( ^ω^)ブーンがGANTZに選ばれたようです

423:1 ◆DcS0KIr23w:2006/04/26(水) 20:43:38.27 ID:aYbV/3KU0
  
2日間の連戦の後は、しばらく平穏な日々が続いた。
(◎3◎)「内藤、ずいぶんグッタリしてるけど何かあったのか?」
( ´ω`)「なんもねぇお」
(・θ・)「女にでも振られたか?wwwwww」
( ´ω`)「ちげぇお」
激戦による寝不足からは逃れられたが、今度は
どうにもならない倦怠感と無気力に襲われた。
( ´ω`)「たりぃお……」
この気だるさを吹き飛ばす方法を、ブーンは知っている。
しかし、それを認めることはしたくなかった。
越えてはいけない壁を、越える気がしたからだ。
(◎3◎)「そんな時はアレだ」
( ´ω`)「お?」
(◎3◎)「Let's Go To とらのあn
( ´ω`)「一人で行けお」
(◎3◎)「むぅ……」
(・θ・)「こりゃあ重症だな」
しかし、以外な形でカンフル剤が投与された。
モスカウ♪モスカウ♪ナンタラランタ ラッタッタッ♪ 
ブーンの携帯が、メールの着信を告げた。
送信者は……誰だろう、知らないアドレスだ。

件名: ドクオです。登録よろしく。
本文: 今週日曜、リンゴの森で会おう

(;^ω^)「どっから僕のメアドがバレたんだおwwwww」
とりあえず、適当に返事を返し、集合時刻と場所を決めた。
戦友となら、この気だるさも紛らわせるかもしれない。
そんな、些細な期待を抱いた。



431:1 ◆DcS0KIr23w:2006/04/26(水) 20:56:35.10 ID:aYbV/3KU0
  
日曜日

(;゚∀゚)「ちっくしょお……マズイぞ、大変マズイ」
ジョルジュの財布の中身の9割方が、パチンコ台へと飲まれて消えた。
( ゚∀゚)「あーあ、今週も負け越しか」
ジョルジュが勝負をあきらめて帰ろうとした間際
ずいぶん派手な勝ち方をしている男の姿を目に留めた。
( ゚∀゚)「あ」
(,゚Д゚)「あ」
ギコだった。

( ゚∀゚)「いや〜、悪いね!昼飯ごちそうになっちゃって!」
(,゚Д゚)「ああ、気にしないでくださいよ……」
(;゚∀゚)「……お前、キャラ変わった?」
(,゚Д゚)「おかしなもんですよね。こんなに悲しいのに、ツキだけは回ってきて……」
ギコは、未だにしぃの死を引き摺っているようだった。
(,゚Д゚)「よく怒られてたんですよ。パチンコなんて、お金の無駄遣いだ!ってね」
( ゚∀゚)「……まぁ、引き摺るな。だなんて言わないけどよ」
( ゚∀゚)「まぁ、その……元気だせや」
ギコは目つきを変え、ジョルジュの胸倉をつかんだ。
(#゚Д゚)「アンタに何がわかるってんだよ!!」
( ゚∀゚)「わかってるさ。悲しいくらいな」
ジョルジュはギコの手をほどき、携帯電話の裏を見せた。
そこには随分と色褪せた、しかし随分と幸せそうな
ジョルジュと女が写ったプリクラが貼り付けてあった。



434:1 ◆DcS0KIr23w:2006/04/26(水) 21:06:42.65 ID:aYbV/3KU0
  
( ゚∀゚)「俺より先に、あの部屋に来ていた娘だった」
( ゚∀゚)「はじめはあーだこーだと喧嘩ばっかしてたけどよ」
( ゚∀゚)「まぁ、その……結果的に惚れちまったんだ、お互い」
( ゚∀゚)「で、付き合いはじめた。誰にも内緒でな」
あ、これ誰にも言うなよ!と、ジョルジュはおどけて付け足した。
( ゚∀゚)「すごく、幸せな日々だったよ」
( ゚∀゚)「けど、夏のド真ん中に、アイツは死んじまった」
( ゚∀゚)「海に行く約束も、夏祭りに行く約束もほったらかしてな」
ジョルジュは煙草に火をつける。
( ゚∀゚)「そりゃあ、引き摺ってるよ。ズルズルズルズル。アホかって位な」
( ゚∀゚)「けど……カラ元気でも、元気を出すことにした」
( ゚∀゚)「元気がなけりゃ、死に向きあう事も乗り越える事も出来ないからな」
(,TДT)「ジョルジュさん……俺、俺……」
( ゚∀゚)「まぁ、泣け泣け!今はとりあえず、死ぬ程泣いとけ」
ギコは、声を出して、人目もはばからず泣いた。



437:1 ◆DcS0KIr23w:2006/04/26(水) 21:21:14.09 ID:aYbV/3KU0
  
同日 クーとツンの家

ξ#゚听)ξ「もう!片付けなよ、って何回言ったと思ってるの!?」
川゚−゚)レ「すまんすまん」
ξ#゚听)ξ「謝り方ってのがあるでしょ!?」
川゚−゚)レ「大変申し訳ございません」
ξ#゚听)ξ「ムッカーーーー!!」
ツンがバタバタとクーの部屋の片付けをする傍ら、当の本人はコミック誌を読みふけっていた。
ξ#゚听)ξ「マンガばっか読んでないで、手伝ってよ!!」
川゚−゚)レ「お願いします、は?」
ξ###゚听)ξ「お姉ちゃんの部屋でしょうが!!」
クーは、今のこの状況が幸せで、嬉しくて仕方が無かった。
あの日、新宿で死んで、ガンツに選ばれて、戦士になった。
戦いの夜が続いてからは、ツンはどこか余所余所しい雰囲気を醸し出していた。
ブーンを連れて帰った夜だって、ツンは必要以上にブーンにきつく当たった。
あの娘なりに心配や、不安に思ったりしてくれていたのだろう。
それが、姉妹の距離を遠くした気がした。
しかし、あの夜。ツンと共に戦ったあの夜からは、少しずつ距離が縮まっていった。
そして、現在に至る。今まで通りの、騒がしくて、とても素敵な生活。
ξ#゚听)ξ「もうッ!ニヤニヤしてないで手伝ってってば!!」
川゚ー゚)レ「お願いします、は?」
ξ###゚听)ξ「コノヤローーーー!!」
こんな日が、ずうっと続くようにとクーは祈った。



446:1 ◆DcS0KIr23w:2006/04/26(水) 21:40:41.08 ID:aYbV/3KU0
  
同日 リンゴの森にて

('A`)「しっかし、ブーンがあの部屋に来たときは本気でビックリしたぜ?」
(;^ω^)「僕は、ドクオの変身っぷりにビックリしたお」
('A`) 「まぁ、小学4年生の頃からだから……7年振りだもんな」
ブーンとドクオは、同じこの街で生まれ育った。
しかし、小学4年生の夏に、ブーンは遠くの町へと引っ越してしまったのだ。
( ^ω^)「この街が好きだから、高校もこっちにしたんだお!」
('A`) 「高校、か」
ブーンとドクオは、他愛無い話をしながら秋の森を歩いて行った。
あの時は、月明かりで青く見えた森も、太陽の下では赤や黄色、茶色と
色とりどりに姿を変えていた。
( ^ω^)「やっぱり、最近の子どもは森なんかじゃ遊ばないみたいだお」
たまにすれ違うのは、犬の散歩をしている老人だけだった。
( ^ω^)「そういえばドクオ、妹と弟は元気にしてるかお?」
('A`)「あ、ああ!当然だろ?」
ドクオには、2つ下の妹と、年の離れた双子の弟達がいる。
ブーンが最後に見た弟達は、立つこともままならない赤ん坊だった。
2人が思い出話に花を咲かせていると、見覚えのある場所にたどり着いた。
その辺りの木は、葉が落ちきってしまっていて、枝や幹もボロボロだった。
( ^ω^)「……ここで、ショボン達は死んじゃったんだおね……」
鮮明に蘇る、恐怖と興奮の夜の記憶。不意に訪れる沈黙。
沈黙を破ったのは、ドクオだった。
('A`) 「……頼みが、あるんだ」



451:1 ◆DcS0KIr23w:2006/04/26(水) 21:57:41.89 ID:aYbV/3KU0
  
('A`) 「100点を取ったら、ここから出られるっていうのは説明したよな?」
ブーンは、黙って頷く。
('A`) 「……100点の報酬は、それだけじゃないんだ」
( ^ω^)「……どういう事だお?」
('A`) 「選択肢は、3つ。一つ目は、お前も知ってる報酬……『自由』だ」
('A`) 「二つ目は、今よりももっと強い『武器』」
('A`) 「そして、三つ目……死んだ仲間の『復活』」
( ^ω^)「…………」
('A`) 「頼みっていうのはな、ブーン……」
('A`) 「もし、俺が死んでしまって、お前が100点を取ったら……」
('A`) 「俺を、生き返らせて欲しいんだ」
わずかな沈黙の後、ブーンはドクオを殴り倒した。
(#^ω^)「みんな、命を賭けて戦ってるお!!お前だけ、何甘ったれた事言ってるんだお!!」
('A`) 「命が惜しいわけじゃない!!」
予想外の反論に、ブーンは押し黙る。
('A`) 「家族の……為なんだ」
('A`) 「お前が引っ越した年の冬……親父は俺達を捨てた」
('A`) 「中学3年生の夏……働き詰めだった母さんは病気で倒れた」
ブーンには、想像がつかなかった。
あんなに優しかったドクオの父親の、あんなに元気そうだったドクオの母親のそんな姿が。
('A`) 「お前が高校に通ってる間、俺は隣町の工場で働いてるんだ」
('A`) 「俺が死んだら、母さんも、妹も、弟も喰わせてやれない……」
ドクオの目には、うっすらと涙が浮かんでいた。



460:1 ◆DcS0KIr23w:2006/04/26(水) 22:08:58.90 ID:aYbV/3KU0
  
('A`) 「……この前の点数、覚えているだろ?」
ブーンは、クックル星人を倒した夜の得点を思い出した。
確か、クーが40点。他のメンバーはそれぞれ5点。ドクオの点数は……0点。
('A`) 「クーは、あと3点で自由になれる。ジョルジュだってあと少しだ」
('A`) 「俺だけ、ずっとずっと、100点が遠いんだ」
('A`) 「それに……俺は、弱いんだ」
('A`) 「クーよりも、ジョルジュよりも、ショボンよりも……ブーン、お前よりも」
ブーンは、うっすらとではあるが、それを感じとっていた。
同じ数の死線を潜り抜けたはずなのに、何故か生じている決定的な戦力差。
('A`) 「自分勝手な理由さ。信じてくれなくたって構わない」
('A`) 「けど、俺、死ねないんだよ!!絶対、絶対死ねないんだよ!!!」
( ^ω^)「……なら、死ななきゃいいお」
ブーンは、あっさりと言ってのけた。
( ^ω^)「死ねない死ねないって、そんなの誰だって同じだお」
( ^ω^)「だからこそ、みんな死ぬ気で戦ってるんだお」
( ^ω^)「ドクオだって……そうなんだお?」
ドクオは、何も言わずブーンの顔を見ている。
( ^ω^)「それに、いつかみんなで約束したお」
( ^ω^)「全員で、必ずここから出るって」
( ^ω^)「……だから、ドクオも頑張って、100点目指すお!」
('A`)「けど、けどよ……」
( ^ω^)「なら、お互いに約束するお」
( ^ω^)「僕は死ぬ気でドクオを助ける。ドクオは死ぬ気で100点目指す」
( ^ω^)「これで、文句ないだお?」
それは、あまりにも強引で、あまりにも乱暴な約束だった。
( ^ω^)「……よし、お腹減ったからさっさと帰るお!」
ブーンは両手を広げて走り去った。ドクオには、ブーンの耳が真っ赤になってるのが見えた。
('A`) 「……絶対守るさ、約束」
ドクオは、声を押し殺して泣いた。



470:1 ◆DcS0KIr23w:2006/04/26(水) 22:20:52.52 ID:aYbV/3KU0
  
平穏な日々は、ゆっくりと崩れていく。

从'ー'从「あれれぇ〜?私の自転車が無いよぉ〜?」
(*゚ス゚)「まさか、また盗まれたの!?」
彼女の名は渡辺さん。現役女子高生。どこのクラスにもいる、おっちょこちょいキャラだ。
ただひとつ違うのは、規格外のおっちょこちょいという事だけだ。
(*゚ス゚)「ちゃんと鍵閉めなきゃ駄目だって、言ってるでしょ!?」
从'ー'从「うん、わかった〜」
(*゚ス゚)「はぁ……駄目だこりゃ。っと、バイトの時間ヤバいから、先行くね!」
从'ー'从「バイバ〜イ!!」
渡辺さんは、やたらと元気良く、友人の姿が見えなくなるまで手を振った。
从'ー'从「仕方ない、歩いて帰ろ〜っと」
自転車に轢かれそうになりつつも、渡辺さんはトコトコと歩きだした。
そして、家まであと数分で、ようやく異変に気付く。
从'ー'从「あれれぇ〜?カバンが無〜い」
トコトコと、着た道を引き返す。
(;´_ゝ`)「うわぁああああああ止まらん!!」
(´く_`;)「無茶なドリフトかますからだ!!」
タンデムライドのバイクが、渡辺さんを巻き込み大転倒する。
3人は、即死だった。



482:1 ◆DcS0KIr23w:2006/04/26(水) 22:31:51.57 ID:aYbV/3KU0
  
男は、13段の階段を登りきり、首吊り縄を首に通す。

1人目を殺したのは、ほんの小さなアクシデントがきっかけだった。
2人目を殺した時、震える程の快感を感じた。
14人目を殺して、ついに足が着いてしまった。
19人目を殺す前、とうとう檻へとブチ込まれた。
死刑は既に、確定していた。

精神異常者の振りをするでもなく、模倣囚になるわけでもなく
淡々と取り調べに答え、判決を受けた。

それからの日々は、空虚だった。
しかし、随分と色んな物が輝いて見えた。
世界は、こんなにも輝かしいものだと、彼は感じた。

もし、次に生まれ変わる事が出来るとしたら
そんな事が、本当に可能ならば

( ・∀・)「次も、人間に生まれたいな」
床の感触が消え失せ、首に凄まじい重力がかかる。

そして、かつてこの国を震え上がらせたシリアルキラー
モララーの生涯は潰えた。

Intermission is End.

Continue to 3nd stage.



487:1 ◆DcS0KIr23w:2006/04/26(水) 22:39:03.56 ID:aYbV/3KU0
  
次回予告

平穏な日常を送るブーン達は、再び黒い球に導かれる。
そこには、かつてない程多くのメンバー。
そして、ガンツが告げる新たなルール。
新たな武器と、解かれた制約。
少しずつ、何かが変わりはじめていた。

次回 『ニダー星人編 前編』



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