( ^ω^)は駆動兵器を操るようです

4: ◆Cy/9gwA.RE :2007/07/22(日) 20:05:29.47 ID:Jn45hc820

……おい。もう着くぞ。

わかってる。僕の予定としては、少し違ってきたけどね。
ああ。それはすまない。

だが、お前は支配者になりたい身。
これくらい、しておいた方がいいだろう?

……まあね。
でも、今から僕は”何もしない”。

そうだ。お前は”何もしない”んだ、ショボン。
だが、それでいい。
名前を、借りるぞ。

貸すだなんて、そんなセコい真似はしないよ。
もう、君と僕は戦友なんだ。

本当の、意味でね。

ふっ……。そうかもしれんな。
……見えたぞ。

うん。
僕達の戦争の、始まりだよ、クックル。


( ^ω^)は駆動兵器を操るようです 第24話『始まりは、裏切り』



5: ◆Cy/9gwA.RE :2007/07/22(日) 20:08:01.49 ID:Jn45hc820

スレスト湿地の戦況のせいか、南部指令基地は、にわかに沸いていた。

もう少し、人が少ないと思っていたクックル達であったが、
まあそれほど計画に支障をきたす訳ではない。そう考えていた。

大きく、厚い壁。
いつもは内側から見ていた壁だ。

外側から見るこの壁は、また一つ違った、”守る壁”という一面を見せる。
クックルの手に、少し汗がにじんだ。

( ゚∋゚)『あーあー。聞こえているか、VIP南部指令基地の諸君』

外部に向けて発信されるその声が向こうへと届いたのか、
いくつものライト、機関銃がこちらを一斉に向いた。

そう、それでいいんだ。
ニヤリと笑う。

( ゚∋゚)『そう、熱くならなくてもいい。いや、なってもいいんだぞ?
     今からこの駆動兵器で、こちらへと向けている武器もろとも、ぶち壊してやってもいい』

そして、その声が発せられている頃、南部指令基地中心部にある司令塔。
司令部の中心に置かれている指令座席に座っていたフサギコが、腰をあげ、鋭い眼光で睨んでいた。



6: ◆Cy/9gwA.RE :2007/07/22(日) 20:09:20.88 ID:Jn45hc820

ミ,,゚Д゚彡「……。ラウンジか?」

そして、その隣にいる男。
長い髭を蓄え、フサギコの側近であろう、沢山の勲章をつけている。

( `ハ´)「さあ……。どうでしょうか」
ミ,,゚Д゚彡「シナー。あの駆動兵器へ、1,2,3番のミサイルランチャーを開けておけ。
     何かおかしい動きをすればすぐに叩き潰せるようにな」

( `ハ´)「……しかし、あの駆動兵器の発しているレーダー反応は緑。
      ヴィプクロメタリウムが使用されてますぞ。おそらく、ラウンジの駆動兵器セパタクロウ……」

ミ,,゚Д゚彡「それはわかっておる。根性試しというものだ。
      外は硬くとも、中はどうかわからんであろう?」

( `ハ´)「……了解。」

『情報2部。ミサイルランチャーを3まで開けて、照準を合わせておけ』
『了解』

ミ,,゚Д゚彡「さて、何を要求してくるのであろうな」

クックル同様、ニヤリと笑うフサギコ。
放つオーラは、禍々しき悪。

どちらが正義かなど、もはやわからない。
そうして、クックルによる要求が始まった。



7: ◆Cy/9gwA.RE :2007/07/22(日) 20:13:20.30 ID:Jn45hc820

( ゚∋゚)『まず、名乗らせてもらおう。
     私の名前は、ショボン。ショボン南部指令基地二等兵だ』

その声によって、南部指令基地が一気にざわめく。
ここを守っていた、VIPを守っていた二等兵が、今その基地に対して、何かしらの武力要求をしようとしている。

ミ,,゚Д゚彡「……ほう」
(;`ハ´)「ほう、ではないですぞ。これは……こちらからも攻撃しにくい」

クックルが、ショボンの名を使った理由。
その一つが、VIP一般兵士が反逆した、という事に持っていくため。

ショボンの名前を知っている者も、少なからずはいるはず。
攻撃しにくい理由になっても、おかしくはなかった。

まあ、この理由はそれほど重要ではない。
ショボンの名を使ったもう一つの理由。

それは――。

( ゚∋゚)『それでは、こちらの要求をさせていただこう。
     要求は、三つ。一つ目だ。よく聞け?情報2部のワカッテマスを、
     この基地外壁まで出せ。傷は一つもつけるな』



9: ◆Cy/9gwA.RE :2007/07/22(日) 20:15:47.23 ID:Jn45hc820

( <●><●>)「……ということです、私は行きますよ?」

『なっ……!?』
『ワカッテマス!どういうことだ!!』

何も言わず、そのまま2部のドアを抜け、出口へと向かう。
静止の声が聞こえたが、そんなものに気を使っている暇は無い。

ミ,,゚Д゚彡「……ワカッテマスだと?あいつ、クックルの……」
( `ハ´)「……どうしますか?」

ミ,,゚Д゚彡「ふん……。殺せばよかろ……」

( ゚∋゚)『なお、ワカッテマスと私は、通信にて繋がっている。
     何か不信な点があれば、すぐにでも胸のカノンを、その管制塔へと撃ってやろう』

ミ,,゚Д゚彡「ちっ。……通せ」
(;`ハ´)「了解」

ミ,,゚Д゚彡「(……しかし、なんだこいつの変な威圧感は?)踊らせておけ。
      それと、西司令部とNRPに連絡を入れろ。VBLの出動要請だ」

( `ハ´)「……あのじゃじゃ馬を出すのですか?それはいかがかと……」
ミ,,゚Д゚彡「よい。”私の子”だ。言う事を聞かずとも、戦果はあげるであろう」

( `ハ´)「……了解」



11: ◆Cy/9gwA.RE :2007/07/22(日) 20:17:24.79 ID:Jn45hc820

どうだ?フサギコ。
お前は、他のものの死には、蚊ほど動じない。
だが、自分に、その死の恐怖が訪れれば、動けないであろう?

ワカッテマスを、殺せないであろう?
駆動兵器のカノンは、お前を向いているのだ。

( ゚∋゚)「さて……。どう出てくるか」
(´・ω・`)「フサギコ少将の事だ。何かしてくるよ、絶対」

( <●><●>)『ク……ショボンさん。外壁へと出ました』

( ゚∋゚)『了解。出撃する前に、その外壁付近にビークルを一台置いておいた。あるだろう?』
( <●><●>)『あります。乗ってそこまで行けばいいということは、わかってます』

キーが刺してあるので、そのままエンジンをかけるワカッテマス。
そこら中から、黒光りするもので狙われているのがわかった。

(;<●><●>)『それにしても、後ろからライフルで狙われる怖さ……知ってみます?』

( ゚∋゚)『ふふっ。そうだな、断らせてもらおう。
     それと、助手席にハンドガンが置いてあるだろう?ちゃんとしまっておけ』

( <●><●>)『了解なんです』



13: ◆Cy/9gwA.RE :2007/07/22(日) 20:19:04.91 ID:Jn45hc820

( ゚∋゚)『――さて、ワカッテマスがこちらに来るまで安心はできない。少し、待ってもらおうか』

毅然とした態度で、一方的交渉を続けるクックル。
向こうからの応答は無いが、ワカッテマスの安心を見る限り、誰か上官がいるのであろう、そうクックルは考えていた。

いや、そうでないとこの作戦は成功していなかったであろう。
これが、一つ目の『賭け』、フサギコがいるということを想定とした交渉。
この賭けは、ワカッテマスによって事前に知らされていた。

あいつが、戦場に出る訳が無いだろう。
いつも、俺達をケージの外からゴミのように見ていたお前だ。

そうこうしている間に、ワカッテマスの乗ったジープがセパタクロウの足元へと着いた。
確認すると、次の交渉へと乗り出した。

( ゚∋゚)『さあ、次の交渉だ。聞いているんだろう?
     フサギコ。声くらい聞かせればどうだ?』

( `ハ´)「……ああ言っておりますが、今は時間稼ぎのために……」
ミ,,゚Д゚彡「ふん。しょうがあるまい。マイク出力をこっちへ」

『了解』

出力がフサギコに回り、応答をした。



14: ◆Cy/9gwA.RE :2007/07/22(日) 20:20:38.92 ID:Jn45hc820

ミ,,゚Д゚彡『……何を血迷って、このような事をするのだ』

出てきたな、フサギコ。
これも、時間稼ぎだと言うことはわかっている。
もう一台の駆動兵器。

『2CH-VBL』

を、出すのであろう?

( ゚∋゚)『ふん……。己のしたことを考えたこともない凡骨にはわからないだろうな』
ミ,,゚Д゚彡『……。口の利き方を、このVIP軍で習わなかったのか?』

セパタクロウ、指令党本部に、緊張が走る。
フサギコを軽くあしらうこの男は、一体何者なのであろうか?

この男は、何を考えているのか?

思考が錯綜する。

( ゚∋゚)『敵への言葉遣いは、習ってはいないな。習ったのは、銃の撃ち方、くらいか』

ミ,,゚Д゚彡『達者な口でよく言えたものだ。さあ、要求を言わぬか』

(;´・ω・`)「……くっ。この声を聞いただけで、体が竦みそうだ」
( ゚∋゚)「耐えろ。お前はもう、この声に服従をしなくてもいいんだ」



16: ◆Cy/9gwA.RE :2007/07/22(日) 20:23:49.22 ID:Jn45hc820

後ろのショボンの方へ振り向き、ぎこちないが笑顔を見せる。
それを見たショボンは、なぜか少し安心した。
国を乗っ取ろうとしていた自分よりも、大きな技量、度胸。

全て自分を超越した何かを、ショボンは感じ取った。

(´・ω・`)「……そうだね。安心したよ、ありがとう」
( ゚∋゚)「例には及ばん。仲間だ」

( ゚∋゚)『そうだったな。二つ目の要求を、させてもらおう』

クックルによる、二つ目の要求が言われようとしていたその頃。
西司令部に、南司令部より緊急の伝達が通る。
内容は、『2CH-VBL』の発進要請。

そして、その発信者は、フサギコ。
すぐに、搭乗者、駆動兵器に関わるクルーへと伝えられた。

『2CH-VBL』。
多くは語られることが無い、駆動兵器の最新型。
全身が、輝く水面のような青色。

そして、羽ばたくように展開される翼。
手に持たれた、二股に分かれた長槍。

荒巻に名づけられた通り名は『青い鷹』。

それに乗り込むは、悲しき翼を抱く、金髪の少女、ツン。



17: ◆Cy/9gwA.RE :2007/07/22(日) 20:27:18.68 ID:Jn45hc820

ξ゚听)ξ「お父様から!?本当なの!!」

J( 'ー`)し「本当よ。さあ、すぐにでも出なさい」

フサギコを『お父様』と呼ぶ少女は、すぐさま駆動兵器『2CH-VBL』へと乗り込む。
そして、駆動兵器を起動させる。

ξ゚听)ξ『おば様!こっちは準備できてるわ!!』
J( 'ー`)し『了解よ。ハッチ開けて!!VBL、出すわ』

ハッチが開く。
昼が、夕方へとなるその中間。

少し黄色がかった光が、その青い体を照らす。
これが、VIPの最後の剣。
偽りの正義にとり憑かれた、二つの翼。
そして、その翼にとり憑かれた少女。

その翼を、目一杯広げる。
各ブースターが輝き、火を噴き始めた。

ξ゚听)ξ『2CH-VBL。出るわ!!』

空へと飛び出し、空に絵を描くかのように羽ばたく。
VGを髣髴とさせるようなスピードで、南部指令基地へと飛んだ。



19: ◆Cy/9gwA.RE :2007/07/22(日) 20:30:14.38 ID:Jn45hc820

ミ,,゚Д゚彡『さあ。言うがよい』

( ゚∋゚)『二つ目の要求は、ドクオ、ブーン両名を、駆動兵器から降ろす事だ』

余りにも、無茶な要求に、フサギコは呆れた。
何を世迷いごとを。

ミ,,゚Д゚彡『何を言っておる。あの二人を乗せたのは私だが、強制はしておらん。
      そして、あの二人は、お前が乗っている、その駆動兵器の力に魅せられている。
      要求に飲みたくとも、飲めないものだよ』

(´・ω・`)「……クックル。僕の我侭、聞いてくれたんだね」
( ゚∋゚)「我侭などではない。私も、同じだ。あの二人は向いていない……。
     戦争にも、いや、銃を持つことにさえ。たとえ、降ろすことが無理であっても、言っておきたかった」

( ゚∋゚)『そうか。それなら仕方が無い。残るは、後一つだ』
ミ,,゚Д゚彡『(妙に引き際がいい……気づいておるのか?)そうか。聞いてやろう』

( `ハ´)「フサギコ殿。VBLがコチラへと発進したようですぞ。あと……500秒。化け物みたいな速さだ」

ミ,,゚Д゚彡「そうか。VGよりも機動性には優れておる、今から逃げても、生き延びるのは……」

ξ゚听)ξ「やっぱり……空は、気持ちいい……ふふっ。待ってて、お父様……!!」

ミ,,゚Д゚彡「不可能だ」
( `ハ´)「……よくもまぁ荒巻博士もこのような兵器を次から次へと思いつく」
ミ,,゚Д゚彡「あいつは、駆動兵器を作る前からもあのように、貪欲な人間だった。
      だから目をつけていたのだ。今も昔も、好奇心の塊のような……、子供なのだよ」



20: ◆Cy/9gwA.RE :2007/07/22(日) 20:32:20.72 ID:Jn45hc820

指令席へと、腰を深く落とす。
両指を絡め、大きく仰け反り、またも笑顔を浮かべる。

( ゚∋゚)『三つ目の要求。それは……』

( ゚∋゚)『いや、その前に、一つだけ話をさせてもらおうか』
ミ,,゚Д゚彡『……。なんだ、この際だ聞いてやろう』

( ゚∋゚)『これから話す話は、そちらで、もうこれ以上自分の駒である軍人達に聞かれたくない、
     となればそちらの出力を切ればいい。まあ、切れば何かやましい事があるのだとバレてしまうがな』

ミ,,゚Д゚彡「……」

こいつ……。
何を話そうというのだ?
何かの機密を知っていようと、所詮は二等兵。
たいしたことは知っていないはず……。

しかし、この切り出し方……。

( ゚∋゚)『では、これから話しかける相手は、フサギコのみではない。
     VIP軍人達も、裏切った二等兵のたわいのない話に、少しだけ耳を傾けてほしい』

その言葉に、出払っている軍人達以外。
情報部、整備班。そのような者たちは、手を止め、クックル、いや、ショボンの声に耳を傾けようとする。



22: ◆Cy/9gwA.RE :2007/07/22(日) 20:34:48.55 ID:Jn45hc820

皆、興味本位で聞こうと、構えもしていなかった。
それは、クックルの話が進むにつれて、見当違いだと気づく。

( ゚∋゚)『試験管人間、人間培養、キメラ。この言葉を聞いて、
     何か連想させられる出来事はないだろうか。少しだけ、少しだけでいい。頭の隅をつついてくれ』

ミ;,,゚Д゚彡「……っ!!」

――こいつ!!

”知っている”のか!?

なぜ!!
なぜ知っている!!

(;`ハ´)(フサギコ殿。皆は頭に?が浮かんでおりますが……、これは……)
ミ;,,゚Д゚彡(……νの計画はともかく……。こちらの”これ”を知っている人間は、少ないはず。なぜこのような二等兵が……?)

フサギコ達に動揺が走るが、かまわず話し続ける。

( ゚∋゚)『ν帝国の非道な実験。ということならば、知っている人も多いだろう。
     だが、私が今から話すことは、νの話ではない。VIPの……、いや、そこにいる少将殿に関する、話だ』

そして、クックルが語りだしたのは、正に自分の過去。
人体実験の連続。
死んでいく”仲間”達。



23: ◆Cy/9gwA.RE :2007/07/22(日) 20:36:26.16 ID:Jn45hc820

( ゚∋゚)『目が覚めると、何かの培養液に漬けられていた――』

今、思うと、なぜ俺もこのような苦行に耐えられたのか。
結果的に、生き残ったのは、10本の指にも満たない人数。

( -∋-)『……』

『これが……第11次人工生体です』
『ふむ。出来はよさそうだ』

そう。
目を開けると、そこは青色の培養液を通して見た、狭い世界。
そして映っているのは、こちらをニヤニヤと眺める、男。

フサギコ、お前だった。

ミ,,゚Д゚彡『……!!そうか、お前だったんだな』
(;`ハ´)「……?」

椅子のもち手を、潰れてしまうくらいの強さで、握るフサギコ。
獣のような面持ちで、モニターにうつるセパタクロウを睨む。

ミ#,,゚Д゚彡(……お前だったんだな……クックル!!いや、出来損ないの……息子め……!)

( ゚∋゚)『フサギコ……お前の顔は見えないが、
     真っ赤にしてこちらを睨むのが手に取るようにわかる。
     だが、俺は話を止めない。止めるなら、今だぞ?フサギコ』



25: ◆Cy/9gwA.RE :2007/07/22(日) 20:38:46.48 ID:Jn45hc820
『ど……どうなさいますか?少将……』

通信兵が、恐る恐るフサギコへと尋ねる。
しかし、それを無視するかのように、クックルへと返答を始めた。

ミ,,゚Д゚彡『よく考えろ。お前の妄言と、私の今までの功績。
      それを全て含めた上で、お前の言っていることが本当だと信じる人間がいると思うのか?』

( ゚∋゚)『そう言うと思ってな。用意しておいた』
ミ,,゚Д゚彡『……何?』

( ゚∋゚)『この話を信じてみよう、そう思っている軍人は、240-355-867に合わせてくれ』

クックルが用意していたのは、小さな通信伝達機関を使った、発信システム。

まあ砕いて言うと、その装置が発信した電波を、何人が受信したかがわかる、というもの。
そして、フサギコ側が切ろうとも、クックルの話は聞こえるのだ。

ミ,,゚Д゚彡『……』
( ゚∋゚)『さあ、今、何人が繋いだと思う?フサギコ、聞こうじゃないか。お前の、答えを』

……ふん。
まだ発信ダイヤルを言って少しも経っていない。
そして、私よりこいつが信じられるわけも無い。



26: ◆Cy/9gwA.RE :2007/07/22(日) 20:41:03.94 ID:Jn45hc820

ミ,,゚Д゚彡『ふん。そんなもの、いるわけなかろう』
( ゚∋゚)『本当に、そう思っているのか?一人も繋ぐ訳が無い。
     私は兵士達に、神のように崇められているとでも、思っているのか?』

ミ,,゚Д゚彡『何が言いたい』
( ゚∋゚)『248人。今現在、この回線に繋いでいる、人数だ』

ミ#,,゚Д゚彡『……なめるなよ、小僧』
( ゚∋゚)『なめてなどいない。もう俺は、勝利を確信している。
     俺の勝利、それは、お前の死……いや、あの研究に関わった者全ての、死だ』

(´・ω・`)『ワカッテマス。レーダーに変化は?』
( <●><●>)『今のところは特に動きは見られません。大丈夫なんです』

夕暮れが、近づく。
白のボディは、くすんだ泥の色に、橙色の光が刺し、なんともいえない色を放つ。

( ゚∋゚)『さあ、話を、続けようか』

ミ#,,゚Д゚彡『……』
( `ハ´)「フサギコ殿……!!」



28: ◆Cy/9gwA.RE :2007/07/22(日) 20:42:48.38 ID:Jn45hc820

もう、限界だ。
こいつを殺す。殺さないと気が済まん。
だが、その前には……この回線を切らんと……。

しかし、300人前後がこれを聞いている。
今切っても……同じ。

ちっ……。自分の作った物に、自分の首を絞められるとは。

ミ#,,゚Д゚彡「VBLが来るまでの我慢だ……」
(;`ハ´)「……は、はい」

( ゚∋゚)『その培養液に漬けられている人間は、山ほどいた。
     人間といっていいのかもわからんがな――。いや、もちろん俺も含めて、だ』

その実験は、νの人体実験の裏で行われていた。
秘密裏に行われていた事の、さらに秘密裏で行われているものであった。

その内容というのは、表向きは武器商人であったフサギコ。
そして、あの中央研究部の連中が中心として行われた、”秘密裏の秘密裏”でしか行えないような、非道な実験。

人工人体融合。
キメラ、というものを知っているだろうか。
人間と、動物を組み合わせた、いわゆる化け物。

神話や、寓話でしか聞いたことのない話を真に受けた科学者達の、踏み外した実験。
より高尚な人種を作ろうと考えた人間の、愚考故の愚行。



29: ◆Cy/9gwA.RE :2007/07/22(日) 20:45:56.57 ID:Jn45hc820

人間と、人間の融合だ。

その人間と人間の融合に、どのように行き着いたのか。
それは、おそらく不完全な生き物としての象徴である、人間。

不完全同士の、不完全な部分を補うように融合させると、完全な人間が生まれるのではないか?といった物であった。
そして、実験が始まった。

ν帝国民を使用し、行われていたが、案の定問題が発生した。
”生きている人間では、あまりにも可能性が低すぎる”事が判明。
その可能性が、知る人は知っている、

『0.25%』

結局、秘密裏に行われていたνの実験での成功は0.
成功させたのは、このフサギコの実験での、五人。

そう、駆動兵器と、同じ数だ。

ミ,,゚Д゚彡『(……なぜそこまで調べられた……?)ほう。妄言にしてはよくできておる』
( ゚∋゚)『そうだな。妄言ならどうしようもない阿呆であろう』

そして、その話を聞いていたショボンは、ある事に気づいた。
駆動兵器と、同じ数。



30: ◆Cy/9gwA.RE :2007/07/22(日) 20:47:23.98 ID:Jn45hc820
同じ、数。

(;´・ω・`)「ま……まさかね」

キツい冗談だ。
そんな事、あってたまるか。

( ゚∋゚)『その、五人は、一人を除いて、今も生きている』

今も、お前にだまされて生きている。
俺のように、気づかず、絶対の服従を強いられている。

根本的な人間としての欠陥を体に持って。
生きているんだ。

( ゚∋゚)『その者の名は……今はいないギコを除いて、クックル。クー。ツン。そして……』
(;´・ω・`)「そ、そんな……」

ミ,,゚Д゚彡『……ふん』

( ゚∋゚)『ブーンだ』

クックルから放たれた、あってはならない一言。

ブーン。
駆動兵器に乗るべき運命を、背中に貼り付けられた兵士。


( ^ω^)は駆動兵器を操るようです 第24話『始まりは、裏切り』 完



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