら援軍を呼ばれる前に全滅させられたはずだ!!
(#メ._凵j「くそっ!!」
号令を出し、私自身も敵の下に駆ける。敵は銃を携行しているが、この近さならば剣の方が速い!
二人ほど倒したとき、敵の援軍が来る。
よく見知った顔。子供の時から一緒だった。身分が低くても上に昇れると励ましあった。
(;メ._凵j「な……ぜ……?」
( ´∀`)「………。」
よく見知った顔。子供の時から一緒だった。身分が低くても上に昇れると励ましあった。
何時のまにか…立つ位置が異なっていた。
- 20: ◆y7/jBFQ5SY :2006/07/03(月) 18:06:10.34 ID:q0enIu6b0
視えない視えない視えない!
二人の先がまるで視えない!
視えない事が不安に繋がり、アタシの動きを重くしていく。
(;゚ω゚)「ツン!!」
ξ゚听)ξ「!?」
ブーンが思いっきりアタシを引っ張る。
アタシがいた場所にワカンナイデスさんの凶刃が舞い降りる。
剣はカツンと音を発てて地面にあたる。
…こんなに違うものなの?今までアタシがいらないって思ってた
この力が使えないだけでアタシはただの役立たずに…。
アタシ一人じゃ彼らの剣を避ける事さえままならない。ほら…。
(;^ω^)「ツン!こっちだお!!」
ξ゚听)ξ「!?」
- 21: ◆y7/jBFQ5SY :2006/07/03(月) 18:06:36.85 ID:q0enIu6b0
- 今度はドクオ君の剣が横薙ぎに振り払われる。
ドクオ君…あんなに子供達に優しくって、器用で、お母さん思いだったのに…。
ワカンナイデスさん、アタシは直接話はしてないけど、
アタシ達を逃がすために危険を顧みずに車まで案内してくれた…。
二人とも善い人達だったのに、どうして…?
「ブーンもドクオもケンカしちゃダメーー!!!」
(;゚ω゚)「!!?」
ξ゚听)ξ「!!?」
あの女の子!!
いけない!!ドクオ君が、ワカンナイデスさんが!!
アタシは考えるよりも速く、その子の下に行き、覆いかぶさるように守る。
二つの剣はアタシ目掛けて振り下ろされた。
第21話 「獣達の狂乱」 終
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