( ^ω^)ブーンが現実から逃げ切るようです
- 13:◆Brsj/lcRyc :2006/05/25(木) 06:37:12.53 ID:A28oRadp0
- (#^ω^)「よりによって、新しいネトゲにはまってる時にひどい話だお!」
ブーンはめずらしく苛立っている。
契約していたプロバがP2Pを規制、彼にとって酸素のようなnyが使えなくなったから。
新しくショボンに見つけてもらったプロバは、契約の関係で一度前の回線を解約しなければならない。
結果2週間ほど、ブーン宅のネット環境は途切れる事になった。
大人しく、溜め込んだアニメやゲームで過ごせば良いのだが、現在ブーンはネトゲにはまっている。
そんな訳でブーンは、ショボンに教えてもらった安い漫画喫茶を訪れていた。
ここ1週間ほど毎日、時間はばらばらだが毎回長時間、今日の場合は夜からだ。
( ^ω^)「キングオブ引き篭もりだったブーンだけど、1人暮らしの力は大きいお」
実際は、彼の行動範囲などコンビニ以外、たまに医者と銀行、その程度で後はPCの前にいる。
漫画喫茶に行けるのは、ネトゲをやりたい・・・以上に、ある意味、漫画喫茶自体が引き篭もり場だからだ。
- 14:◆Brsj/lcRyc :2006/05/25(木) 06:37:52.06 ID:A28oRadp0
- ブーンは、やる気のまるで感じられない店員を相手に、受付を済ませてPC席に向かう。
( ^ω^)「今日こそドラゴン狩るお!・・・お!」
ξ゚听)ξ「あっ・・・!」
フリードリンクのコーナーから、フラフラ歩いて来た女の子が、ブーンのほうによろめいた。
いまだ一部で、至高のニートと呼び声高いブーン、突発的なアクシデントにはとことん弱い。
かわす事も受け止める事もできず、アイスティーを頭から被った。
(;^ω^)「あ、あぅ、冷たいお」
- 15:◆Brsj/lcRyc :2006/05/25(木) 06:38:25.72 ID:A28oRadp0
- ξ゚听)ξ「・・・ごめんなさい、ちょっと、表面張力の限界に挑戦してたから・・・」
(;^ω^)「そ、それはひどい」
ξ゚听)ξ「えっと、大丈夫?ちょっと待ってて」
(;^ω^)「あぅ、あ、大丈夫だお。って、・・・もう行っちゃったお」
ブーンは小走りで去っていった彼女を、もう気にすることもなく再びPC席に向かう。
彼にとって女の子は、エロゲやアニメの中にいるもの。
・・・というわけでもないが、現実の人間とかかわるのは怖い。
アイスティーも、砂糖は入ってなかったようだし、適当に拭ったからもうどうでも良かった。
気持はすでにネトゲーだ。
- 16:◆Brsj/lcRyc :2006/05/25(木) 06:39:09.58 ID:A28oRadp0
- ( ^ω^)「さて、とりあえずログインするお!」
ξ#゚听)ξ「ちょっと、アンタ!待ってて言ったんだから、待ってなさいよ!」
急に背後から声をかけられて、驚きつつ振り返るブーン。
先ほどの彼女が、整った顔をイライラした様子で歪ませて立っていた。
(;^ω^)「な、なんだお?」
ξ゚听)ξ「私、人に飲み物かけっぱなしで、そのままサヨナラするように見えるわけ?」
(;^ω^)「あ、あぅ、その・・・」
ξ゚听)ξ「ほらっ、店員さんからおしぼり借りてきたから。ちょっと見せて」
- 17:◆Brsj/lcRyc :2006/05/25(木) 06:39:51.35 ID:A28oRadp0
- 彼女がブーンに近づいてくる。
ブーンは、コレなんてエロゲ?とか素数を・・・とか、とにかく必死なものの、本格的にキョどり始めた。
(;^ω^)「あの、あぅ、ブ、ブーンはもう、だ、大丈夫だお?」
ξ゚听)ξ「いいからっ・・・ブーンって言うの?アンタも毎日ここ来るわね。って、どうしたのよ!」
(;ω;)「う、あぅ・・・ブーンだお、ま、毎日来てるお・・・」
ξ;゚听)ξ「ちょっと!何泣いちゃってるのよ!何か私が悪い事したみたいじゃないっ!」
実際、ブーンにアイスティーを被せたのは彼女だが、それはブーンにとって関係なかった。
(;ω;)「ち、違うお・・・女の子に、こんなふうにかまってもらうの、は、初めてなんだお・・・」
ξ゚听)ξ「ハァ?・・・何それ?ナンパのつもり?アンタ、深刻に気持ち悪いわよ?」
- 18:◆Brsj/lcRyc :2006/05/25(木) 06:40:22.11 ID:A28oRadp0
- (;ω;)「う、うぁぅ、ほ、ホントだお・・・う、う」
ξ;゚听)ξ「ちょ、わ、わかったから!」
近くを通りかかった、やる気のまるで感じられない店員が、うざそうに舌打ちした。
ξ;゚听)ξ「ッ・・・わかったから、ちょっと外まで付き合いなさいっ!」
(;ω;)「う、ぅ、でも、ブーンは、ドラゴン狩らないとだお・・・」
ξ゚听)ξ「いいからっ!そんなんじゃ目立って迷惑でしょ!」
(;ω;)「は、把握したお・・・」
- 20:◆Brsj/lcRyc :2006/05/25(木) 06:41:01.10 ID:A28oRadp0
- ブーンは店に入ったばかりだったが、彼女が2人分一緒に料金を清算し、そろって店を出た。
微妙に大きなバックを持った彼女と夜道を歩く中、ブーンは相変わらず全力でキョどっている。
ξ゚听)ξ「まいったわね・・・ここでは目立ちたくなかったのに」
(;ω;)「ぅ、ご、ごめんだお」
ξ;゚听)ξ「あー、もう!アンタ悪くないんだからっ!いい加減泣き止みなさいよ!」
(´ω`)「わ、わかったお・・・」
ξ゚听)ξ「はぁ・・・ちょっとこの公園で待ってなさい。今度は・・・」
(;^ω^)「は、把握したお、ちゃんと待ってるお」
ξ゚听)ξ「アンタには悪いことしちゃったから・・・ジュースくらいおごるわよ。何がいい?」
(;^ω^)「じゃ、じゃぁ、ポーションお願いするお・・・」
ξ;゚听)ξ「・・・あそこのコンビニにあるかしら。まあいいわ。行ってくる」
- 22:◆Brsj/lcRyc :2006/05/25(木) 06:41:41.45 ID:A28oRadp0
- 5分ほどして戻ってきた彼女と2人、公園でジュースを飲んでいるブーン。
ポーション大好きな彼だが、あまり味を感じる余裕はない。
ξ゚听)ξ「ちょっと・・・もう。悪かったって言ってるでしょ」
(;^ω^)「い、いや、もう君には、色々してもらったし、気にしてないお」
ξ゚听)ξ「ツンよ・・・あっ。はぁ・・・まあ、いいか。調子狂うっちゃうわ。ホント」
(;^ω^)「ツ、ツンでいいのかお?」
ξ゚听)ξ「構わないわよ。アンタ、なんで毎日あそこに来てたの?」
( ^ω^)「ネトゲーだお!家の回線が工事中なんだお!」
ブーンも、多少免疫が出てきたところに、趣味の話だったので自然に反応できた。
更に、現在ネトゲで目指している、ドラゴン狩りにかける情熱を、聞かれてもないのに語る。
歴史に残るほどのニートを目指すブーン、当然1人よがりな会話で相手の事は聞かない。
不思議とツンは、そのほうが都合がいいのか、別に気にしていない感じだった。
- 23:◆Brsj/lcRyc :2006/05/25(木) 06:42:21.99 ID:A28oRadp0
- ξ゚听)ξ「それは何となくわかったけど、毎日入り浸って家の人とかどうなの?」
( ^ω^)「お?ブーンは1人暮らしだから問題ないお」
ξ゚听)ξ「あ、そうなの。・・・ゴメン、学生や社会人には見えなかったわ」
( ^ω^)「お?実際、学生でも社会人でもないから問題ないお?」
ξ゚听)ξ「えっと、じゃあどうやって生計立ててるわけ?」
(;^ω^)「あぅ、えと・・・そ、それは」
ξ゚听)ξ「ああ、言いにくい事なら別にどうでもいいわよ。さほど興味もないし」
( ^ω^)「それも、微妙にひっかかる言われようだけど、把握したお」
- 24:◆Brsj/lcRyc :2006/05/25(木) 06:43:02.27 ID:A28oRadp0
- それから少し考え込んだ後、何か思いついたかのように、ツンは色んなことを尋ねはじめた。
訪ねてくる人の有無・・・友人は2人いるブーンだが、来る事も行く事もない。
たまに、新聞の勧誘や役所の人間が来るが、玄関から中には入って来ない。
部屋の間取り・・・2部屋、1部屋は完全に放置。
それぞれ鍵は・・・ついている。
家賃・・・5万。
場所・・・この近所。
( ^ω^)「なんか変な質問が多いお」
ξ゚听)ξ「・・・ねぇ。アンタの家、見せてくれない?」
- 26:◆Brsj/lcRyc :2006/05/25(木) 06:43:44.79 ID:A28oRadp0
- ( ^ω^)「はいはい、それ何てエロゲ?さすがのブーンも、そんな餌には釣られないお?」
ξ゚听)ξ「ハァ?アンタ、そんな度胸ないでしょ」
(;^ω^)「そ、それは全力で否定・・・」
ξ゚听)ξ「出来るの?」
(;^ω^)「む、無理だお」
ブーンがまともに向き合える相手といったら、両親に絶縁されている今、2人の友人くらいだ。
ブーン自身は意識していないものの、その関係も一般から見たら、どこか変なところで線がひかれている。
- 27:◆Brsj/lcRyc :2006/05/25(木) 06:44:32.44 ID:A28oRadp0
- ξ゚听)ξ「で、どうなの?見せてくれるわけ?」
(;^ω^)「わ、わかったお」
ξ゚听)ξ「じゃあ、行きましょ。歩いていける距離?」
(;^ω^)「・・・10分くらいだお」
ξ゚听)ξ「わかったわ。案内よろしく」
(;^ω^)「あ、あの、ツ、ツンは、な、なんで家を・・・」
ξ゚听)ξ「ん?無理に会話しなくてもいいわよ。そういうの苦手でしょアンタ」
正直気になりまくっていたブーンだが、ツンの言うことも図星だった。
結果だまって案内する。
- 28:◆Brsj/lcRyc :2006/05/25(木) 06:45:03.48 ID:A28oRadp0
- ξ゚听)ξ「アンタ、裕福なようには見えなかったけど、これは予想以上ね」
(;^ω^)「あ、あぅ、確かにボロいのは否定できないお」
ξ゚听)ξ「ああ、ゴメン。別にどうでもいい事だから大丈夫よ」
(;^ω^)「例によって、どこかひっかかる言い方だけど把握したお」
ξ゚听)ξ「じゃあ、中みせてくれる?」
(;^ω^)「・・・マジかお?」
ξ゚听)ξ「ハァ?何のためにわざわざここまで歩いて来たって言うのよ」
(;^ω^)「は、把握したお」
- 29:◆Brsj/lcRyc :2006/05/25(木) 06:45:41.64 ID:A28oRadp0
- ブーンが家の鍵を空け中に入ると、ツンも気負う様子はまるでなくそれに続いた。
(;^ω^)「あ、あぅ、こっちがブーンの部屋で・・・」
ξ゚听)ξ「ああ、それはどうでもいいわよ。使ってない部屋ってこっち?」
(;^ω^)「あぅ、そっちだお」
ξ゚听)ξ「ふーん、まあ、ほこりっぽいのは掃除すればいいとして・・・」
( ^ω^)「お?」
ξ゚听)ξ「ホントに全然つかってないのね。鍵は・・・付けかえたほうがいいわね」
(;^ω^)「お?お?ちょwww把握できないお?」
- 30:◆Brsj/lcRyc :2006/05/25(木) 06:46:17.48 ID:A28oRadp0
- またしても、本格的にキョどり始めそうなブーンのほうに振り返るツン。
ブーンを上から下まで眺めて、少し考え込んだ後、バックから手帳をとりだして何か書き込み始めた。
(;^ω^)「だ、だから、一体何だお?」
ξ゚听)ξ「ちょっと黙ってて」
(;^ω^)「う、は、把握したお」
ツンは数分かけて手帳に何やら記入すると、そのページを切り取りブーンに突きつけた。
ξ゚听)ξ「はい、これ。取引しない?この部屋の権利と細かい条件はこの紙、家賃は半分でどう?」
第1話 完
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