( ^ω^)ブーンが夢をかなえたようです

145: ◆Brsj/lcRyc :2006/06/01(木) 23:02:52.08 ID:E9yqRx720
  
先ほどから警官が現場検証中。
最初は2名だったけど、続々増えて何だか数えるのも馬鹿らしい。
あの馬鹿が拳銃なんて発砲してたし、仕方ない事だろう。

そんなわけで、僕らも警官に囲まれ色々聞かれてて、雑談っていう雰囲気じゃない。
ツンが、僕に何か言いたそうに時々こっちを見てくる・・・うん、正直怖い。
さっきもやけに怒ってたし。
考えてみたら、昨日わかれた時にやった事と・・・同じ事をしちゃったし。


そんな感じで僕が軽くへこんでいるところに、警官達の“ご苦労さんです!”って声。
一体なんだろうと思って、警官達の視線を追うと、よれたスーツを着た男がいた。
刑事だろうか?
探偵は何故か友人の5割になってる僕だけど、本物の刑事はテレビでしか見た事ない。
実際イライラしているのだろうけど、妙な威圧感みたいなのがある。


(,,゚Д゚)「おぅ、ご苦労さん!で、被害者さんは・・・そちら?」

(´・ω・`)「うん?貴方は確か以前の?・・・あれ、課が違いません?」

('A`)「あー、いつぞやは詐欺師扱いしてくれてどうもっす」

(,,゚Д゚)「・・・どっかで見た事あると思ったら、あの時のチンピラ探偵かゴラァ!」


どうやら2人とは顔見知り?らしい。



147: ◆Brsj/lcRyc :2006/06/01(木) 23:03:34.29 ID:E9yqRx720
  
(´・ω・`)「それはひどい。僕達は善良な一般市民だよね。謝らないといけないよね」

('A`)「ねー♪いや、俺ら今回ハリウッド映画級のヒーローっすよ?ホントよ?」

ξ;゚听)ξ「アンタ、途中、全力であたふたしてたくせによく言うわね・・・」

(;^ω^)「あぅ、あの、その・・・」

(,,゚Д゚)「・・・とりあえずお前等、ちょっと署までこい」


一瞬、手錠でもかけられるのかと思ったけど、それはギコが止めた。
贔屓目にみても、2人とは良好な関係じゃなさそうだけど・・・。
何だろう?逃げたりしないって信用はあるのだろうか?


(´・ω・`)「ああ、そうそう、君達」


ショボンが何か思い出したのか、僕とツンのほうに顔を向けた。


(,,゚Д゚)「おい、ゴラァ!口裏あわせとかすんじゃねぇぞ!」

('A`)「そんなことはしねぇっすよ。ありのまま話せってだけ」

(;^ω^)「把握したお」



148: ◆Brsj/lcRyc :2006/06/01(木) 23:04:27.10 ID:E9yqRx720
  
現実問題、僕らが何か捕まるような事をした覚えはない。
ドクオの催涙スプレーや、ショボンのバールのような物による一撃も、あれは仕方ない事だろう。
ニダーはナイフを振り回してたし、モナーに至っては拳銃を撃ってきたし。
誘拐・銃刀法違反・殺人未遂・・・細かくはわからないけど、あいつらはすごい事になってるはず。

何であらかじめ相手の身元がわかったのか?とか、どうやってショボンが上の階に入った?とか。
僕にはわからない事だったので、それはわからないとしか言いようがなかったけど。


結局、何だかんだでかなり長い時間、色々と聞かれた。
また連絡するといって、ようやく開放された今・・・もう疲れ果てているし。

連れてこられた時に預けた携帯を受け取り外に出る。
みんなはどうなっただろうと、携帯の着信履歴をチェック・・・公衆電話から何度も?


【I wanna be a VIPSTAR・・・♪】


また公衆電話だ。
誰だろう・・・これ以上問題は勘弁して欲しい・・・まあとりあえず出てみる。


ξ;゚听)ξ【わっ・・・ちょ、ちょっと!電話、出れるようになったならとっとと出なさいよっ!】

( ^ω^)「お?ツンかお!何で公衆電話からなんだお?」



149: ◆Brsj/lcRyc :2006/06/01(木) 23:05:39.07 ID:E9yqRx720
  
ξ;゚听)ξ【ああ、私のは証拠品ってことでまだ警察にね。それよりブーン、大丈夫なの?】


連行される前の調子からして、てっきり怒られるものかと思ったけど、そんな感じはなかった。
ツンも心配してくれてたのだろうか?


( ^ω^)「こっちは問題ないお!ツンは大丈夫かお?」

ξ#゚听)ξ【アンタが問題ないわけないでしょっ!向かいのファミレスにいるからすぐ来なさいっ!】

(;^ω^)「ちょwwwいきなりwww今、手持ちがあまりな・・・」

ξ#゚听)ξ【いいから来なさいっ!5分以内!カウントは今から開始!】

(;^ω^)「ちょwwwツン!」


一気にまくし立てられたと思ったらもう切られた。
ファミレスはすぐ近く。
ゆっくり歩いても2,3分ってところだろうし、そんなにせかされてる感じはしないけど。

やっぱり怒っているのだろう・・・。
正直気が重いけど、大人しく従う事にした。



150: ◆Brsj/lcRyc :2006/06/01(木) 23:06:28.28 ID:E9yqRx720
  
歩きながら、何となくモナーの事を考える。


元から好き嫌いで言ったら、間違いなく嫌いな部類に入る奴だった。
自分のところの社長に対して、我ながらどうかとは思うけど。
金を持ってることを鼻にかけたり、悪ぶってみたり、自分の主義を絶対的なもの・・・みたいに語ったり。
良い所なんて適当にぺこぺこしてれば、仕事に関して文句を言う事がなかったぐらい?
まあ、僕のような人間には、その長所?は大きかったけど。


しかし、あそこまで馬鹿な事をするとは思わなかった。
最後は追い詰められて動転してた・・・のだろう。
だけど、そもそもあんな計画を実行するのがありえない。

少なくとも、金に余裕がなかったはずはない。
間違いなく資産家のボンボンだし、親の七光りが見え見えな金持ち自慢は、顔を合わせるたびにされたし。

親の七光りといえば、あの時・・・親父がどうのこうの言ってた気がする。
親に説教でもされたから?
それはいくら何でもありえないだろう。

じゃあ、ひょっとすると自分でも、親の七光りって自覚はあったのだろうか?
だから、自分の力で大金を手に入れて・・・みたいな?
もしそうなら、何が自分の力なのか笑い話にもならないけど。


結局、本当のところはモナーにしかわからないだろう。



151: ◆Brsj/lcRyc :2006/06/01(木) 23:07:51.83 ID:E9yqRx720
  
気がつけばファミレスについていた。
ウェイトレスの案内は、待ち合わせだからと断り、店内にいるはずのツンを探す。

・・・発見。
こちらには気がついていないけど、非常にイライラしていると思われる。
慎重に近づき、細心の注意を払って声をかける。


(;^ω^)「えっと、ツン・・・さん?来ましたお」

ξ*゚听)ξ「お、遅いわよっ!」

(;^ω^)「ご、ゴメンだお」


ツンの向かい側に着席。
用件がわからない以上、下手にしゃべると泥沼になりそうだ。
沈黙はつらいけど、ここは黙って待つ。

ウェイトレスが注文に来た。
ポーションはないから、コーラを注文。
・・・ツンはまだ黙っている。

ウェイトレスがコーラを持って来た。
・・・ツンはまだ黙っている。
恐る恐る顔色を見たけど、少し赤くなってる気がする。
状況悪化中?そんなに怒っているのだろうか。



152: ◆Brsj/lcRyc :2006/06/01(木) 23:08:58.84 ID:E9yqRx720
  
うん。
駄目だ、沈黙に耐えられない。
僕の許容量限界につき、こちらからコンタクトを取る事に決定。
現実逃避ってステキだと思う。


(;^ω^)「えっと、ツン。マイキーは、何で普通に生活してる人が見れない時間に放送してるんだお?」

ξ*゚听)ξ「はぁ・・・知るわけないでしょ。・・・アンタ、430億・・・」

(´ω`)「あぅ、その件はすまなかったお・・・また貧乏駄目人間に逆戻りだお」

ξ*゚听)ξ「そ、そうじゃなくてっ・・・その、アンタには大きすぎる借りが出来ちゃったわね」

(;^ω^)「え?か、借りかお?何だお?」

ξ///)ξ「わ、わからないならいいわよっ!と、とにかく返しきるまでは付き合うからっ!」

( ^ω^)「おっおっおっ?」


('A`)「あー、何万年かかるんだ?それ」

(´・ω・`)「うん?お嬢さんなら、うまくいけば1万年は切れるんじゃない?」



153: ◆Brsj/lcRyc :2006/06/01(木) 23:10:07.72 ID:E9yqRx720
  
突然声をかけて来たドクオとショボン。
今まで全然気がつかなかったけど、ツンの後ろ側の席で2人してコーヒーを飲んでいた。


( ^ω^)「ドクオ!マスターも!大丈夫だったのかお?」

ξ///)ξ「ア、アンタ達、いつからいたのよっ!」

('A`)「ん?何か面白そうだったから、ブーンを尾行してみたんだが」

(´・ω・`)「うん。済まない。そういうわけで最初からいたよね」


2人とも少々疲れた感じはあるけど、何だろう?どこかうれしそうだ。
僕を尾行してきたって、警察の前からだろうか?
全部終わって気が抜けていたのか、全然わからなかった。
ツンまで気がつかなかったのは意外だけど。


ξ#゚听)ξ「アンタ達ねっ!ブーンより先に出てたなら携帯出なさいよっ!」

('A`)「あー、細けぇ事は気にするなよ」

(´・ω・`)「うん。せっかくのめでたい席なんだし」



154: ◆Brsj/lcRyc :2006/06/01(木) 23:10:55.53 ID:E9yqRx720
  
めでたい席?それにさっきの・・・借りを返すまで付き合う?1万年は切れるかも?

ドクオはまだ混乱している僕に向かって肩をすくめて見せた。
そして苦笑いしながら、ポケットから煙草を出すと火をつける。
ショボンは黙ってコーヒーカップを眺めていたが、ふと何か思いついたのかドクオに向かって口を開く。


(´・ω・`)「お互い最後の1人にはなりたく・・・」

(#'A`)「はいはい、俺まだ若いし。っつうか、お前普通に彼女いるだろうが。皮肉か?この野郎!」


ショボンのEVA語録から、該当するシーンを脳内で検索してみる。
・・・あ。


(*^ω^)「ツ、ツン、それってもしかするとアレかお!」

ξ*゚听)ξ「ア、アンタは、気がつき方がキモイのよっ!」

('A`)「んー、そう言う突っ込みが出来るお前も似たようなもんだぜ?」

ξ*゚听)ξ「う、うるさいわねっ!」


「VIP・GAME」に当選した時よりずっとうれしい。
あれは金額が大きすぎて把握できなかったから?そういうわけじゃないと思う。



155: ◆Brsj/lcRyc :2006/06/01(木) 23:11:39.80 ID:E9yqRx720
  
ああ、金額と言えば大切な事を忘れていた。


(;^ω^)「マスター、ドクオ、依頼料の事だけど、何とか金を作ってくるから少しだけ待って欲しいお」

('A`)「あー?アレか。俺としては、430億の燃えるところ何て面白ぇもん見れたし、別に」

(´・ω・`)「うん。報酬よりずっと大金を回収するあても出来たしね」

( ^ω^)「そういうわけには行かないお!」

ξ゚听)ξ「私もそれはお断り。アンタ達にこれ以上借りは作りたくないわよっ!」


理由は置いといて、ツンと意見が一致した。
こんな事も何となくうれしい。


(´・ω・`)「うーん。だけど君達、今は職なしだよね?」


そうだった。
・・・経営者がああなった以上、仕事どころじゃないだろう。
一気に現実に引き戻された気分だ。
ツンがせっかくオッケーしてくれたっていうのに・・・先行き真っ暗じゃないか。

ああ、でもそれは後だ。
今はまず、プロとして僕らを助けてくれたショボンとドクオに、ちゃんと答えないといけない。



156: ◆Brsj/lcRyc :2006/06/01(木) 23:12:41.40 ID:E9yqRx720
  
(;^ω^)「ちょ、貯金はないけど、色々売ったり借りてきたりすれば何とかなるお」

ξ;゚听)ξ「そ、それなら、私が借りてくるわよっ」


またまた意見が一致。
だけど、こんな事が何となくうれしい・・・とか言ってる場合じゃない。


('A`)「無職に金貸すのは親と闇金くらいだ。面倒だからやめとけ」


残念ながらもっともな意見だ。
僕は親からほとんど絶縁されてる状態だし、ツンも似たようなものだったはず。
僕には闇金に手を出すような甲斐性はないし、ツンにもそんなことは絶対させたくない。


(´・ω・`)「うん。それじゃ、うちで働いて貰おうかな?」

( ^ω^)「mjd!」

ξ゚听)ξ「・・・アンタ達、いつも暇そうなくせに。これ以上人増やしてどうするの?」

(´・ω・`)「うん?まあ、いんじゃない?」

('A`)「おー、そりゃいいかもな」



157: ◆Brsj/lcRyc :2006/06/01(木) 23:13:42.32 ID:E9yqRx720
  
( ^ω^)「名探偵ブーン誕生の予感!」


僕が2人のように器用に仕事が出来るかは・・・む、考えてみると難しい。
いや、まあ、無理だろう。
だけど、2人のところでなら必死で働く。
ツンは・・・少し複雑そうな感じだけど、しばらく考え込んだ後、1度うなずいて了承した。


('A`)「んじゃ、社員も増えた事だし。せっかくだから最初の仕事の打ち合わせと行くか」

(´・ω・`)「あの馬鹿の親御さんから、とことん引っ張って長期休暇・・・何ていうのはどうだろう?」

('A`)「賛成。んー、まあ、そんなわけで2人とも。適当によろしくな」


ξ゚听)ξ「はぁ・・・あの馬鹿の親からってのはいいとして、即長期休暇って。ホント駄目ね、アンタ達」

(*^ω^)「お!適当が一番だお!」


高校の時、現実から逃げ始めて以来、何だか面倒になり・・・
社会に出てからは、現実に追われ疲れ果てて、毎日いっぱいいっぱいで・・・
だけど、今思い出した。


そうだ、ちょっとした夢はあったんだ。



158: ◆Brsj/lcRyc :2006/06/01(木) 23:14:32.41 ID:E9yqRx720
  
好きな人たちと一緒に・・・毎日適当に楽しく。


宝くじの件といい、この夢の件といい、僕のはいい加減な夢ばかりだ。



でもまあ、先の事はわからないけど、今はそれがかなった。
それでいいと思う。




( ^ω^)ブーンが夢をかなえたようです  完



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