( ^ω^)ブーンの妄想が現実になったようです


113 : 1 ◆NcZOHhe0jA :2006/03/06(月) 02:07:35.27 ID:BNXHQB+G0
(´・ω・`)「20年前、どこでだかは知らないがある研究が始まった」
( ^ω^)「研究?」
(´・ω・`)「ああ。ホルダーの能力を人工的に作り出す研究だ」

その研究は順調に進んだ。
ホルダーの能力は人間なら誰でも遺伝的にもっていて、それをたまたま使えた者がホルダーと呼ばれる。
研究者たちはそのメカニズムを解明した。

(´・ω・`)「そして、実験をはじめたのさ。人間に能力を付与する、な」

最初の実験は、失敗に終わった。
孤児院から引き取ってきた子供に学習能力の促進手術を施し、徹底的に能力開発の訓練をしたが、その子供は何ひとつ能力を発言させることができず、ただのとてつもなく飲み込みの早い天才が生まれただけだった。
それはそれですごいことだったが、それでは成功とは言えず、その子供は処分された。

(´・ω・`)「そこで研究者たちは考えた。作れないなら奪ってしまえとな」

二回目の実験で、研究者たちは次の子供に遺伝子の複合に耐えられるよう手術を施した。
そして各地でさらってきたホルダーの能力を司る遺伝子を移植した。
その子供は拒絶反応に耐え、数日後に目を覚ました。能力は問題なく発動し、実験は成功した。

(´・ω・`)「それから数々のホルダーをさらい、能力を奪い、その子供はいくつもの能力を手に入れた」



118 :1 ◆NcZOHhe0jA :2006/03/06(月) 02:22:54.92 ID:BNXHQB+G0
(´・ω・`)「次々と能力を獲得する子供を見て、研究者は歓喜した。だが、世の中そう上手くいかないものだ」

子供は最初は従順だったが、能力が10を超えた頃から態度が変わっていった。
能力が20を超えたとき研究者たちとその子供の力関係は逆転し、30を超えると、研究者たちは殺された。
すでに成人になっていたその子供は研究所をのっとり、もっと強い能力を求めホルダー狩りを開始した。

(´・ω・`)「その子供の名はジョルジュ長岡・・・そこの馬鹿だ」
 _ _
( ゚∀゚) 「な・・・なぜそんなことを知っている・・・何者だ貴様・・・」
(´・ω・`)「ただの教師さ・・・天才的な飲み込みの速さをもつ、な・・・」



126 :1 ◆NcZOHhe0jA :2006/03/06(月) 02:32:36.19 ID:BNXHQB+G0
 _ _
( ゚∀゚) 「私の・・・プロトタイプか・・・?馬鹿な、処分されたはずだ!」
(´・ω・`)「ああ、されたとも。死にはしなかったがね」
(;^ω^)「実験体の子供って先生のことだったのかお・・・」
(´・ω・`)「まぁな。俺がショボンという名を名乗りだしたのは処分されたときからさ。処分だからショボン、我ながら安直だとは思うが」
(;^ω^)「・・・けど先生は強いお。実験は失敗なんじゃなかったのかお?」
(´・ω・`)「失敗だったさ。俺は今でホルダーのスキルは使えない」

その割には、ショボンは人間離れしすぎていた。
飲み込みがはやい程度であそこまで強くなれるものだろうか。

(´・ω・`)「なれるさ。俺は日本に流れ着いたときあるアニメを見た。その中で努力と根性があれば何でも出来るといわれてな、目から鱗が落ちたよ」
(;^ω^)「できないと思うお・・・」
(´・ω・`)「たしかにバリアはったりビーム撃ったり人の心読んだりは出来んが、人間に出来ることなら俺にできないことはない」

ショボンはジョルジュを見た。
頭上からジョルジュを見つめるその顔は、完全に格下の者を見る目だった。

(´・ω・`)「人のものを奪っただけの能無しには理解できんだろうな。努力を積み重ねた人間の強さってやつは」



131 :1 ◆NcZOHhe0jA :2006/03/06(月) 02:42:31.11 ID:BNXHQB+G0
 _ _
( ゚∀゚) 「・・・!出来損ないが何をほざくか・・・!」

ジョルジュは震えていた。
成功したはずの自分を見下ろす失敗作に抱く凄まじい怒りで、体が震えていた。
 _ _
( ゚∀゚) 「そうだ。所詮は何の能力もない失敗作だろう?もうういよ、お前は・・・"喋るな”」

ジョルジュは静かに言い放つ。
空気を振動させその言霊はショボンに染み渡り、ショボンの言葉を封じる。
そのはずだった。
ショボンは煙草を深く吸い、馬鹿にするように煙を吐き出す。

(´・ω・`)「やなこった」
(;^ω^)「ちょwwwそんなあっさりwwww」
 _ _
( ゚∀゚) 「はぃ!?・・・な、ぜだ・・・なぜ効かない・・・その娘からのスキルの抽出は完全に成功したはずだ!」

ジョルジュは椅子に座らされ眠っているツンを指差す。
静かに寝息を立てるツンとは対照的に、ジョルジュの顔は怒りと狼狽に染まっていた。

(´・ω・`)「あのなぁ・・・俺と内藤は毎日のようにツンの言葉を聞いていたんだぞ?そんなものが効くか。お前頭脳が間抜けか?」



134 :1 ◆NcZOHhe0jA :2006/03/06(月) 02:53:09.17 ID:BNXHQB+G0
(;^ω^)「そ、そういうことだったのかお。こいつただの馬鹿かと思ったお・・・」
(´・ω・`)「馬鹿に変わりはないよ。どうする、馬鹿?俺らに命令しても効果はないぞ?」

ジョルジュはもう呆然とはしなかった。
怒りが臨界を通り越し、冷静さが戻ってくる。
ジョルジュは、笑い出していた。
 _ _
( ゚∀゚) 「・・・フヒ、フヒヒャヒャヒャ!そうか、貴様らには効かんか!」

ジョルジュは懐から数本のナイフを取り出す。
ナイフを全部頭上に頬リ投げ、大声で叫んだ。
 _ _
( ゚∀゚) 「この部屋にあるもの全部!あいつに刺され!」

ジョルジュに命令されたナイフや煙草の吸殻たちは、一斉にショボンにむけて飛んでいく。
ショボンは手すりから身を起こし、飛んでくるナイフを全て叩き落した。
つづいて飛んでくる煙草の吸殻を指でつまみ、携帯灰皿に入れる。

(´・ω・`)「いやぁ、拾う手間が省けたよ。ポイ捨てはいかんからな、うん」



143 :1 ◆NcZOHhe0jA :2006/03/06(月) 03:08:36.33 ID:BNXHQB+G0
 _ _
( ゚∀゚) 「フフ・・・私は刺されと言ったんだぞ?私が命令したからには刺さるんだよ!」
(´・ω・`)「んん?」

ショボンに叩き落されたナイフが再び宙に浮く。
中には折れているナイフもあったが、そんなこと問題ではないようにショボンの周りに滞空し、ショボンの体をめがけて襲い掛かった。

(´・ω・`)「・・・おお。なるほど」
 _ _
( ゚∀゚) 「貴様の体に刺さるまで止まらんぞ!さぁどうする!」
(;^ω^)「先生!」



144 :1 ◆NcZOHhe0jA :2006/03/06(月) 03:12:27.98 ID:BNXHQB+G0
(´・ω・`)「ひらりひらーりと舞ーいあそーぶようーにー」

ショボンは涼しい顔をしてナイフを避ける。
避けられるたびに速度を増すナイフにスーツを切り裂かれるが、ショボンの体には傷一つついていない。
内藤はハラハラしながら回避を続けるショボンを見つめる。
ショボンがこちらを向いたとき、目が合った。内藤にしかわからないように、顎でジョルジュを指す。

(;^ω^) (なんだお・・・?・・・あ。わかったお)
 _ _
( ゚∀゚) 「ははははは!死ね!死んでしまえ!」

ショボンは自分に迫るナイフのいくつかを叩き落し、残ったナイフを片手の指に挟んで止める。
残った手で新しい煙草の箱をとりだし、器用に封を開ける。

(´・ω・`)「さて、もう一度言うが・・・お前、頭脳が間抜けか?」
 _ _
( ゚∀゚) 「ははは・・・は?」
(´・ω・`)「無防備すぎるぞ?」

両手を天にかざし馬鹿笑いをしていたジョルジュの隣に、いつの間にか内藤が居た。
首を横にむけ愕然とするジョルジュににっこりと笑いかけ、内藤は腕を振りかぶる。
 _ _
( ゚∀゚) 「ぷぎゃっ!!」

無防備なジョルジュの腹に、重い一撃が突き刺さった。



152 :1 ◆NcZOHhe0jA :2006/03/06(月) 03:34:24.00 ID:BNXHQB+G0
( ^ω^)「・・・気分爽快だお。まるでオナニーの後のようだおw」

転がっていくジョルジュを眺めながら、内藤は満足げに息を吐き出した。
その横に、軽やかにショボンが着地する。
ナイフはもう追いかけてこないようだ。

(´・ω・`)「・・・まずいな」
( ^ω^)「へ?」

ジョルジュが転がっていった先は、ツンの近くだった。
上半身を起こしたジョルジュが笑う。
懐に残った最後のナイフを抜き、ツンの首に突きつけた。
 _ _
( ゚∀゚) 「く、くく・・・動くなよ・・・」
(;^ω^)「し、しまったお!」
(´・ω・`)「もうダメだな、あいつ。見てみろ、内藤。ありゃ犬の目だ」



157 :1 ◆NcZOHhe0jA :2006/03/06(月) 03:41:34.80 ID:BNXHQB+G0
 _ _
( ゚∀゚) 「犬の目、か。畜生とでもなんとでも言うが良い・・・だが・・・」

ジョルジュがナイフを持つ手に力を篭める。
ツンの首筋に突きつけられたナイフが浅く皮膚に沈み、滲み出た血が首筋をつたった。

(;^ω^)「ツン!ツンに手をだすなお!!」
(´・ω・`)「すいませんジョルジュ様、あなた様は神ですぜひ僕を仲間にしてください」
 _ _
( ゚∀゚) 「ふざけるな!いいか、そこを動くなよ!」

ジョルジュはツンを盾に、じりじりと出口に向かう。
内藤とショボンは動くに動けず、ジョルジュを睨み付ける。
 _ _
( ゚∀゚) 「ふん・・・さらばだ、阿呆ども。最後に笑うのは私だったようd」
(,,゚Д゚)「やかましいわ諸悪の根源がっ!!」

出口に到達したジョルジュの頭に、ギコの振るった消火器が直撃した。



162 :1 ◆NcZOHhe0jA :2006/03/06(月) 03:44:19.70 ID:BNXHQB+G0
 _ _
( ゚∀゚) 「ぐおぉぉ・・・!!」 (,,゚Д゚)「おらおら!死にさらせ!」

ギコは予期せぬ攻撃に頭を抱え膝をついたジョルジュをここぞとばかりに蹴りまくる。
ジョルジュがツンを手放したのを見て、内藤とショボンは駆け出した。

(´・ω・`)「でかした、ギコ!」
( ^ω^)「やっぱりあいつ馬鹿だお!」

ギコに蹴られながら迫ってくる内藤とショボンを見たジョルジュは、立ち上がりギコを殴り飛ばす。
鍛えてもいない体にジョルジュの拳をうけたギコは、声もださずに崩れ落ちる。
 _ _
( ゚∀゚) 「ぬぅぅ・・・クソ虫が小癪な真似を・・・!」

止めをさしたいところだが、内藤とショボンはもうすぐそこまで迫ってきている。
ジョルジュは舌打ちし、全速力で逃げ出した。



174 :1 ◆NcZOHhe0jA :2006/03/06(月) 03:51:02.05 ID:BNXHQB+G0
( ^ω^)「ツン!」
(´・ω・`)「皮を切られただけだな、心配ない」

内藤はツンを抱きかかえた。
離れたのはたった数日だったが、ずいぶん久しぶりにツンの顔を見た気がする。
首を切られた痛みのせいだろうか。ツンの瞼が動き、ゆっくり開いていく。

( ^ω^)「ツ、ツン?・・・目が覚めたかお?体はなんともないお?」
ξ゚听)ξ「・・・内藤と先生?体って・・・私どうし・・・」
(´・ω・`)「ん・・・内藤、避け――」
ξ゚听)ξ「あんた何してんのよ馬鹿ぁっ!!」
( ^ω^)「ぶふぅっ!!」
(´・ω・`)「――れなかったか」

ツンを抱きかかえ至近距離で顔を覗く内藤の頬に、強烈なビンタが炸裂した。



175 :1 ◆NcZOHhe0jA :2006/03/06(月) 03:57:29.82 ID:BNXHQB+G0
(;^ω^)「あいたたた・・・よ、良かったお。いつものツンだお」
ξ゚听)ξ「はぁ?・・・って、ここどこよ?」
( ^ω^)「ここは・・・」

内藤はツンがさらわれた後のことを話した。
どうやらツンはさらわれた時から眠り続けていたらしい。おそらく薬か何かで目覚めないようにしていたのだろう。
話を聞き終わったツンは、普段は見せない神妙な表情をしていた。

ξ゚听)ξ「そう・・・なの。その・・・ありがと、内藤」
( ^ω^)「え?何かいったかお?」
ξ///)ξ「何でもないわよ馬鹿!さっさとそのジョルジュってやつを追いかけなさいよ!」
(;^ω^)「え・・・わ、わかったお」
(´・ω・`)「一人で大丈夫か?」
ξ゚听)ξ「あ、先生・・・大丈夫です。それにほら、一応一人じゃないし」

ツンが見た先で、呻きながらギコが立ち上がった。
今すぐ死にそうなくらい顔色が悪い。

(,,゚Д゚)「お前ら俺の心配もして・・・お願いだから・・・」



177 :1 ◆NcZOHhe0jA :2006/03/06(月) 04:01:00.22 ID:BNXHQB+G0
(´・ω・`)「いくぞ、内藤。あの馬鹿を逃がすと面倒臭いからな」
( ^ω^)「合点だお。あいつには落とし前つけてもらうお」

ツンをギコに任せ、二人は走り出した。
ジョルジュがどこに逃げたかはわからないが、まだこの建物の中にいるだろう。
二人は地下2階のコントロールセンターを目指す



178 :1 ◆NcZOHhe0jA :2006/03/06(月) 04:07:48.84 ID:BNXHQB+G0
(´・ω・`)「さーて、どこに逃げたかな・・・と」

コントロールセンターについた二人は、すぐに建物内の全監視カメラの映像を確認した。
数百台ある監視カメラの映像がすべて、巨大なスクリーンに映し出される。

( ^ω^)「どこだお・・・」
(´・ω・`)「いたぞ、右下のカメラだ」

ジョルジュの姿を捉えた監視カメラの映像を拡大する。
すでにジョルジュはB区画の地上2階まで到達していた。
どうやら屋上を目指しているようだ。

(´・ω・`)「逃げ足だけは速いやつだな・・・」
( ^ω^)「急ぐお、先生!」

B区画を目指して、二人は駆け出す。
目標を自動追尾するよう設定された監視カメラが、誰もいなくなったコントロールルームでジョルジュの姿を追い続けた。
凄まじい速さで廊下を走るジョルジュが曲がり角を曲がる。
カメラの映像が切り替わると、ジョルジュが派手に転んだ姿が映し出された。



180 :1 ◆NcZOHhe0jA :2006/03/06(月) 04:14:17.23 ID:BNXHQB+G0
 _ _
( ゚∀゚) 「うおっ!?」

ジョルジュは曲がり角を曲がったとたん何かに躓き、地面をすべるように転んだ。
何事かと起き上がり後ろを見ると、曲がり角の死角に足を突き出し気味にラバースーツの女がもたれかかっていた。

∬´_ゝ`)「おや?ジョルジュ局長、そんなに急いでどちらへ?」

そして、廊下の先。
ジョルジュの行く先を塞ぐように。

( ´_ゝ`)「廊下は走っちゃダメなんですがね、局長」
(´<_` )「小学生でも知ってるぜ、ジョルジュ様よ」

流石兄弟が立っていた。



192 :1 ◆NcZOHhe0jA :2006/03/06(月) 04:25:47.83 ID:BNXHQB+G0
 _ _
( ゚∀゚) 「き、貴様ら・・・」
( ´_ゝ`)「あの座敷牢ね、楽しかったですよ。スリリングで」
(´<_` )「母者がとっくに逃げたしてるってこと教えてくれちゃって、お優しいことですな」
∬´_ゝ`)「ま・・・そんな優しい局長なら今まで働いたぶんの給料払ってもらえますよね?」

兄者と弟者が無言の圧力をもって、静かに歩み寄ってくる。
背後では姉者が逃げ道を塞ぐように移動していた。
 _ _
( ゚∀゚) 「・・・どいつもこいつも・・・クク・・・」
( ´_ゝ`)「なーに笑っちゃってんの、この人は」
(´<_` )「頭どうかしちまったかね?」

突然、ジョルジュのスーツが破れる。
額には突起が現れ、手は甲殻類のように硬質化していく。
全身の筋肉が急激に発達し、赤く変色した巌のような筋肉で覆われた圧倒的な体躯がスーツの破れカスを体に巻きつけ、立ち上がった。
 _ _
( ゚∀゚) 「はぁ・・・こんな気分は初めてだよ。何もかもがどうでも良くなるようなこの怒り」
∬´_ゝ`)「な・・・!?それは・・・!!」
( ´_ゝ`)&(´<_` )「母者の能力!!」
 _ _
( ゚∀゚) 「さぁ!愛する母親の力で千切れ死ね!」



197 :1 ◆NcZOHhe0jA :2006/03/06(月) 04:38:23.39 ID:BNXHQB+G0
筋力は数十倍に跳ね上がり、肉体は鋼鉄を超える強度を持つ。
その爪はコンクリートをバターのように切り裂き、その俊敏さは猿を100匹集めても足りない。
それが母者の能力、オーガ。
肉弾戦ホルダースキル最強の能力。
膨れ上がったジョルジュの背中の筋肉が、鬼が笑っているように見える。
 _ _
( ゚∀゚) 「最後に教えてやろうか。君達の母親はたしかに逃げた。私にスキルを奪われた後でな」
∬´_ゝ`)「卑劣な・・・私達は忠実に働いたはずだ!」
 _ _
( ゚∀゚) 「だから殺さなかっただろう?まぁ、逃げ出せば話は別だが」
( ´_ゝ`)「逃げたから殺したってのか・・・」
 _ _
( ゚∀゚) 「死んだかどうかは知らんがね。追いかけた部隊が言うには追い詰められた廃屋に自ら火を放ったそうだ。跡形もなかったそうだよ」
(´<_` )「なんだ・・・驚かしやがって。それくらいであの母者が死ぬものか」

ジョルジュの背後で姉者がナイフを取り出す。
兄者と弟者はいつかの体育館のように、左右対称に構えた。

∬´_ゝ`)「貴様の首を手土産に我が家に帰るとしよう」
( ´_ゝ`)「死んでもらうぜジョルジュ長岡」
(´<_` )「てめぇを殺したのは俺たち流石ファミリーだ!」



201 :1 ◆NcZOHhe0jA :2006/03/06(月) 04:55:25.68 ID:BNXHQB+G0
 _ _
( ゚∀゚) 「ふふん、貴様らで鬱憤をはらしてやる!」

鬼と化したジョルジュの豪腕が振るわれる。
兄者と弟者は無造作なその一撃を避け、二手にわかれた。
狭い廊下で動きが制限されるジョルジュの左右の脇腹にもぐりこみ、同時に全力で拳を打ち込む。
鉄を殴ったような音がして、兄者と弟者の拳から血が滲み出た。

( ´_ゝ`)「・・・むぅ」
(´<_` )「・・・痛いな、兄者」
( ´_ゝ`)「いや、全然痛くないぞ。弟者は弱虫だな」
(´<_` )「さすがだな兄者。兄者は強虫だからな」

思わず水を切るように手をふって、兄者と弟者は距離をとった。
同時に、ジョルジュの首に取り付いていた姉者が吹っ飛ばされる。
着地した姉者は二人に叫んだ。

∬´_ゝ`)「兄者、弟者。対母者戦法でいくぞ」



236 :1 ◆NcZOHhe0jA :2006/03/06(月) 08:35:13.70 ID:BNXHQB+G0
( ´_ゝ`)「やる気か、あれを」
(´<_` )「久しぶりだな、兄者」
∬´_ゝ`)「タイミングを合わせろ。いくぞ!」

集まった三人にジョルジュが向き直る。
流石家の人間、とくに兄者と弟者は、あの能力への対処法を熟知していた。
そもそも、兄者と弟者が円華拳を習得したのは、母者に対抗するためだった。
オーガ発動状態の人間にダメージを与える術は多くない。
鋼鉄を誇るその肉体を超える威力の攻撃を叩き込むか、もしくは硬さなど関係ない肉体内部を破壊するか。
 _ _
( ゚∀゚) 「無駄だと思うがね。これは一個師団を壊滅させた能力だぞ?」
∬´_ゝ`)「人の力で偉そうに!」



237 :1 ◆NcZOHhe0jA :2006/03/06(月) 08:35:46.99 ID:BNXHQB+G0
姉者の叫びとともに、三人は同時に駆け出す。
姉者、兄者、弟者の順に縦一列に並ぶ。先頭の姉者はラバースーツに手をいれ、小さな球体をとりだした。
ジョルジュが対処する前に投げられたそれはジョルジュの目の前で破裂し、強烈な指向性の光がジョルジュの眼に襲い掛かる。
 _ _
( ゚∀゚) 「ぬぅ!目が、目がぁっ!!」

姉者の投げたフラッシュボムは、わずかな時間だがジョルジュの視界を奪う。
その隙に姉者の後ろにいた兄者が天井まで跳躍。
天井を蹴り、上からジョルジュの頭部に迫る。
同時にジョルジュの懐に潜り込んだ弟者は、下からジョルジュの顎を狙い掌を打ち出す。
姉者はそのまま、持てる限りの吸着式手榴弾を取り出していた。

∬´_ゝ`)「いくぞ必殺!」
( ´_ゝ`)&(´<_` )「ブラウザクラッシャー!!」



246 :1 ◆NcZOHhe0jA :2006/03/06(月) 09:03:50.75 ID:BNXHQB+G0
上下からの衝撃が、波紋のようにジョルジュの体に浸透する。
頭部に集中された衝撃はジョルジュの脳を激しく揺さぶり、完膚なきまでにその機能を破壊した。
追い討ちをかけるように、右胸に集中的に貼り付けられた10を超える手榴弾が爆発し、集約された爆発が強靭な胸板を抉る。
石榴のように弾けた右胸から血を噴出しながら、ジョルジュは仰向けに倒れた。
脳内でぶつかり弾けた衝撃と右胸の傷により、その体は生物的に死んでいる。
おそらく自分が今倒れたこともわからないだろう。

( ´_ゝ`)「どうだ、痛いだろう。ただ働きさせた罰だぜ」
(´<_` )「これ相手が母者だったら今頃コブラツイストだな」
∬´_ゝ`)「それかマウントとられてるな」

三人は倒れたジョルジュを見下ろす。
もし相手が母者だったら、目くらましの時点で兄者は撃墜され、弟者は叩き伏せられていただろう。
といっても、母者も流石兄弟も、本気で戦ったことなどない。
母者だけへの技のはずだったブラウザクラッシャーを本気で使ったのが、何故だか少し悲しかった。

( ´_ゝ`)「さて・・・帰ってソフマップ行こうぜ、弟者」
(´<_` )「さすがだな、兄者。さっそくエロゲか」
∬´_ゝ`)「お前ら4日前くらいにも言ってなかったか、それ」

ジョルジュから視線は外し振り返った三人の先で、内藤とショボンが走ってきていた。
あいつらに黙って倒しちまったのは悪かったかな、と兄者が考えていると、予想に反して険しい顔の内藤が叫んだ。

(;^ω^)「後ろ!まだだお!!」



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