( ^ω^)ブーンが空も飛べるようです
- 221:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/06/16(金) 16:56:58.68 ID:lmWyBZb20
- ジーコは悩んでいた。なぜ日本は点が取れないのか。
いや、点が取れないだけではない。
守備すらまともに出来ないのだ。
ξ゚听)ξ「どうすればいいんだ……」
(´・ω・`)「おい」
ξ゚听)ξ「どうにかうまい作戦がないものか」
(´・ω・`)「おいってば」
ξ゚听)ξ「なんだ貴様は」
(´・ω・`)「ラモスはお呼びじゃないんだよ。消えろ」
(´・ω・`)ジーコが in The Fly
- 222:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/06/16(金) 17:01:51.87 ID:lmWyBZb20
- ⊂二( ^ω^)⊃「ブーンシュートぉ!」
ギュワン。と確かに擬音が聞こえるほどの力強いブーンのシュートは
ゴールポストを大きく外れた。
すかさずジーコの声が響く。
(´・ω・`)「ばっかやろー!お前どんなに早いシュートでも枠に入らなきゃ意味ねぇだろ」
( ^ω^)「あうあう、監督最近怖いお」
(*゚ー゚)「気にしないの。負けがこんでるから気が立ってるのよ」
落ち込むブーンの肩を叩きながら、しぃが笑った。
( ^ω^)「そうかお」
(´・ω・`)「ブーン、センタリング来たぞ!飛べ!」
ブーンはとっさに地を蹴ったが、ボールにかすりもしなかった。
(´・ω・`)「これだ!お前らはやる気がないんだ!」
- 224:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/06/16(金) 17:05:27.82 ID:lmWyBZb20
- (´・ω・`)听)ξ「これだ!お前らにはやる気がないんだ!」
(´・ω・)ξ(゚、゚ξ
ラモスは警備員によって外に連れ出された。
(´・ω・`)「全く……いや、待てよ。確かに日本はメンタル面が弱い。
海外遠征とは違い、WCだけミスが増えるのはメンタルのせいか」
ジーコはラモスの余計なおせっかいによって、メンタル面の強化という
ある種賭けのような手に打って出た。
しかしジーコもこれと言ってなにかをしたわけではない。
どうすればメンタルが強化されるのか。
(´・ω・`)「……仕方がない。やつに聞いてみるか」
- 226:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/06/16(金) 17:09:35.65 ID:lmWyBZb20
- 富士山に向かうバスの中、選手に混じって大はしゃぎしているオッサンがいた。
ξ゚听)ξ「あっはっは。それ違うよ。あれ演技。冗談ねー」
( ^ω^)「ちょwwなんか中国人みたいになってるおwww」
(*゚ー゚)「あはは、ラモスさんて面白いねー」
しだいに選手たちもラモスのハイテンションに惹かれるようにして、
声を張り上げるようになった。中には歌を歌うものまであらわれる始末。
(´・ω・`)(これだから日本人は……)
(*゚ー゚)「あれー?監督テンソン低いですよwwほら呑んで呑んで」
ξ゚听)ξ「呑んでー呑まれてー呑まれてー呑んでー」
( ^ω^)「フヒヒ、ラモス面白いおwww」
そんなこんなでバスは樹海の入り口に着いた。
- 231:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/06/16(金) 17:23:30.88 ID:lmWyBZb20
(*゚ー゚)「……」
樹海の空気を肌で感じ、さっきまでのハイテンソンはどこへやら。
日本のメンバーはみな口を噤んだ。
(´・ω・`)「君たちに足りないのはメンタル面だ。
そこで次のブラジル戦までに、ここでメンタルを鍛えてほしい」
( ^ω^)「ここでって……樹海かお」
(´・ω・`)「そうだ。日本には素晴らしい自然があるというのに、
今の日本に野性の力は皆無だ。今必要なのは野生の力なのだよ」
こうして樹海での特訓が始まった。
- 232:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/06/16(金) 17:27:45.90 ID:lmWyBZb20
- 安全綱なしでの樹海横断。死体の除去。
日本メンバーは違う意味で有名になっていった。
そして有名になるとともに、メンタル面が強化されていった。
ξ゚听)ξ「うっひょwww俺も現役復帰しようかなwww」
(´・ω・`)「おkwwwktkrって感じですよラモスwww」
ξ゚听)ξ「お前も話せるようになったじゃねーかwwジーコww」
(´・ω・`)「いやーwwラモスさんの実力には勝てないっすからwww」
なんとラモスの現役復帰が決まり、ジーコとの仲も深まっていった。
(*゚ー゚)「ばうばうばうー」
( ^ω^)「あうあうあうー」
日常会話を使わずとも、お互いの意思を伝えることが出来るようになった日本チーム。
これは勝てる。ジーコは口を歪めた。
- 233:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/06/16(金) 17:31:57.52 ID:lmWyBZb20
- 「きーみーがーぁーよーぅーHA?」
入場。国歌斉唱。そしてキックオフ。
日本代表はなんと、ブラジル相手に全く劣らないスーパープレーを連発した。
観客からは怒号のような歓声が途切れることなく続く。
(´・ω・`)「どうだ!これが野生パワーだ!」
しぃからのスルーパスがブラジルDFの隙間を通り抜ける。
それを走りこんできたラモスがダイレクトで強烈なシュートを放つ。
(´・ω・`)「アー!おしい!」
ラモスのシュートは相手ゴールキーパーによって防がれた。
観客席からブーイングが響く。
(´・ω・`)「いや、しかし今のシュートはロベカルを超えている……」
しかし
- 234:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/06/16(金) 17:34:56.73 ID:lmWyBZb20
- )))))))| ⌒ ⌒ |))))))))))))
(((((((( (●) (●) ((((((((((
)))))))))ヽ ・・ ノ|)))))))))))
((((((| /二\. |(((((((((( 「イエーイ♪」
)))))| |/|_|_|_|_|\|. |))))))))
(((((((.ヽ\ __/ /|((((((
)))))|ヽ、___,/ |)))))
実況「ロナウジーニョ!決めたー!最高のプレーを見せてくれたぞー!!」
ロナウジーニョの柔軟な足首によるフェイント、そして華麗なシュート。
野生的になっていたGKは突っ込みすぎたため、ループシュートで先制されてしまった。
- 235:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/06/16(金) 17:37:52.55 ID:lmWyBZb20
- (´・ω・`)「くそ!」
前半終了のホイッスルがなる。このままではまずい。
野生的な力を手に入れても勝てないのか、届かないのか。
王者とはそこまで差があったのか。
(´・ω・`)「なぜだ……なにがいけない」
GKからはじまり、日本最強のメンバーはみなコンディションも万全だ。
それにトップ下のしぃ、2トップのブーンとラモス。
このメンバーなら王者相手にも勝てると思っていた。
(´・ω・`)「駄目なんだ……なにかが足りないんだ」
ジーコは選手を見回した。どの顔も疲れきっている。
- 236:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/06/16(金) 17:42:13.90 ID:lmWyBZb20
- (´・ω・`)「選手交代だ。宮本、お前は下がれ。変わりにドクオを出す」
ドクオ。前回のWCではその名のとおりトイレ掃除をしていた男。
ドクオは自分の人生に疲れ、死のうと思ってい樹海に行ったら偶然日本代表と会った。
そして血のにじむような修行に耐え切り、今日の試合からベンチ登録されていた。
(´・ω・`)「ドクオ、やれるな?」
('A`)「もちろんっすよ。もしあそこで日本代表に会わなければ、
俺の人生はあの樹海で終わってました。この命日の丸に捧げます」
ξ゚听)ξ「よく言ったー!君いいよ、すごくいい。君なら絶対いいね!」
(´・ω・`)「ラモス、お前は黙れ。なんだ前半のあのシュートは。
お前の実力はあんなものか?違うだろ。もっと集中しろ」
ξ゚听)ξ「ああ、すまない。やはりどこか祖国に遠慮をしていたんだろうな。
だが後半は任せろ。俺の脚で点を取り返してやるぜ」
- 237:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/06/16(金) 17:44:04.14 ID:lmWyBZb20
- 選手の目的が再び一つになった。彼らの背後には天皇がいる。
__,,,,_
/´  ̄`ヽ,
/ 〃 _,ァ---‐一ヘヽ
i /´ リ}
| 〉. -‐ '''ー {!
| | ‐ー くー | 「がんばってくださいね」
ヤヽリ ´゚ ,r "_,,>、 ゚'}
ヽ_」 ト‐=‐ァ' !
ゝ i、 ` `二´' 丿
r|、` '' ー--‐f´
_/ | \ /|\_
/ ̄/ | /`又´\| |  ̄\
彼らの心は燃えた。
そして後半がはじまった。
- 239:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/06/16(金) 17:48:04.79 ID:lmWyBZb20
- 実況「あーっと、早い早い。後半から投入されたドクオ選手、オーバーラップを仕掛けます」
('A`)「うぉぉぉぉぉぉ」
実況「あー、ロナウジーニョだ、ロナウジーニョがドクオの前に立ちふさがるー!」
(((((((( (●) (●) (((((((((( 「抜かせないよ」
('A`)「舐めんな!」
実況「なんとー!ドクオ選手ルーレットだー!華麗なルーレットでジーニョを抜き去るー!!
すごい、すごいぞ日本!頑張れ、彼らなら勝てます。王者に、王者にぃぃぃぃぃぃ」
(*゚ー゚)「ドクオ、無理しないでこっちにまわして」
ドクオのパスがしぃに渡る。見事な連携。
前を向いたまま受け取ったパス。ドクオの気持ちが詰まった重いボール。
(*゚ー゚)「絶対に点を取って見せるわ」
- 242:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/06/16(金) 17:53:43.40 ID:lmWyBZb20
- しぃがカフーを華麗にかわす。
そしてカバーに来たセンターにいる黒いのと一対一。シザーズ、引っかからない。
再びシザーズ。かわした。否、罠。
カフーが戻ってきてスライディングをかます。
こぼれるボール。
(*゚ー゚)(これだけは出すわけにはいかない!)
しぃの足が芝生を蹴る。力強く、力強く。進む。体が風を切って飛ぶ。
右足がラインギリギリのボールを捉え、そのまま後ろに戻す。
⊂二二二( ^ω^)二⊃「ミネルバアネルバ!」
(*゚ー゚)「キャノンの会社名キター!」
ブーンがボールを蹴る。
低くて早いセンタリング。それがラモスの前方に迫る。
(´・ω・`)「ラモスー!」
パサッ。
- 245:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/06/16(金) 17:59:09.17 ID:lmWyBZb20
- 実況「き、」
(´・ω・`)「き、」
ξ゚听)ξ「き、」
実況「キター!ファンタスティック!ktkrwwwラモス完全ふっかーぁぁぁつぅぅぅぅぅ」
ラモスのヘディングがブラジルゴールに突き刺さった。
「あの髪型のまま出ないでよかったです」
彼は後にインタビュアーに向かってこう言った。
彼はモサモサのラモスらしいヘアーを、試合前に刈っていた。
そのおかげであのヘディングが決まった。
(´・ω・`)「ラモスー!」
ジーコがグラウンドに突っ込む。しかしラモスに抱きつくことは出来なかった。
ジーコは警備員にグラウンドの外まで連れ出された。
- 247:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/06/16(金) 18:01:30.01 ID:lmWyBZb20
- (´・ω・`)「くそ」
中から客の歓声がいっそう大きくなって外まで聞こえてくる。
(´・ω・`)「このままでは俺は監督失格だ」
なにより、自分の育て上げた日本チームが王者を食い殺す場面が見られないのがつらい。
このままいけば勝てる。
ジーコはそう確信していた。
「ふんふーん♪」
ジーコの目の前を、別の警備員が通り過ぎた。
- 248:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/06/16(金) 18:02:49.94 ID:lmWyBZb20
- ∧_∧
_( ´・ω・) 「あの感動をもう一度!!!!!」
/ ) _ /
/ ,イ 、 ノ/ ∧ ∧―= ̄ `ヽ, _
/ / | ( 〈 ∵. ・( 〈__ > ゛ 、_
| | ヽ ー=- ̄ ̄=_、 (/ , ´ノ \
| | `iー__=―_ ;, / / / 「ぐはぁぁぁぁぁぁ」
( ) =_二__ ̄_=;, / / ,'
/ / / /| |
/ / !、_/ / 〉
/ _/ |_/
ヽ、_ヽ
(´・ω・`)「よし、これでグラウンドに入れるな」
ジーコはこっそりと会場に忍び込んだ。
- 250:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/06/16(金) 18:06:13.81 ID:lmWyBZb20
- (´・ω・`)「どうなっている?試合は?」
ジーコがフィールドを見ると、ジーニョとロベカルの連携がうまくフィットしている場面が見えた。
二人は息の合った連携で日本ゴールを脅かす。
('A`)「甘いんだよ!」
ドクオの激しい当たり。ジーニョの体勢が崩れた。
その隙に、しぃが後ろからボールを奪う。
(((((((( (●) (●) ((((((((((「なにぃぃぃ、俺がイエローモンキーに二度も不覚を取るとは!」
('A`)「自信過剰なんだよ。なんだあのCMはあぁん?しぃ、突っ込めー!」
しぃが素早いドリブルでロベカルのいない左サイドを駆け上がっていく。
- 253:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/06/16(金) 18:10:08.68 ID:lmWyBZb20
- そしてセンターで待っていたブーンにラストパス。
(´・ω・`)「これはいかん!遠くだとあんまよく見えない!」
ジーコは急いでフィールドまで降りていった。
その間に、しぃのパスがブーンに渡った。
ゼ・ロベルトを押さえつけてヘディングで競り勝つ。
樹海での修行が功を制している。
⊂二二二( ^ω^)二⊃「このまま空も飛べるお!」
しかしカフーがチェックに入る。
カフーのスライディング。ボールをジャストでおkkkkkk。
ボールがブーンの足を離れた。
- 256:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/06/16(金) 18:13:14.40 ID:lmWyBZb20
- ( ゚ω゚)「アー!」
ξ゚听)ξ「任せろ!ブーンはオフサイドに引っかからんようにしてろ!」
ラモスがすぐさまカバーに入る。
そして転がってきたボールをダイレクトでゴール前に出す。
ξ゚听)ξ「しまったぁぁぁぁ」
ラモスのパスは強すぎた。
ブーンも全力で走るが、ロベカルのいやらしいオフサイドトラップによってスタートが遅れた。
キーパーの方が若干早い。
- 259:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/06/16(金) 18:15:17.14 ID:lmWyBZb20
- (*゚ー゚)「ブーン!」
('A`)「ブーン!」
ξ゚听)ξ「ブーン!」
他の日本メンバー「ブーン!!」
日本メンバーの呼吸が合わさる。ブーンが走る。
両手を広げ、ものすごい勢いでボールとの距離をつめる。
⊂二二二( ^ω^)二⊃「ハァハァハァハァ」
キーパーの手が伸びる。届かない。
実況「ああああああああああああ」
そのとき、奇跡が起こった。
- 261:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/06/16(金) 18:18:12.23 ID:lmWyBZb20
- パサッ。揺れるゴールネット。
突き刺さるボール。
風が止まった。
それに伴うように、観客、実況、解説、その他もろもろの動きが止まった。
それは当然、日本のメンバーも同じだった。
誰もがありえないと思った。
誰もが言葉を失った。
動くことも忘れ、ただ感情が溢れる感じを味わっていた。
そして次の瞬間
実況「ごぉぉぉぉぉぉぉぉぉるぅぅぅぅ!」
実況の声を合図に全員が叫んだ。歓声を上げた。狂ったように踊った。
- 262:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/06/16(金) 18:21:06.78 ID:lmWyBZb20
- 四年後、WC。
( ^ω^)「またここに来れるなんて思っても見なかったお」
('A`)「あの騒ぎは凄かったからな」
(*゚ー゚)「まったくだよ。でもあの人もそろそろ釈放されるんじゃない?」
全員があの日を頭に思い浮かべた。
( ^ω^)「く……駄目だお、届かないお」
相手キーパー「フヒヒ……すみません」
キーパーの手にボールが収まると思った瞬間。
横から飛び出してきたジーコが奇跡のヘディングを決めた。
ボールは見事にゴールネットに突き刺さった。
- 264:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/06/16(金) 18:23:12.25 ID:lmWyBZb20
- ('A`)「全く、どうしようもない監督だったな」
( ^ω^)「あれで僕たちは失格になったんだおね」
(*゚ー゚)「まったく、私たちが信じられない人なんだから」
ξ゚听)ξ「それでも、あのヘディングは俺を超えていた……」
日本メンバーがしょんぼりしていると、背後から声が聞こえた。
(´・ω・`)「ただいま」
ジーコはみんなから笑顔で迎えられた。
(´・ω・`)ジーコが in The Fly:完
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