( ^ω^)は駆動兵器を操るようです

6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 : 2007/05/27(日) 01:30:47.48 ID:zPB2mgB40




 ( ^ω^)は駆動兵器を操るようです



7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 : 2007/05/27(日) 01:32:38.62 ID:zPB2mgB40

なぜSPの首が吹き飛んだ?
何が起きたのかまったくわからない。
ただ、顔と体がついていたところからは、勢い良く血が噴出し、断末魔も無くその人間は死んだ。

ドサァッ!!
ホースの口を少しつまんだ時のような音を血と共に出しながら、SPの体は地に伏せた。
どこかみっともなくビクビクと動くSPの肉体。
痙攣、というやつであろうか。恐怖をあおった。

(;゚д゚ )「SP!!!今すぐクマーを撃て!!!!」
(;▼−▼)「……ラジャ!!!!」

残った3人のSPはすばやく拳銃を取り出しクマーへと銃口を向ける。



9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 : 2007/05/27(日) 01:34:02.48 ID:zPB2mgB40

(・(エ)・)「さあ……。小さな戦争の始まりだよ、諸君。」
(・(エ)・)「『ハインリッヒ』!!!ここにいる人間を全て殺してしまえ!!!戦争だ!!!!」

『了解。』


刹那の瞬間――。
そう呼ぶべきであろうか。
クマーの近くにいたもう一人のSPの体が右肩から左太ももの辺りまで裂けた。


( ▼−▼)「ミルナさん!!伏せて!!!」
(;゚д゚ )「くそっ!!!!」


パン!
パン!
邸宅の周囲に、銃声が響いた。



10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 : 2007/05/27(日) 01:35:46.12 ID:zPB2mgB40

(;´・ω・`)「銃声!!!?」
( ゚∋゚)「……ラウンジは杞憂だったか……。νか……?」

そして間もなく、各国兵士に情報が伝達された。


『会議中にて発砲した者がいる模様。交渉は決裂。代表を保護。他国の兵士を殺害、もしくは捕縛せよ。』


( ゚∋゚)「……戦争……!!」
(;´・ω・`)「裂けられなかったか……!!!」



11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 : 2007/05/27(日) 01:36:32.31 ID:zPB2mgB40
そう。これは事実上の戦争宣言。
交戦が始まるような状況ではなかったが、各々兵士達は銃火器を取り出した。
(´・ω・`)「幸い、今この周辺には僕達VIP以外はいないみたいだけど……。」
( ゚∋゚)「ああ……。」


ショボン達が警護していた第2玄関付近は、幸いVIPのみの警護だったせいか、近くで銃声が響くことが無かった。
しかし、離れた場所からは、もう銃声、爆音、悲鳴が聞こえていた。



12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 : 2007/05/27(日) 01:37:47.77 ID:zPB2mgB40


(;゚∀゚)「……くそっ!!!なんでいきなり……!!!!」
ジョルジュは邸宅付近の警護にあてられていたため、そこにいたν帝国の兵士と戦闘になった。

『VIP軍兵士に告ぐ。ニーソク国の兵士との戦闘は不要。戦闘は不要。』
ニーソク側にもこのような伝達があったようで、状況はVIP、ニーソク対νということになった。

ν兵士を壁から伺うジョルジュ。
(;゚∀゚)「実践なんか何回もしてきたけど……障害物が少なすぎる……!!!」

ただの公邸なので、森や廃墟、市街などと違って周囲360度視界が開いている場所が多い。
敵を仕留めるのには申し分無い条件。
しかし、それは敵も同じである。

そこで、有利となるのは、先制攻撃。
しかし、撃てば自分が狙われてしまう。

どうすればいい――!!!
思考をめぐらす。



15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 : 2007/05/27(日) 01:39:25.61 ID:zPB2mgB40
と、その時、銃声と人の倒れるような音。
そして、後方から声がした。


『お前、VIP軍兵士だな?』

(;゚∀゚)「!!!?」
すばやく振り返り、ライフルを構える。

――と、構えてから考えてみると、敵ならもう俺は後ろから撃たれて死んでいたであろう。
ニーソクの兵士……であろうか。

(´・_ゝ・`)「す……すまない。驚かせてしまったみたいだ。」
その男は少し頼りなさそうな顔をしていた。


(´・_ゝ・`)「無線は……聞いたかい?」
( ゚∀゚)「あ、ああ。聞いた。」



16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 : 2007/05/27(日) 01:41:44.95 ID:zPB2mgB40

(´・_ゝ・`)「軍服を見てもらえばわかるだろうけど、私はニーソク軍所属、デミタス中尉だ。」
( ゚∀゚)「ちゅ、中尉殿でしたか。自分は、VIP軍所属、ジョルジュ二等兵であります!」

(´・_ゝ・`)「いや、今はそんな肩書きなんて構ってられないから、気にしないで……。」

そう、言われたとおりだ。
こんなところで死ぬわけには行かない。

(´・_ゝ・`)「そこで、ジョルジュ君。今会った君に手伝ってもらいたいことがある。」
( ゚∀゚)「ハッ!なんでありますか!」

(´・_ゝ・`)「私達の国のトップを保護するのについてきてほしい。」
( ゚∀゚)「邸宅の二階……広間ですね?」

(´・_ゝ・`)「ああ。思ったよりも外のν兵士が多く、保護にてこずっているようだ。」
( ゚∀゚)「……了解。行きましょう。」

二人は、人気の無い裏庭を通り、邸宅内部へと向かった。



17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 : 2007/05/27(日) 01:42:54.87 ID:zPB2mgB40

そして、外の交戦の原因となったこの広間では、圧倒的な力が猛威を振るっていた。

(;▼−▼)「ミルナさん!!早くこの広間から出てください!!」
撃てども撃てどもクマーには弾丸が届かない。

(;゚д゚ )「す……すまない!ビコーズ殿!!」
(;∵)「くっ……!!」

なにがアイツを守っている?
例えば、カーテンに向かってソフトボールを投げたような――。
守っているというより、受け止めているというほうが相応しい。

(・(エ)・)「はっはっは。まーだ撃ち続けるのかな君達は。」

(・(エ)・)「私に、銃火器は効かんよ。」
そういうとクマーは手を前に伸ばす。
(・(エ)・)「ほれ『ハインリッヒ』。この黒服二人を休ませてやれ。」



19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 : 2007/05/27(日) 01:44:37.78 ID:zPB2mgB40

(;▼−▼)「うあああっ!!!!!」

窓際にいたSPの悲鳴と共に、その体からボトボトと何かが血と共に落ちた。
(;▼−▼)「ひっ……ひいいっ!!!!」

ガムシャラに撃ちつづける残りのSP。
ただ、もうその弾に力など篭っておらず、どのような相手にも当たる気配は無かった。

『どこを……狙っているんだ?』

SPの耳元で女の声がした。
(;▼−▼)「……!!!!」
SPの歯はガチガチと震え、声を出そうにも出ないようであった。



20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 : 2007/05/27(日) 01:45:51.77 ID:zPB2mgB40

電子音と共に、女が姿を現した。

从 ゚∀从「ほら。狙うならここだよ。こーこ。」

ミルナはその一連の動きを、ビコーズの肩を担ぎながら見ていた。
(;゚∀゚)「ス……ステルス……?」

おそらく、あの女がクマーの言う『ハインリッヒ』であろう。
金髪、そして肩ほどの髪型。
それほど高くない身長。
そして、右手で握っているその女ほどの背丈の……カタナ?であろうか。

今、クマーの言うカメレオンと共に、会議中の発言の強気であった理由が理解できた。


あいつは、会議中、ずっとあの場所にいた。
そして、いつでも私達を殺すことができたのだ。

なぜ決裂と共にすぐ殺さなかったのか。

それが、クマーの一方的な慈悲。
そして、私達をあざ笑い、見下していた証拠――。



22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 : 2007/05/27(日) 01:47:52.19 ID:zPB2mgB40
全てを理解したミルナに、またも深い怒りが湧き上がっていた。
だが、一人ではどうにでもできない。

たとえベースボールではいい評価を得られても、所詮命の削りあいには役に立たなかった。

(;゚д゚ )「ビコーズ殿!!もっと早く足を動かせないのですか!!」
(;∵)「くっ……こんな時に、足がすくんで動けん……!!」
急ぎや焦りからか、口調が自然と荒くなってしまう。

そして、ハインリッヒが残りのSPの頭に刀を突き刺し終わると、クマーがニヤニヤしながらこう言った。

(・(エ)・)「残りも早く殺してしまえ。早く帰ってハチミツでも舐めている方が安らげるよ。」

从 ゚∀从「ラジャ。」



26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 : 2007/05/27(日) 01:51:28.07 ID:zPB2mgB40
電子音と共に、女が姿を現した。

从 ゚∀从「ほら。狙うならここだよ。こーこ。」

ミルナはその一連の動きを、ビコーズの肩を担ぎながら見ていた。
(;゚д゚ )「ス……ステルス……?」

おそらく、あの女がクマーの言う『ハインリッヒ』であろう。
金髪、そして肩ほどの髪型。
それほど高くない身長。
そして、右手で握っているその女ほどの背丈の……カタナ?であろうか。

今、クマーの言うカメレオンと共に、会議中の発言の強気であった理由が理解できた。


あいつは、会議中、ずっとあの場所にいた。
そして、いつでも私達を殺すことができたのだ。

なぜ決裂と共にすぐ殺さなかったのか。

それが、クマーの一方的な慈悲。
そして、私達をあざ笑い、見下していた証拠――。



29 名前: 作者 ◆Cy/9gwA.RE 投稿日: 2007/05/27(日) 01:53:52.05 ID:zPB2mgB40

――来る!!!

ハインリッヒは足音も少なくこちらへと駆け寄ってきた。
ここで、殺されるのか……。


从 ゚∀从「男。安心しろよ。そこのジジイからだよ。」
ハインリッヒの右足がビコーズを蹴飛ばし、二人を分断した。

(;∵)「うぐあぁっ!!!」
(;゚д゚ )「くっ……ビコーズ殿!!」

畜生。
何もかもクマーに読まれてたってのか。

ビコーズに馬乗りになり、刀を首に宛がうハインリッヒ。
从 ゚∀从「お偉いさんなんだろ?遺言、承ってやる。10秒やるから好きなだけ言え。」



30: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 : 2007/05/27(日) 01:55:13.01 ID:zPB2mgB40

覚悟を決めた顔で、ビコーズは言った。
( ∵)「……。もう何も言うことはあるまい。殺せ。」

――何をあきらめているビコーズ殿!
まだ……まだだ……。


(;゚д゚ )「そのカタナをどk――
从 ゚∀从「黙れ。次はお前なんだよ。遺書の一つでも考えてやがれこのタコ。」


(;゚д゚ )「くっ……ビコーズ殿……。」

从 ゚∀从「おつかれちゃーん。」
ガリッ、と骨が割れるような音と共に、ビコーズの体が波打ち、手の力が抜けたことがわかった。



32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 : 2007/05/27(日) 01:56:48.05 ID:zPB2mgB40

从 ゚∀从「遺言は何も無い……か。かっこいいもんだな。」


刀をミルナに向けるハインリッヒ。
从 ゚∀从「ほらほら。遺言。承るぜ?」


(;゚д゚ )「遺言……か。そうだな……。」

もう死ぬのか。
まあ、最後にこうやって国民代表できたんだから、よかったかな。
だが、これから戦争をする国民みんなには、本当に悪いことをした……。

( ゚д゚ )「VIP、万歳。ってとこか。」
从 ゚∀从「死ぬまで従順な男だな、気に入ったよ。伝えておいてやる。」
そういうと、ハインリッヒはジョルジュへと近寄った。
その瞬間。

ブーツであろう足音も広間へと近づいてきたのである。



35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 : 2007/05/27(日) 01:58:02.25 ID:zPB2mgB40

( ゚∀゚)「死ぬにはまだ早いですよ代表!!!!!」
(;´・_ゝ・`)「……!!!!ビコーズ国長!!!」

(;゚д゚ )「た……助けがきてくれたのか!!!」

飛び込むようにして、ライフルをハインリッヒへと撃つジョルジュ。
その弾道を把握しきっているかのように、カタナを素早くしまい、後転しかわすハインリッヒ。

(;゚∀゚)「くそっ!!!……ならこれはどうだ!!」
ライフルに装着しているグレネードを向ける。


(;゚д゚ )「お……おい!!ここは建物だぞ!!!しかも2階だ!」



36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 : 2007/05/27(日) 01:58:50.17 ID:zPB2mgB40

( ゚∀゚)「わーかってますって!!!耳瞑ってくださいよ!!」


発射されたグレネード弾は、広間の天井へと着弾した。
轟音とともに、上からコンクリート片や鉄筋が降り注いでくる。

从 ゚∀从「……ちっ。」

(・(エ)・)「ハインリッヒ。引くぞ、戦争の準備だ。」
从 ゚∀从「了解。命拾いだぞお前ら。じゃあ、またな。」


(;゚∀゚)「さあ!早くここから脱出を!」
(;゚д゚ )「あ……ああ。」



37: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 : 2007/05/27(日) 01:59:30.95 ID:zPB2mgB40

(´ _ゝ`)「国長……。」
片膝をつきビコーズの亡骸を抱えるデミタス。

全てを注ぎ、守ってきた人物の死は、そうやすやすと受け入れられるものではない。
(;゚∀゚)「デミタス殿!早く脱出を!!」


(´・_ゝ・`)「ああ……。」
力の無い返事をすると、ビコーズを抱えて走り出した。
亡骸だけでも、せめて、穏やかな場所へと置いてあげよう、そういったデミタスの意向であった。



40: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 : 2007/05/27(日) 02:01:05.89 ID:zPB2mgB40

地震のような揺れはおさまったが、依然敵地と条件は変わっていない。
三人は建物の出口付近へときていた。

( ゚∀゚)「それにしても……なぜこんなことに……。」
( ゚д゚ )「私の……私が……原因だ……。」

( ゚∀゚)「そう……ですか。なんにしても……代表がしたことが全てになるのです。今は、帰りましょう、VIPへ。」

( ゚д゚ )「……ああ。」

そして、駐屯基地の方へ、デミタスも共に向かった。



41: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 : 2007/05/27(日) 02:01:48.08 ID:zPB2mgB40

そして、最初の銃声が聞こえた頃と同時刻――。


( ^ω^)「銃声がしだしたお……!!」
(‘A`)『お前も聞こえるんだな。ブーン。』


突如しだした銃声に戸惑いを隠せない二人。
すると、音声データが入ってきた。


『二人ともよく聞いてくれ。さきほど受信した情報によると、国境会議中に問題発生。
         交渉の決裂。ν側からの宣戦布告があったようだ。詳細は現時点では不明。』


( ^ω^)「……!!」

('A`)『始まったってことか……?』



43: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 : 2007/05/27(日) 02:03:22.77 ID:zPB2mgB40
『なお、ブーン、ドクオ両名への任務は、ν帝国戦車、戦闘機の破壊。』

『20分後に、クー少尉が邸宅付近に到着予定。では、健闘を祈る。』

メッセージが終わると、真っ暗だったメインカメラに光が差してきた。
けたたましい蒸気を出し、ボックスが開く。
初めての『駆動兵器』。

手が震えているのは、恐怖か、それとも期待か。
向かっているのは、栄えある未来か、それとも支配された未来か。

どちらも、もう戦わなければ手に入らない未来。


( ^ω^)「ブーン。『2CH-VG』。発進しますお。」
('A`)「同じく、ドクオ。『2CH-VB』。発進します。」



44 名前: 作者 ◆Cy/9gwA.RE 投稿日: 2007/05/27(日) 02:04:32.48 ID:zPB2mgB40
('A`)「……よし。」

俺達が乗せられたのは、多分必然なんだよ。
そう割り切って生きていこう。
だから、今を精一杯生きて、生きて、生きて――。
VIPを守ろう。

('A`)『ブーン。あんまり無茶すんなよ。』
( ^ω^)「ドクオこそ。二人とも、生きて帰るお。」


――『2CH-VG』。コンタクト開始。レーダーヲ半径30kmニ展開。


( ,'3 )『そっちへ今向かっている。何かトラブルがあればこちらで善処するので、通信してくれ。』
(‘A`)( ^ω^)『ラジャ。』



二人の操る『駆動兵器』が、今戦場へと姿を現した――。


( ^ω^)は駆動兵器を操るようです

第3話「マイロード・マイミスロード」 完



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