ガンパレードブーン


336:1 ◆NcZOHhe0jA :2005/12/03(土) 08:50:05 ID:2Sy3H+ME0
竜の出現からはや3ヶ月。   
自然休戦期にはいり、学兵達はつかの間ではあるが平和な日々を満喫していた。
季節は夏。
とても暑い夏だった。

( ^ω^)「さて、授業おわったお。ゴージャスタンゴでもみるお、ドクオ」
('A`)「おお、今日は幻の1238話を入手したんだ。さっさと帰ろうぜ」
( ^ω^)「ショボンもどうだお?」
(´・ω・`)「すまない。今日は勇美と遊びに行くんだ」
('A`)「けっ・・・今日は、じゃなくて今日も、だろうが」
勇美「あ、ショボンさーん!はやく行きましょうよぉ、夏祭り始まっちゃいますよ〜?」
(´・ω・`)「そういう訳で、すまないね」

ショボンと勇美は仲良く腕を組んで去っていく。
あの竜戦からこの方、とどまるところを知らないバカップルぶりだった。

( ^ω^)「うーん。本当にむつまじいお」
('A`)「殺してやりてぇくらいにな・・・」



  
337:1 ◆NcZOHhe0jA :2005/12/03(土) 08:50:48 ID:2Sy3H+ME0
  
( ^ω^)「・・・って、さっき勇美さん夏祭りとか言ってたお?」
('A`)「ん?ああ、今日は熊本神社で夏祭りだぜ?俺には関係ないがな」
(;^ω^)「それは・・・やばす」
('A`)「やばいって何が・・・殺気・・・!?」
ξ゚听)ξ「内藤・・・?まさか帰るつもり?今日は何か予定がなかったかしら・・・?」
(;^ω^)「ま、まさか!ちょっとドクオとジュース買いに行こうとしただけだお!」
(;'A`)「ぉ、おお。そうだぜツン。内藤がいるならもってけよ、な」
ξ゚听)ξ「そう?じゃもらっていくわよ。・・・はやくきなさいよ内藤」
(;^ω^)「い、今いくお。まってくれお」

内藤はこちらに手を合わせてツンについていった。
どうせあいつらも夏祭りだろう。
それにしても。

(;'A`):(ツンの奴・・・あの殺気は只者じゃねぇ。もしかして俺より強いんじゃねぇの?)



  
338:1 ◆NcZOHhe0jA :2005/12/03(土) 08:51:07 ID:2Sy3H+ME0
  
あたりは静かに夜の闇に包まれる。
今日は夏祭りとあって、熊本神社にはたくさんの人が集まっていた。
浴衣を着た女の子と、目の保養につとめる男ども。
実に平和だ。

ところで、気付いているだろうか。
女の子が浴衣姿ということの意味に。
そう、それはつまり、素足で下駄をはいているということ。
そして、素足ということは。
自宅には靴下があるということだ。
しかも、今日は平日。学校から帰って浴衣に着替えるという段階をふむはず。
今、女の子たちの自宅にある靴下は、脱いだ後洗っていない。

('A`)「・・・俺だ。わかった、決行はその時間に・・・ゴッドスピード、Mr.B」

熊本神社夏祭り。
その平和なイベントの裏で、血で血を―――いや、靴下で靴下を洗う戦いがはじまる。



  
339:1 ◆NcZOHhe0jA :2005/12/03(土) 08:51:27 ID:2Sy3H+ME0
  
('A`)「集まったな・・・にしても良くこれたな、内藤」
( ^ω^)「・・・靴下のためだお。命の危険を冒す価値は十分にあるお」
(,,゚Д゚)「まったくだな。なぜなら、そこに靴下があるからだ」
('A`)「よし・・・いくぞ。最終目標は南高の女子更衣室だ」

ドクオ、内藤、ギコ。
三人は夜の街を駆けた。
途中の民家から靴下を回収しつつ、南高に到着する。
目指すは女子更衣室。

だが、それを待ち構える影があった。
ソックスハンターの襲撃を事前に察知した風紀委員が、万全の体制で3人を迎え撃つ。
三人は校庭の真ん中で隠れていた風紀委員に包囲された。
相手は全員アサルトライフルをもっている。

('A`)「情報がもれてやがったか・・・」
( ^ω^)「突破するかお?ドクオ?」
(,,゚Д゚)「・・・やるか」

そういって、ギコは懐から靴下を取り出した。しぃのものだ。
残る二人もそれに習う。
内藤はツンの靴下を、ドクオは伝説に謡われる一年靴下を。
靴下を鼻にあてがい、思いっきり吸う。
鼻腔に刺激が満ちる。それは人間の潜在能力が開放された証。



  
340:1 ◆NcZOHhe0jA :2005/12/03(土) 08:51:42 ID:2Sy3H+ME0
  
('A`)「いくぞ、内藤!ギコ!ソックストリームアタックをかける!!」
( ^ω^)「了解だお!」
(,,゚Д゚)「いつでもいいぜ!」

三者一列。
高速で移動するその列が、靴下を振り回し風紀委員の陣形をかき回していく。
風紀委員の下級戦闘員では到底相手にはならなかった。
なぜならその三人は、今熊本の闇の世界で名をはせるソックスハンター4天王よりさらにランクが上のソックスハンター三柱神。
その戦闘能力は伝説のソックスファルコンにすら匹敵するという。



  
341:1 ◆NcZOHhe0jA :2005/12/03(土) 08:51:58 ID:2Sy3H+ME0
  
3人があらかた戦闘員を片付けたとき、校庭上空にヘリが舞い降りる。
そこから2人のエージェントがリペリングで降りてきた。
一人、見覚えのありすぎる人影がヘリの上からこちらを見下ろしている。

(*゚ー゚)「そこまでよ、靴下の亡者ども」
('A`)「!きたか、魔女め!」
(,,゚Д゚)「しぃか!」
( ^ω^)「・・・ギコ、まだ理解してもらってないお?」
(,,゚Д゚)「・・・ふっ、女はすぐに一つの靴下で男を縛ろうとするからな・・・」
(*゚ー゚)「何を戯言を・・・。さっさと帰るわよ、ギコ。抵抗するなら痛い目をみてもらうわ」

地面におりたエージェント2人が仮面をとる。
ヘリの上のしぃとエージェント二人、それは3人がそれぞれなじみのある人物だった。

( ^ω^)「げっ!ツン!?」
ξ゚听)ξ「私から逃げられると思っているあたり甘いのよね、内藤」

('A`)「てめぇ瀬戸口!なにやってんだ!?」
瀬戸口「アルバイトさ。綺麗な女性の頼みは断れなくてね」



  
342:1 ◆NcZOHhe0jA :2005/12/03(土) 08:52:14 ID:2Sy3H+ME0
  
( ^ω^)「ツン、まさか怒ってるかお・・・?」
ξ゚听)ξ「当然でしょう・・・あんたの靴下への性癖、ここで断ってやるわ・・・!」

ツンは機関銃を内藤に向ける。
なんの躊躇もなく引き金を引いた。
内藤は靴下の力により、その潜在能力を引き出す。
その圧倒的なスピードで、機関銃の弾をコンマ0.01秒で避けていく。

ξ゚听)ξ「ちっ!VIPの恥さらしめ!ゴキブリのような動きを!」
( ^ω^)「すまんがツン、靴下のためだお!眠っていてもらうお!!」

内藤はツンに急速に接近し、すれ違いざまにツンの顔に靴下を押し付けた。
ツンの意識が遠のく。

ξ゚听)ξ「くっ・・・覚えてなさいよ・・・内、藤・・・」
( ^ω^)「・・・ツン。靴下の前には全てが無力だお・・・」

内藤は、ツンの靴下を脱がして、とれたての靴下を堪能した。
まさに至福のとき。



  
343:1 ◆NcZOHhe0jA :2005/12/03(土) 08:52:27 ID:2Sy3H+ME0
  
('A`)「靴下のためだ・・・手加減しねぇぜ、瀬戸口」
瀬戸口「望むところ。我が俗名は瀬戸口隆之。かつては瑞穂の国に禍事なせ る八十神の眷属。恭順してよりは、この地を守護せし護法が一柱。奉ぜられる名を祇 園童子という。……参る!」

瀬戸口の木刀と、ドクオの靴下が快音と共に叫びをあげる。
それは闘いと言うよりも、荘厳な儀式のようだった。
青い月を背景に、二人の戦士が 舞踏を踊る。
鼓動はジルバのリズムを歌い、呼吸がタンゴのビートを放つ。
足さばきは ワルツを奏で、風の唸りがロックを刻む。

魂が震えるような快感。強敵と戦う快感。
既にその脳裏には何もない。
その胸にあるのは目の前の敵と戦うこと。どう突くか、 どう引くか。どう攻めるか、どう避けるか。
やがてそれすらも消え失せ、心が真白に染め上がる。
靴下のような純白の炎となって心が燃え る。 
己が心を白く染め、二人の戦士は踊り続けた。



  
344:1 ◆NcZOHhe0jA :2005/12/03(土) 08:52:44 ID:2Sy3H+ME0
  
(*゚ー゚)「いい加減にしないと、明日からお弁当作ってあげないわよ。泣いて謝るなら今のうちだけど?」
(,,゚Д゚)「くっ、本気なようだな。だが・・・!俺たちは男の夢を狩るソックスハンター!そこに靴下があるのなら、退けん!」

ギコは内藤に匹敵する速度でしぃの乗るヘリまで跳躍する。
ヘリの撒き散らす機関砲弾をかいくぐり、しぃに肉薄する。

(,,゚Д゚)「殺った!!」
(*゚ー゚)「なんであなたはこんな時だけそんな動きをっ!落ちなさい!」

しぃの手に魔術的な輝きが走る。
その輝きにはじかれ、地面に吹っ飛ばされるギコ。
何とか着地してしぃを見上げると、しぃはなにやら呪文のようなものを唱えていた。

(*゚ー゚)「天は愛す その心 白にして乙女の我は 精霊に命ず 完成せよ 円風 !」
(*゚ー゚)「天は惜しむ その勇気 白にして乙女の我は 精霊に命ず 完成せよ 円盾 !」
(*゚ー゚)「天は戦う その夢を守り 白にして乙女の我は 精霊に命ず 完成せよ 円翔 !」
(*゚ー゚)「我が名はしぃ 純白の乙女 白にして乙女の我 精霊に命じる 我が拳は逆転の一撃・・・!」
(*゚ー゚)「完成せよ! 精霊機導弾 !!」



  
345:1 ◆NcZOHhe0jA :2005/12/03(土) 08:53:00 ID:2Sy3H+ME0
  
しぃの詠唱が終わり、南高の校庭が一瞬夜から昼に変わる。
凄まじい爆音とまばゆい光の後、校庭には3人のソックスハンターと瀬戸口が倒れていた。

(*゚ー゚)「ふぅ・・・まったくしょうがない男達ね・・・。ひったてなさい!」

しぃの号令でヘリの中から戦闘員が数名地上に降りていく。
ドクオ、内藤、ギコの三人は捕らえられ、翌日VIP高校の校舎に吊るされているのを発見された。

自然休戦期。
このつかの間の平和な時間はこうやって過ぎていく。
再び始まる戦いにむけて、この平和な時間を皆思い思いに過ごしていた。
この三人の行動も、その一つである。



  
346:1 ◆NcZOHhe0jA :2005/12/03(土) 08:53:20 ID:2Sy3H+ME0
  
ちなみに、休戦期を終えるまでにVIP小隊は解体された。

内藤はツンとともに何処かへと消えた。
風の噂によると、内藤は光る風すら追い越した伝説として風を渡る渡り鳥になったらしい。

ドクオは某所でコールドスリープについたらしい。
その傍らには、かの拳聖ジョニーの娘が眠っていたとか。

しぃとギコは内藤とツンと共に旅に出た。
どこかの世界で数多の弾幕を潜り抜け神々と戦ったらしいが、さだかではない。

その他のメンバーはそれぞれの道を歩みだした。
軍に残るものもいれば、教師になったものもいる。

ある仲の良いカップルは、熊本で学兵の料亭をひらいたようだ。
そこを訪れる学兵たちは料亭を経営する二人を見て、理想のカップルとして羨ましがったとか。

これでVIP小隊の話は本当におしまい。
いつか、どこかの世界で彼らと会う時があれば伝えてほしい。

VIPクオリティを忘れるな、と。



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