ガンパレードブーン


4:1 ◆NcZOHhe0jA:2005/11/22(火) 19:41:10 ID:Pqdi5oXi0
九州、熊本戦線。
幻獣と人との死の最前線。
そんな中で戦う学兵部隊。これは、その中のある部隊のお話。
今日も熊本は命の火で赤く燃える・・・。

熊本戦線特殊遊撃小隊VIPの面々
スカウト・・・ブーン  長岡  荒巻
戦車兵・・・ツン  ドクオ  ショボン
指令・・・FOX
オペレーター・・・クマー
運転手兼指令補佐・・・フーン
整備班・・・ギコ、しぃ以下名もなき整備兵たち



  
5:1 ◆NcZOHhe0jA:2005/11/22(火) 19:41:25 ID:Pqdi5oXi0
〜熊本戦線、VIP高校〜

ひろゆき準竜師「――という訳で、君たちの優秀な戦果を評価し、VIP小隊を遊撃部隊とする。今後は各部隊への遊撃援護を行ってもらいたい」
FOX「・・・はい、了解しました準竜師」
ひろゆき準竜師「以上だ。君達には十分な補給を約束しよう。奮闘を期待する」

そういって通信は切られた。静寂が訪れ、FOXは大きな溜息をつく。
FOX「遊撃部隊か・・・なんとも厄介な事を・・・」

今までVIP小隊は普通の定区小隊で、熊本でも上から数えられる有力部隊だった。だが遊撃任務となれば危険度、出撃回数ともに増える。
補給は充実するだろうが、危険な役目だった。



  
6:1 ◆NcZOHhe0jA:2005/11/22(火) 19:42:12 ID:Pqdi5oXi0
( ^ω^)「ブーーーーン!!!!!一着だおwwww」
('A`)「二着・・・あーめんどくせぇ。もう訓練はいいだろうによぉ」
ξ゚听)ξ「三着!・・・ってちょっとあんたら!文句いってんじゃないわよ!そんなんじゃ死んじゃうわよ!」
( ゜∀゜)「4着!4着!」
荒巻「・・・ブワッ」
(´・ω・`)「僕と荒巻は5着だね。みんなお疲れ様」
( ・(エ)・)「お疲れ様だクマー。今日の訓練はもう終わりクマー」
(*゚ー゚)「お疲れ様。けど整備が残ってるわよー?みんな自分の機体はちゃんと調整してねー」
(,,゚Д゚)「スカウトも整備班を手伝ってくれよー」

司令室として使っている女子更衣室の窓からは、なんだかんだでそれなりに平和にやってる部下達が見える。今も危険とは隣り合わせだが、次からはより危険な任務につかねばならないのだ。

( ´_ゝ`)「今まではうまい事生き残ってきやしたがねぇ・・・はてさて・・・」
FOX「・・・全員、生き残って欲しいものだが、な・・・」
( ´_ゝ`)「・・・飯でも奢ってやりやすか?」
FOX「そうだな・・・肉でも食わせてやるか・・・」



  
7:1 ◆NcZOHhe0jA:2005/11/22(火) 19:42:33 ID:Pqdi5oXi0
FOXから任務変更が発表されたのは、わりと高い焼肉屋の中だった。

(;^ω^)「ちょwwwおまwwwww」
('A`)「・・・・・・・」
ξ゚听)ξ「!?・・・」
(;゜∀゜)「遊撃!遊げ・・・?」
(;´・ω・`)「し、しかし指令、遊撃部隊は出撃回数も多く基本的に戦い続けです。その上、厄介な幻獣を優先的に狙わなければならない。なぜウチが任命を・・・」
FOX「そんなことは準竜師に聞いてくれ・・・まぁウチの生存率が高く、個々の錬度が比較的他の部隊より高いからだろう。良かったなお前ら、腕が良いって認められてるぞ」
荒巻「・・・ブワッ」
(;^ω^)「そんなの認められなくても良いお・・・;;」

翌日、武器弾薬、人工筋肉、新型ウォードレスと改造用の資材等が送られてきた。
それと3日の休暇。通常部隊には考えられない待遇だ。

( ´_ゝ`)「これだけの物をくれてやったんだからケツまくんなよ、って事ですかねぇ・・・」
(,,゚Д゚)「やれやれ・・・整備にとっちゃありがたいが喜べないな」



  
8:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2005/11/22(火) 19:44:12 ID:Pqdi5oXi0
  
そして、3日の休暇も終わり、出撃の時はやってくる。

(´・ω・`)「久しぶりに訓練もない休暇だったね」
('A`)「あぁ・・・まぁ俺はひきこもってゴージャスタンゴ見てたけどな」
(;^ω^)「ツンに連れまわされたお。UFOキャッチャーで4千円も使わされたお・・・」
(*゚ー゚)「あら、青春ねぇ。文句言ってても4千円も使ってあげるなんて可愛いじゃない」
(;^ω^)「うはwwwwそんなんじゃないおwwwwww」
(*゚ー゚)「フフフ・・・大事にしてあげるのよ?男は手を抜くと女に捨てられちゃうんだから」
(;,,゚Д゚)「む、ぅ・・・(金あとどれくらいあったかな;)」
荒巻「・・・ブワッ」

3日の間にそれぞれ心の準備は出来たようだ。いつもと変わらない雰囲気で集まってくる隊員達を見ながら、FOXとフーンは缶コーヒーを傾けた。

( ´_ゝ`)「心配はしなくて良かったみたいですねぇ」
FOX「うむ。・・・肉・・・勿体無かったかな・・・」



  
9:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2005/11/22(火) 19:48:06 ID:Pqdi5oXi0
  
輸送用のトラックが埃を巻き上げ停止する。前方では火の手と煙、そして硝煙の香り。

( ・(エ)・)「戦域到着クマー。友軍戦車隊が撤退する時間を稼ぐクマー」
FOX「今回はそれほど強い幻獣もいない。今までと変わらんようにやればまったく問題はないはずだ。君達なら大丈夫だ、油断せずに緒戦をかざれ!」

( ^ω^)「敵は小型だけらしいお、楽勝だおwwww」
('A`)「小型は雑魚だが数が多くてめんどくさいんだよなぁ」
( ゜∀゜)「いつも通り!いつも通り!」
ξ゚听)ξ「ちょっと内藤!油断するんじゃないわよ!怪我でもしたら許さないんだからね!」
(´・ω・`)「そうだよ内藤、ツンをあんまり心配させたら後が怖いんじゃないかい?」
ξ゚听)ξ「なっ、べ、別に内藤の心配してるんじゃないわよ!スカウト隊が内藤のせいで連携乱れたりしないようにt・・・(///」
荒巻「・・・心配は無用だ。内藤、長岡は私に続け!VIPスカウト隊の戦い方見せてやろうぞ!」
( ^ω^)「了解だお!三位一体の連携見せてやるお!」

(;^ω^)「・・・(なんで荒巻は戦闘の時だけ喋るんだお?)」



  
10:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2005/11/22(火) 19:48:45 ID:Pqdi5oXi0
  
戦車兵長「遊撃隊がきたぞ!撤退の時間は彼らが稼いでくれる!撤退だ!」

キュラキュラと音をたてて後退していく戦車隊。
それと入れ替わるように、人型戦車、士魂号M型3機が走ってくる。

('A`)「おいおい、逃げ足の速い戦車隊だな」
(´・ω・`)「僕らを信頼してくれてるって事じゃないかな。全力で後退してるみたいだし」
ξ゚听)ξ「まぁゴブリンやヒトウバン程度なら良いとしてナーガの相手は普通の戦車じゃキツイでしょうしね。ただでさえ人型士魂号は配備数が少ないんだから私たちが頑張らないと」
(´・ω・`)「そうだね。それじゃ散開しようか。僕は右、左はツン。狙撃支援はドクオに任せるよ」
('A`)「いつも通りだな。撃ちもらしやら何やらは俺に任せて暴れてきな」
ξ゚听)ξ「みんな専用改修機もらえたし性能テスト代わりってとこね。この超硬度ハルバードの威力、試してあげようじゃないの!」
(´・ω・`)「よし、それじゃ皆いくよ」

('A`)「なんで俺だけ普通のライフルなんだ?まぁカスタムはされてるから良いんだが・・・何だかなぁ」



  
11:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2005/11/22(火) 19:49:01 ID:Pqdi5oXi0
  
荒巻「ふむ、ショボン達は戦闘を開始したようだな」

荒巻の視線の先では、2体の鋼の巨人が次々と幻獣を撃破していた。
1つは斧槍を振り回し、もう1つは2対のガトリングガンを掃射している。
そして、撃破を免れた幻獣には遠方からの狙撃。

荒巻「よし、我らも続くぞ!市街の複雑な地形に隠れた雑魚どもを殲滅する。遅れるな!」
( ^ω^)「うはwwwゴブリンいっぱいwwwwきめぇwwwwwww」
( ゜∀゜)「一匹!撃破!」
( ^ω^)「ちょwww抜け駆けだおwwwww俺もやるおwwwwwww」
荒巻「ふはははは!!良い、中々良いじゃないかこの新型ウォードレスは!確かスカルチノフとか言ったな、気に入ったぞ!」

荒巻には高性能センサーのついた新型が与えられていた。センサーにより、荒巻のショートライフルでの早撃ちは最大限に効果を発揮している。
ちなみに内藤にはスピード重視のホライゾン、長岡は格闘戦重視のジョルジュが与えられている



  
12:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2005/11/22(火) 19:49:17 ID:Pqdi5oXi0
  
( ^ω^)「全人工筋肉、ホットからヒート!ブーーーーーーーーン!!!!!!!」
ゴブリンの群れに両手を広げて疾走する内藤。
内藤が走り去った後には、特殊加工された両手に削り取られたゴブリンが霧散するのみ。

( ゜∀゜)「ヒート!エクステンド!」
ゴブリンリーダーの顔を掴んだ長岡が叫ぶと、腕に内蔵された迫撃砲が炸裂する。
長岡は顔が吹き飛んだゴブリンリーダーを投げ捨てると、次の敵を殴り飛ばした。

荒巻「脆い!遅い!拙い!しょせんは小鬼よ、他愛ないわ!」
両手にもったショートライフルが火を噴くたびに、ゴブリンの頭が吹っ飛ぶ。
日ごろ寝てばかりなのが信じられないほどに、荒巻は死を撒き散らす。

(;^ω^)「ちょwww良く考えたら俺武器忘れてきてるおwwwwワロスwwwww」



  
13:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2005/11/22(火) 19:49:31 ID:Pqdi5oXi0
  
(,,゚Д゚)「戦車隊は撤退しきったみたいだな」
(*゚ー゚)「あらあら、あの戦車足回りの損傷がひどいわねぇ。整備の人に同情するわ」
(,,゚Д゚)「まぁ俺らも人型の整備は同情される余地満点なんだけどな」
整備兵A「・・・そう思うならあんまりこき使わないでくださいよ」

( ・(エ)・)「戦車隊撤退完了。敵幻獣殲滅率27%。幻獣、撤退開始したクマー」
FOX「悪くない結果だな。気負いや恐れもないようだ。この分だとミノタウルスやらスキュラの大部隊でも来ん限り安心か」
( ´_ゝ`)「自分らの認識より我が隊は優秀だったようですねぇ。いや重畳、重畳」
( ・(エ)・)「後続部隊到着。5121小隊ですクマー」
FOX「よし、各員深追いはするな。追撃は後続の部隊に任せろ。我が家に帰るぞ」

VIP小隊は緒戦を損害なし、撃破数多数の華々しい結果で飾った。
その夜、FOXは再び部下を焼肉につれていった。

(;^ω^)「・・・今夜は奢りじゃなかったお。財布忘れでもしたのかお?」
ξ゚听)ξ「・・・指令、今夜はいっぱい食べてたわね・・・」



  
14:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2005/11/22(火) 19:49:47 ID:Pqdi5oXi0
  
2週間後

(;^ω^)「つ、疲れるお。出撃数多すぎだお・・・」
(´・ω・`)「うん、そうだね。こうなると補給はもういらないとさえ思うよ」
ξ゚听)ξ「けど昨日は出撃なかったじゃない。文句いわないの!」
(*゚ー゚)「ちょっとみんな、いいニュースよ」
(,,゚Д゚)「俺らのいる地区が安全圏にはいったってよ。同地区の5121小隊が頑張ったみたいだ。アルカナ受賞者が出たらしいぞ」
( ・(エ)・)「しばらく休みが貰えるかも知れないクマー」

そのころ司令室では、FOXがモニターに向かって微妙な表情をうかべていた。

FOX「たしかに休暇はありがたいですが・・・よろしいので?準竜師?」
ひろゆき準竜師「かまわん。近々大規模な作戦行動が起きるかもしれんからな、存分に英気を養うがいい」
FOX「はっ。了解しました」

FOX「・・・大規模作戦だと?そんなものが必要なほどの幻獣の群れはないはずだが・・・」
( ´_ゝ`)「あんまり良い予感はしやせんねぇ・・・」



  
15:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2005/11/22(火) 19:50:56 ID:Pqdi5oXi0
  
VIP小隊は久々に3日の休暇をもらった。
当然訓練する者などなく、皆思い思いに休暇を楽しむようだ。

( ^ω^)「久しぶりの連休だお。ドクオとゴージャスタンゴでも見・・・」
ξ゚听)ξ「ちょっと内藤!市民プールのタダ券が余ってるらしいわよ!」
(;^ω^)「そ、それがどうしたお?」
ξ゚听)ξ「どうしたじゃないでしょ!もったいないから消費すんの手伝いなさいよ!」
(;^ω^)「わ、わかったお」
ξ゚听)ξ「それじゃ水着を買いに行くわよ!べ、別に張り切ってなんかないんだからね!水着がないだけよ!」

('A`)「・・・またあいつらは・・・」
(´・ω・`)「仲が良くて羨ましいじゃないか。僕らは男同士で酒でも飲もう」
('A`)「ま、それも悪かないな。それじゃテキーラを頼む」
(´・ω・`)「僕はマスターじゃないよ」

荒巻「・・・ブワッ」
( ゜∀゜)「荒巻!釣りいく!」
( ・(エ)・)「僕もいくクマー」
FOX「ほう、釣りか。私も行って良いかね?」
( ´_ゝ`)「んじゃ運転は任せてもらいやしょうかね」

(*゚ー゚)「さて・・・休みね」
(;,,゚Д゚)「あ、あぁ・・・。飯でも、食いに行くか?」



  
17:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2005/11/22(火) 19:51:14 ID:Pqdi5oXi0
  
楽しいときはすぐ過ぎる。
ここは熊本、日常に死が含まれる場所。
VIP小隊がつかのまの休暇を楽しんでいる間も、着々とそれは迫っている。

大規模作戦、熊本城攻防戦。
各地で散発して出現する幻獣と、それに協力する共生派を熊本城に集め、一気に殲滅するという何とも大味な作戦。
VIP小隊は、熊本城攻防戦の最先行部隊に任命されていた。



  
18:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2005/11/22(火) 19:51:31 ID:Pqdi5oXi0
  
FOX「お前たち、肉でも食いにいくか?奢るぞ?」

いつもなら一気にテンションがあがる一言だったが、今度ばかりは皆顔を見合わせる。
休暇の後の焼肉。このコンボは明らかに不吉だった。

(;^ω^)「・・・今度はなんだお?指令が肉奢るって言い出したときは悪いことが起こるお」
('A`)「阿蘇山でも噴火したか?」
(´・ω・`)「さすがに噴火は止められないよ」
(,,゚Д゚)「また整備が増えるのか・・・」
ξ゚听)ξ「また出撃なのね・・・」
(*゚ー゚)「たまには焼肉よりもっと高いもの食べさせて欲しいわねー」

( ´_ゝ`)「散々な言われようですねぇ・・・」
FOX[・・・うむ。もう二度と奢るだなどとは言うまい」

やや機嫌が悪いFOXが次の出撃内容を説明する。
曰く、熊本城に敵を集め一網打尽にする。ついては、最先行し集まってくる敵を迎撃、先行部隊と本隊が到着するまでの時間を稼がれたし。



  
19:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2005/11/22(火) 19:51:49 ID:Pqdi5oXi0
  
(;^ω^)「ちょwwwwww」
('A`)「そりゃウチの隊だけなのか?一隊だけで時間を稼げってのは無理だろうに」
(´・ω・`)「噴火止めろってほうがまだ良かったよ・・・」
(;゜∀゜)「勘弁!勘弁!」
荒巻「・・・ブワッ」
FOX「うむ、ウチだけだ。まぁ、その・・・なんだ。我々は捨て駒だと思ってもらってかまわん」
( ´_ゝ`)「癪な話ですがねぇ」
( ・(エ)・)「・・・で、指令。焼肉はどうなったクマー?」

FOX「天地がひっくり返ろうとも奢らんよ」

説明がおわり、それぞれが不満と不安を抱えながら解散していく。
あるものは愛機の調整に、あるものはそのまま家に、そしてあるものは恋人と過ごす。
生き残ってみせると思う者もいれば、死ぬ前に好きなことをしようという者もいた。
今回ばかりは皆、今までどおり死亡率0%を保つ事は無理だと感じていた。



  
20:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2005/11/22(火) 19:52:04 ID:Pqdi5oXi0
  
ξ゚听)ξ「あぁ・・・テンションさがるわ・・・」
( ^ω^)「大丈夫だお。ツンは僕が守ってみせるお。安心していいお」
ξ///)ξ「ば、馬鹿!別にそんな心配してないわよ!そ、それより自分の安全を心配しなさいよね!あんたはどこか抜けてるんだからね!?」

(,,゚Д゚)「やっぱ整備班も今度ばっかりは前線だろうなぁ・・・」
(*゚ー゚)「そうね・・・危なくなったらアナタを盾にするから」
(,,゚Д゚)「ま、逃げる時間くらいなら稼いでやるから。そん時は早く逃げるんだぞ」
(*゚ー゚)「あら、盾だって私のものなんだから。ちゃんと持って帰るわよ?」

( ゜∀゜)「荒巻!訓練!」
荒巻「・・・ブワッ」

(´・ω・`)「ドクオは・・・やっぱりいないか。帰ったかな」
(´・ω・`)「やれやれ・・・最後かも知れない夜に一人で調整するのも僕らしいかな」
整備員A「あれ、ショボンさん一人ですか?」
(´・ω・`)「うん、そうなんだ。すまない。勝手に道具使ってるよ」
整備員A「あ、良いですよ〜。・・・よし、私もお手伝いしちゃいますっ」
(´・ω・`)「良いのかい?すまないね」
整備員A「いえいえ、ショボンさんと一緒にいるのは楽しいですからw」



  
21:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2005/11/22(火) 19:52:20 ID:Pqdi5oXi0
  
ドクオは一人夜の住宅街を歩いていた。

('A`)「熊本城攻防戦・・・か」
('A`)「今までのループではたいてい先行部隊だったが・・・まさか最先行とはな」
('A`)「何人生き残れるかね・・・」

そう、この世界はループしている。新しい世界が繰り返される度に、人々の記憶はスタート地点までリセットされる。
だが例外もいる。記憶がリセットされず、何度も同じ時を生きつづける者が。
ドクオもその一人だった。
住宅街を抜け、ドクオは街外れにさしかかる。

('A`)「ん?ありゃぁ・・・重装甲西洋型?」

ドクオの視線の先では、西洋の騎士のような甲冑をつけた士魂号が大型幻獣に止めをさしていた。
敵を全て倒した事を確認して、騎士はドクオのほうに歩いてくる。

瀬戸口「・・・なんだ。誰かと思えばアンタか」
('A`)「よう。久しぶりだな絢爛舞踏」
瀬戸口「よしてくれ。今の俺はただの抜け殻さ、絢爛舞踏」



  
22:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2005/11/22(火) 19:52:35 ID:Pqdi5oXi0
  
ドクオがあった男は、5121小隊のオペレーターをやっている瀬戸口。
彼もまたループを生き続ける者、絶望し続ける鬼だった。

瀬戸口「最先行部隊ね・・・ありゃ骨がおれるんだよな」
('A`)「やったことあんのか?」
瀬戸口「一応ね。気をつけたほうが良い。あの時は岩田まで死んだからな」
('A`)「あの変態がやられたのか・・・穏やかじゃないな」
瀬戸口「ああ。多分珍しい幻獣が見れるぜ?じゃ、俺は帰るかな」
瀬戸口「あーそうそう。俺らは今回先行部隊だからさ、俺らが行くまで生き残れば案外全員助かるかも知れないな」

瀬戸口と別れた後、ドクオは家に帰らず小隊のハンガーに戻ってきた。
いい雰囲気で調整作業をしているショボンに気付かれないように、愛機に乗り込む。
ここでなら良く眠れそうだった。



  
23:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2005/11/22(火) 19:52:49 ID:Pqdi5oXi0
  
ドクオは夢を見ていた。かつての仲間たちと楽しく過ごした日々の夢を。
いつか死ねたら、彼らのもとへいけるだろうか。

('A`)「・・・っと。いい気分で寝ちまってたか」
('A`)「ん?なんだこの振動は?」

ドクオはメインモニターの電源をいれ、あたりを見回す。
後ろに流れていく景色。固定された自機。どうみても輸送トラックの上だった。

( ^ω^)「あ、ドクオが起きたみたいだお」
(´・ω・`)「気持ちよさそうに寝てたから起こさなかったよ」
ξ゚听)ξ「あんたニヤケながら寝てるんじゃないわよ」
(,,゚Д゚)「つーか朝だt・・・グフッ・・・」
(*゚ー゚)「女の子の前で下品なこと言わないの」
FOX「そろそろ熊本城だ。全員準備を怠るなよ。それとドクオ、寝る時は服を着ろ」

('A`)「・・・死にてぇ・・・」



  
25:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2005/11/22(火) 19:53:04 ID:Pqdi5oXi0
  
熊本城はまだ静かだった。VIP小隊は熊本城正門前に陣取る。

(,,゚Д゚)「指揮車配置終了。テント立て完了」
(*゚ー゚)「士魂号全機リフトオフ。全隊員ウォードレス装着完了・・・」
(#'A`)「着衣完了!これで文句ねぇだろ!]
(*゚ー゚)「・・・完了してませんでした。至急ドクオにも装着させます」

(;^ω^)「もうすぐ戦闘が始まるんだお。どれくらい幻獣が集まるんだお?」
( ・(エ)・)「集まってみないとわからないらしいクマー」
(´・ω・`)「ほかの部隊が来るまでの辛抱さ。頑張って生き残ろう」
( ´_ゝ`)「みなさん配置についておくんなさい。あと数分で敵さんおこしになりやすよ」

レーダーには少しずつ幻獣の反応が増えている。
幻獣を表す赤い光点は、確実に熊本城に近づいていた。



  
27:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2005/11/22(火) 19:55:30 ID:Pqdi5oXi0
  
最初はゴブリン、ヒトウバンなどの小型幻獣が集まってきた。
数は多めだったが、いまさら小型が集まったところでVIP小隊の敵ではない。

次に、ナーガ、ゴルゴーン等の中型射撃タイプの幻獣が集まってきた。
遮蔽物を利用しナーガのレーザー、ゴルゴーンのミサイルをかわしながら、着実に撃破していく。

ミノタウルスとスキュラが出現する頃には、中型は残り10匹以下、小型の数も半分ほどになっていた。
ミノタウルスは足が遅い上、格闘戦しかしない。まだ遠くにいるためひとまず後回し。
まずは厄介なスキュラを撃破した。

この時点で損害はなし、この調子を維持できれば、全員生存できる。
小隊全体に希望がわいていた。



  
28:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2005/11/22(火) 19:55:53 ID:Pqdi5oXi0
  
( ・(エ)・)「ドクオ機、スキュラを撃破クマー」
荒巻「うむ、やりおるわ!」
( ^ω^)「寝るとき服脱いで涎たらしてるクセに大したもんだおwwwww」
(#'A`)「・・・撃たれたいのか内藤」

('A`):(しかし妙だな・・・予想外に楽すぎる。珍しい幻獣とやらは出るんだろうな?)

( ・(エ)・)「!?味方陣形内に幻獣実体化!気をつけるクマー!」
('A`)「なに!?」
(;^ω^)「じ、実体化がはやいお!なんだお、アイツ!」

ファービー「ファー・・・ブルスコ・・・ファー」
それは昔どこかで見たような姿をしていた。そう、その幻獣は、昔流行ったファービー人形に似ていた。
振動するファービー。口を開き激しく揺れながら、ビチャビチャと唾液を撒き散らす。

ξ゚听)ξ「なによあれ・・・見たこともない幻獣・・・?」
荒巻「先手必勝!」
( ゜∀゜)「突撃!突撃!」
(;^ω^)「ちょwwwwまてwwwww」



  
31:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2005/11/22(火) 19:58:28 ID:Pqdi5oXi0
  
ファービーに突っ込んでいく荒巻と長岡。
荒巻がショートライフルを構え、引き金を引こうとした瞬間。

ファービー「プワァァァァァァ!!!!!」
ファービーは大音量の奇声とともに光を放った。

FOX「なんだ!?」
(´・ω・`)「「これは・・・体が、動かない・・・?」
( ・(エ)・)「いまの攻撃の解析結果でたクマー。超音波と特殊なフラッシュでこちらのパイロットの運動中枢がマヒしてるクマー」
('A`)「ちっ・・・そう来るかよ・・・」

( ^ω^)「僕は動けるお。音をくらっただけなら大丈夫みたいだお」
ξ゚听)ξ「私もいけるわ。他には誰かいない?」
FOX「指揮車は動けるぞ」
荒巻「むぅ・・・!直撃だ、戦闘行動の続行不可能!」
(;゜∀゜)「麻痺!麻痺!」



  
32:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2005/11/22(火) 20:03:00 ID:Pqdi5oXi0
  
(;^ω^)「動けるのは僕とツン、指揮車だけかお?」

動けるのは建物の影にいたため光を免れた内藤とツン、比較的遠くにいた指揮車だけのようだった。
至近距離でくらった荒巻と長岡は、なんとか這って近くの建物に隠れた。

( ・(エ)・)「敵新型幻獣に微弱振動。推定5分でさっきの超音波と光が発されるクマー」
FOX「ひたすら繰り返して我々の動きを封じるつもりか。・・・内藤、ツンだけであの新型をやるしかないようだな」

FOXの作戦は単純だった。内藤が全速でファービーに突っ込み、撃破。
ファービーまでの内藤の安全はツンが確保する。
なお、内藤への援護はドクオ機が装備していた92mmライフルで行う。

(;^ω^)「ちょwwwツンは狙撃は得意じゃないお、死んでしまうおwwww」
FOX「だがこうするしかあるまい。指揮車では決定的なダメージは与えられん。君等がやらんと動けない者は他の幻獣にやられるのを待つだけだ」
(;^ω^)「うはwwwwwwテラキビシスwwwwwww」
ξ゚听)ξ「・・・大丈夫よ」
( ^ω^)「え?」
ξ゚听)ξ「あなたは死なないわ・・・私が守るもの」



  
34:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2005/11/22(火) 20:07:24 ID:Pqdi5oXi0
  
(;^ω^)「・・・ツンがあんなに素直なんて変だお。らしくないお。緊張してるのかお?」

FOX「配置についたな?内藤は敵新型だけを狙え。他はツンに任せろ。残り時間は3分20秒、頼むぞ!」

( ^ω^)「仕方ないお・・・ウォードレス、全筋肉ヒート!カウント開始OK!いつでもいいお!」
ξ゚听)ξ「ツン機、装備変更完了。残弾十分。狙撃地点到着。いつでもいいわ」
FOX「よし、カウント開始。3,2,1…いけ!」
( ^ω^)「ブーーーーーーーーン!!!!!!!!!!!」

両手をひろげて滑走する内藤。背中に装備したリテルゴルロケットを噴射させ、内藤の体が空に舞う。
ファービーへの到達予想時間は2分。周囲にはゴルゴーン一匹、ナーガ三匹、ゴブリン多数。
ゴブリンは無視する。内藤は両手の微妙なコントロールで空中制御を行い、襲いくるナーガのレーザーとゴルゴーンのミサイルを回避しつつファービーに突撃する。

ξ゚听)ξ「敵ロック。狙撃開始します」
ターゲットサイトがナーガを捕らえる。普段狙撃の成績は部隊最低のツンがはなった初弾は、正確にナーガの頭を吹き飛ばした。



  
40:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2005/11/22(火) 20:38:14 ID:Pqdi5oXi0
  
ξ゚听)ξ「よしっ!次!」

2射目、3射目もナーガを粉砕、内藤を守るため、ツンの集中力はいままでに無いほど研ぎ澄まされていた。
残った障害はゴルゴーンのみ、ツンは冷静に照準をあわせる。

('A`)「よし、いいぞ!やるじゃねーかツン!・・・ん?」

だが、狙撃に専念しターゲットにのみ集中していた事が仇となった。
ドクオなら。ドクオが狙撃していたのなら気がついたろう。新型幻獣の微妙な変化に。
決定的な経験の差。それはツンにはどうしようもない事だった。

( ・(エ)・)「!?敵新型、熱量増加!気をつけるクマー!」

ツンの4射目がゴルゴーンの頭部を粉砕する。
直後、ファービーは肉薄した内藤に撃破された。
ツンは気付いていなかった。ファービ−の両目が光を失っていないことに。
最後の障害であるゴルゴーンを排除し、安心しきっていた。
モルスァみたいな声を上げながら崩れ落ちるファービ−。

('A`)「!まずい!!」

露散する直前、ファービーは両目からレーザーを放った。



  
41:1 ◆NcZOHhe0jA:2005/11/22(火) 20:41:18 ID:Pqdi5oXi0
  
内藤は空を駆ける。駆けるという行為に関しては、彼に並ぶものはいない。
敵のレーザーを悉くかわし、生体ミサイルを振り切る。
内藤が駆け抜けた後には、ツンに打ち抜かれた幻獣が露散していく。
そして、内藤はファービーにたどり着いた。
後ろから内藤を狙ったゴルゴーンはツンの狙撃で撃破される。

( ・(エ)・)「敵新型、熱量増加!気をつけr」
( ^ω^)「大丈夫、間に合ったお!何かする前にこいつを!」

リテルゴルロケットを切り離す。勢いをそのままにファービーののど元に取り付く内藤。

( ^ω^)「首元を・・・横合いから思いっきり!!」

内藤が渾身の力をこめて放ったチョップは、ファービ−の首を半分ほど削り取る。
撃破を確信した内藤は、ファービ−の体を蹴り近くのビルまで跳躍、ファ−ビーに背中をみせる形で着地した。

ファービー「モルスァ」
('A`)「!まずい!!」

視線をあげるのと、ツン機がレーザーに貫かれるのは同時だった。



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