( ^ω^)ブーンが爆弾魔になったようです
- 567: ◆7YW6txupJQ :2006/04/30(日) 16:49:40.30 ID:AyZAW5JvO
- 後一日で警備の任務が終わる
今日が決行の日だ
だけど・・・・
僕は用意してきた爆弾を見ながら戸惑っていた
それは昨日クーがこんな事を言ったから
- 568: ◆7YW6txupJQ :2006/04/30(日) 16:50:45.48 ID:AyZAW5JvO
- 川 ‐_ -)「実はな、一ヶ月後に手術を受けるんだ」
クーの目が治るらしい
僕は素直に喜んだ
川 ‐_ -)「私の目は正直何時でも治せるらしいんだが、私は怖かったんだ外へ飛び出すのが」
川 ‐_ -)「いろんな人の話を聞いて世の中に正直恐怖を感じた」
- 569: ◆7YW6txupJQ :2006/04/30(日) 16:52:04.50 ID:AyZAW5JvO
- ふふ、とクーは笑うと話しを続けた
川 ‐_ -)「ブーン、君は夢を見た事があるかい?」
あるお、と答えるとクーはちょっと俯きそうかと呟いた
川 ‐_ -)「私は夢を見た事がないんだ」
- 570: ◆7YW6txupJQ :2006/04/30(日) 16:53:14.82 ID:AyZAW5JvO
- 夢を見た事がない?
起きたとき夢の内容を忘れてるっていうのはよくある事だけど、それとは違うのかな?
川 ‐_ -)「私は目が見えないだろう?そのせいなのか知らないが物の形なんかを脳がイメージ出来てないんじゃないだろうか」
クーはくすりと笑うと
川 ‐_ -)「夢でさえ世界がどんなに大きいかわからないし、ただ漠然と知識があるだけ」
- 571: ◆7YW6txupJQ :2006/04/30(日) 16:54:29.96 ID:AyZAW5JvO
- 川 ‐_ -)「私は急に視界が開けた時にそんな世界に飛び込んでは行けない、そう思ってた」
川 ‐_ -)「だけど、お前に花火の話を聞いて見てみたいと思った」
僕はただ花火についてちょっと話をしただけだ
だけどクーはそこに興味を持ってくれた
明日へ世界へ一歩を踏み出そうとしてる
クーはまだ幸せを見つけてないのか?
だったらまだ彼女の時間を止めるべきじゃない
ブーンは迷っていた
- 572: ◆7YW6txupJQ :2006/04/30(日) 16:55:34.20 ID:AyZAW5JvO
- 僕はまがいものだがクーに希望を抱かせてしまった
川 ‐_ -)「この目が治ったらぜひともお前の花火を見たいな」
昔、花火を作った事があると言った時クーはそう言っていた
必ず見せてやるなんて言わなきゃよかった
ブーンは散々悩んだすえ爆弾をセットするのをやめた
- 573: ◆7YW6txupJQ :2006/04/30(日) 16:57:29.47 ID:AyZAW5JvO
- 最初はお金持ちなんだし贅沢な暮らしをしてる一家の幸せな時間を止めてやろうと軽い気持ちで潜りこんだのだ
一生自分には縁がないだろう幸せな暮らしをしてると思ってた
だけど幸せなんて彼女は持ってなかった
明日への幸せを見出だせない彼女へ希望を持たせたのは他ならぬ自分なのだ
せめて綺麗な花火を見せてやりたい
彼女の時間を止めるのはそれからでも遅くはない
- 576: ◆7YW6txupJQ :2006/04/30(日) 17:02:16.18 ID:AyZAW5JvO
- そしてクーの警備が終わった
川 ‐_ -)「花火楽しみにしているよ」
別れぎわにクーはそういった
( ^ω^)「約束だお、必ず綺麗な花火を見せてやるお」
僕はそういって彼女の部屋をでた
- 577: ◆7YW6txupJQ :2006/04/30(日) 17:03:53.43 ID:AyZAW5JvO
- 一ヶ月後彼女の目が治ったと言う事を警備員づたえに聞いたときは本当に嬉しかった
僕ははやく彼女と喋りたかったし花火を見せてやりたかった
また、彼女の時間を奪う事に少しためらいが生じたが彼女に辛い時間は味あわせたくはなかった
再びクーに会えるまで後一週間をきった
- 578: ◆7YW6txupJQ :2006/04/30(日) 17:06:16.45 ID:AyZAW5JvO
- ( ^ω^)「夜の外の警備は寂しいお」
同僚が体調を崩したらしく一人で警備
季節は10月半ば少し肌ざむい
彼女の目が春に治ったら桜が綺麗だっただろうな
あ、でも秋は紅葉が見事だし
花火は夏に上げるものだからなあ、夏に浴衣を着て花火を見て貰うのもよかったかな?
一人でボーっとしていると突然ドーンと音がして建物が揺れた
- 581: ◆7YW6txupJQ :2006/04/30(日) 17:08:46.86 ID:AyZAW5JvO
- ジリリリ・・・・と火災報知器の音が鳴り響く
見るとクーの部屋から煙が登っている
僕は慌てて屋敷へ走る
どうか無事でいてくれ
ただそれだけを信じて階段を駆け上がる
- 582: ◆7YW6txupJQ :2006/04/30(日) 17:10:07.93 ID:AyZAW5JvO
- やったぜ!これで一生遊んで暮らせる!
金庫の前でドクオはニヤリと笑うと札束やら宝石をバックに詰め込んだ
長かったガードマンの仕事もこれでおしまいだ
あの女にも散々楽しませて貰ったし御礼に特製の奴一発仕掛けといてやった
まあじわじわ苦しんでくれよ
電車こかした爆弾もまあ手間ひまかけたやつ奴だったがこいつはすげぇ分厚い金庫も一発だ!
ひょっとして俺天才か?
ドクオは再びニヤリと笑うと屋敷を飛び出した
- 586: ◆7YW6txupJQ :2006/04/30(日) 17:13:45.35 ID:AyZAW5JvO
- (V^ω^)「クー!どこだおー!」
クーの広い部屋を見渡しブーンは必死に叫ぶ
辺りは火の海、窓ガラスは吹き飛んでいる
煙のなかブーンは部屋の真ん中で倒れているクーを発見した
- 588: ◆7YW6txupJQ :2006/04/30(日) 17:15:20.34 ID:AyZAW5JvO
- 体が熱い
いたい
気持ち悪い
ああ、なんか真っ暗だ
変だな目は見えるようになったのに
これじゃ花火が見れないな
花火見れない・・・・な
- 589: ◆7YW6txupJQ :2006/04/30(日) 17:16:56.77 ID:AyZAW5JvO
- ( ;ω;)「クー!しっかりするお!」
ブーンが私の名前を呼んでいる
おかしいなお前の警備は来週だろう?
花火楽しみにしてるぞ
いろいろ調べたんだ
線香花火って奴は綺麗だな
小さくてもあんなにきれいだ
ねずみ花火は綺麗というより楽しそうだ
でもお前が言ってた空に咲く花火が一番好きだな
でもまだまだいろんな花火があるんだろう?
楽しみだな・・・・ブーン
- 591: ◆7YW6txupJQ :2006/04/30(日) 17:20:54.88 ID:AyZAW5JvO
- クーは僕の前で息を引き取った
結局僕は彼女に花火を見せてやれなかった
そうだ、近くに海があったな
花火を上げよう
彼女にクーに届くように
おっきい奴や線香花火、ねずみにパラシュート
クー、世界は綺麗だよ
こんなに空も海も広いんだ
星も綺麗だし月や太陽は眩しいんだ
だから君が夢をみるならばきっと素敵な夢を見れるはずさ
ブーンは涙を拭いて空を見上げた
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