( ^ω^)ブーンが爆弾魔になったようです

1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/04/26(水) 22:50:45.07 ID:PXykDMeiO
街はイルミネーションに彩られ行き交う人々の服さえも華々しい


ゴーンゴーン


街の時計塔は夜の十一時半を回り本日最後の鐘を鳴らす


十二時の鐘は世界が今日から明日へ進む合図だ



僕は鐘の音を聞きながら家路を急ぐ


早く帰らないとあの瞬間に間に合わない



3:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/04/26(水) 22:53:16.44 ID:PXykDMei0
  
ガチャ


家のドアを開けて窓際へ向かう


時間は?


大丈夫、まだ5分もある


今日はまだ明日へ行っていない


窓からは時計塔が見える


巨大なアンティークと呼ばれる大きな大きな時計塔


僕は窓際に置いてある椅子に腰掛けると望遠鏡を覗いた


この望遠鏡は今日のためにわざわざ買ったものだ


傷一つついちゃいない



4:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/04/26(水) 22:55:08.86 ID:PXykDMei0
  
腕時計をみると残り一分を切っていた



カウントダウン開始だ


カチ カチ


腕時計の針と一緒に


さあ、この街の時間は今日から明日へは進めない


-何故なら-


( ^ω^)「・・・・55、56、57、58」


59と言おうとした時、轟音が響いた



5:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/04/26(水) 22:58:10.76 ID:PXykDMei0
  
12月25日23時59秒



この街の時間は止まった


少なからず、ブーンの中では。



長い年月に渡り街のシンボルであった巨大なアンティークは中央から真っ二つに折れた



土煙を巻き上げ崩れ落ちたアンティークからはもはや西洋の雰囲気なんて感じ取れなかった



しばらくするとけたたましいサイレンの音が街の中に響き渡った



6:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/04/26(水) 22:59:16.99 ID:PXykDMei0
  
ξ#゚听)ξ「今月で五軒目ね・・・・」



ぽっきりと折れ曲がった時計塔の下で眉間にシワを寄せぽつりと呟く女性


ツンデレ警部


若くして警部になって3年目


彼氏にフラれようと雨に打たれようと犯人を追い掛け事件を解決してきた女警部は近年稀にみる犯罪者に手を焼いていた



8:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/04/26(水) 23:01:58.68 ID:PXykDMei0
  
最初は近所の廃工場


次は民家の倉庫


んでもってこの前は街の電力の一翼を担う風車


先週は港に停泊してた貨物船


この愉快犯は一体何処まで被害を広めるつもりだろうか?


「そんなに眉間にシワ寄せてちゃ嫁の貰いてなくなるぞい」


と、誰かがツンの方にポンと手を置いた



9:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/04/26(水) 23:03:21.52 ID:PXykDMei0
  
ξ゚听)ξ「何よ!・・・・って、フサギコさん!」

そこに立っていたのは白髪交じりの髪の毛によれよれのコートのおじいちゃん警官


ミ,,゚Д゚彡「そんなに気ィ張らんと、ホレ。」


フサギコはコーヒーを差し出した



ξ゚听)ξ「・・・・ありがとうございます」


粉塵交じりの空気の中、温かいコーヒーをのみほす



ミ,,゚Д゚彡「死者も怪我人もかなり出たようじゃな・・・・」


ξ゚听)ξ「・・・・」



11:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/04/26(水) 23:06:02.31 ID:PXykDMei0
  
街の時計塔はまわりの建物や人々を巻き込み華々しい最後を遂げた


最近補修されてピカピカに磨きあげられてリニューアルした観光の目玉だったのに


ξ゚听)ξ「絶対捕まえてやるんだから!」


ツンはコートをひるがえし、警察署に向かった



12:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/04/26(水) 23:07:25.51 ID:PXykDMei0
  
-時間を止める-



人間だけではない全ての生物、いや全ての物が共有する「時間」というものはこりゃまた厄介なものだ


進むだけ進んで大切なものを奪っていく


時間がすすめば記憶だって薄れちまうしどんな美人だって何十年たてばおばあさんだ



だけどもし時間が止まったら?


もし時間という概念が自分の回りから消え失せてしまったら?



13:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/04/26(水) 23:08:31.40 ID:PXykDMei0
  
大切な人はずっと側にいてくれる


食べかけのパンもシチューも冷めずに10年たっても食べられるし、夏に時間を止めちゃえば好きな時にいつでもおよげる



多分、あの時の記憶だって鮮明に覚えていられるさ



ブーンはカチャカチャとドライバーでネジを回しながら考えていた



14:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/04/26(水) 23:14:33.63 ID:PXykDMei0
  
-だけど-

時間はまっちゃくれない

今、僕がネジをクルッと回した瞬間はもう戻って来ない

でもさ、時間が待ってくれないならこっちから進むのを止めればいいんだよ



なあに、簡単だよ

誰にだって出来るんだ


場所も選ばずに何をしながらでもさ


あんまり簡単なもんだから他人の時間を止めるのを手伝ってあげようか



-そうこれは一種のボランティア-



15:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/04/26(水) 23:16:12.22 ID:PXykDMei0
  
-警察署内-


連続爆弾魔対策本部



物騒な文字が堂々と立て看板に躍る部屋のなかではここ最近寝不足気味の警官が倒れている


クリスマスなんて関係無しなのは爆弾魔も警察も同じなのだ


だけど寝ていられる時に寝てないといけないのは誰だって同じ


毛布に包まり寝息を起てて夢の中




ξ#゚听)ξ「起きなさい!」



蹴飛ばされ、ウッと呻いて彼はソファーから転げ落ちた



16:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/04/26(水) 23:18:34.12 ID:PXykDMei0
  
( ´∀`)「イタタタ・・・・」



ξ#゚听)ξ「あんたねぇ・・・・」



あれれ?さっきまで僕は真夏の海で美女とサーフィンを・・・・


ξ#゚听)ξ「人が現場から帰って来てみればぐうたらいびきかいてDreamTime!?」


( ´∀`)「そうモナ、夢の中で美女とサーフィンを・・・・ハッ!」


次の瞬間彼は美女どころか鬼のような一撃で地獄という夢へ叩き落とされた



17:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/04/26(水) 23:21:24.13 ID:PXykDMei0
  
ξ#゚听)ξ「まったく・・・・!」

鼻息荒くドカッとソファーに腰をおろす



このごろ怒ってばっかりだ
それもこれもあの爆弾魔が現れてからだ


この地方都市はいわゆる観光都市


爆弾魔なんていたら商売あがったりの商人様からの期待も大きいし、市民達からも早急に犯人逮捕の声が聞こえる




まあ、信頼第一な警察のイメージのためにもさっさと捕まえたいものだが・・・・



18:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/04/26(水) 23:22:39.86 ID:PXykDMei0
  
ξ゚听)ξ「さてと、怒ってばかりはいられないわね」


気を取り直し机に向かう

年の瀬が迫っているのに仕事は溜まる一方だ


とりあえずまずは・・・・


ξ゚听)ξ「サルベージ開始ね」



ボクシンググローブを装着

ξ゚听)ξ「起きなさい!モナー!」


女神のように優しく鬼のように激しくボディを一撃


( ´∀`)「ぐぼぁあぁあぁぁ!!!?」



19:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/04/26(水) 23:24:49.80 ID:PXykDMei0
  
( ´∀`)「はっ!鬼モナ!鬼がいらっしゃるモナ!」



ξ#^-^)ξ「あらら〜?モナー君は女神様より鬼女の方がお好みかしら?」


(V´∀`)「女神が大好きです・・・・」



最近はこの方法でストレス発散しているけど、早く犯人捕まえていい年が迎えられるといいな・・・・



20:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/04/26(水) 23:25:58.91 ID:PXykDMei0
  
カチャっと音をたてネジが穴にはまり込む


( ^ω^)「・・・・出来たお」


今度のはセンサー式だ


センサーで動くものを感知して爆発するって奴


一個作るだけでかなりの時間を浪費した



こうしてる間にも世界は廻り時間は進む


いそがなきゃ



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