( ^ω^)ブーンが金の袋を振り回すようです

1: ◆qvQN8eIyTE :2007/05/15(火) 21:10:32.07 ID:qUoV1N/N0
第一章【始】


変わり映えのない世界。
全ての人間は毎日決まった時間を、用意されている予定に沿って過ごしている。
起きる、家から出る、仕事に勉学、帰る、寝る。

何故終わりの見えてこないループした生活に異議を立てる者がいないのであろう。
答えは簡単、定められた人生のレールに乗っていけば楽なのだ。
無理に跳ねっ返りものの称号を手に入れようとするような者などいるはずがない。

いや、語弊があったか。
跳ねっ返りものの称号を手に入れようとするような社会人などいるはずがないのである。
まともな社会人の話だが。



社会人が会社で汗水流して働いている頃。
学生が学校で各人の青春を送っている頃。
この世の片隅では不穏に犇めく影達がいるのだ。



3: ◆qvQN8eIyTE :2007/05/15(火) 21:12:09.28 ID:qUoV1N/N0
昼間なのに完全に外界とは区切られた一室。
少々蒸すのか窓は少しだけ開けてある。
一瞬、外の景色を遮断していたカーテンがふわり、ふわりと風に揺らめく。
揺れたことによって外からの光が暗闇の中へ差し込まれ、そこに身を潜ます者の姿が現れる。

(*^ω^)「おふぅ……おふぅ……」

(*^ω^)「あっあっあっあ……」

(*゚ω゚)「アッー!」

右腕で掴まれた筒状の物を高速でピストン運動させているこの物語の主人公だ。



4: ◆qvQN8eIyTE :2007/05/15(火) 21:13:33.28 ID:qUoV1N/N0
( ´ω`)「あ〜、平日の真っ昼間から僕は何をやっていたんだお……」

自家発電の後に来る聖人タイム。
彼は今その時間の真っ只中なのであった。

( ´ω`)「きっとこんなんだからこの年にもなってニートやってるんだお」

( ´ω`)「生きているのが果てしなく虚しくなってきたお……」

( ´ω`)「なんか僕の中のプラスの感情が精子と一緒に脱けた気分だお……」

( ´ω`)「とりあえずオナホ『カーチャンの温もり』からチンコ抜くかお」

( ´ω`)「あ、チンコが無くなってるお」

( ´ω`)「どうでもいいや。疲れたお……」



6: ◆qvQN8eIyTE :2007/05/15(火) 21:14:44.59 ID:qUoV1N/N0
ニート。
職にも就かず、学校にも行かず、ただ時間と性欲を持て余す。
完全なる社会の跳ねっ返りものである。

そんな彼に与えられた大人のおもちゃ、オナホール。
カーチャンがいつまでも自分のことを大切にしてもらえるようにプレゼントしたものであった。
彼女の与えたオナホ『カーチャンの温もり』は全国のカーチャンの締まりを似せて作った代物。
もちろん社会的な大問題となったが、幼き頃から母が大好きだった彼にとっては大切な宝物なのであった。



7: ◆qvQN8eIyTE :2007/05/15(火) 21:15:48.92 ID:qUoV1N/N0
――こうしてオナホの説明をしている間に彼の聖人タイムは終わりを迎えたようである。
一つ小さな溜息を吐いて、誰に言うでもなく彼は独り言を呟く。

( ^ω^)「カーチャンの締まり具合はやっぱり最高だお。気付いたらカーチャンの中にインしちゃうんだお」

( ^ω^)「とりあえず自己紹介をさせてもらうお。僕の名は内藤ホライゾン。
       皆からはブーンと呼ばれて崇拝されているお。たぶん」

( ^ω^)「……………」

(*^ω^)「こんな独り言聞かれていたら生きていけないお」



9: ◆qvQN8eIyTE :2007/05/15(火) 21:17:01.39 ID:qUoV1N/N0
( ^ω^)「考えてみたら自己紹介の練習しても、面接受ける気はないから意味無いんだお」

一人でいつまでもブツブツと呟いている。
彼の目指すところは一体何なのであろうか。

ふと、先程から開いている窓からまた一陣の旋風が部屋に舞い込んだ。
その風はブーンの来ているTシャツを捲り上げて、彼の下半身を露わにさせる。

竿が消え、袋のみが孤独に残っている涼しげな下半身を。

( ^ω^)「お……?」



11: ◆qvQN8eIyTE :2007/05/15(火) 21:17:53.99 ID:qUoV1N/N0












(;゚ω゚)「チンコ消えてる――――!!」












13: ◆qvQN8eIyTE :2007/05/15(火) 21:19:15.41 ID:qUoV1N/N0
今までの苦節二十と余年、一緒に行動してきた大親友がいなくなってしまっている。
そりゃあ確かに本物の女の子と合体したことはないし、興味本位に路上で露出してみたりと褒められた行動はしていなかったが。
それでもブーンは親友によって生かされ、親友はブーンによって生かされているはずであった。

つまりチンコが独り立ちしてしまっては
カーチャン>>>>チンコ>>>>>>>>>>(越えられない壁)>>>>>>>>>>ブーン
となってしまうのである。

(;^ω^)「それだけは絶対に困るお。チンコにだけは負けたらダメな気がするんだお」

何故かチンコに対し異常な負け嫌いっぷりを発揮するブーン。
それもそのはず。
彼にとってチンコは大親友でもあり、一生のライバルでもあったのだ。

(;^ω^)「そうだ! もしかしたらオナホの中に置き忘れちゃったのかも知れないお!」

そう呟いた後、まだ栗の花の臭いが著しい穴の中へと視線を向けるブーン。
しかし穴の中にはひっそりとした暗闇しか見えてこなかった。



15: ◆qvQN8eIyTE :2007/05/15(火) 21:20:56.42 ID:qUoV1N/N0
(;^ω^)「お〜い、僕のチンチン返事をしてくれお〜!」

(; ω )「僕は……僕は君がいないと生きていけないんだお」

( ;ω;)「失って初めて気付いたお! 君に感じていた感情は友情じゃなくて愛情だったんだと!
      だから! 僕は君を愛しているから! いつまでも待っているから絶対に戻ってきてくれお!!」

涙ながらにオナホに叫び続けているブーン。
だが、穴からは何も返事がない。

( ;ω;)「チンコ……もう二度と会えないのかお……?」

その問いは遮断された閉鎖的な一室に虚しく響いただけであった。



18: ◆qvQN8eIyTE :2007/05/15(火) 21:22:16.05 ID:qUoV1N/N0
『ねぇ、聞こえる?』

( ;ω;)「……お?」

不意に頭の中に直接声が響いた。
その声は可憐で、優しげで、どこか哀しげで。

( ;ω;)「何か聞こえるお。どこから話しかけているんだお」

自分以外誰も居ない部屋から聞こえた声。
声の主は今どこにいるのか。
そんな疑問をブーンが持つのは極自然な流れである。

『私はここにいるよ。ずっと君と一緒だったよ。これからも一緒なんだよ』

( ;ω;)「一体誰だお? せめて姿だけでも見せてくれお!」



21: ◆qvQN8eIyTE :2007/05/15(火) 21:23:30.84 ID:qUoV1N/N0
『じゃあ、あなたが今泣いている原因へと視線を向けてみて』

( ;ω;)「わかったお」

謎の声が示すままに下へ視線を落とす。
そこには竿を失い、袋だけが無惨に残った親友の跡地があった。

(;^ω^)「お……?」

しかし、彼は僅かな異変に気付いた。
微かに竿を失った袋が光っているのだ。
凛とした意志を持っているが如く。

『私が誰かわかってくれた?』

( ^ω^)「もしかして君は……」

『わかってくれたみたいね。それじゃあもうそろそろ力が無くなってきちゃったから話……やめるね?』



24: ◆qvQN8eIyTE :2007/05/15(火) 21:25:08.86 ID:qUoV1N/N0
(;^ω^)「力が無くなる? それってどういう事だお?」

『私は竿が無くなった謂わば残骸みたいな物。今会話ができるのは微かに残った力があったから』

(;^ω^)「なんてこったい。とりあえず竿がどこに行ったのか知っているかお?」

『それはたぶんあの人が…… 全ての男性器を統率するキンt――

突如ブーンの頭に響いていた声が無くなる。
それはつまり、声の主が力を全て使い果たしてしまった事をあらわす。

(;^ω^)「中途半端に話止められたお…… とにかく、竿を探さないとどうしようもないんだお」



27: ◆qvQN8eIyTE :2007/05/15(火) 21:26:10.68 ID:qUoV1N/N0
決意した後、彼は三度自分の股間へと視線を落とした。
そこには先程まで会話をしていた相手がいる。
もう既に光を失った茶褐色なおいなりさんが。

( ^ω^)「待っててくれお。僕のチンコ。必ず取り返してやるお」

密かに闘志を燃やす陰部戦士、誕生のシーンであった。
彼と彼を取り巻く運命の悪戯との勝負の火蓋は切って落とされたのである。



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