( ^ω^)は駆動兵器を操るようです

226: ◆Cy/9gwA.RE :2007/08/11(土) 22:25:09.82 ID:aZiKgCjT0

 『ブーンは、駆動兵器に乗るお』
           『悔しさを、嘲笑を、叱咤を……全部、体に受けて生涯を暮らせお』

   『悔しさは、無いのかお?』
                     『空を……走るお。どこまでも』


『それでも、答えが出なくて……出なくて』

男は、言った。
戦争は、人間が避ける事のできない性であると。


男は、言った。
自分が守るべきものは、国よりも、愛する人だと。




( ^ω^)は駆動兵器を操るようです 最終話 『風と共に歩む男、ドクオ』



228: ◆Cy/9gwA.RE :2007/08/11(土) 22:26:46.13 ID:aZiKgCjT0

――あれから、4ヶ月も経った。
本当に、あっという間であった。あの後、ピチカートは荒巻博士達によって制圧され、帝国領はおちた。
そして、VIP内部では、フサギコの不信。そして死によって起きた兵士達の暴動により、事実上の空中分解。

それを丸め込み、平和的解決をさせたのが、あのミルナ元国民代表と、ジョルジュであった。

そこからは、驚異的交渉速度で、四つの国。
ニーソク国、VIP、ν帝国、ラウンジ共和国を一つにする案が纏める作業が進められる。

さすがに、四国を一つにするのには時間がかかるらしく、まだ草案が作られている途中、らしい。

俺は、あの戦いが終わってから、駆動兵器に乗ることを止めた。
いや、乗れと言われればまた乗るだろう。

だけど今は、そんな気分じゃない。
落ち着きつつあるこの大陸の風を感じて、気ままに生きたかった。

今俺は、スレスト湿地にいる。
そう、みんなも一緒だ。

ブーンの墓を立てる事を打ち明けると、みんな賛同してくれた。
あいつは、本当に皆に愛されているんだな。



229: ◆Cy/9gwA.RE :2007/08/11(土) 22:27:29.77 ID:aZiKgCjT0

('A`)「ここ、ですね」
/ ,' 3「ああ。間違いないぞい」

クックルがNRPから、石版を降ろして持ってくる。
そこには、ブーンの名前がしっかりと刻まれていた。

( ゚∋゚)「ここでいいのか?」
('A`)「おう。よろしくたのむぜ」

( ゚∀゚)「それにしても……。お前かっこよくなったな!!」

('A`)「うるせーよ。お前だって、四国草案を纏める立場まで上り詰めやがって……。いいもん喰ってるんじゃねーのか?」
(;゚∀゚)「馬鹿野郎!あんなの頭ばっか使ってもうクタクタだっての……。もうミルナにまかせっきりだよ」

(;゚д゚ )「……はぁ」

(´・ω・`)「まぁまぁ」
( <●><●>)「今は反乱分子も少ないんです。ゆっくり焦らず行けばいいとおもうんです」
@^0^@)/「焦らずゆっくりね!!」

みんなでわいわいと騒ぐ。
こんなのはいつぶりだろうか……。



231: ◆Cy/9gwA.RE :2007/08/11(土) 22:29:44.91 ID:aZiKgCjT0

(;゚∋゚)「おい!!お前ら男は早く手伝え!!」
(;メωФ)「そうですよ!ほら、これ重いんですよ……」
(;'A`)「な、なんでこんなにデカいんだよ……」

( ゚∀゚)「やっぱり男はでっかく最期を飾りてぇだろ!?ブーンもそうさ!!でっけぇ墓のが気持ちよく眠れるってもんだよ!!」
(´・ω・`)「そ、そういうものかな」

6人程で墓石を、地面に型を取った場所へはめ込む。隙間を土で埋めると、各々持ってきた供物を置く。

从'ー'从「じゃあ、ドクオさんから」
('A`)「え?俺ですか?ワタナベさんこそ、ブーンの嫁さんなんだから……」
从'ー'从「いいんですよ。それに、ブーンさんだってそっちの方が喜びます」

強引に墓石の前にやられる。
いざ、こうなってしまうと、何を言っていいのかわからなくなってしまった。


こ、こういうのは気持ちだよな!



233: ◆Cy/9gwA.RE :2007/08/11(土) 22:30:32.23 ID:aZiKgCjT0

('A`)「えっと……」

ブーン。
お前といた、五年。
楽しかったぜ。

('A`)「ブーン。これからも、お前は俺達と一緒だ」

お前を駆動兵器に乗せちまったのは、素直に謝る、スマン。
何回謝っても、許してくれねぇんだろうけど、謝れと言うなら、何度でも、何時でも、何処でも、言わせてもらうよ。

('A`)「いつそっちに行くかはわかんねぇ。でも、待っててくれよ。楽しみなんだ。お前のいつも見せる馬鹿みてぇな笑顔」

花束を添えると、ドクオは墓石の前から退く。
湿地なのに、今日は太陽がよく見える。綺麗な青空に、白い花が映えていた。



235: ◆Cy/9gwA.RE :2007/08/11(土) 22:32:34.21 ID:aZiKgCjT0

从'ー'从「ブーンさん。あなたは、今私達を見てくれていますか?
     よかったら、守っていてください。あなたから授かった命が、私のお腹にいます。
     名前、いいのがあったら、夢の中に出てきて、こっそり教えてください……」

川 ゚ -゚)「お前と共に戦った事は、絶対に忘れはしないぞ。安心しろ。お前の子供と仲間は私が守る」

( ゚∀゚)「先に行っちまうなんて、水臭いぜ?でもよ、お前が先に行っても、俺達は絶対追いつくんだ。だから……待ってろ」

( ゚∋゚)「お前に、一つ言いたい言葉があったんだ。今、言わせてもらう……。兄弟、お前の分まで生きるからな」

一人、また一人と、ブーンへの思いのたけを告げて、花束を添えていく。
そして、最後のショボンが言い終えて、花束で一杯になったその時。






風が、吹いた――。





237: ◆Cy/9gwA.RE :2007/08/11(土) 22:34:15.58 ID:aZiKgCjT0

('A`)「……ブーン……」

人は、死を乗り越えて強くなる。
ブーンは、沢山の人に、生きる強さを教えたのだ。
皆の目に流れた涙は、いつか大海へと注ぐ水の流れへとなろう。
風が、それをいつでも教えてくれる。

( ^ω^)『僕がいなくても、ドクオはドクオとして生きるといいお!それが……答えだお!!』
('A`)『……そういうもんかね。全くお前は、突然現れやがって……って、もういねえんだろうな』


('A`)「じゃあ、戻りましょう。大陸を、いい道に運ぶんです。風に乗せて――」
( ゚∀゚)「いい事言うじゃねえか!!お前こそ、新しい国の長に向いてるかもな!!」

川 ゚ -゚)「それもいいかもしれないな、ドクオ」
(;'A`)「勘弁してくださいって……」


風が、ブーンが、俺の行く道を指し示してくれる。
迷うことなんてねぇや。

前に歩こう、お前が一緒なら、大丈夫さ。



( ^ω^)は駆動兵器を操るようです 第3部『悲愴編』 最終話「風と共に歩む男、ドクオ」 完


( ^ω^)は駆動兵器を操るようです 完結



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