( ^ω^)ブーンが恐ろしい目にあったようです

135 : ◆9qfbyrNes. :2006/03/09(木) 23:42:14.84 ID:bsiFHg4l0
J( 'ー`)し「こんなのかわいいかあ?
      わたしはあっちの5番の子のほうが、まだ、ましだと思うけど」

( ^ω^)「じゃあ5番あげるかお?」

J( 'ー`)し「いらない」

ちゃぶ台の前で仁王立ちになった母はコーヒーを一気飲みして仕事へと出かけた
ブーンは朝食の食器類を片付けるとテレビの前に立った

( ^ω^)(ほんとにあの人とは好みが合わないお。なぜこの2番たんのよさが分からないおシークレットたんに変身してもほとんどどこも変わらないけどこの2番たんのときの(ry)

その日もブーンの気分は最高だった
だからもうリハビリのつもりで外へでかけることにした
髭を剃り、眉を整え、整髪料をつけて髪形を整え、シルバーアクセサリーまで身につけた
革のパンツに黒いシャツをラフにはおる

( ^ω^)(どう見てもGactだお 完璧お)

専門に入るまでブーンはいわゆるオタクの「オ」の時も知らない少年だった
今となっては二次元しか愛せない人間となってしまったが、装いは昔取った杵柄か、一昔前のナンパ男スタイルになっていた
これがブーンの本気の外出の装いだった
自分でもこれはやりすぎだとも思えたが、ここまでやった以上は外に出るしかない
自分を追い込め、持ち上げ、引っ張らなければ動けない人間だと知ってのことだった

(;^ω^)(ふぉ! 携帯を入れると突っ張ってかっこ悪いうえに痛いお!
      太ってしまったようだお・・・)

仕方なくブーンは携帯をおいて家を後にした
向かいのおばさんに挨拶をしたとき、おばさんが一瞬驚き、引きつった顔をしたが気にしないことにした



140 : ◆9qfbyrNes. :2006/03/10(金) 00:08:27.39 ID:1CJ7oZl60
外はとにかくまぶしく、暑かった
早々にどこか涼しいところに飛び込みたかったが、そもそも田舎町のここにはおしゃれな喫茶店もなにもない
あったとしても手近でもなく、そもそもあまり涼しくない
あきらめて近くのコンビニでポショーンを買おうとしてレジに並んだが、携帯の隣にある財布の姿を思い出した
携帯を置いた所で財布も一緒においてきてしまったのだ
あわててポショーンを冷蔵庫に戻して店を飛び出した

(;^ω^)(恥かいたお・・・
      それにしてもこれからどこに行くかお)

暑さと恥ずかしさで沸騰した頭で彷徨うようにコンビニの前の国道を登り、大きな神社のベンチに腰をかけた
大きな境内は毎日たくさんの老人達がバスに乗って観光に来るほどのところだ
老人達だけでなく、妹も毎日この神社へ通っている
かつてのブーンも

神社の後ろは山になっていて、境内を抜けるときつい坂に古い家と細い道が縦横にある
その集落のもっとも高いところにぽつんと高校がある
ブーンと妹の母校だった



214 : ◆9qfbyrNes. :2006/03/10(金) 21:43:54.40 ID:1CJ7oZl60
ブーンがその高校に通ったのはただ近いからという理由だった。
高校のレベルは中の中といったところで、中学のころの担任にはもっとがんばればレベルの高いところへいけるといわれた
レベルの高い高校はブーンの家から通学に1時間前後はかかる
それに毎日電車に乗ったら金がかかるし疲れてしまう
そんな取るに足らない理由をそれらしく並べ、その一校のみを受けた
受験勉強らしいことも何一つせずに簡単に受かった

高校としてのレベルよりも、自由な校風と学校内の平和さで選ぶものが多い高校だ
倍率も地元の高校の中では約2倍と、その地域ではダントツの倍率だった
それもあってブーンのクラスからも何人もが受けた
合格発表はそのクラスメート達と学校の前で待ち合わせたにもかかわらず、ブーンは少し送れて着いた

安堵してはしゃぎまわるクラスメート達
彼らの中には徹夜で受験勉強して望んだものもいれば、2校以上受けたがこの高校以上で落ちたものもいた
ブーンは自分が受験というある意味戦地において余裕を見せ、余裕のままそれを制したことに優越感を覚えた



217 : ◆9qfbyrNes. :2006/03/10(金) 22:09:32.67 ID:1CJ7oZl60
( ^ω^)「じゃ早速買えるお」

「ねえねえ、受験お疲れ様ってことで遊びに行かない?」
「お前が来る前に話してたんだ。みんなで行こうぜ」
「遅刻しておいて行かないとは言わせないからな」

( ^ω^)「んー お金の持ち合わせもないし、ファイナルクオリティ9やりたいから遠慮するお
      昨日もやりすぎて眠いの何の・・・」

「ちょwwww合格発表前日にあそんでんなよwwwww」

( ^ω^)「受験日の前の日もやってて親父におこられたお」

「おいおい余裕だなー。まじでS校受けてりゃよかったのに、馬鹿だなあ」

( ^ω^)「遠いしめんどいお
      じゃあ・・・ってあれ? ぃょぅは?」

「いや、あいつ落ちちゃったんだよ」
「でもJ校受けるから勉強しなきゃってさ。 あいつもこの後待ち合わせてるから行こうぜ」
「ブーン君こないとつまらないよww」

( ^ω^)「・・・いや、帰るお」



218: ◆9qfbyrNes. 2006/03/10(金) 22:23:14.19 ID:1CJ7oZl60
それから数日、ブーンのクラスメートは全員がなんとか高校へと進学した
卒業式を終えて担任からひとりひとり卒業証書を受け取り、いったん家へ戻ってからホテルの宴会場で打ち上げ会をした
ホテルは高校のある丘のふもとにある神社、そのすぐ隣にあった
つい少し前に涙と鼻水をたらしながら卒業式を終えたブーンたちだったが、笑顔で談笑をしながらこれからを語り合った
アルコールの代わりのジュースを飲み、安い宴会料理を食べながら

会が終わってから、前日の夜に決めいた片思いの女の子への告白の後半戦がホテルの駐車場とロビーの影で行われていた
2,3組カップルが密かに成立するなか、男友達と談笑する視界の端に写る一人の少女の影が気になっていた
だが、それだけだった

高校に入ってからも、専門学校へ通っている間も、そしてこの現在も少女のことが頭から離れなかった
今でもときにぬばたまの夜に闇に紛れて少女がブーンの部屋へ飛来する
その姿は中学校の姿のままの彼女
セーラー服の彼女
たまの同級会にも必ず出席する彼女とブーンであったが、時とともに大人びく彼女に夢想することはなかった

「それは引くね」

彼女を誘うつもりで送った最後のメールの返信

( ^ω^)(あれはきつかったおwwww)



220: ◆9qfbyrNes. 2006/03/10(金) 22:37:51.50 ID:1CJ7oZl60
中学校のまでの残滓はその後の高校生活の記憶をホワイトアウトさせるほど鮮やかで楽しいものだった
だからブーンは高校のころのことはよく覚えないない

太陽の角度が変わりはじめ、そろそろ憩いの場が灼熱に犯される時間が近くなってきはじめた
銀杏が青い葉を揺らす

( ^ω^)(だんだんここも暑くなってきたお お!)

車と風と歩行者用信号機の音の反対側から人の声と影
それは本殿の方角から、いや、性格にはその隣の通り道からだった
ブーンは足を組みなおして携帯を開く
その画面を見る振りをしつつ、ついに自分の横を通り過ぎる肌色の影を目にとどめた

(//^ω^)(女子高生ええええええ! ふぉおおおおおお!!!)

二人の女子高生が白い歯と白い足を晒しながら境内を下っていった
隙間だらけの梢の影を潜り抜け、艶やかな黒髪が日差しを散らばせて歩く
チラッとスカートがめくれて、折られたジャージが見えた

( ^ω^)(・・・ちょっと萎えたお
      ってもう部活が終わったのかお あのダサい赤のジャージはバレー部だお)



221: ◆9qfbyrNes. 2006/03/10(金) 22:44:35.09 ID:1CJ7oZl60
バレー部は伝統的に休みの日も3時ごろまでは部活をしているはずだ
しかも帰るときは必ず団体になる。それも伝統だった
だが例外がある
合宿や遠征の時はもちろんバレー部も学校へは来ないが、1年生が1,2名選出されて体育館の掃除だけはするのだ
ただの因縁だったりサボりだったりするのだが、とにかく今日はバレー部はもう学校にいないということだ


( ^ω^)(ということは室内での運動部は今日はもう全部いないということかお)

弱小の男バレ、男バス、男バドは夏休みといえども土日は完璧に休みだ
これは妹から聞いたことだった
だから普段は男バドと分けて使っている体育館が土日はフルに使えていいのだといっていた

( ^ω^)(これはちょっとおもしろいかもしれないお)



223: ◆9qfbyrNes. 2006/03/10(金) 22:53:36.43 ID:1CJ7oZl60
基本的にブーンは人ごみが嫌いだ
人に注目されることも同じように嫌う
だが

(;^ω^)(母校に無断で侵入成功だお!)

携帯があったら行きつけの巨大掲示板にでも書き込んで注目されたいと心底思っていた

(;;^ω^)(こちらスネーク、○県K高校に侵入した!)

神社から高校までの道程はブーンの足ならば15分ほどだった
だが自転車では到底登れない程の急斜面のため、神社から少しだけ上がったところに高校の駐輪場1が用意されている
野ざらしになったタダの空き地で、雨が降ればびしょ濡れだし、盗難はともかくいたずらはし放題というところだ
それでも学期中の平日ならば数十台は軽く駐輪される
もちろん不本意な者は多いが、その先のことを考えたら止むを得ない
それほどにきつい坂が続くのだ

その駐輪場には一台も自転車が止まっていなかった
それを見てブーンは足を速めて高校の前までたどり着いた



226: ◆9qfbyrNes. 2006/03/10(金) 23:02:37.66 ID:1CJ7oZl60
相変わらず無用心なK校は校門が全開だった
校門の柱の陰に隠れて敷地内を覗き見るが、誰もいないようだった
さすがに第1グラウンド、第2グラウンドからは声が部活動の声が聞こえる
だが正面の広場にはいつもいるはずの弓道部がいない
いなくても壁に畳がかけられているあたり、今はお昼休憩中だろう

(;;^ω^)(いまだお!)

ブーンは正門を抜け、前の広場を左手に走り抜け、3年間ほとんど毎日足を踏み入れた第2体育館を目指した
久しぶりの全力ダッシュ
坂を上る途中でかいた汗のために顔面が風でさっと冷やされる
風になった気分だった

あと300m


( ゚Å゚)「おいおい、ちょっと待ちなさい、君」

(;;^ω^)「はいお…」

茂みで草をむしっていた事務の人に手を掴まれた



292: ◆9qfbyrNes. 2006/03/11(土) 23:25:31.66 ID:ceG98Z0s0
( ゚Å゚)「あーあー! 覚えてるよ! そこの坂一生懸命走ってたもんなあ」

( Θ_Θ)「彼は第2の壁にある賞状の彼ですよ」

( ゚Å゚)「はあ〜! 通りで!」

( ^ω^)「恥ずかしいですお」

手を掴まれたブーンはとっさに懐かしくなった母校に来たと言った
もともと嘘でもないし、詳しく話したら事務員は信じてくれた
学校の中を歩いてもらう分にはかまわないとのことだったが、それを一応日直の先生に言わなければとのことで事務室まで連れてこられてきた
ブーンがいたころから居る先生はその先生と、あとは女バド顧問だけだということだった
正直なところその先生のことはまったくおぼえていなかったが、話している内にブーンは懐かしさがあふれてきた
ホワイトアウトしていた思い出が徐々に思い起こされていた

( Θ_Θ)「じゃあ後は好きに見てまわっていいよ」

( ^ω^)「ありがとうございますお」

( Θ_Θ)「でも君が居る間に運悪く盗難や器物破損があったら真っ先に電話が行くから注意してくれよ」

( ^ω^)「ふぉっ、わかってますお! へんなことなんかしないですお!」

( Θ_Θ)「ははは、まあ校舎の中にも生徒も先生もほとんど居ないから見るだけならどこ行ってもいいよ
      でも吹奏楽の子が校舎のあちこちで練習してるから、その邪魔はしないようにね」

( ^ω^)「わかりましたお。 じゃあ気が済んだらまた戻ってきますお」



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