( ^ω^)ブーンが脱ヒキするようです
- 52:1 ◆uqMngwBgZo :2006/05/23(火) 23:20:13.12 ID:XZsPgnW9O
- 会話もなくコツコツコツ、と歩いてるうちにブーンは考えた。
この、この雰囲気はまさか…あの漫画とかでよくある病室に入った瞬間
カーチャンの顔に白い布が……とかそうゆう…
(;゚ω゚)「……」
鼓動がうるさい、手足が震える。
しかしこの雰囲気をかき消して話しかけることもできない…つくづく情けなく人間だ、僕は…
(=゚ω゚)ノ「…安心したまえ」
(;^ω^)「…え?」
(=゚ω゚)ノ「君のお母さんは大丈夫だよ。多少怪我を負ったが、心配ない」
きっと自分の焦りようを見かねて話しかけてくれたのだろう。
医者と思われる男性の言葉は、ブーンの気持ちを軽くした。
(=゚ω゚)ノ「さあ、ここが病室だ」
真っ白な扉を、僕は震えた手で開いた
- 53:1 ◆uqMngwBgZo :2006/05/23(火) 23:21:44.71 ID:XZsPgnW9O
- 建物と同じく真っ白な病室。
そして真っ白なベッドの上、カーチャンが寝ていた。
( ^ω^)「か…カーチャン…?」
J('ー`)し「………」
(;^ω^)「し、死んでいる・・・ッ!!」
(=゚ω゚)ノ「死んでねーよバカ」
( ^ω^)「正直スマンカッタ」
カーチャンはいつもより若干白い顔をしていたが、静かな寝息をたてていた。
僕は心底安心してその場にヘナへナと座りこんでしまった。
(;^ω^)「はあー良かっ…た」
(=゚ω゚)ノ「しばらくしたら起きると思うから。じゃあ、僕はこれで」
若い医者は病室から出ていってしまった。
僕はボーッとそれを見つめ、閉じられた扉に向かって言った。
( ^ω^)「…ありがとうございます…お」
- 54:1 ◆uqMngwBgZo :2006/05/23(火) 23:25:25.61 ID:XZsPgnW9O
- ( ^ω^)「……」
病室は本当に静かで、聞こえるのはカーチャンの静かな寝息だけだった。
ブーンはさっきまでの焦りようが嘘のように落ち着きを取り戻していた。
J('ー`)し「ん…」
( ^ω^)「あ…カー…チャン…」
J('ー`)し「……」
(;^ω^)「死ん……だ…」
J(;'ー`)し「死んでねーよバカ」
カーチャンが静かに目を覚ました
- 58:1 ◆uqMngwBgZo :2006/05/23(火) 23:33:47.86 ID:XZsPgnW9O
- J('ー`)し「ブーン…わざわざ来てくれたのかい…」
(;^ω^)「あ、当たり前だお…カーチャンが交通事故なんてビックリしたお…」
J('ー`)し「ちょっと道端でボーッとしちゃってね……ふふ」
(;^ω^)「カーチャン…」
カーチャンは力なく笑っていたが、本当に笑い事ではなかった。
ここ最近ずっと仕事に出ていて、頻繁に風邪をひくようになっていた。
時には高熱も出したが、それでもカーチャンは仕事場へ向かっていた。
トーチャンが事故で早くに死んで以来、カーチャンは仕事ばかりだ。
(;^ω^)「カーチャン…無理しないでくれお…」
カーチャンを気遣う言葉を言うと、さらに自分が情けなくなるのだった…
- 62:1 ◆uqMngwBgZo :2006/05/24(水) 00:14:32.26 ID:ZlKrZOpwO
- 夜道は良い、人が少ないし視線を感じない
(;^ω^)「…ふう…今日は疲れたお…」
あの後、カーチャンは安静にしてないといけないとの事で
ずっと病院に居れるわけもなく、こうして一人帰されたのだ。
(;^ω^)「そういや家のドア開けっぱなしだお」
まったく、自分は冷静になる事を知らないのか。
不安からか、ブーンの足取りは自然と速くなっていた。
- 63:1 ◆uqMngwBgZo :2006/05/24(水) 00:15:32.09 ID:ZlKrZOpwO
- そうして一人歩いてくと、無事に家が見えてきた。
普段動かないからか疲労が酷い、早く布団に倒れこみたい。
どうやら泥棒に入られたような感じはなく、ブーンは安心して家に近づいた。
( ^ω^)「…ん?」
家の前、複数の人影が見える。
(;^ω^)「まさか泥棒じゃ…」
しかし、うっすら見える人影達は、ブーンの姿を見ると手を振っている。
泥棒の類ではないだろうと、少し怯えて近づいてみる。
( ^ω^)「あ…」
('A`)「よおブーン」
(;^ω^)「え……ああ…?」
(´・ω・`)「やあブーン」
(;^ω^)「え?え?」
ξ゚听)ξ「あら、ブーン」
(;^ω^)「…!」
親友達が、僕を待っていた
- 64:1 ◆uqMngwBgZo :2006/05/24(水) 00:21:30.94 ID:ZlKrZOpwO
- 驚きを隠せず、何を言っていいか分からない自分。
それを見たドクオはとりあえず事のなりゆきを話しだした。
('A`)「ツンがブーンを見たっていきなり電話してきてよお」
(´・ω・`)「それで家に行こうってなったんだけど、生憎君はいなかったから」
(;^ω^)「あ…そそ、そうなんだー…」
ブーンは不自然な喋りで相槌をうつ。
つまり、それで僕が帰ってくるまで家の前で待っていたのか。
春とはいえ、まだ寒い外でずっと…
('A`)「寒くて帰ろうかと思ったけど、ツンがどうもな…」
(´・ω・`)「ブーンが来るまで待つってね…僕らも帰るわけにはいかないし」
( ^ω^)「…ツンが…?」
僕がツンに顔を向けると、ツンはさっと目を反らした
- 65:1 ◆uqMngwBgZo :2006/05/24(水) 00:27:58.01 ID:ZlKrZOpwO
- ξ゚听)ξ「…な、長いこと見てなかったから…調子どうかな…って…」
(;^ω^)「あ…べ、別に元…気だお」
ξ///)ξ「ふ、ぅん…別にちょっと気になっただけだけどねっ…」
ツンが顔を背ける
僕は久しぶりすぎて上手く話せなかったけど、ツンの懐かしい表情を見て少し嬉しくなった。
('A`)「それより、どうしたんだ?いきなり外に出て…」
酷い言われようだが、ブーンの現状はそれほど酷い。
かれこれ4、5ヶ月は外に出ていなかったのだから。
( ^ω^)「ああ…じ、実はカーチャンが…」
僕は今までの忙しい時間のことを三人に話した。
カーチャンが一応無事ということも
- 67:1 ◆uqMngwBgZo :2006/05/24(水) 00:34:25.86 ID:ZlKrZOpwO
- 三人はかなり心配そうに話を聞いていたが、
カーチャンは無事という事で安心した表情を見せた
('A`)「そっか…まあ無事で良かったじゃん。」
( ^ω^)「うん…とりあえずまだ安静にって医者が言ってたお…」
('A`)「まあ…なんつーか、一人で大変だったら俺ら呼べよ」
(´・ω・`)「そうそう、遠慮なんかいらないしね」
( ^ω^)「……うん」
そうは言ったものの、ブーンは皆に頼る気はなかった。
人と会話するのも難しい感じなのに、他人に迷惑なんてかけられない。
('A`)「じゃあそろそろ帰るけど…」
( ^ω^)「あ、うん…皆ありがとうだお…」
('A`)「…いつでも呼べよ、俺ら友達なんだしな」
ドクオ達はそれだけ言ってその場を後にした
- 70:1 ◆uqMngwBgZo :2006/05/24(水) 00:44:57.65 ID:ZlKrZOpwO
- パチッ
電気をつけると、相変わらず寂しいリビングが視界に入った。
しかし何故かそれだけでホッとしてしまった。
久しぶりにカーチャン以外の人と話したなあ…
(;^ω^)「…ふう…ほんと疲れたお…」
時計に目をやると、既に日は過ぎて夜中の2時になっていた。
改めてこの時間まで待ってくれた皆に感謝をし、ブーンは疲れから自室に向かった。
そして布団に入るなりすぐに寝てしまった。
何ヶ月単位で外に出なかったブーンにとって、この疲労は半端なかったらしい。
明日は、土曜日。学校は休みだ
- 73:1 ◆uqMngwBgZo :2006/05/24(水) 00:53:00.66 ID:ZlKrZOpwO
- 一方でドクオ宅
('A`)「まさか交通事故とはなあ…」
家に着きショボン・ツンと別れたドクオは、一人、ゲームをしていた。
('A`)「…もう夜中の二時過ぎてら…寝よ」
独り言のように呟きドクオも布団に入る。
明日は学校がない日とはいえ、さすがに眠気がピークらしい。
('A`)「ブーン…元気そうだったな…」
散らかった部屋の電気を消し、ドクオはどこか嬉しそうに目を閉じた。
同じくショボンとツンも、いつもより満足気な顔で寝息をたてているのだった。
久しぶりに顔を見れたことで、安心感のような何かが溢れ出したのだろう。
三人全員にとってブーンが、かけがえのない、『友達』だったから
- 75:1 ◆uqMngwBgZo :2006/05/24(水) 01:03:40.11 ID:ZlKrZOpwO
- わー… わー…
(;^ω^)「い、痛いお、やめてお…」
(`∀´)「バーカ!転校生のくせに調子のんなよ!」
( ´ω`)「ううっ…」
小学生の頃、一度転校をした。
カーチャンの仕事で転勤があったので、それとともにブーンの住む地域も変わる。
そして当然学校も変わるのだが、そこで初日からいじめに合ったのだ。
('A`)「おい」
しかしこれをきっかけにブーンには友達ができるのだった。
いじめは辛かったが、友達ができたのはそれ以上に嬉しかった。
ドクオは喧嘩が強く、いじめられっこを見てはよく助けていた。
ブーンも、助けられた一人だった。
- 76:1 ◆uqMngwBgZo :2006/05/24(水) 01:08:46.65 ID:ZlKrZOpwO
- そしてドクオと仲が良かったショボンやツンといった仲間とも当然のように打ち解けていった。
ショボンやツンも、全く嫌がることなくブーンを受け入れた。
やる気なさそうだけどいざとなったら頼もしいドクオ
どこか静かだけど正義感は強いショボン。
素直じゃないけど優しいツン。
ブーンが打ち解けていくのも、そう遅くはなかった。
( ^ω^)「みんな大好きだお」
ブーンは幸せだった
- 77:1 ◆uqMngwBgZo :2006/05/24(水) 01:18:01.62 ID:ZlKrZOpwO
- ( ^ω^)「うう〜…ん…」
寝返りと同時、ブーンはうっすらと目を開いた。
視界にはぼやけて写る自分の部屋。カーテンの隙間から日の光が注ぐ…
( ^ω^)「……」
小さい頃の夢を見ていたのか。楽しくて仕方なかった頃の夢…。
( ^ω^)「…朝かお」
ムクッ
ブーンはいつもより速い動作で布団から起き上がった。
何だか、物凄く良い目覚めな気がする。頭がすっきりしてる。
そういえば夢を見るのなんて、久しぶりだ。
時計は朝の9時半を指していた
ブーンはいまだに寝惚けた頭でリビングへ向かった
- 79:1 ◆uqMngwBgZo :2006/05/24(水) 01:24:24.47 ID:ZlKrZOpwO
- リビングに誰もいないのを確認すると、昨日のカーチャンの事故も夢じゃなかったのかと少し落ち込む。
しかし、親友達と話ができた事もまた夢じゃなかったんだと、少し嬉しくなった。
( ^ω^)「留守電…」
留守電を再生すると、元気そうなカーチャンの声が聴こえた。
カーチャンはまだ安静らしいので土日は帰れないけど、一人で頑張るんだよとかそんな内容だった。
( ^ω^)「元気そうで良かったお…」
そんな安心も束の間、ブーンは留守電のメッセージを思い出す。
(;^ω^)「一人で……かお」
- 80:1 ◆uqMngwBgZo :2006/05/24(水) 01:33:36.90 ID:ZlKrZOpwO
- 料理は当然、洗濯すらできない自分。
それを全部一人でこなせとは、ブーンにとって地獄だった。
(;^ω^)「改めてカーチャンの偉大さを知ったお」
ブーンは携帯をちらりと見た。
('A`)『いつでも呼べよ』
(;^ω^)「………でも…やっぱりなあ…」
誰かに頼る、それだけの事を、ブーンは迷惑と考えてしまう。
ここ数ヶ月の間、他人との関わりが少なかっただけに、余計に。
(;^ω^)「……はあ……もう…寝て過ごすかお…」
静かなリビング、時間だけが過ぎていく…
ピンポーン
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