( ^ω^)は駆動兵器を操るようです

6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 : 2007/05/26(土) 19:22:41.16 ID:rtmWpBWV0






 ( ^ω^)は駆動兵器を操るようです



7: 作者 ◆Cy/9gwA.RE : 2007/05/26(土) 19:25:13.48 ID:rtmWpBWV0

――ニーソク国、国長邸宅。
今日三国国境会議が行われる場所である。

ニーソク国は、ν、VIP、ラウンジに囲まれるように存在している。
土地も、ν帝国と比べると、山岳地帯が多く、非常に肥沃な土地に恵まれている。
産出鉄鋼資源も豊富であり、軍事国家であるνが欲しがらない理由は無かった。


そして、その国長邸宅の第2玄関付近。
(´・ω・`)「やっぱり、VIPだけにしてもこれだけの兵士、兵器が集まってるとなると……。」
( ゚∋゚)「うむ。私達以外にもおかしいと感じている上層部がいる、ということだろう。」

いまさらであるが、この男、クックルは切れ者である。
二等兵ながら、なぜか情報部、司令部とのつながりがあり、いつも共にいるブーン達の中でも群を抜いていた。



8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 : 2007/05/26(土) 19:26:06.65 ID:rtmWpBWV0

非常に張り詰めた空気。
そこへ、風が吹いた。

( ゚∋゚)「……来たぞ。」
(´・ω・`)「ブーン、ドクオ……。」


『2CH-V』シリーズを運搬するために開発された航空機『NRP』が上空を通過しようとしていた。
今日は、いつも敷かれる法規的厳戒態勢が発動されていない。
フサギコが命じたことなのか、なりふりを構っていられない危険が迫っているのか。

ν、ニーソク国の兵士達も、息を呑んでいた。



11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 : 2007/05/26(土) 19:28:46.19 ID:rtmWpBWV0

すると、『NRP』から、二台のボックスが射出された。
( ゚∋゚)「アレに入っているのが『2CH-V』……。」
(´・ω・`)「緊急事態になるとボックスを開いて臨戦するみたいだね。しっかりしてる。」


――その5分前。


@^0^@)「降下、5分前です。」
( ,'3 )「よし。準備はいいか?」
モニターに向かってバルケンが二人に問いかける。

('A`)『イエス!サー!』
( ^ω^)『イエス!サー』
ブーンの右目尻付近の裂傷も癒え、眼帯を取っていた。

川 ゚ ?゚)「私は出なくてもいいのですか?」
( ,'3 )「うむ。あくまで相手への牽制、だそうだ。」

川 ゚ -゚)「そうですか……。」
少しヒマそうな素振りを見せるクー。
しかしスーツを着ているし、『NRP』には『2CH-VR』もつんでいる。

危機的状況になればいつでも出撃可能であった。



13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 : 2007/05/26(土) 19:30:11.77 ID:rtmWpBWV0
ゴウン……

   ゴウン……

不気味な心臓の鼓動のような音を立てるコックピット内部。
ドクオとブーンは各々考えがあった――。

('A`)「……。」
――ブーンには、いくら謝っても謝り足りない。
だから、俺がブーンを守ってやる。

命に代えても――!!

( ^ω^)「駆動部……異常……無し……っと。」

――ドクオには負けないお。
ブーンは一人前の男だって所見せ付けてやるお。

でも、戦争は嫌だお……。

二人と、二体を乗せて『NRP』が作戦行動範囲内――。
ニーソク国、国長邸宅上空へと着いた。



15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 : 2007/05/26(土) 19:32:02.84 ID:rtmWpBWV0
今回の防衛作戦の内容はおおまかに分けて三つ。

1.国境会議に参加しているVIPの首脳陣の安全の確保。
2・νによるニーソクへの侵略行為の抑止。
3・国境会議を邪魔する者の排除、殲滅。


全て、何事もなく、会議が円滑に進めば問題は無いのだが……。
ドクオ、ブーン達の頭の中には、ラウンジによる『駆動兵器』の事が引っかかっていた。

その後、クックルからはラウンジの『駆動兵器』の話題は挙がらなかった。
ただ、その後動きが無くなったのか、もしくは、動き出す前の嵐の静けさか……。



18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 : 2007/05/26(土) 19:33:52.08 ID:rtmWpBWV0
二人のトリガーを握る手は、汗でびしょびしょであった。
そうしていると、二人に通信が入った。

川 ゚ -゚)『ブーン、ドクオ。そう力むな。』
クーからであった。
今、こうやって声をかけてもらうのは、本当に嬉しかった。
('A`)「あ、ありがとうございます。」
( ^ω^)「ありがとうですお!」


( ,'3 )『では、そろそろ投下時間だ。衝撃等はバランサーが調節してくれるから気にするな。』

( ^ω^)('A`)「イエス!サー!!」

『NRP』の腹の部分が開く。
『2CH-V』を入れたボックスを掴んでいるアームが外れた。

从'ー'从「ボックス2基投下……3……2……1……。ボックスコンプリート。」
( ,'3 )「よし。それでは作戦範囲外に戻り監視体制に入る。」

『NRP』は大きな翼を旋回させ飛び去って行く。
大きな影が動き、基地に陰影をつける。

そして投下終了とほぼ同時刻。
三国による国境会議が幕を開けた。



19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 : 2007/05/26(土) 19:34:45.97 ID:rtmWpBWV0


ニーソク国長邸宅から見える景色は、いつもとは違っていた。
普段は、常緑溢れる庭園。生き生きとした色を放つ草花。

だが今日はどうだ。
どす黒く分厚い雲が空を覆い、今にも雨が降り出しそうである。

何かをいいたいかのような天候。
平和的に物事が進むわけがない。
そう思っていた、この男は。



22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 : 2007/05/26(土) 19:35:43.84 ID:rtmWpBWV0

VIP国民代表 ミルナ

( ゚д゚ )「わかった。そろそろだな。」

VIPには、大統領、総理大臣、首長などは存在しない。
国の長をおいたことによる間違いであるならば、国民全員で国を守り、動かしていく。
幾度も無い推敲の上、そういった考えに行き着いた。
世界では珍しい、国民代表を1年ごとに決める。
もちろん、議員から選出などではなく、国民全員からの国民全員投票で決めている。

そして、このミルナは、若くして代表に選出された。
ミルナは、プロ野球選手だ。

その、並外れた頭脳プレーとキャッチャーのセンスを政治に生かせないか?といった国民の声が強まり、選出された。



23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 : 2007/05/26(土) 19:36:43.04 ID:rtmWpBWV0

( ゚д゚ )「本当は、こういうの苦手なんだけどな。」
秘書「まあそういわないで……。」

普通に考えると、そんな基準で選出する国民の総意なんてたかが知れてる、となるだろう。
しかし、国民一人一人が強い意志を持っている事がどれほど強いか、そのことを他国が知らされる原因にもなるのである。

『山椒は小粒でもピリリと辛い』
まさに、この言葉であった。


ミルナはブツブツ言いながらも、邸宅内の大広間へと時間通りに向かった。
そこには、二人の男がいた。



24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 : 2007/05/26(土) 19:37:52.53 ID:rtmWpBWV0
( ∵)「これはこれは、お待ちしておりましたミルナ殿。」

この男は、ニーソク国の国長、ビコーズ。

非常に老齢ではあるが、頭がよく、知政の持ち主といわれている。
本人曰く『年と脳のしわは等しく増える』。


(・(エ)・)「少し、時間にルーズではありませんかね?ミルナ捕手……ではなかった、ミルナ国民代表。」
( ゚д゚ )「申し訳ありません。時間ちょうどに着くように計らったのですが……。」

――この男、クマー。
俺達の憎むべきν速の大統領。
今殺せるなら殺しておきたい相手だ。



26 名前: 作者 ◆Cy/9gwA.RE 投稿日: 2007/05/26(土) 19:39:16.22 ID:rtmWpBWV0
(・(エ)・)「では、席について、早速始めましょう。」
大きな体を椅子にゆだねてクマーは言った。
ニヤニヤしているのが、妙に癇に障る。
何かいい策があるのか、もしくは会議の論上の勝利を確信しているのか――。

( ゚д゚ )「そうですね。」
( ∵)「では、始めましょうか。」


( ゚д゚ )「まず、今回の問題についてですが――」


(・(エ)・)「いや、少し待って欲しい。」
クマーが手を広げ、ミルナの発言を遮った。
( ∵)「なんだね?」

(・(エ)・)「一つ言っておこうと思いましてね……。」

また、ニヤリと笑う。

( ゚д゚ )「なにをですか?」



27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 : 2007/05/26(土) 19:40:50.87 ID:rtmWpBWV0


(・(エ)・)「私はね……ニーソクがだね……欲しいんですよ。」


(;゚д゚ )(;∵)「な……っ!!!」

――何を言い出すんだコイツは……!!!
ニーソクが『欲しい』?

(・(エ)・)「いやね、君達はどう考えているか私にはわからないが、今日ここに来たのは、ニーソクをもらうつもりで……きたんだよ。」


(#∵)「何をふざけたことを言っておる!!!!」
バン!と机を叩きビコーズが立ち上がる。

(・(エ)・)「フザけてなんかいないんですよ、ビコーズ殿。欲しいものがなければ、こんなところへは来ないでしょう?」

(;゚д゚ )「あなたは今、何をおっしゃっているのかわかっているのですか!?」



28 名前: 作者 ◆Cy/9gwA.RE 投稿日: 2007/05/26(土) 19:41:36.49 ID:rtmWpBWV0
――秘書に事前に言われた、感情的になってはいけない。
このようなこと、忘れていた。
私達の家族を、仲間を奪った張本人が目の前にいて、そいつが大口を叩いている。


頭が、どうにかなりそうだった。


(・(エ)・)「あなた達は、ニーソクと、ν帝国、この戦力差をしっているのかね?」
(;∵)「それは……痛いほど知っておる。戦争をしたら滅多打ちにやられるのもだ……。」


(・(エ)・)「ではなぜ私達ν帝国に明け渡そうとしない?ニーソク国民が血を流すのがそれほどお好きで?」
(;∵)「ち、血を流さずにこの関係を保つために、今日という日があるのだ!!!」


このやり取りは異常だ。


もしかすると……。



29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 : 2007/05/26(土) 19:42:59.59 ID:rtmWpBWV0

そう感じ取ったミルナは、ポケットに入れておいた無線を使った。
( ゚д゚ )(……モナー。応答せよ、モナー。)

小さい音量で、応答が返ってきた。
( ´∀`)『はいですモナ。何かトラブルでも?』

( ゚д゚ )(兵士達に、付近にν帝国兵がいる場合、すばやく離れるよう支持を……)

( ´∀`)『把握モナ。ミルナさんは大丈夫ですモナ?』
( ゚д゚ )(こっちは秘書と数人の兵士がいるから大丈夫だ……では切るぞ。)

こうモナーとミルナが取引をしている間も、二人の言い争いは続いていた。
どう考えても、クマーの言っていることがおかしい。

( ゚д゚ )「クマー殿。少し自分の発言を考え直されてはいかがか。」
(;∵)「そのとおりだ。あなたが今おっしゃっていることは、戦争がしたい、と受け取れないこともないですぞ!!」



31 名前: 作者 ◆Cy/9gwA.RE 投稿日: 2007/05/26(土) 19:44:35.08 ID:rtmWpBWV0

(・(エ)・)「私は自分の言葉に後悔の気を感じたことはないですぞ。それに、戦争などしたくはない。」

(・(エ)・)「ただ、どうしても欲しいものというのは、力づくでも奪いたくなるものなのです。」

――もう、我慢ができなかった。

(#゚д゚ )「だからといって戦争を起こしていいと思っているのか!!!?
       国民から笑顔を奪っていいとでも思っているのか!!!!?」

ミルナの問いを無視してクマーは話を続ける。

(・(エ)・)「――いつも庶民は、自分達が一番かわいそうだと思っている。
           ――いつも庶民は、喜びよりも悲しみを大きく感じる。
                  ――いつも庶民は、上へ登るのを諦める。」



(・(エ)・)「もうはっきり言おう。国民など捨て駒だ。」



33 名前: 作者 ◆Cy/9gwA.RE 投稿日: 2007/05/26(土) 19:45:33.29 ID:rtmWpBWV0

――本当に何を言っているんだ?

(・(エ)・)「私達上層部はね、苦労しているんですよ。国民の貢献が少ないことに。」

――ビコーズ殿も、何を黙っておられるんだ……。

(・(エ)・)「国に貢献しない国民など、国から待遇を受ける資格などないと思われますでしょ?」

――違う。違う。違う……。

(・(エ)・)「だからね、国民に最後の国への貢献のチャンスを与えるのです。戦争というね。」


(#゚д゚ )「黙れ!!!!!」

机を拳で思い切り叩くミルナに、ビコーズ、クマーの動きは止まった。
(#゚д゚ )「お前のような国のトップがいるから、国民は苦しんでいるということがわからないのか!!!!!」



34: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 : 2007/05/26(土) 19:46:49.04 ID:rtmWpBWV0

――それでも、クマーはニヤニヤしていた。
無意識に、私はクマーに詰め寄っていた。


(;∵)「だ、だめだ!!!!ミルナ殿!!だめだ!!!!!!」
手を伸ばし大声で叫ぶビコーズ。


しかし、もう事は終わっていた。


(#゚д゚ )「なめるのも、いい加減にしろ!!!!!!」


――気づけば私は、首もとを掴み、思い切り顔を殴っていた。

もちろん、クマーの。



35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 : 2007/05/26(土) 19:47:40.17 ID:rtmWpBWV0
(; エ) )「うぐぁっ!!!」

(;゚д゚ )「……はっ!!!」
(;∵)「な……あ……!!!!」

片膝をついたクマーが、こちらをギロリと睨む。

( (エ) )「ふ……ふふふ。ふはははっははっははっはは!!!!!!」

――やってしまった。

(・(エ)・)「こちらは友好的交渉を望んでいたのですがね……。」

――手を出してしまった。

(・(エ)・)「これは……交渉……決裂……ですよね?」
(;∵)「す……少し待ちなさい!!」

(・(エ)・)「ビコーズ殿……。いや、お前は黙っていろ。」
さきほどとは打って変わって、冷酷、そして鋭い眼光。

(・(エ)・)「さあ……。お前達が望んだ、大好きな戦争を始める口実ができたじゃあないか……。」



37: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 : 2007/05/26(土) 19:48:20.78 ID:rtmWpBWV0

――手の震えが止まらない……。
もう、戦争は回避できない。

私のせいで……。
感情に流されて動いてしまったせいで……。



(;゚д゚ )「……。」




――また、血が流れるのか……?

こうなったら……!!!!



39: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 : 2007/05/26(土) 19:49:33.71 ID:rtmWpBWV0

( ゚д゚ )「SP!!!!!!」
無線にスイッチを入れ、ミルナが叫んだ。
すると、広間の外で待機していたSP4人がドアを蹴破り突入してきた。

( ▼−▼)「動くな!!!!!」

拳銃を広間にいるクマーとビコーズに向けるSP達。

(・(エ)・)「……はっはっは。戦争が始まるとわかれば、もう私達を殺そうとするのかね?さすがはVIP。野蛮なことだよ。」

(;∵)「ミルナ殿……!!クマー殿を止めてくれ……!!」
(;゚д゚ )「よしSPは二人をクマー、一人は向こうの入り口を施錠、待機。もう一人は西側の窓を警戒。」



40: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 : 2007/05/26(土) 19:50:17.97 ID:rtmWpBWV0

( ▼−▼)『はっ!』
手早く命令をこなすSP達。

その際にも、クマーは喋りはしなかったが、余裕のある、あのいやらしい笑みを浮かべていた。

( ゚д゚ )「クマー殿……。私もこういうことはしたくなかった。」
(・(エ)・)「……。人を殴っておいてその言い方はどうなのだね?」


(・(エ)・)「そして……。私をここで捕らえて何になるのだね。」
腕を組み、足で何かのリズムをとるような素振りを見せる。


トン。トン。トン。


苛立っている時の素振りだろうか。



41: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 : 2007/05/26(土) 19:51:08.12 ID:rtmWpBWV0


(・(エ)・)「君達は……。カメレオンを知っているか?」

( ゚д゚ )( ∵)「……。」


この張り詰めている空気に、謎の問い。
(・(エ)・)「知らないのかね……では、教えてやろう。」


トン。トン。




……トン。


――踏み足のリズムに少しの変化が見られた瞬間。

一人のSPの首が吹き飛んだ。



血が、流れた。


第2話「Do You Know Chameleon?」 完



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