□俺は(*゚ー゚)しぃの携帯電話のようです
- 1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/07(月) 20:49:15.01 ID:V5m576+e0
- 明るく照らされた小さな小部屋。
ベッドの上には、所狭しとぬいぐるみが飾られている。
その小さな小部屋に、俺と彼女がいた。
(*゚ー゚)「〜♪」
小さな顔に収まっている、大きく澄んだ瞳。
可愛らしく震える唇。左程大きくない身長。
VIP高校2年生、しぃ。
彼女と俺はベッドに座り込み、共にテレビを見ている。
彼女の手が俺に触れ、俺は彼女のぬくもりを直接感じ取った。
- 2: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/07(月) 20:51:18.92 ID:V5m576+e0
(*゚ー゚)「この番組面白いーww ツンちゃんにも教えてあげよう!」
そう言って、彼女は自らの携帯を弄くりだす。
どうやら、ツンという相手にメールを送るようだ。
(*゚ー゚)「……」
ピッ、ピッと彼女は俺の腹を押し続ける。
優しく触れるその指使いは、俺の心を安らげていた。
──ん、俺?
W1A、w-2258番。
VIP高校2年生、しぃの携帯電話だ。
- 6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/07(月) 20:54:05.53 ID:V5m576+e0
- 2年前に彼女に購入され、今に至るまで使い続けられた。
当然といえば当然だが、俺の声は彼女には届かない。
ずっと、黙って彼女を見てきたんだ。
気持ちわるい言い方かもしれないが、俺は彼女と長い時間を共に過ごしてきた。
彼女の身から離れることはほとんどなかったし、
それこそ風呂に入っているときくらいだろう。
学校でも、先生にバレないように携帯を持って言ってるしな。
俺としぃ……は……ず…・・・あ・・・・…
ピーッ
(*゚ー゚)「あ、電池切れた」
- 7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/07(月) 20:54:33.51 ID:V5m576+e0
- ここら辺でお題募集。
お題にあわせて短編を書いていきます。
- 16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/07(月) 21:07:13.50 ID:V5m576+e0
- 現在時刻、02時13分。
既にしぃの両親は眠りに就き、家で起きているのはしぃと俺だけになっていた。
友達とのメールが盛り上がっているようで、どうも寝ないつもりらしい。
……また着やがった。
俺はサーバーからの連絡を受け取り、メールを受信した。
送信者は、友達の「つー」。
よくメールをしている相手で、メールの中身もハイテンションなものだ。
『んじゃぁさ、しぃは好きな人とかいないわけ( ̄□ ̄;)!?』
先ほどからの話題は、好きな人の話。
携帯の俺だから知っていることだが、しぃは高校生活で彼氏ができたことがない。
……告白されたことなら、数えるほどあるのだが。
(*゚ー゚)「もー……つーちゃんったらこればっかり……」
- 18: お題:携帯オナ :2007/05/07(月) 21:10:44.54 ID:V5m576+e0
こちらでの表情は暗いが、その手の動きは違っていた。
『だからいないよ〜(´-ω-`) それじゃ、お風呂入ってくるねぇ!」
お風呂に入る、という言葉は、もうメールを終了する。の代名詞。
この言葉が送られてきたら、高い確率で相手はメールを終わらせたがっている。
(*゚ー゚)「……ふぅ」
メールを送信した後、一息つく彼女。
何を思ったのか、突然俺を強く握り締めた。
(*゚ー゚)「……私だって……好きな人くらい、いるもん」
え──?
- 19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/07(月) 21:13:10.50 ID:V5m576+e0
- 驚いたのは、言葉だけではない。
その後、彼女は俺をあらぬところへと近づけた。
(*゚ー゚)「……痛い……よね」
パジャマの中に、俺を滑り込ませる。
パンツの上に当て、俺をゆっくりと上下運動させた。
(*///)「……」
やめ──っ!
彼女が自身の性器に、布越しと言えど俺を摺り寄せている。
いくら携帯の俺といっても、これには興奮せずにはいられなかった。
(*///)「……!」
アンテナの部分で、強く押し付ける。
小さく可愛い彼女の声が漏れていた。
- 22: お題:携帯オナ :2007/05/07(月) 21:15:40.04 ID:V5m576+e0
- サーバー「おーい、メール着たぞ」
□「え?え?何て!?」
サーバー「メール北。んじゃ、送っとくわ」
□「ちょ!待て!今はやばい!止めてくれ!!11」
サーバー「あ、もう送ったわ」
□「ちょwwwwwwww」
- 24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/07(月) 21:16:16.19 ID:V5m576+e0
『ブブブブブブブ!』
メールの着信を知らせるため、俺は強く振動した。
当然のごとく、彼女は悲鳴を上げて驚く。
(*///)「ひ、ひぁぁぁ!!!」
そして、反射という行動で、俺をパジャマから取り出す。
息が荒く、顔は真っ赤に紅潮していた。
気持ちを落ち着かせるためか、彼女は俺を掴みなおし、メールを確認する。
畜生っ……邪魔しやがって!
『送信者:つー
本文:了解〜!風呂で変なことすんなよ( ̄ー ̄)+』
- 25: しぃのデータフォルダ :2007/05/07(月) 21:19:54.95 ID:V5m576+e0
- 現在は学校の昼休み。
周りの女子生徒も、同じように可愛い画像集めに夢中のようだ。
ξ゚听)ξ 「しぃは本当にキティー好きよね……」
川 ゚ -゚)「ツンは本当に内藤が好きだな」
ξ#゚听)ξ 「死ね」
しぃのデータフォルダの半分は、キティーの画像で埋め尽くされている。
その他といえば、友達ととったプリクラの画像くらいだろう。
ξ゚听)ξ 「もーちょっとさ、音楽とか動画とか取らないわけ?」
川 ゚ -゚)「ツンは内藤の写真ばっかりだけどな」
ξ#゚听)ξ「死ね」
- 26: しぃのデータフォルダ :2007/05/07(月) 21:22:36.57 ID:V5m576+e0
- ……だが、俺だけが知る、彼女のデータフォルダがあった。
名を、ロックフォルダという。
その名の通り、ロックが掛けられたフォルダで、彼女はあるジャンルのファイルを
全てここに保存しているのだ。
ロック番号は、1192。
理由は覚えやすいとか何とか。
『きーんこーんかーんこーん』
(*゚ー゚)「あ!センセーきちゃう!」
ξ゚听)ξ 「隠せ隠せぇ〜!」
とっさに、俺はしぃのポケットの中に放り込まれた。
ああ、また一時間はこの暗い中で一人ぼっちか。
- 27: しぃのデータフォルダ :2007/05/07(月) 21:27:19.74 ID:V5m576+e0
- ……。
…………。
…………暇だなぁ。
携帯がこんな事やっちゃいけないけど、俺は短気なんだ。
どうせしぃは授業中だし……。うん。
俺は自らデータを操作し、ロックフォルダを開く。
その中に保存されていた『ファイル』を、俺はチェックした。
『品川庄治.jpg』
『吉本・品川.jpg』
『品川顔写真.jpg』
『品川ネタ.mmf』
『品川アニメ画.gif』
『吉本集団.jpg』
『品川庄治・品川.gif』
『藤原弘.jpeg』
- 30: 厨二病になる・地球破滅の危機 :2007/05/07(月) 21:31:01.85 ID:V5m576+e0
- (*゚ー゚)「な、なにぃ……!」
深夜12時、届いたメールを見て、彼女は声を上げた。
送信者は、同じくつー。
『しぃ隊長!奴が……ピポポタマスが攻めてきましたぁ!!』
(*゚ー゚)「ピポポタマスだとぉ……!奴はGによって殺されたはずだろぉ!?」
大声を上げながら、メールを打ち始めるしぃ。
内容は、彼女の言葉そのもの。
無駄に三点リーダまで使うから困る。
(*゚ー゚)「くっ……つー少尉から返事がこない!まさか……!」
(*゚ー゚)「いや、つー少尉は優秀だ。簡単には……」
- 31: 厨二病になる・地球破滅の危機 :2007/05/07(月) 21:34:36.72 ID:V5m576+e0
- サーバーから送られてきたメール。
俺はそれを確認し、彼女へと知らせる。
(*゚ー゚)「! つー少尉は生きていた!!」
死ぬのかよ。
『隊長……コナン・バーロが……現われました……』
(*゚ー゚)「コナン・バーロだと……!奴は黒の組織に消されたはずじゃああああああああ!!!?」
彼女のテンションは最高潮に達する。
震える手を押さえながら、彼女は返信を打ち始めた。
(*゚ー゚)『今から風呂入る』
- 33: ツンに電話 :2007/05/07(月) 21:38:24.59 ID:V5m576+e0
- (*゚ー゚)「つ〜か〜れ〜た〜」
宿題をしている最中、ついに彼女は音を上げた。
連続49分、彼女にしてはよく頑張ったほうだろう。
(*゚ー゚)「む〜ぅ。誰かと話したいよぉ〜」
出来ることなら、俺が話してあげたいです。いやまじで。
でも、そんなことは出来ない……。俺は、携帯なんだから。
(*゚ー゚)「そだ、ツンちゃんだ!」
時計で時刻を確認する。
まだ7時ちょっと過ぎ。
バスケ部のツンなら、帰っている途中かもしれないな。
(*゚ー゚)「ぷるるるる〜♪」
『ぷるるるる〜♪』
- 34: ツンに電話 :2007/05/07(月) 21:42:03.97 ID:V5m576+e0
- 「あ、ゴォーもしガァーもし」
(*゚ー゚)「はろ〜!」
いつもの調子で声を掛けるしぃ。
やはり向こうは外にいるようだ。
車の通る音が、俺の機体を振るわせた。
(*゚ー゚)「私勉強したんだよ!?すごくない!?」
「あーすごいすごい。今ちょっと忙しいから──
おーいツン!早く行くおー!」
(*゚ー゚)「……あ、邪魔だったかな?」
「ば、バカ!あんたは黙ってなさい!!
分かったお! 五月蝿い!!」」
「あ、しぃ!?気にしないで!今の独り言だから!」
- 35: ツンに電話 :2007/05/07(月) 21:45:35.41 ID:V5m576+e0
- (*゚ー゚)「えへへw それじゃ、楽しんで帰ってね♪」
「も、もぉー!!」
そこで、俺の電波は途切れた。
しぃのほうが、終了ボタンを押したのだ。
(*゚ー゚)「ブーンとツンちゃんかぁ……」
少しだけ辛そうに、彼女は溜息をついた。
スライド式の俺を、静かに閉じる。
(*゚ー゚)「私だってさぁ……」
……。
(*゚ー゚)「ふんだ!勉強の鬼になるもんだ!!!」
痛い!投げつけんなボケ!
- 41: 全校集会 :2007/05/07(月) 21:54:08.71 ID:V5m576+e0
- 生活指導「近日ぅー!携帯電話の使用がめだぁーつ!!」
広い広い体育館に、生活指導の声が響いた。
携帯電話の使用について、全校集会が開かれたのだ。
生活指導「我が校では携帯電話の使用は認めていない!見つけ次第……」
「 没 収 だ ! ! 」
(*゚ー゚)「……」
俺は、しぃのポケットの中で静かにしている。
今は真昼間。この時間にメールするのはいないだろう、という考えで
しぃは俺をポケットに入れたまま着ていた。
生活指導「であるためー!今後はぁ〜『ブブブブブブブブ』
このような事態が起きないよ『ブブブブブブ』
……。
送信者、つー。
- 46: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/07(月) 21:58:22.11 ID:V5m576+e0
- 生活指導「だれだああああ!今携帯をならした奴はぁぁぁ!!!!!」
(;*゚ー゚)「……」
こっそりポケットに手を入れ、ボタンを押してバイブを止めるしぃ。
半径3メートル以内の生徒は、恐らくしぃが犯人ということを分かっているだろう。
生活指導「おとなしく出て来いぃぃぃ!!」
(;*゚ー゚)「だ、誰なんだろうねwwあははwww」
ξ;゚听)ξ 「は、はは……」
(*゚∀゚)「こんなときに携帯を持ってくるバカはいないでしょー」←送信者
やばい……今しぃが犯人だとばれたら、俺は没収されてしまう。
運が悪ければ、解約までされるだろう。
それだけは防がなければ……どうやって……
- 52: 全校集会 :2007/05/07(月) 22:01:52.97 ID:V5m576+e0
- ……!
俺は自らを操作して、新規メールを作成する。
本文や件名は空でいい。
宛先は……適当でいいや。
適当にアドレス帳から引っ張り出し、俺はそいつにメールを送った。
完璧、これで罪を擦り付けられた。
『ブブブブブブブ』
隣の男子の列から、バイブの着信音が聞こえた。
あーあ、可愛そうに。悪いけど、身代わりになってね。
生活指導「おいそこぉ!立て!」
言われて、しぶしぶ立ち上がる男子生徒。
その顔は、半分怒りに満ちていた。
(#,,゚Д゚)「ごるぁ……」
- 54: 全校集会 :2007/05/07(月) 22:05:45.60 ID:V5m576+e0
- ※
全校集会終了後、しぃはほっとした様子で息をつく。
(*゚ー゚)「もー!つーちゃん!本当に焦ったんだからね!」
(*゚∀゚)「いーじゃんいーじゃん、バレなかったんだしwwww」
そんな会話を楽しみながら、教室へ戻る途中だった。
先ほどの男子生徒が、しぃに立ち寄る。
( ,,゚Д゚)「おい、しぃ」
(*゚ー゚)「あ、ギコ君。今日は災難だったねwww」
(#,,゚Д゚)「災難どころの騒ぎじゃねえぞゴルァァァ!!!」
(*゚ー゚)「そ、そんなに怒鳴んなくても……」
(#,,゚Д゚)「テメーのメールのせいで、本当にとばっちり受けたぞゴルァ!!」
(*゚ー゚)「わ、私のメール?」
彼女は慌てて俺を取り出す。
送信ボックス、宛先、ギコ。
- 57: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/07(月) 22:08:48.46 ID:V5m576+e0
(*゚ー゚)「あ……いや……偶然ボタンがあたって……」
( ,,゚Д゚)「偶然?は、すばらしい偶然だなゴルァ」
(*゚ー゚)「えっと……ごめん……」
( ,,゚Д゚)「けっ」
場の雰囲気だけを悪くして、ギコは立ち去っていく。
残された、しぃ達女子生徒は、ひそひそと陰口を叩き始めた。
(*゚∀゚)「あいつー……!」
ξ゚听)ξ 「ひどい言い様よ!しぃも気にしなくていいんだからね!」
(*゚ー゚)「う、うん……」
- 11: 携帯の電池が弱る :2007/05/08(火) 21:53:27.36 ID:+JJb+tAd0
- あー、やばいわ。
現在は夕方5時、しぃが学校から家に帰っている途中だ。
(*゚ー゚)「やばっ……電池残り1個じゃん!」
そう、俺の残り電池は1個。
満タンから電池二個になるのは結構もつんだけど、
電池二個から一個、一個から電池切れまでは物凄く短いんだよな。
(*゚ー゚)「ここから家まで1時間以上あるのにぃ……」
この年代の女子となると、一時間も携帯がないというのは、大変なことなのだろう。
しぃは電車に揺られながら、俺をポケットに直す。
- 12: 携帯の電池が弱る :2007/05/08(火) 21:55:25.93 ID:+JJb+tAd0
- サーバー「おーいメールきたぞー」
□「ん……ああ、送っておいてくれ」
サーバー「なんか元気ないな、お前」
□「残り電池1個……なんか最近消耗激しいんだよ」
サーバー「お前って、確か2年前のモデルだよな」
□「そうそう……」
サーバー「……んじゃ、メール送っておくわ」
□「さんきゅ」
- 14: 携帯の電池が弱る :2007/05/08(火) 21:59:43.27 ID:+JJb+tAd0
- 『ブブブブブブブ』
俺はサーバーからメールを受け取り、バイブでしぃに知らせる。
しぃは俺をポケットから取り出して、メールを確認した。
『送信者:つー
今日も学校お疲れナリ♪』
(*゚ー゚)「返事返事っと」
俺のボタンを優しくタッチする。
だが……既に、俺の意識は朦朧としていた。
耐えろ……!せめて、このメールだけは……おくらせてやれ!
頑張れ俺……、しぃのために、力を振り絞るんだ……!
ぐ、ぐおおおおおおお!!!!
- 15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/08(火) 22:00:10.27 ID:+JJb+tAd0
『ピーッ!電池が切れました』
- 16: クラスメイトの男子 :2007/05/08(火) 22:03:20.05 ID:+JJb+tAd0
- (*゚ー゚)「昨日は災難だったよぉー」
俺が電車の中で電池切れになった次の日の昼休み。
しぃ達女子は、いつもどおり班を作って、弁当を食べていた。
(*゚∀゚)「大体、2年前の機種なんか使ってるからじゃないの?」
ξ゚听)ξ 「バッテリー変えるか、機種変しちゃいなよ」
川 ゚ -゚)「ツンのバッテリーの裏には、内藤とのプリクラがあるがな」
ξ#゚听)ξ 「死ね」
機種変……か。
機種変更したら、完全に俺の記憶は失われる。
というより、俺自身でなくなるのだ。
- 19: クラスメイトの男子 :2007/05/08(火) 22:07:18.05 ID:+JJb+tAd0
- ( ,,゚Д゚)「んぁ、しぃ。お前2年前の機種使ってんのか?」
隣で飯を食べていた男子、ギコが反応する。
この前まで、全校集会の件で切れていたくせに。
(*゚ー゚)「うん……なんか新機種で、パッとするのなくて」
( ,,゚Д゚)「しかもスライドだしな……。この前のメールの件も、本当に偶然だったのか?」
(*゚ー゚)「うん。いつも勝手にデータフォルダとか開いているもん」
いや、俺が開いているだけ。
俺自身はそこまでボケていませんから。
( ,,゚Д゚)「そっか……。いや、あん時はスマネェな……」
(*゚ー゚)「ううん。私のほうこそごめんね」
……なんだ、この雰囲気……。(携帯だから変換は得意)
- 21: 圏外 :2007/05/08(火) 22:11:18.59 ID:+JJb+tAd0
- (*゚ー゚)「や、やっぱり怖いよぉ……」
(*゚∀゚)「弱音を吐くんじゃないよ!」
……俺としぃとつー、俺達は、暗いくらい森の入り口にたっていた。
俺を掴んだしぃの手が、小さく震えている。
(*゚ー゚)「大体、本当にお化けでたらどうするのよ!」
(*゚∀゚)「殺される」
(*゚ー゚)「バカァ!」
どうやら、心霊スポットで肝試しをやるつもりらしい。
確かに薄暗い森だが……俺は幽霊なんて信じない。(科学物なだけに)
- 23: 圏外 :2007/05/08(火) 22:14:55.70 ID:+JJb+tAd0
- 俺のライトを付け、奥へと進んでいく二人。
ライトのつけっぱなしは止めろ、電池の消耗激しいから。
(*゚ー゚)「やっぱ帰ろう……」
(*゚∀゚)「バーカいうんじゃないよ!ここは民家も近くて、携帯も十分繋がるんだしさ」
(*゚ー゚)「……」
確かに、ここら辺には、アンテナの気配がプンプンする。
普通だったら、電波も十分良好だろう。
……だけど。
(*゚ー゚)「私の携帯、圏外なんだけど……」
(*゚∀゚)「ありゃ?私のもだ」
- 24: 圏外 :2007/05/08(火) 22:18:57.91 ID:+JJb+tAd0
- な、何故だ?
近くに電波を感じるのに、それがなぜか俺に届かない。
(;*゚ー゚)「や、やばいよぉ……」
(;*゚∀゚)「今、何か音しなかった?」
……。
な、なんだ……?
「はぁ……はぁ……」
(;*゚ー゚)「足音、聞こえるよね」
(;*゚∀゚)「まさか……幽霊……?」
科学的な俺でも、流石に不安になる。
電波が通じない、不審な足音。心霊スポット。
……ま、まさかな……。
- 26: 圏外 :2007/05/08(火) 22:21:59.21 ID:+JJb+tAd0
- 「はぁ……はぁ……」
(;*゚ー゚)「ど、どうしよう……つーちゃん!」
(*゚∀゚)「あ、人影」
(;*゚ー゚)「ふぇぇ!?」
しぃが慌ててそこにライトを向ける。
そこには、真っ黒の服、真っ黒のズボン、真っ黒の帽子、真っ黒の靴。
全身が黒で包まれた、幽霊──。
(*´_ゝ`) 「はぁ……はぁ……やっぱり、幼女の盗撮はたまらんな……」
- 27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/08(火) 22:25:23.23 ID:+JJb+tAd0
- ──────────
──────
────
──
─
その日、男は警察によって連行された。
盗撮、盗聴を繰り返しており、毎日この森の中で眺めていたとの事。
俺が圏外になったのも、どうやら盗撮の電波により、
正規の電波が届かなくなっていたらしい。
本当に、最悪な不審者だぜ。
(*;ー;)「ある意味幽霊より怖かったよぉ……」
(*゚∀゚)「よしよし」
- 28: 存在感が薄い奴 :2007/05/08(火) 22:29:54.29 ID:+JJb+tAd0
- (*゚ー゚)「それでねぇ、いきなり『はぁ、はぁ』なんて声がするからビビっちゃってー!」
(*゚∀゚)「しぃのビビリっぷりったら、本当に笑えたよーwwwwww」
ξ゚听)ξ 「全く……男はみんな、変態なんだから」
川 ゚ -゚)「内藤は変態か?」
ξ#゚听)ξ 「死ね」
|||-_||| 「……」
(*゚ー゚)「あははw ツンちゃん、この前の夜さぁー」
ξ;゚听)ξ 「アッー!」
(*゚∀゚)「何々ーwwwww」
ξ;゚听)ξ 「しぃのお馬鹿!!」
(*゚ー゚)「えへへーw」
- 31: 存在感が薄い奴 :2007/05/08(火) 22:32:23.59 ID:+JJb+tAd0
- ξ゚听)ξ 「あのときは、たまたま一緒だっただけよ」
川 ゚ -゚)「内藤、ドクオの帰りの誘いを断ってたけどな」
ξ#゚听)ξ 「死ね」
|||-_||| 「……」
(*゚∀゚)「今度、4人でどっか遊びにいこーよぉー」
(*゚ー゚)ノ「カラオケー♪」
ξ゚听)ノ「遊園地ー♪」
川 ゚ -゚)ノ「ムツゴロウ王国ー」
(*゚∀゚)「はいはい、それじゃ、今度の日曜日ね!」
|||-_||| 「……」
- 34: セクロス :2007/05/08(火) 22:37:57.80 ID:+JJb+tAd0
- 今日は日曜日、しぃ達4人は遊園地に遊びに来ていた。
ん、4人だよな。
(*゚∀゚)「てけてけてー」
つーを先頭に、4人は入場門を潜る。
全員の私服を見るのは何度目かだが、やはりしぃの私服はよい。
可愛らしく、とても短いスカート。
ポケットがないから、胸ポケットに俺を入れるしぃ。
この弾力が……たまらん。
(*゚ー゚)「うわぁ……カップル多いね」
ξ゚听)ξ 「全くよ!日曜の午前中から、どんだけ暇してるんだか」
川 ゚ -゚)「この前の日曜日、VIP公園の前で……」
ξ;゚听)ξ 「な、なんで……」
- 38: セクロス :2007/05/08(火) 22:45:26.90 ID:+JJb+tAd0
- (*゚∀゚)「午前中から、好きな人と一日中いられる!素晴らしいことじゃないかぁ」
ξ゚听)ξ 「遊園地なんて、半日もあれば回れるでしょうに」
川 ゚ -゚)「VIP公園で、3時間話っぱなしだったのは……」
ξ;゚听)ξ 「お前はストーカーか!」
(*゚∀゚)「……もちろん夜は、セクロスだよねぇ!」
つーの一言により、場の雰囲気は一瞬にして凍った。
いや、別にこの発言くらい大丈夫だろうに。
(*゚ー゚)「セ……クロス……」
川 ゚ -゚)「セックスのことだ」
ξ#゚听)ξ 「死ね!」
- 39: ksms :2007/05/08(火) 22:49:41.90 ID:+JJb+tAd0
- 夜、俺はサーバーから届けられたメールをしぃに知らせる。
送信者は……またアイツか。
『送信者:つー
本文:ksms』
(*゚ー゚)「……くそみそ……」
しぃがぼそりと呟く。
あいつ、しぃに変な事吹き込みやがって……。
(*゚ー゚)「くそみそって、あれだよね……」
ダメだ!しぃ!
それ以上奥に踏み込むと、腐女子の看板を背負うことになるぞ!
- 41: ksms :2007/05/08(火) 22:55:19.50 ID:+JJb+tAd0
- (*゚ー゚)「糞味噌……漢字にすると……」
うえ……めちゃくちゃ汚ねぇ。
頼むから、純粋なしぃでいてくれないか……。
(*゚ー゚)「返信しよぉーっと」
(*゚ー゚)『いきなり糞味噌だなんてwwww≧∇≦
つーちゃんエロすぎーwwww』
送信して、1分後。
つーから送られてきた返事。
『糞味噌?私さっき、
K……Kの意思を継ぐ
S……すばらしい
M……Mな主人公、ブーンが送る
S……小説、ブーンがGになるようです
の略を送ったんだけど……。』
……めちゃくちゃだ……。
無理すんなよ……。
- 14:ハイウェイで爆走 :2007/06/01(金) 21:42:47.73 ID:qAQGckxI0
- (*゚ー゚)「〜♪」
両親と共に乗っている車。
今日は久々に、家族で休日を過ごすらしい。
(*゚ー゚)「おとーさん、あとどんぐらいで着くの?」
父親「んー。お父さんも始めていく場所だからなー」
母親「道に迷わないでくださいよ」
少し遠くにある、大きな湖。
どうやら今日はそこに向かっているようだ。
父親「んー。この高速道路に乗って……どこで降りればいいんだろうなぁ」
母親「んー……」
- 15:ハイウェイで爆走 :2007/06/01(金) 21:45:35.93 ID:qAQGckxI0
- (*゚ー゚)「あ、おとーさん。私携帯で調べてあげようか?」
父親「お、頼む」
しぃはそういって、俺をポケットから取り出す。
『アプリ』、その中の、『E○ナビウォーク』を開いた。
……ナビウォーク……?
(*゚ー゚)「VIP湖っと……」
目的地に、VIP湖と入力する彼女。
次の瞬間には、VIP駅への歩行用の道が示されていた。
(*゚ー゚)「よーし、お父さん。そのままマッスグ進んでー」
父親「りょーかい」
- 16:ハイウェイで爆走 :2007/06/01(金) 21:48:25.97 ID:qAQGckxI0
- しぃは、俺が示した道を父親に教えている。
……だが、やはりそこで問題は起きた。
(*゚ー゚)「あれ……全然進まないなー」
しぃが俺の画面を見ながら、首を傾けた。
それもそうだ。
しぃが今使っているのは、携帯の歩行用ナビ。
車、更に高速道路の中で使っていたら、反応が遅くなるのは必然だった。
(*゚ー゚)「お父さん!全然スピードでてないんじゃない!?」
父親「え……80は出してるぞ」
(*゚ー゚)「予定到着時間、5時間後だって!」
……歩いていけば、の時間だけど……。
そんなこと、しぃが気づくはずもなかった。
(#*゚ー゚)「もっと飛ばして!」
- 17:ハイウェイで爆走 :2007/06/01(金) 21:52:10.76 ID:qAQGckxI0
- 父親「お、おお!」
娘命である父親が、おもむろにアクセルを踏み込んだ。
大きなGが車内を襲い、しぃ達はシートへと押し付けられる。
父親「100……120……!!!」
(#*゚ー゚)「ダメ!全然目的地までの距離が減って無いよ!」
父親「130……150!!」
(;*゚ー゚)「もっとぉ!もっとぉ!!」
車線を上手く使いながら、次々と前方の車を抜いていく。
後方からのクラクションが、俺にも響き渡った。
(*゚ー゚)「まだ距離が縮まってないよ!!」
母親「いえっふぅーーーーぃ!!」
- 20:ハイウェイで爆走 :2007/06/01(金) 21:54:36.59 ID:qAQGckxI0
- □「おいサーバー!早く反応しろ!」
サーバー「目的地までの距離、残り25km」
□「バーロー!もうさっきの報告から3kmは進んだぞ!!」
サーバー「3km!?ちょっとまて……目的地までの距離、残り22km!」
□「ああああ!更に5kmは進んだってば!」
サーバー「おいおいwwwwwどんだけだしwwwwうぇwwwww」
□「早く教えろって!」
サーバー「目的地までの距離、残り17km」
□「もうさっきから9kmは進んだって!!」
サーバー「うぜえええええええええ!!!!!」
- 21:ハイウェイで爆走 :2007/06/01(金) 21:58:54.90 ID:qAQGckxI0
- (;*゚ー゚)「ええええ!?」
俺がサーバーから送られてきた情報を、表示する。
それを見たしぃが、驚愕の表情を見せた。
(;*゚ー゚)「お父さん!お父さん!」
父親「男は止まらない止められないいいいいいいいいい!!!」
(;*゚ー゚)「もう目的地通り過ぎたって!!」
父親「I go lake !!! I go lake !!! I must go lake !!!!!!!!」
(;*゚ー゚)「どんどん遠ざかってるよ!!」
父親「シャーラップ!!!!」
母親「ゴーレイク!!ゴーレイク!ほ・の・ぼ・の・レイク!!!」
- 22:キャッチだ!とうっ! :2007/06/01(金) 22:04:20.83 ID:qAQGckxI0
- (*゚ー゚)「今日は〜一人で〜散歩〜♪」
一人、何かを呟きながら外を歩くしぃ。
今日は完全な休養日のようで、のんびりと過ごしているようだった。
(*゚ー゚)「ん……何だか向こうが騒がしいなぁ」
前方から、何やら大きな声が聞こえている。
その声の距離は次第に近づいてきているようだった。
(*゚ー゚)「なんだろ……聞き覚えある声だなぁ……」
しぃが目を凝らして前を見る。
すると、遠くから、一人の男が走ってくるのが見えた。
(;´∀`)「はぁ……はぁ……」
全速力で駆ける男の後ろ、同じく全速力で駆ける少女。
(#*゚∀゚)「ドロボオーーー!!!」
- 23:キャッチだ!とうっ! :2007/06/01(金) 22:07:08.31 ID:qAQGckxI0
- (;*゚ー゚)「つーちゃん!?」
クラスメイトのつーが、泥棒と叫びながら男を追いかけている。
男の手には、一つのバッグが握られていた。
(;´∀`)「どけモナァ!!!」
(;*゚ー゚)「!!」
つーの方に気を取られて、男が目の前まで接近しているのに気付かなかった。
男は、振り向いた直後のしぃに激突した。
(;*゚ー゚)「痛ぁっ!」
その瞬間、手に握られていた俺が空中へと投げ出される。
嗚呼……この高さから落ちたら、やばいかもしれんね。
- 26:キャッチだ!とうっ! :2007/06/01(金) 22:10:39.01 ID:qAQGckxI0
- ( ´∀`)「キャッチだ!とうっ! 」
しぃと激突した男が、低飛行ダイビングで、俺をキャッチした。
地面とのギリギリのところで、俺は男の手の中へと入り込む。
(*゚ー゚)「あ、あ……」
( ´∀`)「はい、携帯を返すモナ」
男は丁寧に、俺をしぃに手渡す。
そのほがらかな笑顔に、こいつが泥棒であるということを忘れそうになった。
( ´∀`)「それと、あの女足速いから、このバッグもいらないモナ」
そういって、つーの物らしき鞄をしぃに渡す。
確かに、運動神経抜群のつーに、このピザ男が適うとも思えない。
(#*゚∀゚)「ドロボー!!」
- 27:キャッチだ!とうっ! :2007/06/01(金) 22:12:36.81 ID:qAQGckxI0
- (;´∀`)「また来たモナ!」
そういって、男は走り出そうとする。
その後姿を見て、しぃは彼を呼び止めた。
(*゚ー゚)「もう荷物返したのに……泥棒呼ばわりは大変ですねw」
これが、しぃの可愛いところだ。
微妙な天然を含む、純粋な笑顔。
( ´∀`)「いや、僕はまだ、大事なモノを盗んだままモナ」
(*゚ー゚)「?」
( ´∀`)「それは、あなたの心です」
- 30:キャッチだ!とうっ! :2007/06/01(金) 22:16:26.11 ID:qAQGckxI0
- (*゚ー゚)「……」
(*´∀`)「……」
(*゚ー゚)「……きめぇ」
(;´∀`)「モナッ!?」
(#*゚∀゚)「泥棒めぇえええ!!!!」
しぃと男が話している間、ついにつーが到着した。
男の腕をねじり上げ、動けないようにする。
──数分後、男は警察に身柄を渡された。
彼は……しぃの心を盗んだままなのかな……。
(*゚ー゚)「まじキモかったwwwwアイツwwwwww」
(*゚∀゚)「うぇwwっうぇwwwwwww」
- 32:ネジ :2007/06/01(金) 22:21:51.70 ID:qAQGckxI0
- (*゚ー゚)「二人で帰るなんて、久しぶりだねぇ!クー!」
川 ゚ -゚)「そうだな」
学校の終礼後、しぃとクーの二人は家路に向かっていた。
普段は、しぃは一人かつーと一緒に帰っている。
バイトの入っているクーと帰るのは、本当に珍しいことだった。
(*゚ー゚)「そういえばさ、クーはいないの?」
川 ゚ -゚)「……何がだ?」
(*゚ー゚)「かーれーしー♪」
クーといえば、学校イチの美女でありながら、今まで誰とも付き合ったことの無いという堅い女。
そのくらい承知で、しぃはクーに聞いたのだった。
- 34:ネジ :2007/06/01(金) 22:25:45.45 ID:qAQGckxI0
- 川 ゚ -゚)「今日、ドクオに告白された」
(;*゚ー゚)「ドクオ君!?」
ドクオ……確か、同じクラスの男子だったな。
むっちゃ暗くて……あまり印象に無い。
(;*゚ー゚)「それは災難だね……」
川 ゚ -゚)「災難……?私は、付き合うことを承諾したんだが」
(;*゚ー゚)「嘘ぉ!?」
クーの突然の発言に、さすがのしぃも驚きを隠せないでいた。
根暗と美女が、付き合うというその発言に。
川 ゚ -゚)「さて、私はコッチの道だ。また明日」
- 35:ネジ :2007/06/01(金) 22:28:04.41 ID:qAQGckxI0
- 『ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ』
……なんだ、この音……?
(*゚ー゚)「……?」
川 ゚ -゚)「……」
『ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!!』
音が近く……大きくなってる……。
(*゚ー゚)「な、何!?」
川 ゚ -゚)「あ、隕石」
36:ネジ :2007/06/01(金) 22:29:54.79 ID:qAQGckxI0
川 ゚ -゚)「ぐわーーーーーー」
(省略されました。続きを読むにはクーネ…ゲホゲホッ)
(以下をご覧ください)
ttp://hebiya.blog40.fc2.com/blog-entry-4032.html
- 42:画面に貼ってあるシート :2007/06/01(金) 22:49:33.38 ID:qAQGckxI0
- (*゚ー゚)「む〜」
俺の画面を見つめながら、何やらいぶかしげな顔をするしぃ。
何か不満でもあるのだろうか。
(*゚ー゚)「画面汚いなぁ……」
……そういうことか。
確かに、俺は2年前のモデルだから、相当使われている。
今の女子高生には、あまり綺麗とはいえないのだろう。
(*゚ー゚)「そだ、シート剥がそう!」
携帯に初期からついている画面シール。
それを剥がせば、また綺麗な状態に戻せるのだ。
(*゚ー゚)「私って天才かも〜♪」
- 43:画面に貼ってあるシート :2007/06/01(金) 22:53:19.60 ID:qAQGckxI0
- そういって、画面のはじに爪を立てる。
(*゚ー゚)「んっ……」
だが、2年間ひっついた状態のシートは、なかなかはがれない。
空気が完全に抜けた状態で、隙間なく密着しているのだ。
(*゚ー゚)「んんんんんんんーーーーー!!!」
何度も何度も、爪をカチカチと動かす。
そんなに強く扱われたら……いやん(はぁと
(#*゚ー゚)「んんんんんんんーーーーーー!!!!!」
- 44:画面に貼ってあるシート :2007/06/01(金) 22:58:06.43 ID:qAQGckxI0
- 『ピリリ』
綺麗な音を出して、シートははがれていく。
だが──勢いよく引っ張った反動で、俺はしぃの手から離れていった。
(;*゚ー゚)「やばっ……!」
高く高く舞い上がる俺、そして下へ一直線。
嗚呼、流石に今回は、『キャッチだとう』なんて展開はないだろうな。
シールはがした途端、画面に傷付けてしまうな。
『ぱふっ』
……ぱふっ?
俺は、しぃの大きな胸テーブルへと着地した。
- 45:画面に貼ってあるシート :2007/06/01(金) 22:59:37.26 ID:qAQGckxI0
- □「おっぱいktkr!!」
サーバー「おお、今バイブしたら感じるんじゃね?」
□「それだ!!」
サーバー「んじゃ、適当にスパムメールおくっといてやるよ」
□「職権乱用すんなwwwww」
サーバー「感謝しろよwwwwwwwww」
□「うはwwwwwww」
- 48:画面に貼ってあるシート :2007/06/01(金) 23:02:48.81 ID:qAQGckxI0
- 『ブブブブブブ』
サーバーから来たメールを受け取り、俺はバイブで知らせる。
これで、しぃは感じてくれるだろう。
ふひwwwwwふひひwwwwwwww
(*゚ー゚)「あ」
バイブの振動で、俺は胸の上で微妙に動く。
その動きにより、俺は胸から崖へと近づき──
『ドスッ』
(;*゚ー゚)「げ……」
地面へと、一直線に落ちた。
- 9: 水 :2007/06/04(月) 21:16:34.24 ID:sv+ogU/N0
- (*゚ー゚)「ぷっはーー」
授業終了のチャイムと共に、しぃが立ち上がった。
真夏のこの時期、教室内の気温は相当高くなっていた。
(*゚ー゚)「つーちゃん、水のみにいこ!」
(*゚∀゚)「なーいす!」
一階にある冷水機、そこに水を飲みにいくようだ。
ポケットに入れられた俺は、ただ揺られたまま、一階へと降りていく。
・・・・・・・・・
(*゚ー゚)「んんん〜〜」
口を濡らし、喉に潤いを与える。
本当に、美味しそうに水を飲んでいた。
- 10: 水 :2007/06/04(月) 21:20:51.34 ID:sv+ogU/N0
- (*゚∀゚)「次はアタシの番だよっ!」
しぃを押しのけるようにして、つーが冷水機に口を向けた。
しぃとは違い、大量の水を一気に飲んでいる。
(*゚ー゚)「飲みすぎ〜ww……あれ?」
しぃが言葉を止めた理由は、俺だった。
サーバーからメールが届けられ、俺がバイブで知らせたのだ。
(*゚∀゚)「だーれーかーら……?……ゴクゴクゴク」
(*゚ー゚)「ギコ君からのメール」
(*゚∀゚)「え、ギぶひゃあああああああああああああああああ!!!」
大量の水を口に含んだまま口を開いたつー。
水は地球の重力、それとつーの口内運動に従い──
勢いよく、噴出した。
- 14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/04(月) 21:24:45.11 ID:sv+ogU/N0
- (*゚ー゚)「うわぁっ!」
その水は、しぃの方へも飛び散る。
よって、その手に握られた俺にも、被害は及んだ。
(*゚ー゚)「あああああ!!」
(*゚∀゚)「そんな大声出さないでよ!悪かったって!」
(*゚ー゚)「携帯大丈夫かなぁー……」
………ヂヂ……
んだよ……
………なんか……痺れる……んだけど……
……そろそろ……
やべぇ
- 16: 水 :2007/06/04(月) 21:27:37.90 ID:sv+ogU/N0
- (*゚ー゚)「あ、あれ?」
(*゚∀゚)「どないしたー」
(*゚ー゚)「動かないんだけど……」
(*゚∀゚)「ええ!?たったの水しぶきだけで?」
(*゚ー゚)「相当古いけど……これってヤバイよねぇ……」
(*゚∀゚)「もう、買い替え時じゃない?」
(*゚ー゚)「……うん」
- 17: 水 :2007/06/04(月) 21:29:01.07 ID:sv+ogU/N0
……ぶはぁぁぁぁぁ!
(*゚ー゚)「あ、ついたぁ!!」
(*゚∀゚)「おめ」
『おめ』じゃねえよバカ!!
まじで死んでしまうじゃねえか!!
2年前のモデル舐めんじゃねえよクソババア!!
あーだりぃ。
マジだりぃ。
……なーんか頭がすっきりしねーなー。
- 20: 木魚 :2007/06/04(月) 21:33:01.71 ID:sv+ogU/N0
- (*うー゚)「むぅー……」
(*゚∀゚)「どうしたのさ、しぃ。クマできてるぞー」
(*゚ー゚)「最近眠れなくて……ふぁぁ……」
確かに、しぃは最近、あまり寝ていない。
特に何かをしているわけではない、ただ単純に起きているのだ。
(*゚ー゚)「不眠症かなぁ」
(*゚∀゚)「あ、アタシ、よく眠れる方法知ってるよ」
(*゚ー゚)「え、教えて教えて!」
(*゚∀゚)「これさぁー!」
そういって、つーは自らの携帯をしぃに突き出した。
最新機種のその携帯から、なにやら音楽が聞こえてくる。
- 23: 木魚 :2007/06/04(月) 21:34:58.56 ID:sv+ogU/N0
- 『ポン・ポン・ポン・ポン・ポン・ポン・ポン』
(*゚ー゚)「……」
(*゚∀゚)「着ボイス、『木魚』!これ聞いてれば、自然と眠くなるよぉ!」
(*゚ー゚)「……」
(*゚∀゚)「あら、うけなかったかなぁwwwwあひゃひゃwwwwww」
(*゚ー゚)「……ぐぅ……」
(;*゚∀゚)「効果てき面!?」
〜〜〜〜〜〜
- 26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/04(月) 21:38:18.99 ID:sv+ogU/N0
- (*゚ー゚)「よーっし、私も『木魚』ダウンロードするぞぉ」
家に辿りついたしぃが、勢いよく俺を取り出す。
相当木魚の音が気に入ったらしい。
無料で音楽がとれるサイト……いわゆる、掲示板というところに、しぃはアクセスした。
(*゚ー゚)「木魚木魚…・・・あったぁ!」
どうやらスグに見つけられたらしく。
しぃはそれのダウンロードを開始した。
・・・。
(*゚ー゚)「完了っ!」
パジャマに着替え、布団にくるまるしぃ。
ここまでは、普段どおりだ。
……そして、俺を取り出した。
- 27: 木魚 :2007/06/04(月) 21:40:19.43 ID:sv+ogU/N0
- (*゚ー゚)「木魚、さーいせい!!」
『このファイルの再生には対応していません』
(*゚ー゚)「……」
……まじでゴメンな……しぃ……。
- 29: 着メロ作曲機能 :2007/06/04(月) 21:43:42.18 ID:sv+ogU/N0
- (*゚∀゚)「昨日は眠れたけぇー?」
(*゚ー゚)「ぜんっっぜん!!」
(*゚∀゚)「おろ?」
(*゚ー゚)「この携帯、対応ファイル少なすぎ!!」
……ごめんなさい。
許してください。
(*゚∀゚)「んじゃさ、自分で音楽作れば?」
(*゚ー゚)「自分で……作る?」
(*゚∀゚)「そうそう、着メロなら自分で作れるんだよ?」
(*゚ー゚)「おおー」
(*゚∀゚)「しぃ作曲得意そうだし、やってみなよ!」
- 30: 着メロ作曲機能 :2007/06/04(月) 21:47:08.59 ID:sv+ogU/N0
- 着メロ作曲は、俺にもついていた。
やっと、しぃを喜ばせることが出来る。
(*゚ー゚)「ドレミファミレド……ミファソラソファミ……」
しぃが、次々と音符を入れていく。
まだ一度も再生されていないが、どうやら相当の長編のようだ。
(*゚ー゚)「……♪」
なんか、すっげー嬉しそうだな。
俺も、自然と嬉しくなる。
(*゚ー゚)「できたぁーーー!!」
しぃが嬉しそうに跳ねる。
そして、再生ボタンを押した。
- 31: 着メロ作曲機能 :2007/06/04(月) 21:49:34.37 ID:sv+ogU/N0
- 『〜〜♪〜〜♪〜〜♪〜〜♪』
綺麗な音楽だった。
流れるように、心を透かすように、聞こえる音。
(*゚ー゚)「ん〜〜いい音」
俺も、奏でていて気持ちがいい。
この音を、いつまでも弾いていたい。
奏でていたい。
『〜〜♪〜〜♪〜〜………』
(;*゚ー゚)「あら!?」
- 32: 着メロ作曲機能 :2007/06/04(月) 21:51:24.64 ID:sv+ogU/N0
- ……。
(;*゚ー゚)「ちょっと、何で止まるの!?」
……止まる?
何のこと言ってんだ、コイツ……。
(*゚ー゚)「まだ、半分くらいだったと思うけど……ってああ!!」
しぃが俺の画面を見て、驚愕した。
半端じゃなく、驚いている。
(*゚ー゚)「今まで作ったのが、全部消えてるーーーー!!!」
……作ったの?
何の話をしているんだか……。
そろそろ、しぃの天然がここまで来たのかな。
- 36: まだあった同機種 :2007/06/04(月) 21:54:55.59 ID:sv+ogU/N0
- (*゚ー゚)「……」
最近、しぃが俺に冷たくなった。
いや、今までだって、愛情を込めてもらっていたわけじゃないが……。
どことなく、冷たい視線を感じる。
从'ー'从「しーぃーちゃん」
(*゚ー゚)「渡辺ちゃん」
突然、しぃの目の前に現われたクラスメイト。
あまり話したことはないが、特別中が悪いわけではないらしい。
从'ー'从「アド交換して〜」
(*゚ー゚)「そういえば、まだしてなかったね〜!」
ああ、その程度の仲か。
- 38: まだあった同機種 :2007/06/04(月) 21:57:05.40 ID:sv+ogU/N0
- (*゚ー゚)「あ、私の赤外線送れないから……送ってくれる?」
携帯を取り出しながら、しぃが言った。
だが、それに対する渡辺の返事。
从'ー'从「あ、私も送れないの〜」
取り出した携帯電話。
黒色のスライド式、白い傷が目立つボディ。
俺と、一緒だった。
(*゚ー゚)从'ー'从「一緒だー!」
(*゚ー゚)「この機種ふるいから、今まで一緒の人いなかったんだー」
从'ー'从「私も私もー」
なにやら盛り上がっている。
俺は、このチャンスに声をかけてみた。
- 39: まだあった同機種 :2007/06/04(月) 21:59:53.87 ID:sv+ogU/N0
- □「あのー。生きてる?」
■「いきてますよー」
□「同機種なんて、珍しいよな」
■「私も初めて会いましたー」
□「相当古いからなぁ……」
■「そうですねぇ……私も、最近記憶力が落ちてて」
□「記憶力……?機械だし、落ちたりはしないんじゃないの?」
■「落ちますよー。突然、物事を忘れたり、データ消えたり」
□「へぇ〜……俺はたぶん、大丈夫だな」
■「そうでもないですよ。記憶が消えて怖いのは、自分には『消えたという記憶』がないことなんですから」
□「……」
- 40: まだあった同機種 :2007/06/04(月) 22:02:22.93 ID:sv+ogU/N0
- (*゚ー゚)「はい、私のアドレス」
从'ー'从「ありがとー」
しぃが手書きでアドレスを渡す。
それを見て、渡辺が登録をしていた。
それから、渡辺がこちらにメールを送り、両方の登録完了。
(*゚ー゚)「やっぱ赤外線ないと、めんどくさいねー」
从'ー'从「だよねー」
……。
…………。
俺は……やっぱり……不便、なんだろうな……。
- 41: メトロポリタン美術館 :2007/06/04(月) 22:05:17.45 ID:sv+ogU/N0
- (*゚ー゚)「つーちゃん、今度の日曜日さぁー」
(*゚∀゚)「あーゴメン。私親戚の家にいくからさ」
(*゚ー゚)「ツンちゃん、今度の日曜日さぁー」
ξ゚听)ξ 「に、日曜日!?日曜日はちょっと……」
川 ゚ -゚)「内藤君と……」
ξ#゚听)ξ 「死ね」
(*゚ー゚)「クーちゃんは?」
川 ゚ -゚)「オワタ同人誌書くから忙しい」
(*゚ー゚)「むぅ……」
- 43: メトロポリタン美術館 :2007/06/04(月) 22:08:06.62 ID:sv+ogU/N0
- 先ほどから、知り合いの女子に日曜日の予定を聞きまわっているしぃ。
何やら、よほど遊びたい様子だ。
(*゚ー゚)「今度の日曜、メトロポリタン美術館の展示品が日本に来るんだよ!?」
(*゚∀゚)「私興味ないし……」
(*゚ー゚)「世界の大手だよ!?見たくないの!?」
ξ゚听)ξ 「日曜はちょっと……」
川 ゚ -゚)「内藤の顔の方が見たいから……」
ξ#゚听)ξ 「消え去れ」
どうやら、メトロポリタン美術館の展示品が、日本で公開されるらしい。
しぃに美術心があるとは知らなかったが、どうしてもいきたいのだろう。
- 45: メトロポリタン美術館 :2007/06/04(月) 22:10:29.00 ID:sv+ogU/N0
- そこへ、一人の男が歩き寄る。
( ,,゚Д゚)「……しぃ?」
(*゚ー゚)「あ、ギコ君」
(*゚ー゚)( ,,゚Д゚)「今度の日曜、暇?」
(*゚ー゚)( ,,゚Д゚)「……」
(*゚ー゚)( ,,゚Д゚)「こっちは暇だけど……」
(*゚ー゚)( ,,゚Д゚)「……」
( ,,゚Д゚)「一緒にカラオ(*゚ー゚)「一緒にメトロポリタン美術館日本版に行こう!!」
- 47: メトロポリタン美術館 :2007/06/04(月) 22:13:33.32 ID:sv+ogU/N0
- 〜日曜日〜
(*゚ー゚)「すっごい綺麗ーーー」
( ,,゚Д゚)「……」
(*゚ー゚)「この絵最高じゃない!?」
( ,,゚Д゚)「……ああ」
(*゚ー゚)「やっぱこの彫刻は凄すぎるよ!」
( ,,゚Д゚)「……」
美術館、まるでデートのような形で、二人の男女が歩いていた。
はしゃぐ女と、黙って付いていく男。
美術館で携帯を触ることはマナー違反なので、俺には一切触れていない。
そこは、まぁいたしかたないことだろう。
- 49: メトロポリタン美術館 :2007/06/04(月) 22:21:49.95 ID:sv+ogU/N0
- ・・・・・・
(*゚ー゚)「んーー!楽しかった!」
既に時刻は午後6時。
美術館の閉館と共に、しぃ達は出て行った。
( ,,゚Д゚)「え、えとさ、しぃ」
(*゚ー゚)「ごめんね、無理矢理つき合わせちゃって」
( ,,゚Д゚)「んぁ、気にすんな」
いつものマイペース具合で、しぃは道を歩く。
その後ろに、ギコがついていく。
俺は、しぃのポケットの中。
- 50: メトロポリタン美術館 :2007/06/04(月) 22:24:17.93 ID:sv+ogU/N0
- ( ,,゚Д゚)「しぃ」
(*゚ー゚)「ん、なにー?」
( ,,゚Д゚)「……えとさ」
ここまで来て、俺は全てを悟った。
こいつは、しぃに……。
しぃに、告白するつもりだ。
しぃがどう思っているかは分からない。
今まで、男に関しての情報は、一切分からなかった。
ただ、好きな人がいるということだけ。
( ,,゚Д゚)「俺と……」
(*゚ー゚)「……?」
- 53: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/04(月) 22:26:37.50 ID:sv+ogU/N0
- □「サーバー!!」
サーバー「あ?」
□「今すぐスパム送れ!!」
サーバー「えー。実際、関係ないときにメール送るの犯罪だしさ」
□「いいから!!」
サーバー「あんまり不具合ばっか出してると、俺廃棄されちまうしな」
□「頼むよ……」
サーバー「……そんなに、大事なのかよ」
□「ああ」
サーバー「……」
- 56: メトロポリタン美術館 :2007/06/04(月) 22:29:40.88 ID:sv+ogU/N0
- ( ,,゚Д゚)「俺と、t『DANDAN心ひかーれーてーく』!!」
(*゚ー゚)「・・…」
サーバーから届けられたメール。
俺はすぐさまバイブモードを解除し、どでかい音声を流した。
(*゚ー゚)「ご、ごめん……」
しぃが慌てて俺を止める。
場の雰囲気は、既に壊れかけていた。
(*゚ー゚)「もう一回、言ってくれるかな?」
どこまでも、マイペースなしぃ。
本当に聞こえなかったのだろうか。
( ,,゚Д゚)「いや、やっぱいいや……」
- 58: メトロポリタン美術館 :2007/06/04(月) 22:34:38.60 ID:sv+ogU/N0
- よくやってくれた、サーバー。
こんなときのために、迷惑メールを保留にしといて正解だったな。
( ,,゚Д゚)「たいした内容じゃないしな。忘れてくれ」
(*゚ー゚)「ん〜……」
悪いな、ギコ。
お前には悪いが、ここで告白してもらったら困るんだよ。
ここでっていうか、いつ何時でもだけどな。
(*゚ー゚)「んじゃ、私も言いたいことあるし」
そういや明日からまた学校だなー。
平日は休日ほど使われないから寂しいんだよな。
ずっとポケットINだし。
ま、それもそれで──
(*゚ー゚)「私と、付き合ってください」
──いいか。
- 64: メトロポリタン美術館 :2007/06/04(月) 22:38:52.61 ID:sv+ogU/N0
- (;,,゚Д゚)「へ」
(*゚ー゚)「ずっと好きでした」
(;,,゚Д゚)「え、え……」
(*゚ー゚)「お願いします」
あまりの動揺で、一瞬バッテリー漏れしそうになった。
あまりに突然で、あまりに唐突で。
(*゚ー゚)「返事、お願いします」
(;,,゚Д゚)「あ……」
( ,,゚Д゚)「うん……俺も、しぃの事が、ずっと、好き、でした」
バイブじゃないのに、不思議と震えたくなって。
悔しさなのか、悲しさなのか、機械の俺には区別できなくて。
(*゚ー゚)「……」
( ,,゚Д゚)「……」
繋がれたその手が、やけに暖かく見えて──。
- 66: AV・中出し義母レイプ・携帯の死 :2007/06/04(月) 22:44:09.87 ID:sv+ogU/N0
- (*゚ー゚)「おじゃましまーす……」
( ,,゚Д゚)「汚い部屋だけどな」
時刻は、午後7時5分。
場所は、ギコの家。
帰り道にあったギコの家に、少しだけ寄ってみるというものだった。
(*゚ー゚)「ホント、汚いねwww」
( ,,゚Д゚)「うるせw」
積み上げられたマンガ、DVD。
さすがに急にお邪魔したということで、全く片付いていなかった。
(*゚ー゚)「それじゃ、ここ座るね」
( ,,゚Д゚)「ご勝手にー」
- 69: AV・中出し義母レイプ・携帯の死 :2007/06/04(月) 22:47:13.05 ID:sv+ogU/N0
- (*゚ー゚)「色々DVD持ってるんだねー」
( ,,゚Д゚)「まーな……って!!勝手にあさくるなよ!」
(*゚ー゚)「焦りすぎーwwまさかエッチなビデオ……」
しぃが積み上げられたDVDから取り出したもの。
『中出し義母レイプ』と書かれた、洋物のビデオ。
(*゚ー゚)「……」
( ,,Д)「……」
付き合ってものの30分で、もうピンチですか。
お前ら別れろよバカ。
(*゚ー゚)「ま、まあ、この年で持ってないほうがおかしいよね!」
( ,,Д)「……」
- 72: AV・中出し義母レイプ・携帯の死 :2007/06/04(月) 22:50:30.28 ID:sv+ogU/N0
- (*゚ー゚)「そ、そうだ!ギコ君の携帯番号教えてよ!」
話題を変えるため、しぃは俺を取り出した。
ギコの欄には、メルアドしか登録されておらず、番号の部分は空白となっていた。
( ,,゚Д゚)「お、おう。ちょっとまっててな」
ギコも自分の携帯を取り出し、それをしぃに向けた。
( ,,゚Д゚)「それじゃ、送信するぞー」
(*゚ー゚)「あ、私赤外線たぶん通じないから……」
( ,,゚Д゚)「あー……2年前の機種だっけ?」
(*゚ー゚)「うん」
ギコは携帯を弄くりながら、言葉を発する。
( ,,゚Д゚)「080-○○××-adad」
(*゚ー゚)「りょーかい〜」
- 73: AV・中出し義母レイプ・携帯の死 :2007/06/04(月) 22:52:52.47 ID:sv+ogU/N0
- ギコの欄に、新しく番号が登録された。
今すぐ消したい衝動を抑え、俺は二人の会話に耳を傾ける。
( ,,゚Д゚)「もうそろそろ、変えたほうがよくないか?」
(*゚ー゚)「まぁ……いっつも思うんだけどね」
( ,,゚Д゚)「2年も使ってるなら、ポイントも相当溜まってるだろうし……。
たぶん、無料で機種変更できるぞ」
(*゚ー゚)「うん……」
( ,,゚Д゚)「……なんか、変えたくない理由でもあんのか?」
(*゚ー゚)「う〜ん……」
- 74: AV・中出し義母レイプ・携帯の死 :2007/06/04(月) 22:55:09.51 ID:sv+ogU/N0
- (*゚ー゚)「何だかさ、この携帯、私好きなんだ」
(*゚ー゚)「愛着があるっていうのかな……。もの凄く、可愛らしく思える」
(*゚ー゚)「機械なのに、何だかとっても仲がいい気がするんだ」
( ,,゚Д゚)「……」
(*゚ー゚)「今、『コイツ何言ってんだ』って思ったでしょ!」
( ,,゚Д゚)「い、いや!そんなことはないぞ!
むしろ、なんか可愛いなーって」
(*゚ー゚)「も〜www」
( ,,゚Д゚)「ゴ、ゴルァ」
- 77: AV・中出し義母レイプ・携帯の死 :2007/06/04(月) 22:56:52.33 ID:sv+ogU/N0
- 〜〜〜〜〜
(*゚ー゚)「それじゃ、帰るね」
( ,,゚Д゚)「送ろうか?」
(*゚ー゚)「こんな時間に一緒にいたら、怪しいでしょww」
( ,,゚Д゚)「ご、ごるぁ」
(*゚ー゚)「大丈夫だよ。そんなに遠くないし」
( ,,゚Д゚)「気をつけてな」
(*゚ー゚)「うん」
ギコの部屋、そして、家から出て行くしぃ。
さすがに夏といえど、午後8時の暗さは中々厳しいものがあった。
- 79: 勇気を出して :2007/06/04(月) 23:00:05.70 ID:sv+ogU/N0
- (*゚ー゚)「ギコ君……w」
俺を取り出して、アドレス帳を開く。
アイツの電話番号を見ながら、口元を緩めていた。
(*゚ー゚)「今電話しよっかなぁー。やっぱまだ早いよねー」
一人で何かを呟いている。
その笑顔は、本当に可愛かった。
彼女が、ギコの家で俺に言ってくれた言葉。
その言葉を聞いて、俺は安心した。
俺の想いは、少しは届いていた。
はっきりとじゃないけど、なんとなく、届いていたんだ。
本当は、もっともっと伝えたいけど。
だけど、少しでも届いたことに、感謝しなくちゃいけないんだ。
- 80: 勇気を出して :2007/06/04(月) 23:02:51.87 ID:sv+ogU/N0
- (*゚ー゚)「せめてメールにしよーっと!」
彼女が、新規メール作成を開く。
宛先を決めないまま、まずは本文に取り掛かった。
(*゚ー゚)「なんて送ろう……w」
本当に嬉しそうだ。
互いに気持ちを伝えることが出来たんだから、当然か。
結局、しぃのメールを打つ手は中々進まない。
1分経った今だが、まだ1文字も打てない状態だった。
(*゚ー゚)「ん〜……」
彼女が、俺の画面をじっと見つめる。
そんなに画面ばっかり見てたら、事故に会うのに……なぁ……?
俺としぃの姿を、まぶしい光が包み込んでいた。
- 82: 勇気を出して :2007/06/04(月) 23:05:15.99 ID:sv+ogU/N0
- (;*゚ー゚)「!!!」
車だった。
夜の暗さに隠れていた俺たちに、車が突っ込んできたのだ。
『キキーッ』
金属がこすれる音を出して、車が停車しようとする。
だが、慣性の法則によって進み続ける車は、ただしぃのみを狙っていた。
(;*゚ー゚)「!!」
慌てて足を動かすも、中々動けないしぃ。
急げ、早く、間に合え、避け切れろ──。
『ドンッ』
- 83: 勇気を出して :2007/06/04(月) 23:08:55.22 ID:sv+ogU/N0
- 大分スピードの緩くなった車が、しぃに激突した。
その場に座り込むように、倒れるしぃ。
そして、鳥のように宙に放り込まれた、俺。
カシャン!と強い音を立てて、俺は地面に叩きつけられた。
その瞬間、俺の中の部品が、砕けるような感覚に襲われる。
完璧に、壊れた。
一瞬で、そのことが分かった。
電気が上手くながれておらず、もう電源が切れる直前だ。
遠くに倒れているしぃの方を見た。
運転手が中から出てきて、何やら呼びかけている。
だが、俺の視線はもう朦朧としていた。
彼女の顔が、全く見えない。
- 87: 勇気を出して :2007/06/04(月) 23:11:03.43 ID:sv+ogU/N0
- それから、しぃはスグに立ち上がった。
恐らく、大きな怪我はないのだろう。
良かった。
本当に、良かった。
そんなことを考えているうちに、今度は自分のことに意識が向いてきた。
完全に、銅線が切れ、電気が流れていない状態だ。
もう、俺は終わるのだろう。
きっと、このまま壊れて、廃棄処分だ。
別に、悔しくはない。
しぃに、少しでも想いが届いてると分かっただけで……。
それだけで……。
十分だと……。
- 90: 勇気を出して :2007/06/04(月) 23:14:06.06 ID:sv+ogU/N0
- ……。
俺は、しぃに、気持ちを、伝えられたのかな。
届いたのは、少しだけで、本当は、届いていないんじゃないのかな。
電気が通っていない状態、それなのに、不思議と脳は動いていた。
恐らく、微かに残る電気があるのだろう。
先ほど、しぃが開いた新規メール。
宛先を開き、俺は宛先入力を開始する。
続いては、本文。
もう、今すぐ意識を失っても仕方ない。
だけど、これだけは。
これだけは、伝えたかったんだ。
ずっと、ずっと、ずっと、ずっと。
ずっと、ずっと、ずっと、ずっと、伝えたかった言葉がある。
- 93: 勇気を出して :2007/06/04(月) 23:16:26.09 ID:sv+ogU/N0
- 携帯の掟にしたがって。
俺は気持ちを出すことをしなかった。
出した瞬間、俺は、携帯界から抹消される。
機械が、意識を持ってはいけないんだ。
意識を、人間に見せたらいけないんだ。
それが、掟であり、絶対である。
だけど、それは言い訳にすぎなかった。
本当は、怖かった。
しぃに告白して、拒絶されることが。
人間と携帯という壁が、怖かったんだ。
だけど、伝えなければいけない言葉がある。
だから、伝えなければいけない言葉がある。
最後に、君に。
- 94: 勇気を出して :2007/06/04(月) 23:18:39.49 ID:sv+ogU/N0
新規メール 1通
差出人:sixi@vip.jp
宛先:しぃ(sixi@vip.jp)
題名:無題
本文:すき
- 95: 勇気を出して :2007/06/04(月) 23:19:36.44 ID:sv+ogU/N0
──────プツッ───……………
- 100: ◆sHNGWXTAUA :2007/06/04(月) 23:25:46.03 ID:sv+ogU/N0
- これで、□俺は(*゚ー゚)しぃの携帯電話のようですは終了です。
今までお付き合いいただき、ありがとうございました。
何とか、全てのお題をこなすことができました。
見落としあったら、本当に申し訳ないです。
既に知っている方もいらっしゃいますが、私はもう一つ現行持ってたりします。
その練習用として立てたのが、このスレでした。
最初は1スレで終わらせるつもりでしたが、予想以上に長くなってしまい、
今日、ようやく完結をすることができました。
やはり、『安価お題形式』ということもあり、投下には大分時間がかかってしまいました。
これでも、一生懸命早くしたつもりなんですけどね。
そんな中、支援、お題提供、wktkしてくださった方々、オムライス様、
心から感謝です。
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