何やってもうまくいかないから( ^ω^)小説でも書くようです

2: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/30(水) 07:33:57.65 ID:ug5EbwgY0

川 ´-`)「ふう……」

肩から降ろしたバッグをそのままベッドに放り投げると、彼女は深い深いため息をついた。

体力的にはそう問題はなかった。
大学は午後の一コマだけだったし、コンビニのバイトも内容は知れていた。

川;゚ -゚)「ああ、それにしても」

一人ごちて、また深く息を吸い込む。
吐き出す勢いと同時、膝をついてベッドに頭を沈ませる。

そう、問題は学業とバイトの間、サークルの時間におきたのであった。


     〜 足がありえない方向に曲がったようです 〜



3: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/30(水) 07:34:48.93 ID:ug5EbwgY0

本旨を隠したかったり、無駄にかっこつけたかったり。

人は、そんなこんなで直接的表現を避けたい場合に、
遠まわしで珍妙な、わかりにくいネーミングをする。

昨今のヨコモジコトバなんてみんなそんなものだ、コンプライアンスだのソリューションだの。

川 ゚ -゚)(私……何でこんなサークルに入ってしまったんだろうか)

彼女の所属している『キャピタルビジネスモデル研究部』。
無論そんなものは名ばかりで、実質飲み会サークルと化している事実は否定できない。

川  - )(気が重い……)

うなだれながらもクロゼットを開け、部屋着へと着替える。
お気に入りの紅茶を注ぎ、一口つけると、本日何度目……
いや、何十度、下手すると何百度目かの溜息がこぼれた。



4: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/30(水) 07:35:39.95 ID:ug5EbwgY0

夕方のこと。

川 ゚ -゚)「どうも……みんな集まってるか……?」

言いながら、部室の引き戸を開けた。
思った通り、埋まっている椅子はまばら。というか三人しかいない。

(´・ω・`)「お疲れー。まあ御覧の通りだけど」

部長であるショボン先輩が振り向きざまに言った。

週二回の会合だが、今日も部員の集まりは悪い。
しかし、飲み会のときにはどこから湧いてくるのか十数人はいるという不思議。

ξ゚听)ξ「おっすクー、あの講義のレポート書いた?」

川 ゚ -゚)「いや……まだ半分だ。来週提出だったよな?」

ξ゚听)ξ「うん、私なんてもう何書いていいのかさっぱりだよー」

そうやって、特に変わりないやり取りを交わしていた。
その後に起きる事件を除いては、だ。



5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/30(水) 07:36:27.17 ID:ug5EbwgY0

川 ゚ -゚)「じゃあ、お疲れ様です。私はバイトがあるので……」

お菓子をつまみながらの座談会……、
もとい、『新時代のビジネスモデルの構築』というよくわからない命題を掲げた会合は終わった。
結局、集まったのは彼女を除いて四人。

部員に別れを告げ、せかせかと部室をあとにしようとした、その矢先のこと。


('A`)「待って! く、クーちゃん」

川 ゚ -゚)「……ん? ドクオ君か。どうした?」

振り向いた先には、青い顔を紅潮させた彼の姿があった。

(;'A`)「あ、あのう、あの」

彼は同じ学年の部員であるドクオ。
滅多に話したことはないし、彼女から話し掛けたこともない。

川;゚ -゚)(な、なんだろう、一体……?)

彼から声をかけられるなんて普段ないことだし、意外だったが、
それがわくわく感につながったり、心ときめく事態であったりとも言い難かった。

むしろ、彼女にとってはあまり嬉しくないことだった。



6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/30(水) 07:37:13.14 ID:ug5EbwgY0

('A`)「うひ、ちょ、ちょっとここでは……」

あたりを見回すと、目配せするようにこちらへ視線を移し、そのまま口の端を吊り上げる。

川;゚ -゚)(……)

続けて、ちょっとこっちへ来て、という様子の手招き。

('A`)「ひ、ひひ……」

彼はサークルでも少し異質な存在だった。

色褪せたジーンズによれよれのチェックシャツ、
いかにも……の典型……、というスタイルはともかく、その行動も他人とは異なっていた。

川;゚ -゚)(う、なんだろ……?)

返事に詰まり、その場に固まってしまう。
しかし、彼がさっさと歩き出すのを見て、少し迷ったがその後に続いた。



7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/30(水) 07:38:51.16 ID:ug5EbwgY0

川 ゚ -゚)「は……」

('A`)「だからさ、気にしなくていいんだよ」

川 ゚ -゚)「……はい?」

('A`)「素直になりなよ」

川;゚ -゚)「……今、なんて?」

彼女が警戒心を抱くのも当然のことだった。

異様な猫背、たまにぼそりと呟く独り言……不審な雰囲気ありありのアリアリ。
しかも、サークル中、たまに目を剥いて自分のほうを凝視している時がある。

サークルの会合には毎度出席しているのだが、発言はほぼ皆無。
そして、定期的に開催される飲み会には一切現れない。

('A`)「だからあ、ひひっ。
    ……見てるでしょ? いつも」

川;゚ -゚)「……」

('A`)「お、れ、の、こと」



8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/30(水) 07:39:31.92 ID:ug5EbwgY0

他の部員連中も、最初こそ気味悪がっていたが、
慣れてしまった今では、避けるでもなく噂するでもなく、空気のように扱っている。

そんな彼が進んでコンタクトを取ってくるなんてそうそうないことである。

('A`)「照れなくていいって」

川 ゚ -゚)「わ、私は……」

しかも、そいつから今まさに『愛の告白をされている』……ではなく、

『愛の告白を』
『うながされている』だなんて、

('A`)「好きなんでしょ? おれを? ねえ?」

川#゚ -゚)「……そんなわけ、ないだろうっ」

あってはならない事だった。



10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/30(水) 07:40:40.63 ID:ug5EbwgY0

(#'A`)「いい加減にしろよ、おいっ!」

幾度かのやり取りのあと、彼の紅潮していた顔が一層赤みを増した。
足し合わせたら紫色になるかと思いきや、青と赤のまだら模様に染まり、
ことさら奇異な様相を醸し出している。

川;゚ -゚)「だから、私は……誤解だって」

('A`)「なんで素直になれないんだよ!
    知ってんだぞ! いつもおれの顔を見てるだろ!
    おれの体を見てるだろ! 恍惚とした目でよお……!」

川 ゚ -゚)「いや……ちょ……」

(;'A`)「おれのことを好きなんだろっ! なっ!」

川;゚ -゚)「いい加減にしてくれ……」

('A`)「はあ? どっちがだy

川#゚ -゚)「好きでもなんでもないっ! 勝手に誤解しないでくれっ!」



11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/30(水) 07:42:16.59 ID:ug5EbwgY0

(;'A`)「はあ? はああ!?」

その瞬間、猫背がシャキンと伸びた。
口の端から泡を飛ばしながら目を白黒させている。

一瞬の静寂のあと、捲し立てるように言葉を並べあげた。

('A`)「ふざけんな! まじふざけんな!
    せっかく告白しやすいようにしてやったのに! おい!
     おれと付き合えよ! 付き合いたいって言ってたろ! そうなんだろ!」

川;゚ -゚)「……もういい。バイトがあるから、これで」

('A`)「くそが! なんだよもう! なんなんだよもおおお!!!
    好きなくせに! 惚れてるくせに! ちくしょう!」

腕を掴まれそうになったが、彼の弱弱しく緩慢な動きでは追いつかなかった。
辛うじて避け、逃げるように部室をあとにする。

罵声にも似た喚きが背中を刺したが、無視するほかなかった。



13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/30(水) 07:43:10.83 ID:ug5EbwgY0

川 ゚ -゚)「はあ……」

布団をかぶりなおすと、暗がりの中微かに浮かぶ天井の模様を見つめた。

川 ゚ -゚)「最近、なんだかいい事ないな……」

大学生活も二年目、サークルは一年半。
学業もバイトもそれなりといってはそれなりだったが、どこか充足感は得られなかった。

そりゃあ、真面目で堅苦しい議論だけをサークル活動に望んでいたわけではなかったが。
なんだか、生きているのか死んでいるのかわからないような活動内容。
飲み会も含め、同じメンバーとのだらけたコミュニケーションは正直マンネリだった。

彼氏でもできればちょっとは違うのだろうが、
彼女は別段、恋愛に関してハングリーなわけでもなかったし、
好きという感情が先行することなく、漠然と相手を望むような恋愛を欲しているわけではない。



16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/30(水) 07:44:46.18 ID:ug5EbwgY0

川 ゚ -゚)(でも……)

……でも、ちょっと寂しいかも。
これは事実だった。

川;゚ -゚)「だからって、ドクオ、か……神様は意地悪だ」

・・・。

川 ゚ -゚)「……はあ」

これが今日最後の溜息であってほしいと願った。

川 - -)「……」

それでも、やっぱり明日の朝は溜息で始まるんだろうな……。
そんな事を考えているうちに、いつしか彼女は眠りの深淵へと引きずり込まれていった。



18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/30(水) 07:45:29.62 ID:ug5EbwgY0

翌日。
午前中二コマ目の講義が終わり、昼食をとっていたときのこと。

川 ゚ -゚)「……?」

ランプとバイブレーションで知らされたメール、相手のアドレスには心当たりがない。

川;゚ -゚)(あー、嫌なかんじだ……)

友達との会話を途切れさせないよう、適当な相槌を打ちつつ、
平静を装いながらディスプレイを覗く。


『あなたに大事な話があります。午後四時に、サークルの部室にて』


川 ゚ -゚)(ドクオだろうか……? もう私には話なんてないのに)

一応、『どちら様?』と書いて送ったが、以降の返信はなかった。



20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/30(水) 07:46:30.44 ID:ug5EbwgY0

川 ´-`)(はあ……)

十中八九彼からのメールだろうが、他の部員という可能性もなきにしもあらず。
いや、そう願いたかった。
そう、昨日のサークルのあとで、彼の発していた大声を聞きつけていた誰かかも知れないし……。

「ちょっとお、溜息はないでしょー」

川;゚ -゚)「ごめんごめん。……それで、何だっけ?」

「彼さー、私が髪を切ったことにすら気付かなくて……ありえなくない?」

「それでさー、彼ねぇ」

「そういえばこないだ、彼氏と一緒に」

川;゚ -゚)(……はあ)

心の中で、また息をはく。
ちょっとは会話の内容にも気を払ってほしい……などとは、中途半端な関係である友達には言えるわけもなく。

約束の時間になるまで、彼女の溜息は途切れることがなかった。



22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/30(水) 07:47:31.48 ID:ug5EbwgY0

川 ゚ -゚)「こんにちは、誰かいますか?」

軽いノックのあと、いつものようにノブを捻り、いつも通り引く。
鍵は開いていたが、四角に並べられたテーブルの周りに人の気配はなかった。

川 ゚ -゚)「待ち合わせの時間ぴったりなんだがな……」

呼び出された自分は少しくらい遅れてもいいが、呼び出した本人は遅れるなよ……
などという気持ちはあったが、その考えを口に出したことはない。


適当な席についてあたりを見回した。
横のテーブルの上に、見慣れないプリントが一枚、無造作に置いてある。

川 ゚ -゚)「なんだろう?」

なんの気なしに拾い、文字の書いてある面を表に捲り上げる。
よれよれの文面を、細めた目で追った。


     『君は、僕のものになるべきなんだ』


川;゚ -゚)(……なんだ、これ)


     『君は、僕の傀儡だ』



24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/30(水) 07:48:35.25 ID:ug5EbwgY0

バサッ。

『!!!』

一瞬の出来事だった。
彼女の視界が真っ黒に染まる。

『わっ! な、なんだっ……!?』

「はあ、はあ……やったぞちくしょううう」

『そ、その声は……』

闇の中後方から聞こえてくる、暗く澱んだ声。
しかし、自分の声もまた、世界にくぐもって響く。
呼気がそのまま顔に跳ね返る。

('A`)「ふひ、ふひひ……これで、これで素直になれるよ」

『ドクオか、何だこれ……ちょっと!』

('A`)「だって、正直じゃないから! だってさあ!」

テーブルに片手をつくと、もう片方の手を振り回して抗おうとする。
間を置いて、自分に起きた身の異常、その正体に彼女は気付いた



26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/30(水) 07:49:33.62 ID:ug5EbwgY0

(:::::::::::::::)「ちょ、な、何をかぶせた!?」

彼女の頭には、得体の知れない大きめの覆面のようなものがすっぽり覆い被さっていた。

('A`)「ふひ……これで素直になれるよ」

倒れ込みそうになったのをしっかと抑え、バランスを取りなおすと、
両手を覆面の裾に差し入れようとしたが……。

(#'A`)「だめだ! 取るな!」

(:::::::::::::::)「!!」

不思議なことに、ドクオの怒声に呼応するかの如く、彼女の両手はその動きを止めていた。

( 川;゚ -゚) )(な、なんで……!?)

(*'A`)「そうそうそうそう。正直に。正直にね。ひひっひひひいひはへひは」

幾度力を込めても、腕はそれ以上上がることはなく、ただ痙攣しながら虚空をさまようばかり。



28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/30(水) 07:50:40.31 ID:ug5EbwgY0

('A`)「もうさ、おれにここまで苦労かけて。
    恥ずかしいからってさ。どうしてそんなに素直になれないのかなって。
     はにかみ屋さんすぎだろって。ひひ」

ドクオの声が一歩一歩近づいているのがわかった。
クーは覆面を取るのをあきらめ、テーブルを手探りで伝い、椅子につまづきながら後退する。

(:::::::::::::::)「やあ……くるなっ!」

('A`)「だいじょうぶだって。そんな恥ずかしがることないって。
    おれもはじめてだしさ、ほら、心配ないって」

(:::::::::::::::)「なんで……なんで、力が」

('A`)「素直になるんだよ」

('A`)「素直に」

('A`)「正直に」

( 川;゚ -゚) )(うう、どうしたら……)



30: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/30(水) 07:51:30.72 ID:ug5EbwgY0

(:::::::::::::::)「誰か……!」

('A`)「静かにしろっ!」

(:::::::::::::::)「!!」

助けを求める言葉が喉でつっかえ、行き場を求めるように大きく咳き込んだ。
生暖かい呼気の感触が覆面に反射し、頬にへばり着く。

(*'A`)「おれが好きなんだよな? 両想いだぜおれたち!
    カップルだよ! カップル! ねえ!」

( 川;゚ -゚) )(けほ……こいつ……)

('A`)「カップルは何するかわかる? おれすごく緊張してる、緊張してるよああ」

(:::::::::::::::)「な、何を……!?」

('A`)「まずは……ひひ。
    ほら、うわ、上着を取りなよ」

(:::::::::::::::)「! な、そんなこと……」



32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/30(水) 07:52:31.13 ID:ug5EbwgY0

テーブルと椅子の境にへたり込む間もなく、彼女の体が硬直する。

( 川;゚ -゚) )(けほ……こいつ……まさか)

その、『まさか』が現実となって彼女の前に現れていた。

彼女の体は意思と関係なく、ゆっくりと立ち上がり。
白くしなやかな両手が上着のボタンに伸びると、滑るようにスムーズな動きでボタンを一つ一つ外してゆく。

(:::::::::::::::)「なっ、なんだこれは…っ」

('A`)「ふひ、もうちょっとじらしてもいいぜ、いひい」

(:::::::::::::::)「や、やだっ……!」

幾分のんびりとした動作をもって、ボタンの外れた上着の胸元を掴むと、
身を捩るようにして片方ずつ肩を抜いてゆく。

しんと静まり返ったサークルの部室棟、その一角に艶かしい空気が帯を巻いていた。



34: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/30(水) 07:53:57.17 ID:ug5EbwgY0

( 川;゚ -゚) )(私……いやだ……くそ、なんで)

するり。
脱いだ勢いのまま、上着が床の上に落ちた。

(:::::::::::::::)「くぅ……この……へんたいめ……」

その存在を主張するかのように、背筋がしゃんと伸び、二つの膨らみが前へと押し出される。

(*'A`)「あは! いひひひ! たまんねげれへべぶべ」

肌に密着した薄手のカットソーを押し上げる、柔らかな丸い果実。
下着のゴム部分をくっきりと浮き上がらせながら、重力に逆らうようにつんと上を向き鎮座していた。

鎖骨と鎖骨の中心、窪みのところで交差した指先はしなやかで、
その下、膨らみをことさら強調するように、両腕が胸の脇に押し当てられる。



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