( ^ω^)は駆動兵器を操るようです

46: 作者 ◆Cy/9gwA.RE :2007/06/27(水) 20:09:08.91 ID:MVtdHWVX0


( ^ω^)は駆動兵器を操るようです 第17話



49: 作者 ◆Cy/9gwA.RE :2007/06/27(水) 20:10:11.44 ID:MVtdHWVX0

 『上空へ到達するまで、あと20秒。』

『了解。P-2、P-3、P-4は、各自散開し、爆撃にムラの無いように頼むぞ』

『『『了解』』』

『VIPに、栄光を!!』


 砂利を、水面に叩き付けたかの様に、爆煙がスレスト湿地に舞った。
多くの悲鳴、逃げ惑う足音、流れる血が、競技場に溢れる。

『……繰り返し、爆撃だ』

戦闘機が4機、同時に旋回し、今度は競技場の周囲も含め、爆撃を行う。
致命傷に致命傷を、幾重にも重ねる。


その阿鼻叫喚の様子を、遠めに見つめる人物。



51: 作者 ◆Cy/9gwA.RE :2007/06/27(水) 20:12:14.23 ID:MVtdHWVX0

『おぉ!?始まった!!始まったじゃん!!』

残酷な事が行われているのにもかかわらず、構わず明るい声で振舞う者が。
ラウンジの駆動兵器乗り、ツー。
白の駆動兵器を操る、女兵士。

(*゚∀゚)「シラネーヨ!!始まってるよ!!」
( ´ー`)「相も変わらず五月蝿いな、君は。もう少し待つんだ。VIPの駆動兵器の確認後、君をリーダーにして、3機で出てもらうよ」

(*゚∀゚)「わかってるけど……。この前の黒い奴が来るかと思ったら興奮しちゃってさ」
( ・へ・)「姉御。その黒い駆動兵器は強いんですかい?」

一機の駆動兵器から、どこかしかめっ面をした、中年の男がでてきた。

(*゚∀゚)「あたしが引き分けたんだ。アソーよりは強いかもな?」
( ・へ・)「……本当に言ってるんですかい?」

( ゚&゚)「聞き捨てならねぇな、姉御」

 もう一機の駆動兵器からも、少しふっくらとした男が現れた。
この二人。”しかめっ面のアソー”と、”責任のアベ”は、同郷から出てきたラウンジ兵士。
小さい頃から仲がよく、スキル、コンビネーションに長けている、との事から駆動兵器に搭乗しているのである。

二人は、40台半ば。しかし、その上官にあたるツーは17歳。
自分の娘のような人間に頭を下げるのは、プライドの高い二人には不満であった。



52: 作者 ◆Cy/9gwA.RE :2007/06/27(水) 20:13:41.50 ID:MVtdHWVX0

(*゚∀゚)「ここで何を言ってても、結局はぶつかった時にしかわからないものなーの」

( ・へ・)「……」
( ゚&゚)「じゃあ、自分達が結果を出せばいいってことかい?」

(*゚∀゚)「そりゃーそうじゃん。あんた達にこのセパタクロウを使いこなせるとは思えないよ、正直」

 今すぐにでもブン殴ってやりたい。そう二人は思うが、ツーには勝てない事がわかっていた。

ツーは、人間では、無い。

(*゚∀゚)「ほら、さっさと行くよ!これからが楽しいんだから……」
( ・へ・)( ゚&゚)「……了解」

( ´ー`)「ほらほら、急いだ急いだ。向こうの方もでてきたよ。ここでデータ取ってるから、死なないように暴れておいで」

 草原に、コンピュータを展開し、座り込むシラネーヨ。
駆動兵器のデータを収集するために、早速何かを打ち込み始めた。
そして、ツー達も駆動兵器を起動させ、脚部の車輪を回す。

土煙を立ち上げ、戦場であるスレスト湿地へと向かった。



54: 作者 ◆Cy/9gwA.RE :2007/06/27(水) 20:15:03.21 ID:MVtdHWVX0

『爆撃を開始した。各員、スレスト湿地を抜け、ν帝国首都ピチカートを目指せ。繰り返す――』

( ゚∋゚)「――よし。いくぞ!!」
(´・ω・`)「――うん」

 早速、ショボンたちの周囲に、弾丸の雨が降り注ぐ。
向こうも、この攻撃の事を予測はしていたようで、すぐに応戦体制に応じてきた。
先程の戦闘機は、当に撃墜されているようだ。

こうなってしまえば、向こうの戦闘機等がくるまでに、なるべく先へ進むのが得策。
ショボンが運転席に乗り、防弾トラックのアクセルを踏み切った。

大きな掛け声が、そこら中に響く。
弾丸、硝煙、爆発、銃声、死体、エンジン音。
全てが、脳を刺激する。

( ゚∋゚)「これこそ戦場――、という顔をしてるな、ショボン」
(´・ω・`)「ふふ。やっぱり、この感覚は癖になるよ」

 ガタガタと音を立てて揺れるトラックを運転しながら会話をする。
トラックの後ろの積荷には、10人程度が乗っている。
道中、この兵士達を切り離さないといけない。



56: 作者 ◆Cy/9gwA.RE :2007/06/27(水) 20:17:31.84 ID:MVtdHWVX0

(´・ω・`)「駆動兵器を確認次第、後ろを切り離すよ」
( ゚∋゚)「わかった」

 途中何発も銃弾が飛び、防弾ガラスへと直撃した。
そんなものにも目もくれず、先へ先へと進む。今なら兵士が少ない。
早い時点でラウンジの駆動兵器がくれば……、完璧だ。


( <●><●>)『お二人とも!!!聞こえますか!!?』

( ゚∋゚)『ああ。聞こえている』
(´・ω・`)『……もしかして、駆動兵器が現れたの?』

( <●><●>)『はい……。しかし……』

 湿地帯に入ったのか、霧が濃くなってきた。
地面も水っぽくなってきている。

( ゚∋゚)『……なんだ?』

(;<●><●>)『私達の期待に答え……すぎ、といいますか、駆動兵器の反応が4機あるんです』
(;´・ω・`)『よ……4!?』

( ゚∋゚)『全てラウンジか?』



59: 作者 ◆Cy/9gwA.RE :2007/06/27(水) 20:18:23.46 ID:MVtdHWVX0

( <●><●>)『東から3機、南から1機です。南から来ているのは、恐らくνかと』
( ゚∋゚)『そうか、なら作戦に問題は無いな』

(;´・ω・`)『……どっちを狙うの?』

( ゚∋゚)『ラウンジの駆動兵器だ、作戦通り進める。では、後ろを切り離すぞ』

 そう言うと、クックルは後ろのレバーを引くと、積荷を積んだ台車が、ガチャリという音を立ててきり離れた。積荷は失速し、少し進んだ場所で止まる。

( ゚∋゚)「ここからが本番だ。気合を入れろ!」
(´・ω・`)「……了解!!」

 ハンドルを右に切り、ラウンジの駆動兵器の到達予想ポイントへと急ぐ。
もうここまできたら、後へは引けない、引かない。

(;゚∋゚)「……っ!ショボン!!右からミサイルだ!!」
(;´・ω・`)「……見えてる……よっ!!!」

 間一髪であるが、ミサイルの着弾をかわすことができた。
地面が大きくえぐられ、衝撃波が伝わる。車体が大きく揺れ、沼にタイヤを突っ込んでしまい身動きが取れなくなってしまった。



63: 作者 ◆Cy/9gwA.RE :2007/06/27(水) 20:19:47.86 ID:MVtdHWVX0

(;´・ω・`)「しまった……っ!!!」
(;゚∋゚)「……っ」

車体は大きく左に傾いてしまっていて、いくらアクセルを踏んでも、空回りしかせず、抜け出せそうにはなかった。

そして、また飛んでくるであろうミサイル。周囲を飛び交う弾丸。
一気に、死が二人に迫る。

( ゚∋゚)「……外に出てタイヤを持ち上げる」
(;´・ω・`)「……危険だ!!」
( ゚∋゚)「ここで死ぬよりはマシだろう。ワカッテマスに通信して、あといくらほどで向こうが予定ポイントに着くか聞いておいてくれ。アクセルはかけっぱなしだぞ」

(;´・ω・`)「……わかった。死なないでね」
( ゚∋゚)「……ふん。いらない世話だ」

左側から飛び出たクックルは、まずν兵士がいるであろう雑木林が鬱蒼としている場所へ、手榴弾を放り投げた。大きな爆発が起こり、沈黙が走る。
すぐさま後ろへと駆け寄ると、トラックのバンパー部分に手をやり、思い切り力を入れ、持ち上げる。バネがきしむような音を立て、少しずつ持ち上がっていった。

(;゚∋゚)「……ぐぅうぅぅっ!!!」

(;´・ω・`)『ワカッテマス!!!あとどれくらいの時間がある!!?』

( <●><●>)『あと、160秒なんです。何かトラブルでも?』
(;´・ω・`)『……いや、何にも無い。うまくいけばこの通信回線を駆動兵器で開くから、用意しておいてね』
( <●><●>)『はい、わかってます』

 通信を切ると同時に、ガクンとトラックが動く。
クックルが車体を上に持ち上げた事で、沼からタイヤを出す事に成功したのだ。



64: 作者 ◆Cy/9gwA.RE :2007/06/27(水) 20:22:24.61 ID:MVtdHWVX0

(;゚∋゚)「よし!!」
(;´・ω・`)「……早く!!」

クックルがトラックへ戻ろうとすると、茂みの方からライフルの弾丸が降り注ぐ。
しかし、クックルは飛び込み前転のようなモーションで、助手席の方へと向かい、素早くトラックのドアを盾にする。
すぐさま反撃のライフルを茂みに向かって撃つと、トラックへと乗り込んだ。

(;´・ω・`)「このまま、かっ飛ばすよ!!!」
( ゚∋゚)「ああ。急ごう」

 トラックを、ラウンジが出てくるポイントまで進める。
もう、残る障害は後一つのみ――。

(*゚∀゚)『さあ!!もうすぐだよ!!』
( ・へ・)『向こうの駆動兵器よりも少し早い到着になりそうですぜ』
( ゚&゚)『向こうが来るまで、全部ぶっ潰してやればいい』

 アベのセパタクロウは、左肩から腕に連なった巨大なガトリングガンが装着。
アソーのセパタクロウには、サーベルの様な湾曲した刃が、槍の持ち柄についた、ナギナタと呼ばれる武器を担いでいる。

( ・へ・)『随分と湿っぽい。爆薬の香りが余りしないと、乗ってこないですぜ』
(*゚∀゚)『ジャンキーだねぇあんた。長生きできないよ〜?』

( ・へ・)『姉御にはまだまだ及びませんよ』
( ゚&゚)『それにしても、何故これほど変わった所へ競技場なんか作りますかねぇ……。もう、跡形も無いんでしょうけどね』

 こう地面が泥や湿気を帯びていると、車輪も駆動率が下がってしまい、機動性があまり望めない。
しかし、それは向こうも同じ事。駆動兵器における環境は、生かすも殺すも己次第。工夫で全て決まってしまうのだ。



67: 作者 ◆Cy/9gwA.RE :2007/06/27(水) 20:23:38.79 ID:MVtdHWVX0

(*゚∀゚)『さあ。そろそろ戦車や兵隊さんが見えるよ!構わずぶっ潰すよ!!』
( ・へ・)( ゚&゚)『了解!』
 
そして、少し時間を遡り、ν帝国国境付近を航空中のNRP。

( ,'3 )『さて、もう少しで目標到達地点、スレスト湿地である。各自、装填部位を確認。
今回は、NRPへ兵器を積むことも許可された。投下ポイントは前述の通り。武器を回収する際はそのポイントへ行くように』

( ^ω^)川 ゚ -゚)('A`)『了解!!』
@^0^@)『あと240秒で投下地点です。ボックスのハッチロックを解除しました』
从'ー'从『周囲に敵戦闘機影無し。このまま行けば問題なく投下できます』

( ,'3 )『よし。では、もう一度だけ言わせてもらおう。君達は、VIPの力だ。その事に気負いせぬよう、存分に戦ってくれ』

 ブーンは、グッと拳に力を篭める。
スーツの繊維音が静かに鳴る。

( ^ω^)『……やるお』
('A`)『ああ』
@^0^@)『ポイントへ到達しました。ボックスを投下します。』

 NRPの腹が、いつものように開き、三つのボックスがスレスト湿地へと投下された。
ドスン、という音が戦場へ鳴り響くも、銃声や、爆発でかき消される。いつもとは違う、大きすぎる戦場。

これから、ブーン達の運命を大きく変える戦いが始まろうとしていた。


( ^ω^)は駆動兵器を操るようです 第17話 『もしも君が泣くならば、君に涙は見せない』



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