( ^ω^)は駆動兵器を操るようです

68: 作者 ◆Cy/9gwA.RE :2007/06/15(金) 19:02:44.52 ID:bpDMJrlb0




( ^ω^)は駆動兵器を操るようです 第11話





69: 作者 ◆Cy/9gwA.RE :2007/06/15(金) 19:03:26.99 ID:bpDMJrlb0
ゴゥン……ゴゥン……。


『今回の作戦は、ν帝国の輸送経路を叩く。では、先程駆動兵器へ送った電子資料に目を通してくれ』

『……今回は、敵の駆動兵器を輸送している可能性が高い。
  普通は空輸のはずだが、なぜか陸路を使っているのがその証拠、であろう』

('A`)『では、その輸送している部隊を殲滅、もし駆動兵器を奪取することができるなら、そのまま持ち帰れ、ということですよね?』

( ^ω^)「……毎回の如く、緊張するお」


( ,'3 )『その通りだ。今回はクー少尉も出撃する。三体も出すのは正直アレなのだが、仕方がない』
川 ゚ -゚)『今回は、私が突っ込む。君達はバックアップを頼んだぞ』


( ^ω^)('A`)『了解』


 クーのVRの修繕が終わり、2週間が経った頃、ある情報が入ってきた。
その情報というのが、この今回の作戦内容の元となるものである。


 ν帝国による、駆動兵器らしきものの存在の発覚。



70: 作者 ◆Cy/9gwA.RE :2007/06/15(金) 19:04:41.60 ID:bpDMJrlb0

( ,'3 )「出所の確かではない情報を、鵜呑みにするのもいかがなものかと……」
ミ,,゚Д゚彡「ふむ……。だが、中身のわからない箱など、開けてみないとわからん、というものだ」

( ,'3 )「そうですか……。では、こちらの駆動兵器を発進させましょう」
ミ,,゚Д゚彡「三機。出せるか?」

( ,'3 )「三機、南部指令基地にある駆動兵器をですか?」
ミ,,゚Д゚彡「うむ。そろそろ、駆動兵器間の連携も視野に入れるべきだと思うのでな」
( ,'3 )「了解しました」


 こういう経緯があったものの、バルケンはどこか腑に落ちないでいた。
なぜ、ν帝国ともあろうものが、こうも容易く国家機密を漏洩させるのか――。

 フサギコ殿も、気づいているのだろうか?
いや、罠だと気づいているからこそ、三機も出して、警戒するように促しているのであろう。
そして、其処からまた三週間。

( ,'3 )「虎穴にはいらずんば、虎児を得ず。だが、なんにせよ、万全の体制を怠ってはいけない。全てに通ずる基本だ、わかったな?」

( ^ω^)('A`)川 ゚ -゚)「了解!」



71: 作者 ◆Cy/9gwA.RE :2007/06/15(金) 19:05:40.99 ID:bpDMJrlb0

 今回の作戦範囲、ν帝国とニーソク国国境付近にある、シガ谷。
湖から流れ注がれる清流が、岩肌をけずってできた、何千年もの謂れがある谷。
普段、人が寄り付かないこの場所は『大陸の隠れ通路』とも呼ばれており、難民や、脱走兵などが、煙に巻くために好んで使う谷である。
鬱蒼と木々が生い茂っており、視界が悪く、戦闘には不向きな場所。

 そして、ブーン達は、その谷の上空をNRPで空中停止し、監視をしていた。
NRPは、高性能輸送機。最新鋭のステルス機能を備えており、敵の待ち伏せ、隠密行動には持って来いなのである。


( ^ω^)「クー少尉。いつ頃来るんですかお?」
川 ゚ -゚)『いつ頃だろうな。標的なんてものは、なんだかんだ言っている内に、姿を現すようなものだよ』
('A`)『なんだかんだ言っている内に……』



(;'A`)『二日ほど、経ちましたが……』
川;゚ -゚)『……むう』
(;^ω^)「き、気長に待つお!!待つんですお!!」

 すると、クーの言ったとおり……なのであろうか、なんだかんだ言っている最中に、ワタナベから通信が入った。



72: 作者 ◆Cy/9gwA.RE :2007/06/15(金) 19:06:39.69 ID:bpDMJrlb0

从'ー'从『レーダーに反応をキャッチ。大型トラックが2台。戦車が6台の1部隊です。詳しい位置情報を送ります』

(;^ω^)「……っ!!来たお!!!」
川 ゚ -゚)『待たせるとは……仕置きが必要なようだ』
('A`)『位置情報取得。バルケン殿、支持をお願いします』

( ,'3 )『うむ。各自迅速に降下後、散開。部隊を取り囲んでトラック以外は破壊だ」
('A`)「……了解」


@^0^@)「投下準備、完了しました!」
( ,'3 )「では、こちらからはできるだけバックアップを行う。各自、全力を尽くすよう」


@^0^@)「3……2……1……、2CH-VG、VR、VB、投下!」


 大きく蓋が開くような音を立て、三機の駆動兵器が投下された。
綺麗な夜空、月に照らされ輝く水面、青白く光る岩肌。
そこへ、黒と、赤と、緑が降り立った。



73: 作者 ◆Cy/9gwA.RE :2007/06/15(金) 19:07:36.27 ID:bpDMJrlb0

川 ゚ -゚)『行くぞ!!ドクオは進行方向右側、ブーンは左側から散開!!!』
('A`)( ^ω^)『了解!!!』

ズズン……!!!!
いびつで大きい地響きが谷肌へと響く。
その音に気づいたのか、戦車とトラックが動きを止めた。

川 ゚ -゚)「駆動兵器が入る程の大きさのトラック……。もしかするかもしれないな」

 着地した反動の力を利用し、クラウチングスタートのような体勢をとるVR。
右腕の鉤爪を地面スレスレまで落として、一気に加速した。

 ガリガリと音を立てて、鉤爪と擦れ土煙をあげる地面。
低姿勢からの素早い鉤爪による横薙ぎで、戦車が二台、切り裂かれた。

 クーの脊髄を、金切音が刺激する。
ゾクゾクとしたその快感が、クーを支配した。

川 ゚ -゚)「……ふふ」

 戦車の爆炎による赤い光が、赤のVRをさらに紅く照らす。



74: 作者 ◆Cy/9gwA.RE :2007/06/15(金) 19:08:44.77 ID:bpDMJrlb0

川 ゚ -゚)「二人とも!!まずは戦車を蹴散らせ!!」

( ^ω^)『了解……です……おっ!!!』

 敵部隊対して、左側へと素早くもぐりこんだブーンは、サッカーボールを蹴るかのように、一台の戦車を蹴り飛ばした。
砲身部分がひしゃげて、戦車は横転。

 即座にV-Rifle1を構えると、砲台をこちらへと向けている戦車に対し、発射する。
金属が金属を力で貫く激しい音と共に、また一台、綺麗な谷へと葬り去った。

( ^ω^)『訓練の……成果だお!!』


 ドクオの操る2CH-VBも、右側へと回り込んだ。
そして、腰部分に装着しておいた、二束のキャノン砲を、小脇に抱えるように構える。

('A`)『……喰らえっ!!』

 VBが踏ん張るような体勢を取り、左右のキャノンのトリガーを引く。
すると、バルカン砲のように、連続して光砲を吐き出した。
一発一発が、違った方向を向いて発射される。威力はそれほど高くはないようだが、散弾性を持ち、トラックを含む敵部隊に大きな打撃を与えた。

 完全に沈黙した敵戦車、トラック。



75: 作者 ◆Cy/9gwA.RE :2007/06/15(金) 19:09:25.56 ID:bpDMJrlb0

( ,'3 )『迅速な作戦遂行、よくやった。直ちにトラック内の積荷を調べてくれ。スキャンをしてから頼むぞ』

川 ゚ -゚)『了解』

 クーがトラックへ近づき、スキャンを開始する。

川 ゚ -゚)『バルケン殿。問題はありません、ただ……中身は、情報どおり、駆動兵器のようです』

 駆動兵器を、νが製造し始めた。
この事が確認できただけで、大きな情報を得た。

( ,'3 )『やはりそうか……。では、中の駆動兵器を確認し、今から送るポイントまで輸送してくれ』

 ピピッ、とした音と共に、三人の駆動兵器のレーダーにポイントが示された。
少しこの谷を北に行った場所、ここでは、木々が多すぎて回収できないのだ。

 クーが、コンテナを鉤爪で無理やりこじ開ける。
すると、中には、闇夜に照らされて、不敵にも美しく、怪しく輝く、銀色の駆動兵器が二体入っていた。



76: 作者 ◆Cy/9gwA.RE :2007/06/15(金) 19:10:12.25 ID:bpDMJrlb0

川;゚ -゚)『これが……νの駆動兵器……』

(;^ω^)『同じのが二体、ですかお?』
(;'A`)『は、早く運びましょう……』

 その銀色の機体は、どこか人間らしさを帯びていた。
禍々しい、いや、人間が持つ独特の苦味を持ち合わせているような……。
クーは、そのような印象を、その時持ったという。


川 ゚ -゚)『よし。ではトラックごと運んでいく。ドクオは周囲を警戒、ブーンはこっちの方のトラックを持ち運んでくれ』
('A`)( ^ω^)『了解』

 宵闇の森を、ゆっくりと移動する。
このような危険な状況だが、モニターを通して目に映る景色は、まるで、夏の風鈴のそれのように、美しい世界へと連れ込み、戦争を忘れさせた。

 すると、ワタナベから再度通信が入った。



77: 作者 ◆Cy/9gwA.RE :2007/06/15(金) 19:11:39.04 ID:bpDMJrlb0

从;'ー'从『緊急通信!高スピードで接近する熱源をレーダーで確認!繰り返す……』
川;゚ -゚)『!!!』

(;^ω^)『νの戦闘機ですかお!?』

( ,'3 )『こ……このスピードは、おそらく駆動兵器だ!!NRPを緊急浮上させる!各自、戦闘準備!!!』
(;'A`)『ど、どうなってんだよ……!!!』

 そうしている内に、三人の駆動兵器のレーダーにも反応が映りこんだ。
一機の何かが山を跳ね回りこちらへ向かってきているようである。ブーン達は、即座にその場から離れ、各々の距離を取る。

川;゚ -゚)『ブーン!!!すぐに駆動兵器のコクピットをぶっ潰せ!!』
(;^ω^)『了解ですお!!フォルテセスタス展開!!』

('A`)『落ち着け……落ち着け……よし。』

 反応が、もうすぐ近くまで来ている……が、こう暗くて鬱蒼としていると、まだ視認できない。
――まだか……?



86: おさるさんでした ◆Cy/9gwA.RE :2007/06/15(金) 19:32:32.10 ID:bpDMJrlb0

('A`)『……来た!!!』

 現れたのは、さっきの駆動兵器と同じ、銀。
格納されていたときの印象とはえらく違い、腕部と脚部がやけに長い機体だ。クモのよう、といえば通じるだろうか……?


『VIPの癖に、やってくれるじゃないか……ふふふ』


 闇夜に輝く銀が、言葉を放つ。
中に乗っている奴は、声からして男か――?

(;'A`)『に、νには負けない。お前みたいな奴には特にだ!!!』


 先程戦車を一掃した、ツインスターマインを構える。
距離を取って立ち尽くす二体の駆動兵器に、緊張が走る。突き刺さるような、死の恐怖と共に。



88: 作者 ◆Cy/9gwA.RE :2007/06/15(金) 19:34:49.60 ID:bpDMJrlb0
川;゚ -゚)『ぶ、ブーン!!!!』
(;^ω^)『は、はいですお!!』
川;゚ -゚)『コクピットを思い切り破壊はしてはいけない。絶対にだ』

(;^ω^)『な、なぜですかお?』
川;゚ -゚)『この駆動兵器、ヴィプクロメタリウムを使っていない……』

 ヴィプクロメタリウムを使っていない。
この一つの要因で、大きな危険が一つ生まれる。

(;^ω^)『ど、どういうことですかお……?』

川;゚ -゚)『これは、何で動いているか、ただそれだけだ、ブーン』
(;^ω^)『……もしかして』

 この駆動兵器に乗る前にされた説明。
駆動兵器は、ヴィプクロミニウムが、搭乗者の体の『流れ』をエネルギーに変換、精製する。
そのおかげで、搭乗者が生存している限り、半永久的に駆動することができる、と。

では、そのヴィプクロミニウムが無いと、どうなるか?
頼るべきエネルギー源が考えられるのは、ただ一つ。


川;゚ -゚)『……原子力。所謂、核エネルギーだ』




( ^ω^)は駆動兵器を操るようです 第11話 「Atomic Power」 完



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