( ^ω^)ブーンが脱ヒキするようです
- 226:1 ◆uqMngwBgZo :2006/05/24(水) 21:18:48.03 ID:ZlKrZOpwO
- VIP高校は第一校舎・第二校舎と別れている。ちなみにドクオ達新3年のクラスは第一校舎だ。
それを見に行くのも兼ねてかショボンは第一校舎に行こうとブーンの手を引いた。
( ^ω^)「何だかドキドキするお…」
(´・ω・`)「ん?あれ?」
先頭に立ち進んでいたショボンが校舎の扉の前で急に止まる。
ξ゚听)ξ「どうしたの?」
(´・ω・`)「…鍵開いてない…」
(;^ω^)「……」
ξ゚听)ξ「……」
(´・ω・`)「……」
青いペンキで色付けられた扉はその鍵で固く閉ざされていた…
- 227:1 ◆uqMngwBgZo :2006/05/24(水) 21:20:19.23 ID:ZlKrZOpwO
- (;^ω^)「どど、どうするんだお?」
(;´・ω・`)「うーん…」
('A`)「ふふふ、俺に任せろ」
ドクオがショボンを退けて前に出る。と、肩から下げている大きなバッグに手をかける。
バッグから取り出されたのは、酷く細い銀色の針金だった。
カチャカチャ… ガチャッ
('A`)「おっ開いたぞ」
(;^ω^)「…ドクオすごいお」
ξ;゚听)ξ「やけに慣れた手つきだったけど…」
('A`)「まあ気にするな、入ろうぜ」
そうして中に一歩踏み込んだ瞬間
独特の、懐かしい臭いがブーンの鼻をついた
- 279:1 ◆uqMngwBgZo :2006/05/25(木) 02:55:45.60 ID:4Z4yv3fMO
- ( ^ω^)(…すごい懐かしい感じがするお……)
校舎の臭いや雰囲気、全てがブーンにとって懐かしく感じた。
暗闇でうっすらとしか見えなかったが、校舎入り口付近の壁のスプレーで書かれた落書きはまだ消されていなかった。
ξ゚听)ξ「さすがに暗いわね…」
('A`)「何だ?怖いのか?」
ξ;゚听)ξ「別にこ、怖くなんかないわよ」
ツンの明らかすぎる反応に、ドクオは口の端をつりあげ笑っている。
そんなやりとりも、今のブーンには見えていなかった。
( ^ω^)(…何も変わってない……懐かしいお…)
- 280:1 ◆uqMngwBgZo :2006/05/25(木) 02:57:09.38 ID:4Z4yv3fMO
- (´・ω・`)「しかし暗くて道がよく分からないな…」
('A`)「ふふふ、ここも俺に任せろ」
不適な笑みを見せるドクオが手を伸ばすのはやはり肩にかけたバッグ。
ガチャガチャと音を鳴らし取り出したのは、懐中電灯だった。
ドクオは早速スイッチを入れる
('A`)「埃がすごいなー、やっぱ」
(´・ω・`)「でもこれで道が分かるね。」
巨大バッグも案外役に立つものだ。
('A`)「ブーン、行くとこ決めろよ。覚えてるとこあるか?」
ブーンは問い掛けにハッとした後、頭を巡らせ考えた。
大体覚えているといえばそうなのだが、どこかと言われると困る…
(;^ω^)「えと、じゃあ理科室…とか?」
('A`)「よし、じゃあ行こうぜ。理科室は2階だったな」
- 281:1 ◆uqMngwBgZo :2006/05/25(木) 02:58:12.46 ID:4Z4yv3fMO
- カン、カン、カン、カン・・・・
静かな校舎には足音がより一層響く。少し不気味な気もするが
ブーンには不思議と恐怖感はなく、ただひたすら学校を懐かしんでいた。
首や目をしきりに動かし、校舎内をせわしく見回すブーン。
対照的に、うつ向いているだけの者も一名
ξ;゚听)ξ「………」
( ^ω^)「つ、ツン……大丈夫かお?」
ξ;゚听)ξ「へ?な、何が?別に何ともないけど?」
ツンは明らかに動揺の色を見せている。
やはり女性は暗い場所が苦手なのだろうか。
('A`)「企画者がビビッてちゃねぇ〜」
さらにドクオがわざと小バカにしたような声で追い打ち。
ツンは震えながら小さく「うるさい」と呟いていた。
('A`)「…着いたぞ」
- 282:1 ◆uqMngwBgZo :2006/05/25(木) 03:00:37.36 ID:4Z4yv3fMO
- ドクオが懐中電灯の光の筋を、理科室に向ける。
ξ゚听)ξ「きゃ…」
ギュッ
(;^ω^)「おお!?ツ、ツン……だだ、大丈夫かお…?」
光の筋が照らしたのは丁度人体模型の辺りだったからだろう、ツンはブーンに隠れるようしがみついた。
('A`)「ただの模型に何で驚くかねぇ」
ドクオは呆れた顔で人体模型をコンコンッと叩いてみせる。
もちろんのこと反応はないが、叩くたびに埃が宙に舞った。
ξ///)ξ「怖いものは怖いの!仕方ないでしょ……」
ツンがハッとしてブーンから離れ、小さく呟く。
( ^ω^)(しかしこの独特の雰囲気は確かに怖いお…)
怖いといっても、ブーンは実際怖がるより懐かむ感じだった。
室内の全てに目を止め、確かめるように見つめるのだ。
- 283:1 ◆uqMngwBgZo :2006/05/25(木) 03:10:42.97 ID:4Z4yv3fMO
- それから四人は懐中電灯の光を頼りに校舎内を歩き回った。
音楽室、職員室、さらには校長室にも足を運んだ。どの場所もブーンにとって懐かしい場所だった。
校舎内は、四人で回るそれだけで遠足のように楽しく感じた。夜の校舎を不気味だと思うことはなくなっていた。
ギィィ…
扉の調子が悪いのか、その部屋の扉は鈍い音を出しながら開いた。
('A`)「美術室の扉、相変わらずイカれてんなー」
(´・ω・`)「まあ、随分古いみたいだしね」
美術室にはあまり思い出というものはない、ただ木材やボンドの鼻を刺激する臭いだけが懐かしい。
が、見回すと自分の作品や絵が壁に飾られていたりしている。無器用なブーンの作品は、どれも歪な形をしている。
(;^ω^)「…こんな下手くそなの作ったっけ…」
- 285:1 ◆uqMngwBgZo :2006/05/25(木) 03:18:48.18 ID:4Z4yv3fMO
- ( ^ω^)「これで、大体回ったのかお…?」
自分の歪な作品を手に取りブーンが言う。
('A`)「どうかなあ……あとは四階の俺らのクラスか」
ξ゚听)ξ「机や椅子、二年の時と変わってないのよ」
( ^ω^)「へえー、行ってみたいお!」
('A`)「よし、じゃあ階段上がるか!」
いつしかブーンの喋りには、どもりが消えていた。
- 286:1 ◆uqMngwBgZo :2006/05/25(木) 03:28:12.91 ID:4Z4yv3fMO
- ガラッ
( ^ω^)「お…」
入学式は既に終わったというのに、やっと初めて目にする自分の新しいクラス。
当然今までと何も変わらない、何の変わりもない教室だ。
当たり前のように整頓して並べられた机、椅子、ロッカー。
ブーンはまるで導かれるように一つの机へ足を進める。
( ^ω^)「……」
机には文字が刻まれており、手で触るとザラザラした感触がする。
紛れもなくその机は、ブーンの机だった。
( ;ω;)「……?」
机に汚く刻まれた文字
『ブーン,ドクオ,ショボン,ツン,ジョルジュ』
確か二年の始まりに彫刻刀か何かで削って書いたものだった。
ブーンは懐かしさのあまり涙を流していた
- 288:1 ◆uqMngwBgZo :2006/05/25(木) 03:37:57.33 ID:4Z4yv3fMO
- ブーンは後ろの三人の視線に気づき、隠れて涙を拭い振り向く。
( ^ω^)「…ごめんだお。そろそろ…帰るかお」
教室の少し狂った時計は10時半をさしている。時間がたつのは早いものだ。
よく考えればもう見回る部屋だってないだろう。
('A`)「いや、最後に行ってないとこがある」
( ^ω^)「え?」
ドクオは無言で教室を立ち去り、廊下を歩き出した。
僕やショボン、ツンもそれに着いていく形で歩き出す。
- 289:1 ◆uqMngwBgZo :2006/05/25(木) 03:45:06.27 ID:4Z4yv3fMO
- 暗い廊下を歩いて行った、一番奥。下の階層ならただ行き止まりの壁があるだけだ。
しかし最上階であるここ4階には、屋上へと上がる扉があるのだった。
(´・ω・`)「そっか、ここを忘れてたね」
鍵は当然の如く閉まっていたが、ドクオは再び針金を持ち出し、いとも簡単に鉄の扉を開けてみせた。
まったくこの慣れきった手つきはどこで学んだのだろう。
ガチャッ
響きの良い音を出して、扉が開く
- 290:1 ◆uqMngwBgZo :2006/05/25(木) 03:53:26.59 ID:4Z4yv3fMO
- 扉が開くと同時、冷たく柔らかい風がブーン達に吹きかかる。
そして街の景色。高い場所から見るその景色はいつも見てる街には見えなかった。
ξ゚听)ξ「綺麗…」
息をもらすように呟くツン。金網まで駆け寄り、その景色にじっと見とれている。
それは他の三人も同じようだった。目を輝かせ、街に光る何点かの灯りに見とれていた。
('A`)「案外狭いもんだなあ、この街」
(´・ω・`)「僕の家が小さく見えるよ…」
( ^ω^)「すごいお…」
- 291:1 ◆uqMngwBgZo :2006/05/25(木) 04:06:30.67 ID:4Z4yv3fMO
- しばらく、街の景色に釘付けになる一同。
ξ゚听)ξ「…やっっっほーーーーーー!!!!!!!」
その沈黙はツンのこの叫びで簡単に破られた。
声は夜の街に響き渡り、跳ね返りまた響き渡る。
(;'A`)「お前は登山家かなんかか」
(;´・ω・`)「いきなりすぎてびっくりしたよ」
ξ゚ー゚)ξ「ふふ…」
その理由は分からなかったけど、ツンは幸せそうに笑っていた。
ブーンもそれにつられて笑いだし、屋上には四人分の笑い声が響き渡った。
夜中の学校、ブーン達は力いっぱい笑った
街も、笑っているようだった
- 381:1 ◆uqMngwBgZo :2006/05/25(木) 21:41:18.09 ID:4Z4yv3fMO
- その夜、全員が自宅に帰った後ブーンは布団の中で夢を見た。
去年の入学式。つまりブーンが高校二年生になる頃の夢。珍しく早起きしてクラス表を見に行った日。
( ゚∀゚)「うはwww俺ら全員3組だぜ!ブーンも3組!!」
( ^ω^)「マジかお!これでまた一緒に昼飯食えるおww」
一年の頃からグループで固まっていたブーン、ジョルジュ、ドクオ、ショボン、ツン。
全員がまた同じクラスだというだけで歓喜の声をあげていたものだ。
- 383:1 ◆uqMngwBgZo :2006/05/25(木) 21:42:45.23 ID:4Z4yv3fMO
- ξ゚听)ξ「あんなにはしゃいじゃって、本当にガキなんだから!」
('A`)「腐れ縁ってやつかねぇ…」
なんだかんだで同じクラス、ブーン達は一年の頃と大して変わらない関係を保った。
遊ぶ時も、昼飯の時も、自宅以外は皆一緒に笑い合っている関係。親友だった。
( ^ω^)「ツンも冷たく言うけどきっと嬉しいんだおw」
(´・ω・`)「おーい!次体育だぞ、早いとこ着替ようぜ」
(;^ω^)「やばいお、もう休み時間終わりそうだお」
( ゚∀゚)「おっさきにー」
('A`)「あっ、ジョルジュてめぇ!」
- 384:1 ◆uqMngwBgZo :2006/05/25(木) 21:43:31.97 ID:4Z4yv3fMO
- 数学の時も、国語の時も、体育の時も、美術の時も・・・
全員一緒にいた。ドクオとブーンはほとんど寝てばかりだったが、一緒にいる事に意味があった。安心できた。
ジョルジュは何でもできる奴だったが、学力や能力の事で喧嘩が起きることも、仲に溝ができることもなかった。
( ^ω^)「ジョルジュすごいお!かっちょいいお!」
ブーンがそう言うと、決まってジョルジュは少し笑い、顔を赤らめてうつ向くのだった。
- 385:1 ◆uqMngwBgZo :2006/05/25(木) 21:44:58.69 ID:4Z4yv3fMO
- 夏休みになると、少し遠い場所にある海に行った。ブーン達五人組と、ツンの友達のしぃも連れて。
ツンやしぃの水着姿を見てジョルジュが壊れたこと以外に問題はなく、楽しい時間を過ごした。
( ゚∀゚)「いやしかしあのおっぱ・・・いや、水着は反則だぜ」
(´・ω・`)「本当に好きだなあ君は…」
海から帰る車。ツンとしぃ、そしてブーンも気持ち良さそうに目を閉じていた。
('A`)「アホ面して寝てやがる」
( ーωー)「ぐぉー…すー…」
ドクオがブーンの頬をつかみ、ぐいっと伸ばしてみせる
( ーωー)「ぐぉー……皆大好きだお…また海行く……お」
( ゚∀゚)「漫画みたいな寝言だなおいw」
起きていた三人はそれを見て微笑み、窓の外に目を向けるのだった。
- 386:1 ◆uqMngwBgZo :2006/05/25(木) 21:46:41.00 ID:4Z4yv3fMO
- それからも彼らは変わらない日々を過ごす。
しかし事件とは突然起こるもので、幸せが永遠になる事はなかった。
( ^ω^)「ドクオー、学校行くおー」
その日もブーンとジョルジュが万年遅刻のドクオを起こしに、家にでむかう。
ショボンとツンも最初は一緒にいたのだが、ドクオのあまりの遅さにいつも先に行ってしまう。
('A`)「おお、悪い悪い」
( ゚∀゚)「おせぇよwwお前は絶対彼女とかできねぇなw」
(;^ω^)「時間やばいお!急ぐお!」
ブーンが早足で学校までの道を走る。二人もそれに着いていく形で走る。
いつものことだ、何も変わらない自然な流れだった。
- 387:1 ◆uqMngwBgZo :2006/05/25(木) 21:48:21.23 ID:4Z4yv3fMO
- 車が行き交う十字路にブーンが足を進める、できるだけ早く、早くと。
それがいけなかった。ドクオも注意しようとしていたが、ブーンは止まらなかった。
( ^ω^)「ブゥーーーーン……!?」
視界に入っていなかった右横からタイヤと地面が擦れる音がした。
ブーンが振り向いた時には、大型のトラックが目の前に見えていた。
('A`)「ブーン!!」
( ゚∀゚)「……!!」
頭が真っ白になって、とっさに目を瞑ってしまった。
ブーンの肩にドンッ!と衝撃が伝わった。
( ^ω^)(ああ、死ん――――)
- 389:1 ◆uqMngwBgZo :2006/05/25(木) 21:52:06.17 ID:4Z4yv3fMO
- ドンッ!
その衝撃はブーンが思っていたものより随分と軽いものだった。衝撃とも呼べないくらいに。
ゆっくりと目を開ける。
( ^ω^)「あ…れ……生きて…」
生きてる、というか擦り傷さえ見当たらなかった、自分の体には。
そしてハッとして視界に入ったのは、十字路の真ん中で倒れているジョルジュだった。
( ^ω^)「じょ…る…」
肩の衝撃は、ジョルジュが自分の肩を押した時の衝撃だった。
言葉が出なかった
周りの一般人が叫びだしたが、ブーンはただボーッと倒れたジョルジュを見ている事しかできなかった。
- 390:1 ◆uqMngwBgZo :2006/05/25(木) 21:53:19.44 ID:4Z4yv3fMO
- (;゚ω゚)「うわあああああっ!!!」
ガバッ!!
(;゚ω゚)「あぁぁ………あ?」
視界には自分の部屋。
着ていたシャツと寝ていた布団は汗でビショビショに濡れている。
頬も濡れていたのは、汗ではなく涙だった事に気づいた。
( ^ω^)「はあ……はあっ…」
昨日、夜の学校から見た綺麗すぎる景色を忘れるくらいに怖い夢を見た気がする。
ブーンは腕で汗と涙を拭い、そのまま口を開けてボーッとしていた。上半身のみを起こして。
ピンポーン
玄関からインターホンがの音が聞こえた
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