( ^ω^)ブーンが脱ヒキするようです
- 572:1 ◆uqMngwBgZo :2006/05/26(金) 20:22:37.10 ID:0mgR4072O
- 家に帰ると病院から留守電が入っていた。カーチャンは元気そうな声でもうすぐ退院だと言っていた。
ブーンは上着を脱ぎ、リビングのソファに腰をかける。窓の外から朝日が射しこんでいる。
もう6時だ。
( ^ω^)「ジョルジュ……僕は……」
ブーンは難しい表情の後、テレビをつけた。観てはないが朝のニュースを流しておく。
ふいにソファから立ち上がり、衣服を脱ぎシャワーを浴びに風呂へ向かう。
早朝のシャワーは久しぶりだった
- 574:1 ◆uqMngwBgZo :2006/05/26(金) 20:23:56.04 ID:0mgR4072O
- 一方でドクオ宅
('A`)「うん…うん……まあ、今日も行ってみるか?」
ドクオは黒い携帯電話を片手に持ち、通話中だった。相手はショボン。
時間が時間なので二人共声に覇気がなく、欠伸まじりの眠そうな声で話した。
(´・ω・`)『うん とりあえず誘うだけ誘ってみて、ね』
('A`)「そっか。じゃあ今日は遅れないように準備すっから、俺の家来てくれ。」
ピッ
ドクオは電話を切ると大きく伸びをした。散らかった部屋に朝日が注ぎこむ。
('A`)「しかし…ねみぃな……」
愚痴りながらもドクオは着ていたTシャツを脱ぎ、洗面所へ向かった。
- 575:1 ◆uqMngwBgZo :2006/05/26(金) 20:24:45.29 ID:0mgR4072O
- ( ^ω^)「ふー サッパリしたお!」
タオルで濡れた頭をぐしゃぐしゃと拭き、独り言のように言う。
静かなリビングもテレビの音声のおかげで寂しくはない。ブーンはパンツ一丁で自室へと向かう。
( ^ω^)「…何だか久々に見るお」
真っ白なシャツ、紺色の長ズボン。
久しく見てなかったそのシャツに、ブーンは袖を通した
- 576:1 ◆uqMngwBgZo :2006/05/26(金) 20:25:56.82 ID:0mgR4072O
- ピンポーン
家に響き渡るインターホンの音を聞くと、誰が鳴らしたかも確認せずにドクオは玄関の扉を開いた。
('A`)「よっす」
(´・ω・`)「やあ 今日は早いじゃないか」
('A`)「あー 何か深夜に目が覚めてな。」
昼夜逆転生活。
ドクオはまさにそれだった。若干不眠症気味なのもある。
二人は少し話をしながら、学校に、ブーンの家に向かった。
('A`)「ん?」
- 577:1 ◆uqMngwBgZo :2006/05/26(金) 20:26:53.78 ID:0mgR4072O
- ξ゚听)ξ「あら、今日はずいぶん早いのね」
ドクオ達の前に見えたのはツンだ。相変わらず朝は登校が早い。
('A`)「まあ たまにはな」
あの日も俺が早く起きてりゃな、と自虐が浮かぶが口には出さず。
ツンが二人を気にする事なく歩き出したので、二人も早足で追いつく。
(´・ω・`)「! そうだ、ツンもブーン迎えに行かない?」
- 578:1 ◆uqMngwBgZo :2006/05/26(金) 20:28:26.29 ID:0mgR4072O
- ξ゚听)ξ「…別にいいけど」
どうせ学校の方向だしね、と付け加える。相変わらずそっけないが二人は顔を見合わせ笑った。
なんだかんだで、彼女が一番ブーンを心配しているのだから。
('A`)「着いたぞ」
(´・ω・`)「さすがにまだ家にいるだろうね」
そう言ってショボンがインターホンの間抜けな音を鳴らす。
数秒たっても反応は、ない。まだ寝てるのだろうか。
もう一度、ショボンがインターホンを鳴らした。
ξ゚听)ξ「…寝てるんじゃないの?」
(´・ω・`)「……やっぱそうかな」
('A`)「…行こうぜ」
微妙な沈黙を連れて三人はブーンの家から離れた。
時刻はまだ朝の7時半を回ったところだ。周囲に登校してる生徒は見当たらない。
三人は静かな朝の道を歩く。
- 580:1 ◆uqMngwBgZo :2006/05/26(金) 20:30:17.09 ID:0mgR4072O
- 校門に近づく。
足下に散る桜の花。
校門にはやはり誰もいなかった。
('A`)「おっ?もしかすると俺ら一番乗りじゃね?」
ξ゚听)ξ「ほんっと静かね〜…何か不思議」
('A`)「俺いちばーん!」
ドクオは自分の教室へと駆け出した。
ξ゚听)ξ「全く、子供ねえ」
(´・ω・`)「いや、一番は僕が頂く!」
ショボンもドクオについて駆け出す。
ξ゚听)ξ「…………」
取り残されたツンは朝から元気ね、と呆れた顔で呟いた。
そうしてツンも自分のクラスへと駆け出した。
- 583:1 ◆uqMngwBgZo :2006/05/26(金) 20:34:07.91 ID:0mgR4072O
- ガラッ!
('∀`)「へへ〜 人生初の学校一番乗り…」
白く古くなった扉を勢いよく開けてドクオは気持ち良さそうに言った。
しかし
('A`)「…じゃなかっ…た」
(´・ω・`)「ハア…ハア…ドクオ早いよ…」
後ろから息をあらげてショボンが追いついた。
と、同時に彼もまたドクオと同じくそこで凍りついた。
早朝の教室には、先客がいた。
(;^ω^)「…おはようだお」
- 584:1 ◆uqMngwBgZo :2006/05/26(金) 20:35:10.25 ID:0mgR4072O
(;´・ω・`)「ブーン!!!来てたの!!?」
('A`)「人生初の一番乗りが…」
若干突っ込みどころのズレたドクオはさておき、ショボンは驚くとともに喜んだ。
ブーンはまるでいつもと何の変化もないように、机に鞄を降ろしている。一瞬、驚いてる自分がおかしいのかと戸惑った。
( ^ω^)「…時間割り…分からなかったから適当に持ってきちゃったおw」
ブーンはそう言って少し笑った。
静かすぎる教室に三人の微かな笑顔。
- 585:1 ◆uqMngwBgZo :2006/05/26(金) 20:36:31.00 ID:0mgR4072O
- ('A`)「まあまあ、こうして学校に来れたんだから時間割りなんて何でもいいじゃん。俺も適当に入れてるし」
(´・ω・`)「いや君は揃えてこいよ…」
ガラッ
ξ゚听)ξ「ちょっとドクオー!この前貸した国語のきょうかしぁwgjひ.jgc???」
隣の教室からツンが来る。と同時にブーンを見て少し壊れる。
動揺のあまり舌を噛むツンを見て三人は再び笑顔を見せた。
そして、ドクオがだらだらと説明をはじめた。
- 586:1 ◆uqMngwBgZo :2006/05/26(金) 20:38:13.41 ID:0mgR4072O
- 説明を聞いたツンはとにかく笑みを隠せない様子でブーンを見ていた。
ふーん、と無理にそっけない態度をとった後、彼女は去り際に笑って言った。
ξ゚ー゚)ξ「また後でね、ブーン!」
ブーンは小さく手を振り、それに応える。
仲間がいる。
仲間がいる。
ただ心で呟き、ブーンは笑った。
( ^ω^)「ジョルジュも……きっと笑ってくれてるお」
('A`)「…ああ」
カン、カン、カン、カン・・・・
ふいに廊下から誰かの足音が聞こえた。そういえばもう、皆が登校してくる時間だ。
ブーンは足音に若干緊張しながら改めて席についた。
- 587:1 ◆uqMngwBgZo :2006/05/26(金) 20:40:03.70 ID:0mgR4072O
- 「あ、久しぶりじゃん」
「あ、あの人来たんだ」
教室に人が増えて騒がしくなった頃、そんな声が教室からちらほら聞こえる。
ブーンはいまだ緊張して固くなっていたが、教室の生徒達はそれほど気にも止めてなかった。
もともとブーンは嫌われてはなかったのでそれもそうだ。たまに声をかけられると少し嬉しくなった。
授業が始まると先生も一瞬気づいたようにブーンを見るのだが、淡々と授業をはじめる。
あまり言葉をかけると逆に気まずいと思ったのだろう。ブーンは少しホッとした。
怯えることなんて、何一つなかったのだ。
――時間は過ぎ、昼休み。
- 592:1 ◆uqMngwBgZo :2006/05/26(金) 20:47:14.76 ID:0mgR4072O
- ゴオッ
風が強く、しかし柔らかく吹いた。
ツンの綺麗な髪がふわっと流れるようになびいている。
空は吸い込まれそうなくらい青くて、果てがない。
聞こえるのは風の音と、ドクオが食べおわり放り投げたパンの袋の、カサカサという音。
ξ#゚听)ξ「ちょっと!投げないでちゃんと捨てなさいよね!」
('A`)「動くのマンドクセ」
ツンの注意も空しくパンの袋は風に飛ばされて校舎の一番下まで落ちてしまった。
僕らは今、屋上にいた
- 594:1 ◆uqMngwBgZo :2006/05/26(金) 20:55:14.10 ID:0mgR4072O
- 朝にコンビニで買った弁当をたいらげると、ブーンは鉄の柵に腕を乗せて空と、街の景色を見た。
それに続くようにドクオが、そしてショボン、ツンも振り返り、全員が街に目を向けた。
( ^ω^)「綺麗だお」
暫く沈黙が続いたが苦にならない。
時間がたつのも忘れて街を見ていた。優しい風に吹かれて、きっと、五人で。
ξ゚听)ξ「…私達…ずっと一緒だよね」
唐突に彼女が発した言葉は、一年たったら嘘になってるかもしれない。
それでも僕は、僕らは頷いてしまうのだ。どうしようもなく、今が愛しい。
- 595:1 ◆uqMngwBgZo :2006/05/26(金) 21:02:59.62 ID:0mgR4072O
- キーンコーンカーンコーン・・・・・・
鐘が鳴る。
昼休みの終わりを告げる鐘が鳴っても僕らは動かなかった。
優しい風に吹かれて、きっと、五人で、同じ空を見てる。
風が吹いて桜が舞う。
散ったピンクと吸い込まれるような青の中に、あの頃の僕らが確かに見えた。
〜fin〜
- 596:1 ◆uqMngwBgZo :2006/05/26(金) 21:05:05.10 ID:0mgR4072O
- かなり強引かも知れんが終わりです。
読んでくれた人や保守人ありがとう。保守人がいなかったら完全に最初らへんでスレ落ちてたと思う(^ω^;)
なんていうかありがとう
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