ガンパレードブーン


  
888:1 ◆NcZOHhe0jA :2005/12/01(木) 22:56:15 ID:S8TwSNbE0
  
( ´_ゝ`)「おや。なんの催しですかねぇ」
FOX「・・・うーむ。どう見ても幻獣だな・・・」
(,,゚Д゚)「新種か?見たことないな、あれ。かっこいい幻獣だなぁ」
( ´_ゝ`)「ソウルテイカーとかガイバーに近いもんがありやすねぇ」
FOX「ふむ。詳しいな、フーン」
(,,゚Д゚)「いやー・・・しかしいきなり出ましたね。・・・ん?これって避難させないとやばくね?」
FOX「まったくだな。ハッハッハ」

FOX「・・・何を呑気に話してるんだ我々は!行くぞ、周辺の民間人を避難させるんだ!」



  
890:1 ◆NcZOHhe0jA :2005/12/01(木) 23:09:40 ID:S8TwSNbE0
  
FOX「いるか、クマー!周辺に避難勧告だ!」
( ・(エ)・)「とっくに出したクマー。各小隊員もこっちに向かうように言ったクマー。指令今まで何してたクマー?」
FOX「・・・うむ、細かいことは気にするな!」

FOXとフーンは指揮車に乗り込む。
指揮車ではすでにクマーが避難勧告等を済ませ、突如現れた幻獣を監視していた。
校庭に現れた幻獣は出現時から動かず、あたりを見回している。
そのしぐさは何かを探しているようだった。
指揮車のモニターに、学校のはずれにある整備テントからL型戦車がでてくるのが見える。

FOX「L型?誰が乗っている?」
('A`)「俺に決まってるだろうが!俺に乗れっていったのは誰だよ!」
FOX「おぉ、ドクオか!学校にいたのか、助かったぞ!」
('A`)「助かったじゃあるか!なんだありゃぁよ!いきなり出てきやがったぞ!?」
FOX「わからん。完全にデータにないタイプだ。動くそぶりは見せていない、周辺の避難が済むまで動かないでくれれば良いが・・・」
('A`)「ああ、L型であんなの相手すんのはごめんだ。・・・っておい!動くぞ、あいつ!」
FOX「なんだと!?」



  
895:1 ◆NcZOHhe0jA :2005/12/01(木) 23:22:20 ID:S8TwSNbE0
  
VIP小隊からの中継映像をみた上層部は、新型幻獣の仮称を竜とした。
動き出した竜に対し、VIP小隊は周辺の安全が確保されるまでの足止めを通達された。

('A`)「どこに行くんだ、あいつは。てっきり攻撃でもしてくるかと思ったが・・・」
FOX「ドクオ、あれを足止めしろ。避難がすむまであれを移動させるわけにはいかん。ちなみに、あれの名称は竜だ」
('A`)「!!・・・わかった。あいつの相手は俺がする。はやく増援を送ってくれよ」
FOX「うむ、もうじき荒巻と長岡がでる。内藤もそろそろ着くはずだ。頼むぞ!」

('A`):(竜・・・。そうか、そういうことか。それが、世界の選択・・・か)

L型が走る。
6輪の車輪と車体に不釣合いな砲身をもつ、人型ではない侍は、たった一機で戦闘を開始する。

('A`)「士魂号L型か・・・人型じゃねぇと役に立たない訳じゃないって教えてやるぜ」



  
898:1 ◆NcZOHhe0jA :2005/12/01(木) 23:41:45 ID:S8TwSNbE0
  
ドクオはL型を操縦しながら、平行していくつかの作業をこなしていた。
戦場では、一つのことしか出来ない奴から死んでいく。
周囲の地形の確認、L型がはいれる道の検索、避難がおくれている地点の確認。

('A`)「翼安定硬性徹甲弾、装填。第一射、いくぞ」

周囲に雷鳴のような音が鳴り響く。
その音に反応して振り返った竜の頭部を、ドクオの放った砲弾がかすめた。

('A`)「はずしたか・・・回避行動と共に射撃プログラム修正、っと。どこまでやれるかねぇ」

L型は建物の影に隠れる。
さっきまでL型がいたところを、生体レーザーが削っていった。



  
903:1 ◆NcZOHhe0jA :2005/12/01(木) 23:53:22 ID:S8TwSNbE0
  
竜は、自分の顔を何かがかすっていったことに怒っていた。

(私はショボンさんを探してるだけなのにジャマをした!許せない!殺す!)

竜になった人間。
VIP小隊の整備兵であった勇美は、士魂微章をもっていた。
しかも、その成績は中々に優秀。本来なら彼女がツンのかわりに人型に乗るはずだった。
だが、彼女は戦うことを嫌った。
その彼女、竜は、今その優秀な成績を誇った戦術知識を発揮し、邪魔者を排除しようとした。

(今の一撃は遠かった。敵は手練。おそらく地形で射点を決めている。つまり、射撃に有利なところに敵がいる!)

竜は優秀だった。
いまや、なぜ自分がそんな知識をもっているのかも分からなかったが。
分かっているのは、ショボンを探さねばならないという事だけだった。



  
907:1 ◆NcZOHhe0jA :2005/12/02(金) 00:10:13 ID:kgQ8YeD10
  
ドクオはわざとゆっくり次の射撃地点に進んだ。
ドクオが射撃地点に到着する少し前に、目標射撃地点に生体ミサイルが着弾する。

('A`):(・・・記憶、というか技能は残っているようだな。中々優秀な奴だ、地形の事を知ってやがる)

もちろん、その程度では合格点は与えられないが。
砲身に焼痍榴弾をこめ、建物の影から躍り出る。
前方には竜がいる。
誰が竜になったんだか。
ドクオはふとそう思ったが、すぐにそれを振り払う。
竜は掌の赤い目に赤い光を湛えていた。

('A`)「甘いんだよなー。戦術ってもんを教えてやるぜ」

ドクオは焼痍榴弾を撃ち込む。
竜に着弾したそれは、まったくダメージを与えなかった。
竜はその非力な攻撃をもって、敵を雑魚だと判断した。
余裕の現われか、悠然と放ったレーザーは、体にまとわりついた焼痍弾の炎で曲がり、見当違いな所に着弾した。



  
911:1 ◆NcZOHhe0jA :2005/12/02(金) 00:29:43 ID:kgQ8YeD10
  
炎に包まれ正確な射撃ができない竜に、通常徹甲弾をお見舞いする。
ドクオは、人型ですらない戦車で竜を翻弄した。
だが、竜は竜。
腕のいい芋虫ががんばったところで、それは最強の幻獣だった。
もちろんドクオもそれをわかっている。

('A`)「そろそろか?・・・やっぱりな、おいでなすった」

竜は、自分に従う幻獣をよびだした。
多数の幻獣が周辺に実体化する。
ドクオのL型に、ゴブリンが殺到した。
竜はL型の相手を自分が呼んだ幻獣に任せ、人探しを再開する。

('A`)「・・・俺の予想より数が多いな・・・むしろ、多すぎ」

ドクオは複数のゴブリンと、2匹のナーガに包囲される。
これでは竜の足止めができない。



  
918:1 ◆NcZOHhe0jA :2005/12/02(金) 01:11:46 ID:kgQ8YeD10
  
('A`)「まずは雑魚を何とかしねぇとな・・・!」

ドクオはすぐさまナーガに通常榴弾を撃ち込んだ。
ナーガが粉砕されると同時に、ゴブリンをひき殺していく。
残ったナーガのレーザーを避けようとしたとき、そのナーガが撃破される。

( ゜∀゜)「またせた!ドクオ!」
荒巻「竜はのこりの幻獣をひきつれて移動を再開した。足止めするぞ」
('A`)「ひきつれて?そいつは厄介だな」
荒巻「我々が敵をかく乱する。後方支援は頼むぞ」
('A`)「あいよ。死ぬなよお二人さん」
( ゜∀゜)「死なない!死なない!」



  
917:1 ◆NcZOHhe0jA :2005/12/02(金) 01:11:13 ID:kgQ8YeD10
  
内藤がウォードレスを着て出撃したとき、荒巻、長岡、ドクオは竜と取り巻きを相手に善戦していた。
荒巻と長岡が雑魚を倒しつつ竜の注意をひきつけ、ドクオが砲撃する。

( ^ω^)「・・・あの幻獣・・・竜かお・・・!?」

内藤はあの悪い夢を思い出す。
少し遠くに見える幻獣は、夢で見た竜とは姿が違う。
だが、内藤は確信した。あれは竜だと。
そして、あの幻獣が竜という事は、あれはクラスメートだという事だろうか。

(;^ω^)「・・・倒さないといけないのかお・・・?」

内藤は迷いも抱きながらも、仲間のもとに急いだ。
相手がクラスメートだとしても、仲間を死なせるわけにはいかない。



  
924:1 ◆NcZOHhe0jA :2005/12/02(金) 01:22:42 ID:kgQ8YeD10
  
('A`)「きたか、内藤・・・」
(;^ω^)「ドクオ、あの幻獣は実は・・・」
('A`)「言うな。わかってるさ・・・だがな、内藤。あれは幻獣だ。それに違いはない」
( ^ω^)「・・・それが正しい選択なのかお・・・?俺はそうは思わないお」
('A`)「・・・助けるなんていわないよな」
( ^ω^)「出来るとはいわないお。けど、殺す気はないお」
('A`)「そうか。・・・けど、せめて動きはとめないとな」

( ゜∀゜)「あれ!なんだ!」
荒巻「・・・手の先に、瘤?何をする気だ?」
('A`)「・・・嫌ーな予感がするなぁ、内藤?」
(;^ω^)「みんな避けるお!!」

内藤の脳裏に、またあの悪い夢が思い出される。
あの瘤は夢にでてきた。
今おもえば、あれは夢だったのだろうか。
現実に合致することが多すぎる気がする。
あれが夢でなくいつかあった事だったら、おそらくあの瘤は。

内藤の予想通り、竜は瘤から拡散レーザーを放った。
その数は、夢でみたものよりも多い。



  
925:1 ◆NcZOHhe0jA :2005/12/02(金) 01:27:05 ID:kgQ8YeD10
  
荒巻「なんと!」
(;゜∀゜)「回避!回避!」
('A`)「ほらきた。L型で避けれるんかねぇ・・・」

幾条ものレーザーが地面を穿つ。
長岡は建物の影にかくれてやりすごす。
遮蔽物のない平地にいた荒巻は、自力での回避を余儀なくされた。
いくつかの回避に成功するが、避け切れなかったレーザーが眼前にせまる。

荒巻「ぬぅぅっ!だめか!」

荒巻が死を覚悟したとき、荒巻の体が宙に舞った。
高速で機動する内藤が、荒巻を抱きかかえていた。
内藤は全レーザーを容易く避け、荒巻をおろす。

荒巻「・・・助かったぞ内藤。死ぬかと思ったわ」
( ^ω^)「あれの相手は任せるお。荒巻と長岡は雑魚を頼むお」
荒巻「・・・むぅ。大丈夫なのか、内藤」
( ^ω^)「・・・僕は大丈夫だお。少なくともあの程度の攻撃では死なないお」
荒巻「そうか。いつのまにか知らんが、力の差が出来ているのだな・・・。いくぞ長岡!我々は雑魚を倒す!」
( ゜∀゜)「了解!了解!」



  
926:1 ◆NcZOHhe0jA :2005/12/02(金) 01:35:24 ID:kgQ8YeD10
  
荒巻と長岡はすぐに散開し、雑魚の相手に向かった。
竜の相手をするのは無理があるが、その手際のよさはさすがだ。

( ^ω^)「さて・・・やるお、ドクオ」
('A`)「いや、つーかよ。俺も一発くらってんだが」
(;^ω^)「・・・マジかお?」
('A`)「大マジよ。足回りがやられた。動けん」
(;^ω^)「ちょwwwおまwwwwww」
('A`)「まぁ、降りて戦ってやるよ・・・。カトラスしかねぇがな」
( ^ω^)「十分だお。あいつ大きさは士魂号より2回りくらい小さいお。ウォードレスでも大丈夫だお」
('A`)「あったくよーめんどくせぇな」

ドクオはL型から降りる。その手にはカトラス。
内藤とドクオは竜にむかって駆け出した。
雑魚は荒巻と長岡が抑えてくれる。
相手は竜のみ。
伝説の狐と忘れられた絢爛舞踏は、疾く駆ける。



  
929:1 ◆NcZOHhe0jA :2005/12/02(金) 01:45:21 ID:kgQ8YeD10
  
竜の拡散レーザーを避けて、二人は竜にとりついた。
竜のサイズはおよそ6M。相手をできないほど巨大ではない。

('A`)「よっと!」

ドクオのふるったカトラスが、当然のようにはじかれる。

( ^ω^)「せい!」

内藤の蹴りも、上に同じ。
ドクオと内藤の攻撃は、硬い皮膚に防がれる。

竜は不愉快だった。
人を探しているだけなのに、なぜ邪魔をされるのか。
なぜ自分を殺そうとするのか。
自分の周りをちょこまかと跳びまわるハエを忌々しく思う。
だが、そのハエ達ははやかった。
自分の放つレーザーを避け、振るう腕をたやすくかわす。
きっとハエが小さいからだ。同じサイズならこうはいくまい。
そう思った竜は、体を縮ませた。

(そういえば、私は誰を探していたんだっけ?)



  
932:1 ◆NcZOHhe0jA :2005/12/02(金) 01:55:09 ID:kgQ8YeD10
  
サイズを人間程度にした竜は、今までとは違った、
単純に小さくなっただけではない。
6M級の体躯が縮み、その筋肉がすべて人間サイズに凝縮される。
皮膚の硬さは変わらず、その膂力と速度は数倍に跳ねあがる。
ためしにハエの一匹を殴ってみたら、今まで避けられていたのにわりと簡単に当たった。
カトラスをもったハエが吹っ飛ぶ。


( ^ω^)「ドクオ!」
('A`)「ぐぉ・・・。油断しちまった。野郎、なんてこった。小さくなっただけじゃねぇ、速ぇ・・・!」
( ^ω^)「大丈夫かお?」
('A`)「当然よ、ちゃんと防御したっての。けどよ、ちぃと厄介になったな・・・くるぞ!」

竜は速かった。
動いたと思ったら、目の前にいて腕を振りかぶっている。
振り下ろされた腕をかろうじて避け、ドクオはカトラスをかまえる。
自分がさっきまでいた所には、大きなクレーターが出来ている。
女性的な細腕からは想像もつかない力だ。

('A`)「おいおいおい!俺帰っていいか!?」
( ^ω^)「こいつを何とかしたら帰っていいお!・・・もらったお!!」

速度なら、内藤も負けてはいない。
爆発的な踏み込みから、竜の顔面に拳を撃ち込む。
速度とは力だ。内藤のスピードからくりだされる一撃は、速度の力をのせた重い一撃。
だが、その拳は竜に届かなかった。
竜は避けたわけではない。内藤の拳は、顔面に叩き込まれる前に竜の手に掴まれた。



  
934:1 ◆NcZOHhe0jA :2005/12/02(金) 02:08:50 ID:kgQ8YeD10
  
(;^ω^)「ちょ、想定の範囲外だお・・・!」

竜は内藤の手を掴んだまま、腕を無造作に振り回す。
内藤の体は何度か地面に叩きつけられたあと、ちかくにあった電柱に投げつけられる。

( ^ω^)「くぉっ!?まだだお!」

電柱に叩きつけられる直前に、内藤は空中で一回転し電柱に着地した。
顔をあげると、生体レーザーが迫っている。
内藤は電柱をけりドクオの近くまで跳んだ。
竜はゆっくりと振り返り、歩いてくる。

(;^ω^)「前の竜より強いお・・・!」
('A`)「あん?お前今なんつった?前の竜だと!?」
( ^ω^)「あぁ、そうか。あれは夢だったんだったお」
('A`)「夢・・・?そうか、そういうことかよ。なら、なんとしてもあいつを助けないとな・・・!」
( ^ω^)「どういうことだお?」
('A`)「それが世界の選択ってことさ。おい、内藤。その夢の中でよ、こいつを見なかったか?」

そういったドクオに、青い光が集まってくる。
それは内藤が夢の中でみた青い光。5121小隊の白い帽子のスカウトと同じ光。



  
935:1 ◆NcZOHhe0jA :2005/12/02(金) 02:19:42 ID:kgQ8YeD10
  
(;^ω^)「な・・・!たしかに夢の中でみたお・・・!白い帽子の人がそれで竜を・・・!?なんでドクオが・・・」
('A`)「白い帽子の人だぁ?・・・ちなみによ、そいつ、どうなった?」
( ^ω^)「・・・竜に青い光を撃ち込んで竜の肩を吹っ飛ばしたお。そのあと・・・死んじゃったお・・・」
('A`)「そうか・・・来須もやられたか。で、その竜よりもアレは強いと。・・・めんどくせぇなぁ」

ドクオの体にあつまった光が、カトラスに集まっていく。
青い光はカトラスを包み、青いカトラスを形作る。
不思議な光景だが、違和感はなかった。夢で見慣れた光だったから。
夢の中で、自分もあの青い光を使っていたから。

('A`)「精霊剣・・・!リューンを使うのは好きじゃないんだが、仕方ねぇ!やるぜ、内藤。隙を作れ!」
(;^ω^)「わ、わかったお!」

(;^ω^):(あれは夢じゃないのかお?・・・夢じゃないとしたら・・・)

ドクオが竜に突撃する。
内藤はドクオに先行した。
竜の周りを駆け、かく乱する。
竜はなんでもなさそうに内藤を眺め、アーリィFOXと同程度のスピードで内藤を捉えた。



  
939:1 ◆NcZOHhe0jA :2005/12/02(金) 03:05:34 ID:kgQ8YeD10
  
(;^ω^)「何っ!?・・・舐めるなお!追いつけるもんなら追いついてみろお!」

内藤の速度があがる。
着地点に亀裂を作りながら、内藤は竜の後ろを取る。
繰り出した拳は空を切った。
竜は、内藤の後ろにいた。内藤に悪寒がはしる。


(;^ω^)「!?」
('A`)「させんぜ!」

内藤に手刀が突き出される。
ナイフなど比べ物にならない鋭さと強度をもつそれが内藤の体を貫く前に、ドクオのカトラスが竜の手を切断した。
内藤はとっさに後ろにいる竜を蹴り飛ばす。

( ^ω^)「助かったお、ドクオ!」
('A`)「なぁに・・・。しっかし、無駄に速ぇな、あいつ。動きを止めるなんて言ってられねぇじゃねぇか」
( ^ω^)「・・・何か手はないかお?」
('A`)「手ってもなぁ・・・?無いでもないが俺だけじゃ出来ねぇし何より・・・敵さんもう目の前だしな」

眼前には、姿もかすむほどの速度で迫る竜の姿があった。



  
941:1 ◆NcZOHhe0jA :2005/12/02(金) 03:20:24 ID:kgQ8YeD10
  
竜が迫る。
内藤に向かって放たれたレーザーをドクオのカトラスが弾く。
ついで繰り出された爪をよけ、二人は散開した。
内藤は竜の高速の機動に、同じように高速の機動で張り合う。
ドクオは竜の動きを予測し、最小限の動きで竜をやりすごす。

( ^ω^)「・・・!こいつっ!!」

竜は、速かった。内藤よりも。
少しずつに内藤の速度を上回っていく。
やがて、その差は決定的に。
内藤の速度を凌駕した竜は、内藤を遠くまで殴り飛ばす。
現状では、竜に有効な攻撃はドクオの青く光るカトラスだけだ。
竜もそれをわかっていた。
内藤を殴り飛ばしたあと、すぐさまドクオに襲い掛かる。
いかに動きを予測し、攻撃されるより先に避けても。
その圧倒的なスピードの差は、覆せない。
繰り出される攻撃を避ける度に、予測回避が追いつかなくなってくる。

('A`)「はっは、本当に速ぇなー・・・こりゃ避けれん」

そして、幾度目かの爪が振るわれ、ドクオの片腕が放物線を描き宙に舞った。



  
948:1 ◆NcZOHhe0jA :2005/12/02(金) 05:27:10 ID:kgQ8YeD10
  
(;^ω^)「ドクオっ!!」

目の前では、ドクオが腕を切り飛ばされていた。
次に心臓を狙った一撃をドクオは避ける。
なんとか回避を続けるが、すぐにまた食らうだろう。
それはつまり、ドクオの死を意味する。

( ^ω^):(誰も死なせないお!あれが・・・夢じゃないのなら・・・!)

( ^ω^)「出来るはずだお!光よ、力を貸すお!!」

内藤は希望した。誰も死なない幸せな結末を。
それに答えるのは、どこかの誰か。
アーリィFOXの中の誰かは、内藤に応え、精霊回路を起動する。

VIPPERS - SYSTEM ver0.87

...nu ru po

GA!!

"うはwwwおけwwwwwwwwおまえらキタコレwwwwwww”



  
952:1 ◆NcZOHhe0jA :2005/12/02(金) 05:32:24 ID:kgQ8YeD10
  
('A`)「また・・・食らう・・・!けっ、死んだな、こりゃ」

ドクオの首に、居合いの如く爪が奔る。
あれに首を飛ばされて、自分は死ぬ。
どう考えても覆せないその状況を、ドクオは悪態をついて受け入れた。

( ^ω^)「精霊ブーーーーーーーーーーン!!!!!!!」

だが、その爪はドクオに届かなかった。
完全に人智を超えた速度で突撃した内藤が、寸でのところでドクオを救った。
竜は予想外の衝撃に吹っ飛ばされ、近くのボロアパートに突っ込んだ。

('A`)「!?内藤、お前・・・?そりゃぁ・・・」
( ^ω^)「・・・この光が教えてくれたお、ドクオ。あれは夢じゃなかったお。あれは・・・あったかもしれない未来だお」
('A`)「・・・そうか。それで、どうする?あいつをどうにかできるのか?」
( ^ω^)「してみせるお。もう悲しみはいらないお。みんなで幸せになるんだお」
('A`)「俺はもう足手まといだが・・・一人で大丈夫か?」
( ^ω^)「大丈夫だお、俺は一人じゃないお。誰なのかも知らないけど、俺と一緒に戦ってくれてる奴がいるお」
('A`)「・・・介入者か・・・わかった、お前に任せる。お荷物の俺は下がるぜ」

( ^ω^)「任せるお・・・俺には味方がたくさんいるお。一人一人は単なる火だけど、集まれば炎だお!炎となったアーリィFOXは無敵だお!!」



74:1 ◆NcZOHhe0jA :2005/12/02(金) 18:23:22 ID:kgQ8YeD10
内藤の言うとおり、それはもはや炎だった。
内藤の青い光。夢の中で来須から受け継いだ青い光。
アーリィFOXの中の誰かが集める青い光。
そして、さらに青い光は集まる。
青い炎は駆ける。炎は尾をひき、竜に迫る。
それは、いつか見た青い流星。


FOX「内藤のスペックデータ・・・通常の3倍?いや、4倍はでているぞ・・・!?」
( ´_ゝ`)「こりゃぁ・・・人間、か・・・?」
( ・(エ)・)「・・・僕らは、幻獣より恐い人の肩をそれとなく叩いてたのかクマー・・・?」

三人の脳裏に一つの単語が浮かぶ。絢爛舞踏。
呼吸するかのように死を撒き散らす人外の存在。
指揮車を中心に組まれた仮設テントで、恐怖が生まれた。
人外の存在に対する恐怖が。
だが、それをあっさり払拭する一言があった。

(,,゚Д゚)「ん?別にすげぇ強くっても内藤は内藤だろ?なんでそんな顔してんだ?」
(*゚ー゚)「・・・ふふ、その通りね。あなたのそういう所、好きよ。ギコ?」
(,,゚Д゚)「お、おいおい、よせよ恥ずかしいな・・・」
FOX「・・・そうだな。たとえ絢爛舞踏でも、怖がるようなことではない、な」
( ´_ゝ`)「そういやそうですねぇ・・・。どうも先入観が強すぎたみてぇだ、こいつぁいけねぇや」
(*゚ー゚)「そうよ?せっかく頑張ってるのに帰ってきてみんなに恐がられたら可哀想じゃないの。内藤君は何も変わらないんだから」



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