( ^ω^)ブーンがGANTZに選ばれたようです

266:1 ◆DcS0KIr23w:2006/04/25(火) 23:27:01.11 ID:C8shT8xx0
  
ξ;゚听)ξ「何、これ?何コレ?何なの!?何なのよ!!!」
ツンは、目の前で起きた事を理解しきれていなかった。
女の子が身体を貫かれて、しょぼくれた顔の男がブチ切れて、ニワトリ男をぶん殴って
そしたら今度はニワトリ男がその男を殺して、男の腕を自分の腕にして?
意味が、わからない。
ξ;゚听)ξ「いやぁああああああああ!!」
ツンの慟哭と、クックルが次の標的を定めたのは同時だった。
(;゚∀゚)「ギコ!逃げろ!!」
(;゚Д゚)「うわ、わ、うわぁあああああああ!!」
ギコは背中を向けて、一目散に逃げ出した。
しかし、すぐに追いつかれる。
クックルは、ギコの首根っこを掴むと無造作に地面へ叩きつけた。
そして、そのままギコの身体に馬乗りになる。
ギョーン
クックル星人が音の主に振り返る。銃を撃ったのは、しぃだった。
そして、クックル星人の腹部が爆発した。



267:1 ◆DcS0KIr23w:2006/04/25(火) 23:27:40.20 ID:C8shT8xx0
  
(;゚ー゚)「ギコ君は死なせない……ギコ君は死なせない!!」
身体はブルブルと震えていたが、それでもしぃは勇気を振り絞った。
腹を撃ちぬかれたクックル星人は、まだ地面に倒れている。
(;゚Д゚)「し、しぃ……」
(;゚ー゚)「ごめんね……怖かったよね……」
(;゚ー゚)「ギコ君は、私が守るから……」
川゚−゚)レ「2人とも、星人から離れろ!!」
2人は一斉にクックル星人から離れる。
川゚−゚)レ「今だ、撃ちまくれ!!」
みんな、我武者羅にトリガーを引いて引いて引きまくった。
遭遇してすぐとは場合が違う。今度は動かない的だ。
けたたましく鳴り響くギョーンという発射音、爆音。
クックル星人のいた場所は、まるで昨日の商店街のように
大きなクレーターが出来ていた。
激しく舞った土埃で、クックル星人の姿は確認出来なかった。



268:1 ◆DcS0KIr23w:2006/04/25(火) 23:28:07.92 ID:C8shT8xx0
  
川;゚−゚)レ「……冗談だろう?」
クーの腕のレーダーには、先程と全く変わらぬ位置に赤い点が表示されていた。
突如、赤い点は瞬間移動する。
(;゚ー゚)「きゃッ……」
しぃが悲鳴を上げきる前に、その身体はクックル星人の手刀で縦に両断された。
白い皮膚は殆ど弾け、筋肉標本のような姿だ。おまけに腹には大きな穴が開いている。
しかし、それでもクックル星人は生きていた。
(;゚Д゚)「しぃいいいいいいいいッ!!」
クックル星人は、しぃの右半身を抱えると木の上へと跳躍した。
('A`) 「逃がすか!!」
ドクオはすぐさま木の上へと銃を乱射する。木々の枝だけが、バラバラと落ちてきた。
ザワザワ、ザワザワと、風も無いのにたなびく木々の枝。
クックル星人は、もの凄い速さで駆け回っているようだった。
ざわめく木々の上から、血がしたたり落ちる。まるで、血の涙のようだった。
そして、最後にはドサッという音とともに、無惨に喰い散らかされたしぃが落ちてきた。
川゚−゚)レ「なッ……」
そして、クックル星人が木の上から降りてきた。
その皮膚はまだ薄いが、既に完治しつつある。
腹の穴には、しぃの肉片が無造作に押し込められ、ボコッ、ボコッとせわしなく隆起している。
(;゚Д゚)「あ……あ……」
ギコは、そのまま卒倒してしまった。



269:1 ◆DcS0KIr23w:2006/04/25(火) 23:28:48.66 ID:C8shT8xx0
  
(;^ω^)「……ちょっと、落ち着いたかお?」
ξ゚听)ξ「…………」
ブーンは、パニック状態に陥ったツンを見かねて、フィールドぎりぎりの位置まで避難していた。
ツンは、ずっと泣きじゃくっていた。
無理も無い。あんな光景を目の前で見せられて、平気でいられる方が本当はおかしい。
実際、平気でいられた者なんてあの場には誰一人いなかった。
ξ゚听)ξ「……ねぇ、ブーン」
ようやくツンは、ブーンの事を名前で呼んだ。
( ^ω^)「ん?」
ξ゚听)ξ「アンタは……お姉ちゃんは、ずっとあんな化け物と戦ってたの?」
( ^ω^)「僕は昨日がはじめてだったけど……クーさんは半年前位から戦ってるみたいだお」
ξ゚听)ξ「……そうなんだ」
2人の間に、沈黙が流れる。
ξ゚听)ξ「ブーン、私も戦う」
( ^ω^)「平気かお?」
ξ゚听)ξ「……お姉ちゃんが死ぬなんて、絶対に嫌!」
ξ゚听)ξ「だから、私もお姉ちゃんと一緒に戦う!!」
( ^ω^)「わかったお。それじゃ、みんなの所に戻るお!」
ξ゚听)ξ「うん!」
−−===三三三⊂二二( ^ω^)二⊃ブーーーーン!
ξ゚听)ξ「ちょwwwwwwテラハヤスwwwwwwww」



271:1 ◆DcS0KIr23w:2006/04/25(火) 23:29:32.87 ID:C8shT8xx0
  
ブーンは全速力で戦場へ駆けた。
ショボンが、あのショボンが簡単に殺されてしまった。
次は、誰が殺されるかわからない。
ツンをなだめたいとも思ったが、それ以上に一刻も早く
みんなの元へと戻りたかった。戻らなくてはならなかった。
(;^ω^)「……!!」
ブーンの見た光景は、あまりに惨たらしいものだった。



ドクオも、ジョルジュも、クーもクックル星人を撃つ事は出来なかった。
(;゚∀゚)「ちッ……駄目だ、使い物にならねぇ!!」
そう吐き捨てると、ジョルジュは銃をホルダーへ戻し、腰の方へと手をやった。
( ゚∀゚)「おっかねぇから、あんま使いたくないんだけどな」
ジョルジュが取り出したのは、真っ黒い柄だけの剣だった。
構えをとると、柄から刃が伸びた。柄と同じく、真っ黒な刃だ。
川゚−゚)レ「接近戦を挑むつもりか!?」
( ゚∀゚)「当たらねぇ銃よりマシだろ!」
川゚−゚)レ「……それも、そうだな!」
クーも同じく、黒い柄を取り出した。
こちらは、柄が大きく伸びた後、刃が飛び出した。
槍のような形状の武器だった。
川゚−゚)レ「ドクオ、ギコを遠くへ連れていってくれ!」
('A`) 「わ、わかった!」
ドクオはギコを担ぎ、遠くへ駆け出した。



272:1 ◆DcS0KIr23w:2006/04/25(火) 23:30:11.56 ID:C8shT8xx0
  
銃声を発したのは、クックル星人が握る銃だった。
しぃを捕食した際に、くすねていたようだった。
ドクオのスーツが、キューンというシャットダウン音と共に役立たずになる。
(;'A`)「くッ……嘘だろ!?」
背負ったギコの重みが、一気に伝わる。
しかし、構わずドクオは走り続けた。
ギョーン
またも響く銃声。今度は、ドクオの右膝から下が木端微塵に吹き飛んだ。
(;゚A゚)「うわぁああああああ!!」
あまりの激痛に、ドクオは倒れ、転げまわった。
クックル星人は、まるで「銃ではつまらん」とでも言うかのように
銃を後ろへと放り投げた。
その隙を、ジョルジュは見逃さなかった。
(#゚∀゚)「だぁりゃああああ!!」
渾身の力でもって振り下ろされた刃は、クックル星人を真っ二つとはいかなかったが
クックル星人の右胸から左腰に掛けて、浅くは無い傷を負わせた。
思わずよろめくクックル星人に、ジョルジュは追撃を試みる。
(#゚∀゚)「じゃあッ!!」
今度は、脳天目掛けた唐竹割り。先程の斬撃よりも、さらに力を込めた。
しかし、それは紙一重でかわされる。
そして、クックル星人はカウンター気味に右の拳をジョルジュの顔面に叩きこんだ。



274:1 ◆DcS0KIr23w:2006/04/25(火) 23:31:01.93 ID:C8shT8xx0
  
ブーンが戦場の光景を確認したのと、ジョルジュの身体が吹っ飛んだのはほぼ同時だった。
少し離れた所では、無惨に食い散らかされた死体……あれは、しぃという女だろうか?
そして、もっと離れた所では、右脚を半分失ったドクオがのた打ち回っている。
ギコという男も、ここからではよく分からないが倒れている。
(;^ω^)「ジョルジュ!!」
(;゚∀゚)「ッ……まだだ、まだ大丈夫だ!」
ギリギリの所で、剣での防御が間に合った。
(;゚∀゚)「ブーン、ドクオの止血をしてやってくれ!」
( ^ω^)「わ、わかったお!」
クックル星人がブーンの後を追おうとする。
川゚−゚)レ「行かせるかッ!!」
しかし、クーに塞がれそれは叶わなかった。
(;^ω^)「ドクオ!!大丈夫かお!?」
(;'A`)「あ……あんま大丈夫じゃない……」
相当の量の血を失ったのだろう。ドクオの顔はまさに蒼白だった。
弾けとんだ右膝の回りのスーツの生地を無理やりひっぱり、太腿に巻き付ける。
随分乱暴なやり方だったが、一応止血は出来たようだ。
(;'A`)「ありがとう、ブーン……」
( ^ω^)「なるべく早くやっつけるから、それまでくたばるなお!」
ブーンはドクオに握った拳を突き出した。
ドクオも、力無くではあるが拳を握り、ブーンの拳と合わせた。



275:1 ◆DcS0KIr23w:2006/04/25(火) 23:31:31.52 ID:C8shT8xx0
  
ξ;゚听)ξ「あー、もう!アイツなんて速さなの!?」
弾丸のような速度で飛び出していったブーンに追いつこうと
ツンも必死に夜の森を駆け抜ける。
ペースは随分速いはずなのに、不思議と息が上がらない。
ξ゚听)ξ(これも、このスーツの効果なのかしら?)
そして、遠くにぼんやりと人影が見え始めた。
クーとジョルジュが、クックル星人と戦っていた。
2人とも、黒い球の部屋では持っていなかった武器を手にしている。
しかし、押されていたのはクー達の方だった。
(;゚∀゚)「くっそ!!有り得ねぇッ!!」
武器を持ったジョルジュとクーが、星人とは言え素手の相手に押されている。
川゚−゚)レ「下がれ、ジョルジュ!」
ジョルジュより少し離れた間合いから槍での刺突を繰り出していたクーは
ジョルジュと入れ替わり、クックル星人との接近戦に挑んだ。
川゚−゚)レ「なんとか隙を作る、上手く仕留めてくれ!」
( ゚∀゚)「あ、ああ!」
クーは槍を器用に振り回し、クックル星人の打撃を捌いていった。
川゚−゚)レ「はぁあッ!!」
気合と共に、石突をクックル星人のまだ再生しきっていない腹部にブチ込む。
ズブリという感触と共に、石突はしぃの肉片だったものに突き刺さった。
川゚−゚)レ「ジョルジュ、今だ!!」
ジョルジュは、すぐ側の大木の、最も高い枝に登っていた。
(#゚∀゚)「ふんッ!」
飛び降りた刹那、下から枝を蹴り上げ、落下速度を更に加速させる。
切っ先はまっすぐクックル星人の首筋を狙っていた。



277:1 ◆DcS0KIr23w:2006/04/25(火) 23:32:43.91 ID:C8shT8xx0
  
ガキィッ
刃は、クックル星人にがっちりと掴まれた。
(;゚∀゚)「う、嘘だろ!?」
ジョルジュの顔面に、再びクックル星人の拳が迫る。
しかし、その刹那。
ξ#゚听)ξ「死にさらせッ!!」
ツンの跳び蹴りが、クックル星人の後頭部に突き刺さった。
(;゚∀゚)「い、今だ!!」
ジョルジュは全力で刀を振り切り、クックル星人の指ごと刀を取り返した。
川゚−゚)レ「ツン!危険だ、下がっていろ!!」
ξ゚听)ξ「やだ!!私だって戦える!!」
すぐに体勢を整えたクックル星人は、ツンへと突っ込んだ。
ξ;゚听)ξ「ひッ……!」
その余りの速度に、思わず身動ぎする。
(#^ω^)「だおぉおおおお!!」
ブーンのラリアットを喰らい、クックル星人は一回転して地面に倒れた。
続けざまにブーンは、クックル星人の両脚めがけて銃を撃った。
ギョーン、ギョーン
クックル星人が立ち上がった瞬間に、その腰から下が爆発した。
ξ゚听)ξ「ブーン!!」
( ^ω^)「怪我は無いかお?」
ξ゚听)ξ「こ、こんな奴相手に怪我なんてするわけないでしょ!」
川゚−゚)レ「ドクオとギコはどうだった?」
( ^ω^)「ギコさんは平気そうだったお。でも、ドクオは早くしないと……」
川゚−゚)レ「そうか、ならさっさととどめを……」
(;゚∀゚)「おいおい、どういう事だよッ!?」
クックル星人の上半身が、姿を消していた。



278:1 ◆DcS0KIr23w:2006/04/25(火) 23:34:53.86 ID:C8shT8xx0
  
ふたたび、風も無いのに激しくざわめく木々。
クックル星人の血の跡は、倒れた地点から木の樹皮まで、ベットリとこびりついていた。
(;゚∀゚)「腕力だけで跳び回ってるのかよ!」
川゚−゚)レ「つくづく、化け物だな……」
クックル星人は、木の上から4人の頭上を狙っていた。
( ^ω^)「だぉおおおお!!」
ブーンは銃を乱射するが、弾け飛ぶのは木々の小枝と葉だけだった。
そして、ジョルジュは奇妙な事に気がついた。
( ゚∀゚)「アイツ、遠ざかってるぞ?」
( ^ω^)「まさか……ギコさんの脚を!!」
クックル星人の狙いは、樹上からの奇襲攻撃などでは無かった。
遠くで倒れているギコを殺し、脚を奪う事だった。
ブーン達は、急いで2人の元へ駆け寄る。
クックル星人が気絶しているギコの上へ現れたのと
ビュンッという風を切る音が聞こえたのは同時だった。



288:1 ◆DcS0KIr23w:2006/04/25(火) 23:54:25.22 ID:C8shT8xx0
  
ドズンッ
クーの放り投げた槍は、見事にクックル星人の頭をブチ抜き、砕け散らせた。
ギコの身体のすぐ横に、クックル星人の両腕と胴体だけになった身体が落ちた。
川゚−゚)レ「はぁ……はぁ……」
( ^ω^)「なんとか、勝ったお……」
( ゚∀゚)「クーの槍が外れていたら、終わりだったかもな……」
ξ゚听)ξ「…………」
ツンは、クーが半年前から夜中に突然居なくなることを不審がっていた。
といっても、心配していたというわけではなく、男でも出来て
通いつめているだけなのだろうと考えていた。
しかし、実際は違っていた。
クーは、こんな過酷な夜を何度も往き抜いてきたのだ。
( ^ω^)「……残り時間、どれくらいだお?」
( ゚∀゚)「40分ってとこかな」
(;^ω^)「そんな……!それじゃ、ドクオが死んじゃうお!」
( ゚∀゚)「なぁに、星人がおっ死ねばすぐに転送がはじまる」
(;゚∀゚)「……今日は、コイツ一匹だけだよな?」
不安になり、ジョルジュはクーに尋ねた。
もしあんなのがもう一体いれば、勝てる確率は極めて低い。
川゚−゚)レ「流石に大丈夫だとは思うが……ッ!?」
クーはレーダーを見て、自分の目を疑った。
赤い点は、未だ自分達のすぐ側にあった。



289:1 ◆DcS0KIr23w:2006/04/25(火) 23:55:01.39 ID:C8shT8xx0
  
川;゚−゚)レ「何で……どういう事だッ!?」
樹上からギコの上へと転落したものは
身体の中心を無理やり押し込み繋がれて、その上で両脚を奪われたしぃの残骸だった。
(;゚Д゚)「んん……え、うわぁあああ!!!」
目覚めたギコは、隣で倒れていた恋人の無惨な姿を目の当たりにした。
その身体はあちこち食い荒らされて、頭と両脚が消失していた。
(;^ω^)「一体どうなって……」
ブーンの背後に異形の影が降り立つ。
それは、継ぎ接ぎだらけで、それでも表情ひとつ変えない
クックル星人だった。
(;゚ω゚)「うああああああああ!!」
クックル星人はブーンの脳天目掛けて、スレッジハンマーを振り下ろした。
モーションの大きさが幸いし、ブーンはかろうじてそれを避けた。
それは、殆どラッキーといっても良い事だった。
それほど、振り下ろされた両の拳の速度は凄まじいものだった。
(;゚∀゚)「おおおおおおおおおッ!!」
ジョルジュが、クックル星人の左胸目掛けて刺突を繰り出す。
それをあっさり回避したクックル星人は、柄を握るジョルジュの両手首を
手刀の一撃で、両断した。
噴き出す鮮血。ジョルジュは、声にならない絶叫を上げた。
間髪いれず、クックル星人はジョルジュを蹴り飛ばした。
まだ両脚が身体になじんでいない所為か、ショボンを殺した時ほどの威力は無いようだった。
それでも、ジョルジュのスーツは機能を停止し、ジョルジュ自身も
意識を失った。また一人、戦力が失われた。



299:1 ◆DcS0KIr23w:2006/04/26(水) 00:13:47.96 ID:kUzGaoXQ0
  
(;^ω^)「ジョルジューーー!!」
川;゚−゚)レ「そんな……クソッ!!」
クーは再び銃を手にし、クックル星人を警戒しながら槍の回収に向かった。
ξ;゚听)ξ「いやぁああああああ!!」
ツンは、クックル星人に狙いを定めるでもなく、無闇矢鱈に銃を連射した。
抉れる地面、樹木。ブーンは、誤射されない事をひたすら祈った。
そして、クックル星人はツンに狙いを定めた。
( ゚∋゚)「……今度こそ、お前だ」
クックル星人は、たどたどしいものではあったが、確かにそう言った。
(;^ω^)「だぉおおおおお!!!」
ブーンがツンとクックル星人の間に割って入ろうとする。
クックル星人は貫き手で、ツンの喉元を狙っている。
ザシュッ
真っ赤な鮮血が舞った。



303:1 ◆DcS0KIr23w:2006/04/26(水) 00:28:53.89 ID:kUzGaoXQ0
  
ギコは、今日この瞬間ほど自分を恨んだ事は無かった。
守ると約束した、この世の誰より、どんなものよりも大切だった、しぃ。
その彼女が無惨に真っ二つにされ、挙句の果てには喰い散らかされた。
どうして、あんなに優しいしぃが。どうして、あんなに可愛いしぃが。
どうして、あんなに愛していたしぃが、惨殺されなければならないのか。
憎い。あのクックル星人とかいうニワトリ野郎が、心底憎い。
憎い。憎い。憎い。何度殺しても足りない程、心底憎い。
しかし、身体は動かない。足は竦み、腰も抜けてしまっている。
怖い。怖い。怖い。目の前で殺戮を繰り返す化け物が、心底怖い。
(;゚Д゚)「クソ……クソッ、クソッ!!」
ギコは何度も地面へ拳を打ちつける。
その手を止めたのは、槍を手にしたクーだった。
川゚−゚)レ「……恐れる事は、恥では無い」
川゚−゚)レ「自分を責めるなとは言わん。しかし、絶対生き残れ」
クーは常用する銃とは別の、ブーン達が使う小型の銃をギコに手渡した。
川゚−゚)レ「震えが止まって、立てるようになった時にまだ戦闘が続いていたら、力を貸してくれ」
槍を手にしたクーは、再び戦場へと走り出す。
その後ろ姿は、神話に出てくる戦乙女のようだった。



307:1 ◆DcS0KIr23w:2006/04/26(水) 00:44:52.68 ID:kUzGaoXQ0
  
血を噴き出したのは、クックルの伸ばした左腕……元・ショボンの左腕だった。
手首に筋と平行に、ジョルジュの物であった刀が貫いていた。
ブーンは、咄嗟の判断でジョルジュの手首を外し、刀を手に取っていたのだ。
(#^ω^)「ふんんんんッ!!」
そのまま、乱暴に刀を真横に薙いだ。
クックル星人の腕は、ズタズタに切り裂かれた。
(#^ω^)「だぁあああああッ!!」
返す刀で、ブーンはクックル星人の腹部を切り裂く。
刀は、肋骨か何かに引っかかり動かなくなった。
すぐさま柄を手放して、今度は素手でクックル星人を殴る、殴る、殴る。
いくらショボンやしぃの身体を繋ぎ合わせていても、ダメージは大きい様だった。
(#^ω^)「うりゃあッ!!」
再び刀の柄を握り、そのままクックル星人の胴を蹴り飛ばした。
刀身はおびただしい量の血液と、微量の肉片を纏い真っ赤になっていた。
倒れ込んだクックル星人の上に、ブーンが馬乗りになる。
そして、顔面へ何度も何度も拳を振り下ろした。
ガツッ、ガツンッ、ガシュッ、ゴチュッ
顔を殴る音はどんどん湿り気を増している。クックル星人の顔はすでにめちゃくちゃだった。
(#^ω^)「喰らえお!!」
握った拳をクックル星人の顔へ、思い切り振り下ろす。
その腕を、クックル星人はガシリと掴んだ。
そして、凄まじい握力で以って、ブーンの右腕を握り潰した。



309:1 ◆DcS0KIr23w:2006/04/26(水) 00:56:29.45 ID:kUzGaoXQ0
  
(;゚ω゚)「ぐぁああああああ!!」
ブーンはひしゃげた右腕を押さえ、絶叫した。
そのままクックル星人はスクリと立ち上がり、ブーンの顔へ
ヒザ蹴りを叩きこんだ。
(;゚ω゚)「ゴブッ!!」
ブーンはそのまま仰向けに倒れこんだ。
その一撃で、ブーンの意識は完全に途絶えた。
ξ;゚听)ξ「ブーーーン!!」
ツンは悲鳴を上げた。しかし、次の獲物は自分であると確信していた。
予感は的中、クックルは悠々とした感じで、ツンの方へと向き直った。
ξ;゚听)ξ「いや……来ないで!!」
ギョーン
銃声が響いた。それは、随分と離れた位置から聞こえた。
完全に油断していたクックル星人の、顔の右半分が爆発した。
(;゚Д゚)「い、今だ!行けぇええええ!!」
ギコの銃撃と叫びと共に、槍を構えたクーが凄まじい勢いで樹上から襲い掛かった。
先程ジョルジュと共に繰り出した連携攻撃と同じだが、今回は敵も相当弱っている。
川#゚−゚)レ「おおおおおおおおおッ!!!」
ドズンッ
クーの槍は、クックル星人の後頭部から下腹部までを貫通した。
クックル星人は、そのまま力無く崩れ落ちた。



324:1 ◆DcS0KIr23w:2006/04/26(水) 01:16:56.66 ID:kUzGaoXQ0
  
(;゚Д゚)「や、やったのか!?」
クーはレーダーを確認する。赤い点は、消えていた。
川゚−゚)レ「ああ……今度こそ、終わりだ」
ξ゚听)ξ「私達、帰れるの?」
川゚−゚)レ「ああ、もちろんだ」
ξ;凵G)ξ「良かった……怖かったよぉ……」
ツンは、その場で泣き崩れた。
川゚−゚)レ「……」
クーは、無言でツンを抱きしめた。
それは、母親が赤ん坊をあやす姿のようだった。
(,゚Д゚)「お……」
ギコの転送がはじまった。程無くしてツンの転送もはじまる。
川゚−゚)レ「先に部屋で待っててくれ」
ξ゚听)ξ「うん……わかった」
ツンの額の部分までの転送が終わった時の事だった。
クックル星人が、槍に貫かれたままユラリと立ち上がった。



325:1 ◆DcS0KIr23w:2006/04/26(水) 01:17:29.98 ID:kUzGaoXQ0
  
ξ;゚听)ξ「お姉ちゃん、逃げてぇえええ!!」
クーはバッと振り返る。そして、その光景に驚愕した。
頭から腹まで、縦に貫かれているクックル星人が立ち上がっているのだ。
クーは目の前の光景を信じきる事が出来ず、腕のレーダーを確認した。
レーダーの反応はもう無い。しかし、クックル星人は立ち上がっている。
川;゚−゚)レ「……ッ!!」
クーは銃を構える。クーやギコのものよりも、ずっと大型のショットガン。
クックル星人の眼に、鋭い光が宿る。一歩目は、ゆっくりと踏み出す。
二歩目は、それより早く足を踏み出す。三歩目は、もっと早く。
クーは震えを堪え、右腕一本で銃を構え、クックル星人に照準を合わす。。
最大の威力で敵を迎撃する為、最大限に接近した所を撃つ心積もりだ。
クックル星人が、突如駆けだす。
クーは一歩たりともその場を動かない。
そして、そこでツンの視界は夜の森から黒い球の部屋へと切り替わった。



332:1 ◆DcS0KIr23w:2006/04/26(水) 01:33:07.07 ID:kUzGaoXQ0
  
部屋には、ギコだけはなくブーンも、ドクオも、ジョルジュも戻ってきていた。
( ^ω^)「あ、ツン!!お帰りだお!」
('A`) 「ギコさんから聞いたよ。クーが、アイツをやっつけたんだってね!」
ξ;゚听)ξ「違うの、それが……!!」
ツンは、転送される直前の光景をみんなに告げた。
(;゚∀゚)「おいおい……冗談だろ?」
ξ;゚听)ξ「冗談なわけないじゃない!馬鹿!!」
(;゚∀゚)「う……と、とにかくだ!すぐにクーも転送されるはずだろう!」
ツン達は、その場で待機する事になった。
しかし、3分経ってもクーは戻って来なかった。
ξ;゚听)ξ「嘘よ……ねぇ、絶対帰ってくるよね?」
ジョルジュとドクオは、何も言えなかった。
今までのミッションで、ここまで転送の間が空く事は無かったからだ。
ξ;゚听)ξ「なんで、なんでよ!!」
( ^ω^)「……ツン。ツンが信じなかったら、誰がクーさんを信じるんだお?」
ξ゚听)ξ「……!!」
川゚−゚)レ「そうだぞ、ツン」
Σξ;゚听)ξ「!?」
(;^ω^)「ちょwwwwwwwいつの間にwwwwwwwwww」
川゚−゚)レ「いや、ブーンがツンを励ますちょっと前から」
ξ;凵G)ξ「うッ……ふぇ……うわぁ〜〜ん!!」
ツンは、再びクーに抱きつき、泣きじゃくった。
川゚ー゚)レ「……お前は、いくつになっても泣き虫だな」
そういうクーの目からも、涙がこぼれていた。



333:1 ◆DcS0KIr23w:2006/04/26(水) 01:35:19.07 ID:kUzGaoXQ0
  
Returned...
( ^ω^) ブーン
ξ゚听)ξ ツン
('A`)  ドクオ
川゚−゚)レ クー
( ゚∀゚) ジョルジュ
(,゚Д゚) ギコ

mission completed.

第二話 クックル星人編 完



344:1 ◆DcS0KIr23w:2006/04/26(水) 01:43:49.11 ID:kUzGaoXQ0
  
次回予告

クックル星人を破り、それぞれが平穏な暮らしへ帰っていった。
そんなある日、ブーンの携帯にドクオからのメールが舞い込む。
『今週日曜、リンゴの森で会おう』
激戦と跡地で明かされる、驚愕の事実とは?
そして、運命は次なる戦いへ向けて再び動き出す。

次回「Intermission 2 ― 奇跡の代価 ―」



戻るIntermission 2