ξ゚听)ξが奇病にかかったようです

176:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/04/26(水) 11:18:43.35 ID:rLoZFzq70
  
なんの前触れも無く、ボクが避難した街から爆音と共に
巨大なキノコ雲が上がり、直後に見たこともないほど美しい
光が天に昇っていった
ボクはその一連の光景をずっと遠くの街から見ていた

ようやく避難所のTVから第一報が流れたのは
全てが終わってから丸一日経ってからだった

一斉攻撃が予定よりも早まった

小さなTVの前に群がった観衆は
戸惑いの後、固唾を呑んで次の報を待った

世界中の大樹が一斉に光になって消滅した

弾けるように歓声が上がった
皆一様に喜びの表情を浮かべている
この星を人間の手に取り戻したのだ
嬉しい そう嬉しいと思うのが当然なのに
ボクはどうしても笑顔になれなかった
沸き立つ人の群れの中でボクだけが食い入るように
TVを睨みつけている

ブーン君は、ツンさんはどうなったんだ・・・



178:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/04/26(水) 11:43:43.48 ID:rLoZFzq70
  
勇気ある、というか放射能も恐れない無謀なTV局が
どこよりも先駆けてヘリで現地報道に向かったのは
それから更に半日後のことだった

現地報道とは言っても、既に大樹のあった周辺では
自衛隊が調査を始めていたので
報道ヘリは規制によって近寄ることもできず
ただ大樹があった辺りを遠巻きの映像でTVに流していた
それでも、大樹の消滅を実際に確認できた人々からは
再び高々と歓喜の雄叫びが上がった

大樹のあった所は一面の新地になっており
中ではゴマツブのように小さな自衛隊の車両が
動いているのが見えた
いつまでも続く、アナウンサーと専門家の
ヒステリックなやりとりに耐えられず、ボクはTVから離れた
知らず知らずの内にボクの口から大きな溜息が漏れた
やっぱり・・・ブーン君は・・・

直後、チャンネルが代わり、他局の番組が未確認飛行物体を
捉えたとの報が背後で聞こえた
ボクの心臓は大きく脈打った



180:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/04/26(水) 12:07:48.25 ID:rLoZFzq70
  
最初、それは青い空をバックに画面の中に白い点としか見えなかった
ヘリが徐々に近づいていく、段々輪郭がハッキリしてきて・・・
僕は思わず叫んでいた

('A`) 「ブーン君!ツンサン!」

最後に見たときよりも、傷が増え、ボロボロの体なのに
それでもブーン君は笑顔で飛んでいた
その背には毛布で体を包んだツンさんが、しっかりと掴まっている
生きていた 二人とも無事だった
ボクの胸にもようやく歓喜の念がこみ上げてきた
街を離れた時よりも、手紙を読んだときよりも
大量の涙が溢れた
温かく、心地良い涙だった



183:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/04/26(水) 12:19:01.59 ID:rLoZFzq70
  
( ^ω^)「ツン!見るお!ヘタリコプーだお!」

ξ゚听)ξ「ヘリコプターでしょ カメラが見えるから
      報道ヘリでしょうね」

( ^ω^)「カメラ?TVかお!?ボクを映してほしいお!」

ξ゚听)ξ「え!?ちょっとブーン!?キャァ!!」

( ^ω^)「ブゥーーン!どーだお!ボクの華麗な飛びっぷり!」

ξ゚听)ξ「ちょっとブーン!あんまりスピード出さないで!」

( ^ω^)「まだまだ行くお!次はアクロバット2回転捻り悶絶地獄だお!
      カメラマンさん、しっかり撮るお!それぇー!!」

ξ////)ξ「キャァァァ!ちょっと!あっ!毛布がっ!毛布がっ!!
       ブーン!はやくヘリから離れて!全速力!!」

( ^ω^)「えー、まだまだ撮ってほしいお!!」

ξ////)ξ「バカバカバカ!離れてってば!いやー!
       もういっそのこと、ココで飛び降りるぅー!!!」

( ^ω^)「あ、暴れたらホントに落ちるおー!!」

ξ////)ξ「もぉぉぉ!!ブーンの馬鹿ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」



184:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/04/26(水) 12:21:29.88 ID:rLoZFzq70
  
今度こそ正真正銘fin

燃え尽きますた もう絞り尽くして一滴ものこってません



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