( ^ω^)ブーンが現実から逃げ切るようです

57:◆Brsj/lcRyc :2006/05/20(土) 00:03:03.02 ID:tDx4cjXI0
  
翌日VIP駅前。

5年間、ほとんど休まず、毎日何時間もチャットしているブーン達だが、最後にあったのは1年以上前。
ブーンは、ドクオを見つけるのに苦労すると思い、久々に部屋の外に携帯を持ち出していた。
動かざること山の如しのブーンにとって、携帯はただの電話だったが・・・こういう時には便利だ。

早速ドクオに連絡しようとしたが・・・。


('A`)「よお。相変わらずヘラヘラしてるなぁ、ブーン」

( ^ω^)「ちょwww携帯の説明無意味wwwって、ドクオこそ相変わらず不健康そうだお!」

('A`)「あー、そのあたりは、お互いのチャームポイントって事でいいんじゃね?」



59:◆Brsj/lcRyc :2006/05/20(土) 00:03:42.78 ID:tDx4cjXI0
  
(;^ω^)「微妙なチャームポイントだお・・・」

('A`)「だが、それがいい。サクっと行こーぜ。」

( ^ω^)「把握したお!」

('A`)「んじゃあ、バスだ。・・・あ、ちょうど来た。」

( ^ω^)「ちょwww急ぐお!ksk!ksk!」

('A`)「おーおー、元気なこった」



60:◆Brsj/lcRyc :2006/05/20(土) 00:04:10.89 ID:tDx4cjXI0
  
両手を広げて走り出したブーンの後を、だるそうにドクオが付いていく。


( ^ω^)「セーフだお!」

('A`)「うー、だりぃ。お前プロの引き篭もりのくせに元気だな」

(;^ω^)「いや、10秒も走ってないお」

('A`)「俺のエネルギーは、呼吸と瞬きに9割以上費やされてるからな」

( ^ω^)「さ、さすがだお」

('A`)「なぁに、ブーン様ほどじゃございませんよっと・・・次で降りるぞ」



62:◆Brsj/lcRyc :2006/05/20(土) 00:04:57.12 ID:tDx4cjXI0
  
バスを降りて、だるそうに歩くドクオの後に、今度はブーンが付いていく。


( ^ω^)「そういえば、ドクオの友達って何屋さんだお?」

('A`)「ん?いってなかったか。バイク屋だ、ほれ、見えてきた」

(;^ω^)「把握したお。・・・あ、考えてみたら手ぶらだったお。さすがに失礼じゃ・・・」

('A`)「あー、そういうのは大丈夫だ。かえって嫌がるからアイツ」



63:◆Brsj/lcRyc :2006/05/20(土) 00:05:43.27 ID:tDx4cjXI0
  
小さなバイク屋に、変わらない歩調で入っていくドクオ、軽くキョどりながら付いていくブーン。
ドクオは、店の奥にせかせかとバイクを整備している男を見つけ、やはりだるそうに声をかけた。


('A`)「あー、ジョルジュ、久しぶり」

( ゚∀゚)「・・・ドクオ?マジで久しぶりだな!元気かよ?」

('A`)「まあ、死なねぇ程度にはな」

( ゚∀゚)「そっか!そっか!そいつは結構。で、今日はどうしたんだ?」



64:◆Brsj/lcRyc :2006/05/20(土) 00:06:28.31 ID:tDx4cjXI0
  
('A`)「んーっとな・・・悪いんだけど頼みがあるんだわ」

( ゚∀゚)「おk!おk!引き受けた」


即答だった。


('A`)「まあ、助かるんだが、先に内容くらい聞こうぜ・・・」

( ゚∀゚)「お前が、無茶を頼まないくらい、わかってるからな」



65:◆Brsj/lcRyc :2006/05/20(土) 00:07:22.75 ID:tDx4cjXI0
  
日頃やる気のかけらもない言動から、ドクオにこんなわかりやすい友人がいるとは思わなかったブーン。
ドクオの後ろで相変わらず軽くキョどっていた。

( ゚∀゚)「あれ、そっちの人は?」

(;^ω^)「あ、は、始めましてブーンだお」

( ゚∀゚)「ブーンね。俺はジョルジュだ、よろしくな」

(;^ω^)「あ、よ、よろしくだお!」

( ゚∀゚)「はは、しがないバイク屋相手に、そう硬くなるなって」



68:◆Brsj/lcRyc :2006/05/20(土) 00:08:35.66 ID:tDx4cjXI0
  
('A`)「あー、頼みなんだけどな、このブーンがVIP市に越してくるんだ」

( ゚∀゚)「なるほどなるほど」

('A`)「だが、部屋を借りるのに、不動産屋で名乗れる職場がねぇ。」

( ゚∀゚)「あぁ、つまり家で働いてるって、口裏あわせりゃいいのか?」

( ^ω^)「お願いしますお!」

( ゚∀゚)「オッケー!オッケー!それだけでいいのか?」

('A`)「ああ。助かる」

( ^ω^)「ありがとうだお!!」



70:◆Brsj/lcRyc :2006/05/20(土) 00:09:30.34 ID:tDx4cjXI0
  
それから3人で10分ほど話込んだだろうか。

四天王クラスの引き篭もりのブーンだが、話の置いてきぼりになる事はなかった。
ドクオはもちろん、初対面のジョルジュも、かなり気を使ってくれたのだろう。
何故VIPに越してくるのかも、最後まで聞かれなかった。

店を出る頃には、ブーンもキョどらなくなっていた。


('A`)「じゃー、またなジョルジュ助かったぜ」

( ^ω^)「本当にありがとうだお!」

( ゚∀゚)「いいって!いいって!2人とも、暇なときはいつでも顔だせよ!」



73:◆Brsj/lcRyc :2006/05/20(土) 00:10:32.97 ID:tDx4cjXI0
  
( ^ω^)「めちゃくちゃいい人だったお!あんな友達がいるなんて、ドクオ密かにすごいお!」

('A`)「まあ、アイツがいい奴なのは、間違いねぇけどな」

( ^ω^)「何にしても助かったお!飯ぐらいおごらせてくれお!」

('A`)「そうか?じゃあまあ遠慮なく。・・・ん、ちょうどマクドナルドがあるな」

( ^ω^)「ちょwww安いおwwwそれでいいのかお?」

('A`)「・・・いいだろうが。俺はドナルドが、内に秘めてる狂気・・・好きなんだよ」



74:◆Brsj/lcRyc :2006/05/20(土) 00:11:16.74 ID:tDx4cjXI0
  
それから、ブーンとドクオは、マクドナルドで昼食を取りつつ、だらだらアニメやゲームの話をした。
いつもIRCで話している事とかわらないが、基本的に2人ともPCの前から動かない生活。
実際顔を突き合わせても、そんなものだった。


('A`)「ハムッ!!ハフッハフッ!!・・・ふう、ごちそーさん。」

( ^ω^)「ハムッ!ハフッハフッ!ハムッ!!どういたしましてだお!」

('A`)「ブーンは、この後もう不動産屋行くのか?」

( ^ω^)「そうだお。今日はほんと助かったお!」



76:◆Brsj/lcRyc :2006/05/20(土) 00:12:32.95 ID:tDx4cjXI0
  
('A`)「あー、それ、暇だし付き合ってもいいか?」

( ^ω^)「お?まじかお?当然おkだお!」

('A`)「じゃ、決まりだな。行くか。」


それから2人は、バスで駅前にもどり、そのまま歩いて不動産屋に向かった。
目標の不動産屋は、すぐ近くで2,3分で着いた。


(;^ω^)““いざ前まで来たら、なかなかのプレッシャーだお。何か緊張するお””



77:◆Brsj/lcRyc :2006/05/20(土) 00:13:22.14 ID:tDx4cjXI0
  
('A`)「んー、今から、しばらく俺ブーンの同僚な、オッケー?」

(;^ω^)「?良くわからないけど把握したお」

('A`)「ほんじゃ、まあ、気楽に行こうぜ」


ドクオに後押しされて、ブーンは軽くキョどりつつ店に入った。


( ´_ゝ`)「いらっしゃいませ」

(;^ω^)「あ、あう、昨日電話したブーンですお」



78:◆Brsj/lcRyc :2006/05/20(土) 00:14:21.33 ID:tDx4cjXI0
  
('A`)「あー、俺は、ブーンの同僚っす。」

( ´_ゝ`)「ああ、ブーンさんですね。確か、この平屋でしたか?」

(;^ω^)「そそ、そ、それだお」

( ´_ゝ`)「築年数は、書いてあるままですから、建物の状態もそれなりですけど・・・見てみます?」

('A`)「俺も一緒に、連れてってもらっていいっすかねー」

( ´_ゝ`)「ええ、もちろん結構ですよ、あ、ちょうど帰ってきました。弟者!」

(´<_` )「ただいま、と・・・お客様か、兄者?」



79:◆Brsj/lcRyc :2006/05/20(土) 00:15:14.67 ID:tDx4cjXI0
  
( ´_ゝ`)「ああ、昨日お電話頂いたブーンさんだ。そちらはブーンさんのご同僚」

(´<_` )「これはどうもいらっしゃいませ。ご案内か兄者?」

( ´_ゝ`)「ああ、戻って早々悪いが頼む」

(;^ω^)「よよ、よろしくおねがいしますお」

(´<_` )「いえいえ、では、駐車場のほうまで、ご一緒にお願いします。じゃあ兄者、行って来る」

('A`)「あー、よろしくっす」



80:◆Brsj/lcRyc :2006/05/20(土) 00:16:05.16 ID:tDx4cjXI0
  
店を出た弟者に、少し離れてついていく2人。


( ^ω^)「ドクオ、よく平然としてられるお」

('A`)「ん?まあ、人事だからな」

( ^ω^)「今日はひたすらに、ドクオのすごさを見た気がするお!ドクオのすごさに嫉妬!」

('A`)「バーローwww・・・俺がすげぇとかいいだしたら、そのあたりの通行人はみんな神だぜ。」

(´<_` )「あ、お2人とも、こちらです、どうぞ」

('A`)「あー、どうもっす」



81:◆Brsj/lcRyc :2006/05/20(土) 00:16:57.63 ID:tDx4cjXI0
  
ブーン達を後部座席にのせて、弟者は、目的の平屋に向かい車を走らせ始めた。


(´<_` )「えーっと、ブーンさんはどちらから引っ越される予定なんですか?」

(;^ω^)「あ、えと、ニー速市からだお」

(´<_` )「ほう、ニー速市ですか、電車で1時間くらいですね。お仕事の関係ですか?」

(;^ω^)「え、あ、あう・・・」

('A`)「俺らの職場、ガイドライン川のあたりなんですけどね、通いだと結構きついじゃないっすか」

(´<_` )「確かにニー速市からじゃ不便ですね・・・ああ、どういったお仕事を?」

(;^ω^)「ど、ど、ど、ど、どうていちゃ・・・」



82:◆Brsj/lcRyc :2006/05/20(土) 00:17:55.40 ID:tDx4cjXI0
  
('A`)「あー、バイク屋っすよバイク屋」

(´<_` )「ほう、バイク屋さんですか。私たち兄弟も以前は・・・」


弟者にしてみればなんのことはない、世間話のつもりだったのだろう。
しかし、神話を目指せるほどのニートであるブーンには、働いているフリの会話がとても重い。
その後も、幾度か本格的にキョどり始めそうになったが、ドクオが適当にフォローしてくれた。

ブーンは、自分がこうなることを見越して、ドクオが同行してくれたのではないかと思った。
聞いたところで、暇だったから・・・としか言わないだろうから口には出さない事にしたが。



83:◆Brsj/lcRyc :2006/05/20(土) 00:18:44.87 ID:tDx4cjXI0
  
(´<_` )「はい、着きましたよ。見かけは・・・まあこの通りなんですけどね」


流石に兄弟で強調するだけあって、ボロボロな外見の平屋だった。
周囲も似たような平屋が並んでいて、どうみても裕福な人間には、縁のなさそうな場所ではある。
やはり、駅までバスで30分はかかるだろう。

だが、そんなことはブーンには関係ない。
賃貸物件とはいえ、自分だけが住む場所という感覚に惹かれていた。


( ^ω^)「中も案内お願いするお!」


道中、間でフォローしてくれたドクオのおかげもあり、キョどりもおさまっていた。



84:◆Brsj/lcRyc :2006/05/20(土) 00:19:50.87 ID:tDx4cjXI0
  
ブーンは部屋に入ると、弟者の説明も上の空で聞き流し、落ち着きなくあちこち歩き回った。
その間、ドクオが自分の携帯を見ながら弟者に色々聞いていたが、ブーンの気持ちはもう決まっていた。


('A`)「おーい、ブーン、どうよ?」

( ^ω^)「超気にいったお!!」

('A`)「ショボンから、俺もついでに、チェック項目をメールして貰ってたんだけどよ、まあ問題ないな」

( ^ω^)「お?ドクオも貰ってたのかお?すっかりメールの事忘れてたお、えと・・・よしチェックだお」

('A`)「あー、悪い、それもう全部聞いといた。問題ないみてぇだ」

( ^ω^)「マジかお!サンクス!ここに決めたお!」



85:◆Brsj/lcRyc :2006/05/20(土) 00:20:51.58 ID:tDx4cjXI0
  
その後、ブーンはすぐに契約すると伝えた。
大家への挨拶で一瞬キョどりそうになったが、ドクオのフォローでそこも何とかうまくいった。
手付金を支払った頃にはすでに夕方。

結局最後まで、ドクオはブーンに付き合っている。


( ^ω^)「今日は1日マジで助かったお!」

('A`)「んー、俺は別に。暇だっただけだ」

( ^ω^)「ブーンも常に暇だから、何かあったらいつでも付き合うお♪」

('A`)「あー、はいはい。まあ・・・そのうちまたな」


それだけ言うと、来たときと変わらない調子で、だるそうに去って行った。



87:◆Brsj/lcRyc :2006/05/20(土) 00:21:31.90 ID:tDx4cjXI0
  
( ^ω^)「ニートオブニートの称号を目指すブーンとしては微妙だけど・・・友達には恵まれたお!」


ブーンは、フラゲーに成功したときのように、軽やかな足取りで家路についた。


第3話 完



戻る第4話