□俺は(*゚ー゚)しぃの携帯電話のようです

41: メトロポリタン美術館 :2007/06/04(月) 22:05:17.45 ID:sv+ogU/N0
(*゚ー゚)「つーちゃん、今度の日曜日さぁー」

(*゚∀゚)「あーゴメン。私親戚の家にいくからさ」

(*゚ー゚)「ツンちゃん、今度の日曜日さぁー」

ξ゚听)ξ 「に、日曜日!?日曜日はちょっと……」

川 ゚ -゚)「内藤君と……」

ξ#゚听)ξ 「死ね」

(*゚ー゚)「クーちゃんは?」

川 ゚ -゚)「オワタ同人誌書くから忙しい」

(*゚ー゚)「むぅ……」



43: メトロポリタン美術館 :2007/06/04(月) 22:08:06.62 ID:sv+ogU/N0
先ほどから、知り合いの女子に日曜日の予定を聞きまわっているしぃ。
何やら、よほど遊びたい様子だ。

(*゚ー゚)「今度の日曜、メトロポリタン美術館の展示品が日本に来るんだよ!?」

(*゚∀゚)「私興味ないし……」

(*゚ー゚)「世界の大手だよ!?見たくないの!?」

ξ゚听)ξ 「日曜はちょっと……」

川 ゚ -゚)「内藤の顔の方が見たいから……」

ξ#゚听)ξ 「消え去れ」

どうやら、メトロポリタン美術館の展示品が、日本で公開されるらしい。
しぃに美術心があるとは知らなかったが、どうしてもいきたいのだろう。



45: メトロポリタン美術館 :2007/06/04(月) 22:10:29.00 ID:sv+ogU/N0
そこへ、一人の男が歩き寄る。

( ,,゚Д゚)「……しぃ?」

(*゚ー゚)「あ、ギコ君」

(*゚ー゚)( ,,゚Д゚)「今度の日曜、暇?」

(*゚ー゚)( ,,゚Д゚)「……」

(*゚ー゚)( ,,゚Д゚)「こっちは暇だけど……」

(*゚ー゚)( ,,゚Д゚)「……」

( ,,゚Д゚)「一緒にカラオ(*゚ー゚)「一緒にメトロポリタン美術館日本版に行こう!!」



47: メトロポリタン美術館 :2007/06/04(月) 22:13:33.32 ID:sv+ogU/N0
〜日曜日〜

(*゚ー゚)「すっごい綺麗ーーー」

( ,,゚Д゚)「……」

(*゚ー゚)「この絵最高じゃない!?」

( ,,゚Д゚)「……ああ」

(*゚ー゚)「やっぱこの彫刻は凄すぎるよ!」

( ,,゚Д゚)「……」

美術館、まるでデートのような形で、二人の男女が歩いていた。
はしゃぐ女と、黙って付いていく男。

美術館で携帯を触ることはマナー違反なので、俺には一切触れていない。
そこは、まぁいたしかたないことだろう。



49: メトロポリタン美術館 :2007/06/04(月) 22:21:49.95 ID:sv+ogU/N0
・・・・・・

(*゚ー゚)「んーー!楽しかった!」

既に時刻は午後6時。
美術館の閉館と共に、しぃ達は出て行った。

( ,,゚Д゚)「え、えとさ、しぃ」

(*゚ー゚)「ごめんね、無理矢理つき合わせちゃって」

( ,,゚Д゚)「んぁ、気にすんな」

いつものマイペース具合で、しぃは道を歩く。
その後ろに、ギコがついていく。

俺は、しぃのポケットの中。



50: メトロポリタン美術館 :2007/06/04(月) 22:24:17.93 ID:sv+ogU/N0
( ,,゚Д゚)「しぃ」

(*゚ー゚)「ん、なにー?」

( ,,゚Д゚)「……えとさ」

ここまで来て、俺は全てを悟った。
こいつは、しぃに……。

しぃに、告白するつもりだ。

しぃがどう思っているかは分からない。
今まで、男に関しての情報は、一切分からなかった。
ただ、好きな人がいるということだけ。

( ,,゚Д゚)「俺と……」

(*゚ー゚)「……?」



53: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/04(月) 22:26:37.50 ID:sv+ogU/N0
□「サーバー!!」

サーバー「あ?」

□「今すぐスパム送れ!!」

サーバー「えー。実際、関係ないときにメール送るの犯罪だしさ」

□「いいから!!」

サーバー「あんまり不具合ばっか出してると、俺廃棄されちまうしな」

□「頼むよ……」

サーバー「……そんなに、大事なのかよ」

□「ああ」

サーバー「……」



56: メトロポリタン美術館 :2007/06/04(月) 22:29:40.88 ID:sv+ogU/N0
( ,,゚Д゚)「俺と、t『DANDAN心ひかーれーてーく』!!」

(*゚ー゚)「・・…」

サーバーから届けられたメール。
俺はすぐさまバイブモードを解除し、どでかい音声を流した。

(*゚ー゚)「ご、ごめん……」

しぃが慌てて俺を止める。
場の雰囲気は、既に壊れかけていた。

(*゚ー゚)「もう一回、言ってくれるかな?」

どこまでも、マイペースなしぃ。
本当に聞こえなかったのだろうか。

( ,,゚Д゚)「いや、やっぱいいや……」



58: メトロポリタン美術館 :2007/06/04(月) 22:34:38.60 ID:sv+ogU/N0
よくやってくれた、サーバー。
こんなときのために、迷惑メールを保留にしといて正解だったな。

( ,,゚Д゚)「たいした内容じゃないしな。忘れてくれ」

(*゚ー゚)「ん〜……」

悪いな、ギコ。
お前には悪いが、ここで告白してもらったら困るんだよ。
ここでっていうか、いつ何時でもだけどな。

(*゚ー゚)「んじゃ、私も言いたいことあるし」

そういや明日からまた学校だなー。
平日は休日ほど使われないから寂しいんだよな。
ずっとポケットINだし。

ま、それもそれで──

(*゚ー゚)「私と、付き合ってください」

──いいか。



64: メトロポリタン美術館 :2007/06/04(月) 22:38:52.61 ID:sv+ogU/N0
(;,,゚Д゚)「へ」

(*゚ー゚)「ずっと好きでした」

(;,,゚Д゚)「え、え……」

(*゚ー゚)「お願いします」

あまりの動揺で、一瞬バッテリー漏れしそうになった。
あまりに突然で、あまりに唐突で。

(*゚ー゚)「返事、お願いします」

(;,,゚Д゚)「あ……」

( ,,゚Д゚)「うん……俺も、しぃの事が、ずっと、好き、でした」

バイブじゃないのに、不思議と震えたくなって。
悔しさなのか、悲しさなのか、機械の俺には区別できなくて。

(*゚ー゚)「……」

( ,,゚Д゚)「……」

繋がれたその手が、やけに暖かく見えて──。



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