( ^ω^)ブーンが現実から逃げ切るようです

1:◆Brsj/lcRyc :2006/05/19(金) 23:36:52.34 ID:44HJabMF0
  
( ^ω^)「よし、コンプリートだお!」


ブーンは今年25歳になるが純粋培養のニートだ。

高校時代周囲から多少馬鹿にはされていたが、そんなことはあまり関係なく引き篭もり始めて中退。
以来、どこに出しても恥ずかしい、立派な引き篭もりとして成長した。
今日は分割うpされたエロゲをnyでダウンロード、たった今最後のファイルを落として上機嫌だ。

( ^ω^)「喉がかわいたから台所にポーション取りにいくお♪」



4:◆Brsj/lcRyc :2006/05/19(金) 23:38:01.63 ID:44HJabMF0
  
台所に向かう途中、両親の部屋の前。


( ^ω^)「ん?何か深刻そうな話をしてるお?調査するお!」

(;゚ω゚)「・・・!!!11」


盗み聞きした内容。

要約すれば両親は、ブーンの面倒を見るのも限界だそうだ。
明日にも最後通告をするという。
それは、引き篭もりのプロフェッショナルであるブーンにとって、死刑に等しく感じられた。



6:◆Brsj/lcRyc :2006/05/19(金) 23:38:44.80 ID:44HJabMF0
  
至高の引き篭もりであるブーンだが、友人は2人いる。
5年前はまっていたネトゲで、ものすごい廃人同士仲間になって以来の付き合いだ。
すでに皆ネトゲはしておらず、実際にあった事も2,3回しかないが、IRCは今に至るまで続いていた。
朝から晩までほとんどPCの前にいて、同じ視線で非生産的な会話を繰り返せる貴重な仲間。


(;^ω^)「これはやばいお・・・IRCでマスターとドクオに相談するお・・・」



7:◆Brsj/lcRyc :2006/05/19(金) 23:39:18.20 ID:44HJabMF0
  
(;^ω^)『@【緊急】ついに両親に愛想をつかされたお【緊急】』

('A`)『あー。まあさすがに仕方ねぇんじゃね?仕事探すフリでもしながら引っ張るのも手だけどな』


呼吸1つとっても、行動にめんどくさいというマイナス補正はかかるが、常に暇を持て余しているドクオ。
そのレスはもっともではあるがブーンには受け入れられなかった。
ブーンは特別なニートなのだから。



10:◆Brsj/lcRyc :2006/05/19(金) 23:39:50.55 ID:44HJabMF0
  
( ^ω^)『働いたら負けだお!フリでも無理だお!全力で拒否するお!』

(´・ω・`)『君はいつものことだけどすがすがしいよね。ここは暇だし手を貸さないといけないよね』


明らかに世の中をなめた事を、生き生きと発言するブーンだが、マスター・・・ショボンは好意的だ。
何故ならショボンもまた特別なニートだから。
ブーンにマスターと呼ばれるのは、昔ネトゲーしていた時ギルドのマスターだったから。
年齢もブーン・ドクオより上で30歳だ。



11:◆Brsj/lcRyc :2006/05/19(金) 23:40:23.26 ID:44HJabMF0
  
('A`)『俺もあまり期待されてもアレだけどな。暇だし手伝うか』

( ^ω^)『助かるお!!』


('A`)『で、ショボンどうするよ?やっぱブーンも俺らと同じ方向で行くか?』

(´・ω・`)『そうだね』

(;^ω^)『ちょwwwwいきなり2人で納得されてもわからないお!kwsk!!』



12:◆Brsj/lcRyc :2006/05/19(金) 23:41:10.16 ID:44HJabMF0
  
('A`)『つまりいい年してニートのブーンは、親が面倒見てくれなくなっただけの話だろ』

(´・ω・`)『ついでに自分で自分の面倒も見れないってだけの話だよね』

(;^ω^)『うはwwwあらためて人に言われると死ねばいいと思うおwww』

('A`)『あるあるwww・・・ねーよwww他に面倒見てもらえばいいだけだっての』

(#^ω^)『ブーンにそんなコネクションはない件』


(´・ω・`)『うん、それでも国なら・・・国ならきっとなんとかしてくれる』



16:◆Brsj/lcRyc :2006/05/19(金) 23:41:57.93 ID:44HJabMF0
  
( ^ω^)『・・・国?』

(´・ω・`)『うん。生活保護って知っているかい?』


ブーンはその制度の名前自体は知っていたが、本当にどうにもならなくなった人の為にあるもので、
自分のように働いたら負けだと思っているだけ・・・引き篭もりニートには縁のないものだと思っていた。


( ^ω^)『聞いたことはあるけどブーン達のような人には無理だお?』

(´・ω・`)『そうでもないよ。というか済まない、すでに僕らは受給してる』


だから、ショボンとドクオがさくっと生活保護を受給していることを聞き驚いた。



18:◆Brsj/lcRyc :2006/05/19(金) 23:42:35.97 ID:44HJabMF0
  
ブーンが知る限り、ドクオはたまにスロでも打ってくる・・・とかいって出かける程度。
ショボンに至っては、いつ寝てるのかもわからないくらい常にPCの前にいる。
自分とたいしてかわらないのだ。

ショボンの発言に、ブーンは言葉では言い表せない「ときめき」のようなものを感じた。


('A`)『でもよショボン、俺の時と今のブーンじゃ、結構状況が違うけど行けそうなのか?』

(´・ω・`)『君のときは非常に楽だっただけで、今回のケースもまあ問題ないと思うよ』

( ^ω^)『kwsk!!!111』


(´・ω・`)『でも、ひとつ大切なことを、確認しとかないといけないよね』



20:◆Brsj/lcRyc :2006/05/19(金) 23:43:19.96 ID:44HJabMF0
  
すっかり興奮したブーンに待ったをかけるようなタイミングのショボンの言葉。


( ^ω^)『なんだお?ばっちこいだお?』

(´・ω・`)『両親に愛想をつかされたのはわかったけど、君のほうは両親に対してどうなんだい?』

( ^ω^)『?よくわからないけど、面倒見てくれないなら、親なんか知ったこっちゃないお!』


('A`)『おいおい・・・ブーンなら今更聞くまでもないだろ、ショボン』

(´・ω・`)『一応・・・ね。済まない、蛇足だったね』


ブーンは、実際その意味を理解していなかった。
しかし、すでにニートの向こうがわに到達している存在としての本能が、一瞬の迷いも受け入れなかった。



21:◆Brsj/lcRyc :2006/05/19(金) 23:43:50.22 ID:44HJabMF0
  
(´・ω・`)『うん。君はほんとうにすがすがしいよね。じゃあ、始めようか』


それから、ショボンによる最初のレクチャーが始まった。
まずは実家を出て、2人が住むVIP市にこれるなら、都合が良いという事。

VIP市は、比較的生活保護の審査が甘いらしい。
さらに、彼らも状況にそれぞれ違いはあったものの、すでに受給しているという実績を持っている。
手取り足取り、何とかできるだけのノウハウがあるそうだ。

VIP市に越して来る事が可能なら、1ヶ月程度で受給までいけるだろうという話だった。



22:◆Brsj/lcRyc :2006/05/19(金) 23:44:28.38 ID:44HJabMF0
  
( ^ω^)『全裸でエロゲー大音量!うざったいのがいない暮らしに夢広がりまくりんぐwwww』

('A`)『あー、なんとなく気持ちはわかるけどな。どうしても最初費用がかかるぜ。大丈夫か?』

( ^ω^)『親は、やっかい払い出来るなら、引越し資金くらい出すと思うお』

(´・ω・`)『その調子なら保証人の問題もなさそうだね、ダミーの職場も欲しいところだけど・・・』

('A`)『んー、それは、俺のほうでちょっとあてがあるわ』

( ^ω^)『保証人とか職場とかなんの事だお?』



23:◆Brsj/lcRyc :2006/05/19(金) 23:44:59.10 ID:44HJabMF0
  
('A`)『ほとんどの場合な。部屋借りるのには、保証人と勤務先が必要なのよ。』

(#^ω^)『ちょwww働くのは無理って最初にいったはずだお!!111』

('A`)『だからフリですらねぇ、ただのダミーだよ。まあ悪いようにはしねぇって。』


そこらのアパートを借りる程度では、職場にそれほど細かい調査はない。
だから職場は名前を貸してくれて、もし確認の電話があった時に、軽く口裏を合わせてくれる程度でいい。
ドクオの古い友人に、自営業をやっている人がいて、その程度の事なら協力してくれるという事だった。


( ^ω^)『神ktkr!!』



24:◆Brsj/lcRyc :2006/05/19(金) 23:45:58.53 ID:44HJabMF0
  
(´・ω・`)『後、持って行きたい物は何がある?』

( ^ω^)『PCとテレビとゲーム機くらいだお!』

(´・ω・`)『うん。じゃあ今のうちに、必要ない現金化できる物は、片っ端から換えておこうか』

( ^ω^)『把握したお!溜め込んでる終わったゲームとヲタグッズさばけば、かなり金になるお!』

(´・ω・`)『そうそう、売るのにオークションを使う?』

( ^ω^)『マンドイからつかわないお。近所の買い取ってくれるところに行くお』

(´・ω・`)『だったら、明日にでも持っている口座は、全部解約して現金にしといて』



26:◆Brsj/lcRyc :2006/05/19(金) 23:46:39.05 ID:44HJabMF0
  
( ^ω^)『口座があると問題あるのかお?』

(´・ω・`)『ちょっとね・・・保護の審査を受ける時に、金の流れは口座から筒抜けになるんだ』

('A`)『あー。金は、あくまでギリギリしか持ってねぇって姿勢が、大切なわけよ』

(´・ω・`)『建前は、本当に困ってる人の最後の手段だからね。』

('A`)『そんなわけでな、余計な探りはうぜえから、あまった金はタンス貯金でプールするのが基本だ。』



27:◆Brsj/lcRyc :2006/05/19(金) 23:47:35.94 ID:44HJabMF0
  
翌日、すでに聞いていたことだったが、ブーンは両親から最後通告を受けた。


( ^ω^)「VIPでやってる友達のところで働かないかと言われてるお」

( ^ω^)「いい機会だし今月中には準備して出て行くお」

(;^ω^)「これが最後だから、引越し資金と最初の1ヶ月やっていく分の金を投資してほしいお!」


結局ブーンは、25万円をもらう約束を取りつけることができた。
もちろん、これ以降一切の援助はしないと、何度も繰り返された。
さらに、今後一切関わらない事、といった念書まで書かされたが。


第1話 完



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