('A`)ドクオが一瞬を見るようです
- 37: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/04/30(月) 15:36:36.49 ID:q9kjNJAC0
で、明後日の日曜、八時。
三十分前に駅についた俺は、次々とやってくるメンバーを笑顔で迎えた。
ツンとブーンが一緒にやってきたときだけ、ぶん殴りたくなる衝動に駆られたが、何とか耐えた。
八時を過ぎて、駅前にいたのは四人。
それから八時を五分ほど過ぎて、クーがやってきた。
川 ゚ -゚)「遅れてすまない」
ξ゚ー゚)ξ「いいのよ。昨日も遅くまで練習だったんでしょ? 気にしないでよ」
('A`)「なんか悪いな。忙しいのに時間作ってもらって」
川 ゚ -゚)「なに、こっちが礼を言いたいくらいだ。誘ってくれてありがとうな」
_
( ●∀●)ノ「いいってことよ! 気にするな!!」
( ^ω^)「そんじゃ、四人揃ったところだし、海にレッツらゴーだお!!」
_
( ●∀●) ノ( 'A`)ノ川 ゚ー゚)ノ ξ゚ー゚)ノ「「「 おー!!」」」
勇ましい四人分の掛け声が、駅の構内にこだました。
- 41: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/04/30(月) 15:39:41.66 ID:q9kjNJAC0
('A`)「そんじゃ俺、切符買ってくるわ。ブーンと俺とツンとクーの四人分でよかったよな?」
ξ゚听)ξ「ええ。ばっちりよ」
( ^ω^)「なんの問題も無いお!」
川 ゚ -゚)「水泳部はその四人だからな」
俺は納得して切符売り場に行こうとする。
駅前だというのに上半身素っ裸で海パン姿の、ゴーグルをつけているバカから意識的に視線をはずして。
そのバカが高らかにのたまう。
_
( ●∀●) ノ「ちょっと待ちたまえ君たち。誰か忘れていないかい?」
( ^ω^)「なんかノイズが聞こえるお。気のせいかお?」
_
( ●∀●) 「またまた〜、ブーンったらお茶目さん♪ お友達の僕がいるじゃない?」
( ^ω^)「僕に変態の友達はいないお」
_
( ゚∀゚) ノ●●「しょうがないなぁ……ゴーグルをかけてるからわからないんだな?
ジャーン! 俺だよ、俺! みんなのお友達の長岡君だよー!!」
ξ゚听)ξ「ドクオ、切符買ってきて。四人分」
('A`)「わかった」
- 46: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/04/30(月) 15:45:04.43 ID:q9kjNJAC0
返事をして切符売り場に足を伸ばした瞬間、俺の足にすがりついてきた長岡は、
まるで銅山の鉱毒事件について天皇に直訴する国会議員のように泣きながら訴える。
_
( ;∀;) 「ごめんなしゃああああああああああい! 僕も連れてってくだしゃあああああい!!」
('A`)「……どうする?」
川 ゚ -゚)「泣くほど海へ行きたいという彼の心意気は認めよう」
ξ;゚听)ξ「そうよね……それに、ここまで訴えられると……ねぇ?」
(;^ω^)「しかも、駅前の時点で海に入る準備は万端だお……これは連れて行くしかないお」
_
( ゚∀゚)ノ「わっほーい! よっしゃ! ドクオ、五人分の切符買って来ーい!!」
川 ゚ -゚)「お前が買って来い、海パン刑事」
_
( ●∀●) ゝカシャ「はい! よろこんで!!」
再びゴーグルを装着すると、長岡改め海パン刑事は五人分の切符を買いに向かった。
- 47: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/04/30(月) 15:47:13.59 ID:q9kjNJAC0
( ●ω●)「空が……青いお」
( ●A●)「海も……青いぜ」
_
( ●∀●)「おっぱいが……いっぱいだぜ」
お目当ての海水浴場についた俺たちは、ゴーグルにブーメランパンツ一丁で海岸にたたずむ。
部活で鍛え上げた裸体に股間を包むブーメランは黒々と映えており、
周囲の女どもの視線は俺たちに釘付けだった。
*('')*「ママー、あのおにいちゃんたち、こかんがもっこりしてるよー」
('、`*川「見ちゃいけません!」
幼女とその母親まで欲情させるとは……
俺たちは自分の裸体とブーメランに我ながら恐れをなした。
- 50: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/04/30(月) 15:49:00.47 ID:q9kjNJAC0
砂浜に荷物置き用のシートとビーチパラソルを立てた俺たちは、
それでも無駄に日向に整列し、腰に手を当てながら話を続ける。
_
( ●∀●)「時に貴様ら、あれは持ってきたんだろうな?」
( ●ω●)b「任せてくれお。鮫さん浮き輪はバッチリ持ってきてるお!」
( ●A●)b「スイカ型ビーチボールも準備万端だ」
_
(# ●∀●)「違う!!」
長岡の怒声が夏の海に響き渡ることもなく波音に消された。
彼は荷物の中から何かを取り出す。
- 54: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/04/30(月) 15:51:10.01 ID:q9kjNJAC0
- _
( ●∀●) ノ【◎】「これだよ、これ!」
(;●A●)「それは……デジタウ・キャメラ!」
(;●ω●)「しかも防水加工もばっちりの最新型だお!
や、焼き増しの請求は出来ますか!?」
_
( ●∀●)b「もちろん! それも、タダで焼き増してやるよ!!
だって俺たち……友達だろ?」
(ノ●ω●)ノ(ノ●A●)ノ「「 長岡サーン!!」」
*('')*「ママー、あのおにいちゃんたち、はだかでだきあってるよー」
('、`*川「見ちゃいけません!」
ゴーグルでわからないと思うが、俺たちは涙を流しながら互いの友情を誓った。
そんな、男くささの象徴たる『一瞬』だった。
- 55: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/04/30(月) 15:53:20.64 ID:q9kjNJAC0
ξ゚听)ξ「おまたせー……って、あんたら、何やってんの?」
_
( ●∀●) ( ●ω●)( ●A●)「「「 友情を確かめ合っていました!!」」」
川 ゚ -゚)「ボーイズ・ラブか。いいな。そういうの好きだぞ」
水着、それもスクール水着じゃないビキニ姿で現れた美少女二人。
ここではしゃがない男子高校生がいたら、そいつはホモと認定していい。
長岡はゴーグルをはずすと、戦闘体勢に入る。
_
( ☆∀☆)「長岡、『鑑定眼力』!!」
( ●ω●)ノ「いよっ! 待ってましたお!! 長岡さんの鑑定眼力!!」
( ●A●)「毎日長岡さんの目がテンになるまで女子の胸を盗み見た結果習得した脅威の眼力!!
そのまなざしがはじき出す数値やいかに!?」
_
( ☆∀☆)「見える……時が見えるぞ! クー、Eカップ!! ツン、マイナスEカップ!!」
川 ゚ -゚)b「正解。たいしたもんだ」
ξ#゚听)ξ「ちょっと! マイナスって何よ!!」
_
( ゚∀゚)ノ「胸が凹んでるってことですよ、お嬢さん」
ξ#゚听)ξ「失礼ね! 私はAカップよ!!」
- 60: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/04/30(月) 15:58:10.16 ID:q9kjNJAC0
大声でカップ数を暴露したツン。
海岸中の視線が彼女に集まる。
*('')*「ママー、あのおねぇちゃん、Aカップなんだってー」
('、`*川「ぷぷw 気の毒ね」
ξ゚听)ξ「……」
ξ///)ξ「……」
真っ赤に染まったツンの頬。俺はちょっぴり萌えた。
ξ///)ξ「なーがーおーかー……」
_
( ゚∀゚)「なんですか? Aカップさん」
ξ///)ξ「……ぶっ殺す!!」
彼女はどこからか包丁を取り出すと、長岡に向かって全力疾走する。
- 64: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/04/30(月) 16:07:12.41 ID:q9kjNJAC0
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( ゚∀゚)「あはは〜! あたしを捕まえてごらんなさ〜い!!」
ξ゚ー゚)ξ「うふふ〜! 待て〜! 八つ裂きにしてくれるわ〜!!」
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( ^ω^)っ<綺麗な海のAAでお待ちください
゚ ⊂ /\ \________
゚ 。 。 ゚ ソ ノ ゚ 。
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生死をかけた真夏の海のランデブー。
呆然と見送った俺たちは、数分後、全身血だらけの肉塊を前に、泣いた。
- 65: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/04/30(月) 16:08:51.58 ID:q9kjNJAC0
それからしばらくは海に入って泳ぎまくった。
舞い散る波しぶきに彩られ、真夏の美少女たちの姿はキラキラと輝く。
高気圧はビーナスたちの交差点だとはよく言ったもんだ。
昼飯には露店の焼きそばを食べた。
(`・ω・´)「兄ちゃん、いい体してるね! 自衛隊に入らないかい!?」
('A`)ノシ「いえ、結構です」
焼きそば屋のおっちゃんに自衛隊に誘われたが、丁重に断った。
- 66: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/04/30(月) 16:10:26.90 ID:q9kjNJAC0
昼食後、少しのんびりした後はビーチバレーをやった。
ブーン、クーのチーム 対 俺、ツンのチームだ。長岡は進んで審判役を買って出た。
楽しい時間はあっという間に過ぎていく。
ツンとクー、ふたりの美少女の水着姿。
真っ白い素肌、揺れる胸(クー限定)、尻。
俺たち男衆は頻繁にトイレに行っては、息子をなだめるを繰り返していた。
ξ゚ー゚)ξ「アタック!」
川 ゚ -゚)「レシーブ!!」
_
( ●∀●)「シャッターチャンス!!」
ついでに、ビーチバレーの際もっとも運動量が多かったのは審判の長岡だった。
- 68: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/04/30(月) 16:12:26.77 ID:q9kjNJAC0
やがて日も西に傾きだし、海辺は茜色に染まり始めた。
頃合いかと思い、パラソルとシートをたたみ、水着から私服に着替える。
それから、近くにあったファミレスで夕食を食べた。
くだらない、他愛も無い話で盛り上がっているうちに、夜はとっぷり更けてゆく。
( ●A●)「終電になってしまいましたね」
( ●ω●)「楽しすぎて時間を忘れるところだったお」
ξ゚听)ξ「どうでもいいからゴーグル外しなさい」
終電に飛び乗る。すでにガラガラの車内。
ほぼ貸しきり状態のそこでまたワイワイ騒ぐのかと思ったが、みんな疲れていたのだろう。
俺も含め、全員すぐに寝入ってしまった。
- 69: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/04/30(月) 16:17:50.38 ID:q9kjNJAC0
目が覚めた。
周囲を見渡したが、みんな、まだ眠っている。
ガタン……ゴトン……
電車が心地よいリズムを奏でていた。
規則的な音。
なだらかな振動。
車内アナウンスが次の駅を告げる。
あと数分で、俺たちの町。
- 71: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/04/30(月) 16:18:57.57 ID:q9kjNJAC0
('A`)「……今日は楽しかったな」
本当に、夢のような時間だった。
去年の夏は、部活に明け暮れるだけの日々。
こんな日が来るなんて、想像もしなかった。
あと半年。
それで、高校生活は終わる。
そうなってしまえば、このメンバーで集まるのも数回あればいいくらいに減るだろう。
珍しくセンチメンタルな気分になった。
ずっと、このままでいたいと思った。
当たり前に過ぎていく日常が、いつか当たり前じゃなくなる。
そんな事実が、ふいに怖くなった。
当たり前の今、この瞬間が、とてもいとおしく思えた。
- 73: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/04/30(月) 16:21:23.72 ID:q9kjNJAC0
ふと、肩にわずかな重みを感じた。
何気なく隣を見ると、クーが俺の肩に頭を預け、眠っていた。
('A`;)「……!!」
途端に身体が硬直した。
体中から汗がどっと噴出す。
ほのかに香る彼女の髪の香。
甘くて、
柔らかくて、
ほんの少しだけ、
潮の香りがした。
わずかに視線を下すと、彼女の胸の谷間が見えた。
- 75: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/04/30(月) 16:23:15.97 ID:q9kjNJAC0
あせりと、興奮。
見ちゃいけないという理性と、見たいという本能。
そんな葛藤の中で、わずかに、彼女の寝息が聞こえる。
彼女の身体を動かさないよう、恐る恐る寝顔を盗み見た。
普段のクールな彼女からは決して見ることの出来ない、無防備な、緩んだ顔。
それを、俺だけが見ることが出来た。
少しだけ、特別な気分になった。
(*'A`)「……」
駅に着くまでのわずかな時間。
忙しい、だけど、とても幸せな『一瞬』だった。
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