('A`)はダークヒーローのようです

4: ◆/ckL6OYvQw :2007/06/14(木) 14:48:14.49 ID:m0f5tZJIO
第十三話 急襲

その長い一日は、天も割れんばかりの轟音と共に始まった。

(警1;+_+)「くそ、今まで大人しくしていたと思ったら……迎撃準備!」

辺境警備軍VIP荒野分隊のベースキャンプの面々を襲った理不尽なる破壊者達は、朝から盛大な生体爆弾の集中放火を無力なる人間の守人達に浴びせてきた。

(警2;*。*)「ダメです、間に合いません!本部に連絡を!」

大地の叫び声が聞こえる。
堅固な守りを誇る筈の防御壁が、女の悲鳴のような音をたてて崩れ落ちる。

(警3;#_`)「馬鹿、撤退が先dギャーaaaaa!!!!」

(警4;@口@)「死にたくない死にたくない死にたくないぃぃiihgkmd4キ!!!」

兵士達の断末魔の絶叫が、乾燥したVIP荒野の朝の空気を震わせた。



5: ◆/ckL6OYvQw :2007/06/14(木) 14:49:15.47 ID:m0f5tZJIO
昨晩の酒盛りの疲れが残っている為か。異変に気付いたものは少なかった。

\(^o^)/「鳥の鳴き声が、聞こえない…」

その希有なる人物の例であるオワタは、仕事であり楽しみでもある新兵しごきの途中、遠がけ先の山中でその異変に気付いた。

\(^o^)/「イヤな予感がするな……おい、ひよっこ共!今日の訓練はここまででオワタ!全力で基地まで駆け戻れ!
遅れた奴は私の自伝映画を一章から最終章までノンストップで見させるぞ!気合い入れろチンカス共!」

兵士達「サー、イエッサー!!!」

(,,゚Д゚)「なんだ…鬼軍曹の様子がおかしいぞゴルァ。こりゃあただ事じゃねぇな」

兵士達はいつもと違うオワタの様子に違和感を感じたが、誰も口にするものはいなかった。
新米訓練兵達は、朝露滴る山道を基地目指して駆け出す。

━━と、ギコは遠くのVIP荒野に妙な土煙を見つけて立ち止まった。

\(^o^)/「おいギコ、貴様さっさと走らn」

(,,゚Д゚)「教官、あれは何でしょう」

ギコが指差した先を、オワタは首に下げた双眼鏡で覗く。

すぐにそれが何であるかのかを悟ったのか、双眼鏡を下ろすとオワタは走り出した兵士達に向かって怒鳴った。

\(^o^)/「前言撤回!これから話す事をよぉく聞けひよっこ共!」



7: ◆/ckL6OYvQw :2007/06/14(木) 14:50:11.96 ID:m0f5tZJIO
監視棟の最上階で、モララーは二日酔いを覚ます為に朝の風に当たっていた。

( ・∀・)「ふぅ。久し振りにワインを三瓶も一人であけてしまった。しかし、二日酔いなんて懐かしい感覚だな。若い頃を思い出すね」

自嘲気味に独りごちると、傍らに置いてあるミネラルウォーターを一気に飲み干す。
当直の監視兵は一つ下の階で朝飯を食べている。モララーが、監視を引き受けると言って下がらせたのだ。
空になったペットボトルを投げ捨てようと立ち上がった彼の目に、不吉な影が映った。

( ・∀・)「なんだ、あれは」

監視用の超長距離望遠鏡を覗く。
そこに映り込んだのは翼を生やしたまがまがしい数千の悪鬼共の群。

( ・∀・)「ちっ、久し振りの二日酔いも充分に堪能させてくれないとはな…」

望遠鏡の近くにある無線を手に取る。

( ・∀・)「全兵員、第一種戦闘配備!前方九万八千メートル地点に魔物の群れを確認!これは訓練ではない!繰り返す、全兵員第一種戦闘配備!これは訓練ではない!」



8: ◆/ckL6OYvQw :2007/06/14(木) 14:51:25.19 ID:m0f5tZJIO
騒がしい非常警報の音でドクオは目を覚ました。

('A`)「敵襲か」

機敏な動作でベッドを抜け出すと、枕の下に隠してあるナイフを取り出しブーツの鞘に入れる。
壁に掛けられたP90サブマシンガンの装弾を確認、肩にかける。
引き出しからデザートイーグルを取り出し、腰のホルスターに入れ、ドアを蹴り開ける。
それまでに所要した時間はたったの二十秒だった。

(;゚ー゚)「あ、ドクオさん!」

ドアを開けた先には、切迫した表情のしぃが立っていた。

('A`)「敵襲だろう、わかっている。確認するが、オレは正面ゲート内側の防衛に当たればいいんだな?」

非常時の配置は、前もってジョルジュから聞かされていた。
ジョルジュ小隊は正面ゲート内側第二防衛ライン、つまりは敵との最前線よりも一歩下がった位置で前線の援護に当たることになってる。

(;゚ー゚)「あ、はい、その通りです」

('A`)「おk、オペレートしっかり頼むぞ」

そう言い残すと、ドクオは風のようにその場を走り去った。

(;゚ー゚)「戦い慣れ、してるのね」

ドクオの後ろ姿を見つめ、しぃが呟く。
はっとして、自分も持ち場へと走る。



9: ◆/ckL6OYvQw :2007/06/14(木) 14:52:21.92 ID:m0f5tZJIO
地を這うようにして、それは進軍していた。
太く、長く、戦車程もあるうねる体躯をくねらせ、大地を汚しながら前方の餌箱へと。
ゴムのような触感の皮膚からは粘着質の分泌物が滲み、頭頂部と思われる長い体躯の先には、花弁のように広がった口が細かい乱食い歯を並べて餌食を求めていた。
その冒涜的な化け物の群れの先を、蛇と人間のあいのこのような姿をした汚らわしい生物の群れが、奇声を上げながら進む。

空を見上げれば、そこには太陽を覆うように闇のような悪鬼共が羽ばたいている。
彼ら忌むべき混沌の寵児らは、飢えを満たす為に前方のオアシスを目指す。
本能の赴くがままに、荒野を突き進む。

今や飢えと腐臭を放つグロテスクな波はVIP基地のすぐ手前まで迫り、これから起こるであろう阿鼻叫喚の殺戮劇の幕は、上がり始めていた。



10: ◆/ckL6OYvQw :2007/06/14(木) 14:53:31.48 ID:m0f5tZJIO
正面ゲート外側第一防衛ライン。

一人の砲手が双眼鏡を覗いていた。

彼は、自分の見たものを鵜呑みにできず、何度も覗き直した。
三回目の確認の後、彼は震える声を精一杯張り上げて、自分が目にしたものを伝えた。

(砲;@口@)「ぜ、前方一万メートルに敵影を確認!!類別はドールとスケイルウォーク、上空にはナイトゴーント!か、数は、総勢一万を超えます!」



13: ◆/ckL6OYvQw :2007/06/14(木) 14:54:17.25 ID:m0f5tZJIO
第一防衛ラインからの報告は、第二防衛ラインにいるドクオ達の耳にも届いた。

兵士達がざわめく。

一万だと?こっちは全部集めても五千がいいところだ。
敵うわけがない。

彼らは口々に絶望的な声を上げる。

( ゚∀゚)「落ち着け、こっちにはドクオがいる!勝てない筈が無い!」

ジョルジュが浮き足立つ兵士達を鼓舞するように、声を張り上げる。

( ゚∀゚)「魔術を扱える我らが救世主だ!絶対に勝てる!勝てなかったらオレを殴れ!」

ジョルジュの声に、兵士達は徐々に落ち着きを取り戻す。

そうだ、オレ達には救世主がついている。大丈夫だ、ジョルジュ小佐が言っているんだ。

('A`)「絶望したり安心したり、忙しい奴らだな」



14: ◆/ckL6OYvQw :2007/06/14(木) 14:55:47.63 ID:m0f5tZJIO
( ゚∀゚)「実戦を積んでいる兵士なら、一万に五千で戦争を挑むことの愚かさがわかるのさ。
だがオレ達にはお前さんがいる。期待してるぞ、ドクオ」

そう言って、ジョルジュはドクオの肩を叩いた。

('A`)「ドールとスケイルウォーク、それにナイトゴーントと言っていたな。それ程の雑魚、いくら束になってかかって来てもオレの前では無力だ」

淡々とドクオが述べる。

(=゚ω゚)「ぃよう!自信満々でいいね、救世主様よ!どうかオレ達に勝利の美酒をご馳走してくれよな!」

ぃようが減らず口を叩く。ドクオはそれを無視してジョルジュに渡されたスティンガーミサイルを担いだ。

('A`)「そろそろ、第一防衛ラインの連中が砲撃を開始する頃合いだ。準備しておいた方がいいんじゃないか?」

( ´_ゝ`)「概ね同意だな」

(´<_` )「右に同じ」

ノパ听)「ドクオ!今度こそお前にかぁつっっっ!!!」

ジョルジュ小隊の面々は、それぞれに支援用重火器を手に取り正面ゲートから見える遠くの砂煙を見つめた。

ヘッドセットからしぃの声が聞こえる。

(*゚ー゚)「こちら作戦室。敵は正面ゲートの突破に全勢力を注いでいるようです。何としても敵の侵攻を防いで下さい。御武運を祈っています」



16: ◆/ckL6OYvQw :2007/06/14(木) 14:56:44.29 ID:m0f5tZJIO
第一防衛ラインと第二防衛ラインの間、つまりは正面ゲートの外側と内側の境界線にはバリケードが設置され、その隙間から兵士達が銃を構える。
そこから見える基地の前方に広がる荒野に、魔物共の進軍が立てる砂煙が舞っていた。

もうじき、対地砲撃の射程距離内に入るだろう。
そんな事を兄者はぼんやりと考えていた。

( ´_ゝ`)「(勝てるだろうか。流石に今回はマズいかも知れんな)」

超長距離支援用対物ライフルの銃身を撫で、前方に迫る混沌の波を見やる。

( ´_ゝ`)「(いや、考えるのはよそう。オレ達は兵士だ。兵士は考えずに、ただ━━)」

その時、味方の砲撃の轟音が腹に響いた。
殺劇の幕開けである。



17: ◆/ckL6OYvQw :2007/06/14(木) 14:57:42.97 ID:m0f5tZJIO
上空千メートルの高度の青と白の世界に、アサピーはいた。
攻撃用ヘリアパッチW単座型のコクピット内には、彼の立てる荒い呼吸音しか聞こえない。
消音処理が施されており、パイロットの精神を安定させるようにできているのだ。

(-@∀@)「逆に落ち着かねえがな」

ヘリの前方には、闇を体現するような翼を生やしたナイトゴーント共が、群れをなしてアサピー達の領空を侵そうと迫っていた。
アサピーの他にヘリは二機。戦闘機なんて豪華なものは、生憎この基地には配備されていない。
実を言うとアサピーも実戦の経験なんて皆無だ。
だが人員不足は否めない。一人でも空の守りが欲しいのだ。
空を譲る事は、自分達の敗北を意味する。

(;-@∀@)「……やってやるさ」

震える声で呟くと、胸のロケットを開く。
恋人の写真でも入っていれば、格好がつくのだろうがそこには肩を組んだ二人の男が写っていた。

(;-@∀@)「内藤……お前に言わせりゃオレはエースパイロットなんだよな?」

そっとロケットを閉じる。

(;-@∀@)「そうさ、オレはエースパイロットなんだ……初陣で死ねるかよ」

確かめるように操縦桿を握りしめると、アサピーは多弾頭ミサイルの発射スイッチに指をかけた。



18: ◆/ckL6OYvQw :2007/06/14(木) 14:58:46.40 ID:m0f5tZJIO
対地砲撃の轟音が鳴り止まぬうちに、第一防衛ラインの兵士達がハンドミサイルや迫撃砲を次々に放つ音が聞こえる。

兄者と弟者は、同じ型の超長距離支援用対物ライフルのスコープに目を当てると、化け物の先頭集団である蛇人間スケイルウォークの群れに照準を合わせた。
今までの狙撃用ライフルとは比べものにならない程重いトリガーを、二人は指に力を込め同時に引く。

まるで大砲のような音を立て、長大な銃身の中を九ミリ弾が駆け抜ける。発砲の反動も凄い。

放たれた鋼鉄の蜂は、先頭から更に突出したスケイルウォークの頭を爆ぜさせる。
それでも数歩、よろよろと前進すると主を失った胴体は荒野に倒れ伏した。

( ´_ゝ`)「気に入った。キラービーと名付けよう」

(´<_` )「兄者、その中二病めいたネーミングはどうかと思うぞ」

スコープを覗いたまま、双子はいつもの冗談の応酬をする。
戦闘が日常となった彼らには、これが習慣となっているのだ。
━━と、二人の発射音を遥かに凌ぐ爆音を立て、彼らの横を唸る光弾が常人の理解を超えた速度で掠める。

( ´_ゝ`)「隊長のおもちゃも凄そうだな。あっちが欲しかった」



20: ◆/ckL6OYvQw :2007/06/14(木) 14:59:55.95 ID:m0f5tZJIO
( ゚∀゚)「お前らにはまだ早いさ。このじゃじゃ馬は、オレでも手に余る」

いつもの苦笑を顔に浮かべ、ジョルジュが自分の得物をさする。
二本の平行に突き出た板の間を、静電気のような幾つもの電流の筋が走る。
明らかに歩兵が携行するには大きすぎるそれは、レールガンという名称で呼ばれる。
電磁誘導で巨大な鉄鋼弾を打ち出す、対装甲用の長距離射撃火器だ。

(´<_` )「これまた高価なものをお持ちで。一体どこからくすねて来たんです?」

( ゚∀゚)「馬鹿野郎、日頃お利口にしてるオレへのご褒美だよ。お前ら悪ガキとは違う」

三人は締まらないような笑みを浮かべ、狙撃を繰り返す。
これでも大真面目に戦争に取り組む軍人である。

そんな彼らを横目に、ドクオはスティンガーミサイルを構える。狙いは空のナイトゴーント共だ。
群れの中央にロックサイトを定めると、連続でトリガーを引く。
尾を引くように、数条の空泳ぐ鮫達が蝙蝠の群れへと突っ込んでいく。
遠く爆音が響き、蝙蝠の群れはその統制を崩した。

('A`)「後はヘリが片付けるだろう」

誰に言うでもなく呟き、足元の無反動砲を持ち上げる。
そろそろ射程距離内に化け物共が迫っている筈だ。



22: ◆/ckL6OYvQw :2007/06/14(木) 15:01:03.85 ID:m0f5tZJIO
ドクオがそう思った矢先、第一防衛ラインの足元の地面がまるで盛り上がるように爆ぜた。

('A`)「奴らも射程距離に入ったか」

既に化け物の群れは遥か遠くでは無く、目視できる距離にまで迫ってきていた。
奴らも学習したのだろう。砲撃を浴びれば粉々になってしまうスケイルウォーク達は、巨大な芋虫のごとくのた打つドールの背後に隠れながら、砲弾の雨の中を前進してくる。
そのドールの口腔から黄土色の球体が銃撃と大して変わらない速度で吐き出された。
その球体は、物質に触れた瞬間巨大な風船が割れたような音を立てて破裂する。
その破裂と同時に、辺りに硫酸に近い溶解物質を撒き散らし獲物の命を刈り取るのだ。
軍や関係者はこれを生体爆弾と呼ぶ。
破裂の際の衝撃に加え、溶解物質の波状攻撃に第一防衛ラインの兵士達は蜘蛛の子を散らすように物陰へと退避する。

('A`)「人間共には厄介だな。自慢のギアとかいう強化装甲服でも生体爆弾には歯が立たんか」

構えたままの無反動砲を発射すると、そるを投げ捨て魔術の体勢に入る。

('A`)「目的、対象の粉砕。前方三千メートルを支点に、半径五百メートルの範囲に展開。開始」



23: ◆/ckL6OYvQw :2007/06/14(木) 15:02:12.82 ID:m0f5tZJIO
ドクオの言葉と同時に、ドールの群れの中心で炸裂弾の爆ぜるような音がした。
次々とドールの体躯がのた打ちながら地に沈む。
よく見ると、倒れたドールの体は所々がスレッジハンマーで何度も叩き潰されたかのように粉々になっていた。

( ´_ゝ`)「救世主殿の魔術はやはり凄いな。もう一発かまして欲しいところだ」

やはりスコープを覗いたまま、兄者がうそぶく。

('A`)「見る限りでは長期戦になりそうだ。休み休み撃たないと、精神が持たん」

(=゚ω゚)「こいつは意外だ。救世主様も万能じゃ無いってか」

ぃようがこれ見よがしに皮肉を飛ばす。

('A`)「否定はしない」

言いながら、P90を構える。今や第一防衛ラインに食い込んだ化け物共は、サブマシンガンの射程距離内に収まっていた。

ノハ#゚听)「こぉぉの化け物共がぁぁぁぁ!!!私の力を思い知れぇぇぇぇ!!!」

ヒートは、化け物共が得意の射程に入ったことにより調子付いた。
両手に持ったアサルトライフルの弾丸を、化け物共に向けて大量にばらまく。

ノハ#゚听)「これでもか、これでもか、これでもかぁぁぁぁ!!!」



24: ◆/ckL6OYvQw :2007/06/14(木) 15:03:11.43 ID:m0f5tZJIO
修羅のごとくアサルトライフルを振るうヒート。
彼女がばらまいた銃弾で、多くのスケイルウォークが地に付した。
しかし元々絶望的な数の群れを組んでいる奴らは、ヒートが与えた損害など気ほども感じさせずに、第一防衛ラインの兵士達を文字通りその毒牙にかけていく。

接近されなければ大した事は無いと、兵士達も踏んでいたのであろう。
だがスケイルウォークの接近を阻止するのは、彼らが思っているように容易な事では無かった。
奴らの鱗は想像以上に固く、マシンガンの銃弾程度では弾装の半分以上を叩き込まないと致命傷を与えられないのだ。
更に悪い事に、スケイルウォークだけでなくドールの生体爆弾を気にしながらもトリガーを引かなければならない事が、第一防衛ラインの兵士達の攻撃を鈍らせていた。
生体爆弾が破裂する度に、何人もの兵士達が断末魔の叫びを上げながら四肢を吹き飛ばされ、あるいは全身を溶かされ、散って逝く。
スケイルウォークの牙と爪が、哀れな装甲歩兵の首を捕らえて引き千切る。
そのひょろりとした体格に似合わず、奴らは恐ろしい程の怪力を秘めていた。



25: ◆/ckL6OYvQw :2007/06/14(木) 15:04:16.90 ID:m0f5tZJIO
阿鼻叫喚の地獄絵図とはまさにこのことか。
倒れた兵士の引き裂かれた強化装甲服の隙間から、血と体液と土にまみれた臓物がはみ出、その横には気泡を立てる人間とも生ゴミともつかない腐敗物の塊が転がっている。

第一防衛ラインは今や、悪魔の食卓と化していた。

(;=゚ω゚)「くそったれ、一向に数が減らねーぞ!」

先程から、手当たり次第に手榴弾を投擲しては対物ライフルを連射していたぃようが、疲れたように腕を下げた。

( ゚∀゚)「腕を休めるな、ぃよう!奴らに攻撃の隙を与えるな!とにかく撃ちまくれ!」

ジョルジュのありったけの怒号が飛ぶ。

(;=゚ω゚)「おい救世主様!あんた、またあの魔術で一発かましてくれねーか?そしたらオレっちもやる気が出る!」

ぃようの言葉に、軽く頷くとドクオはP90を一旦下ろし魔術の展開体勢に入る。

('A`)「目的、対象の氷結。前方五十メートル地点を支点に半径十メートルに展開。開始」

彼の言葉が終わると、ドールの群れの中央の空気が一瞬震えた。と思った時には、ガラスを割った時のような硬質な音が響き、そこには巨大な芋虫の氷像ができていた。



26: ◆/ckL6OYvQw :2007/06/14(木) 15:05:10.45 ID:m0f5tZJIO
(=゚ω゚)「ぃよう!流石は救世主様だぜ!有難うよ!」

ドクオの魔術に歓声を上げると、ぃようは再び対物ライフルを構え直した。

(=゚ω゚)「おらおらぁ!オレっちを嘗めんなよ芋虫野郎共!」

( ゚∀゚)「その息だ、ぃよう!よし、オレ達も負けてられねぇぞ!」

ジョルジュが、彼の傍らでグレネードランチャーに持ち替えた兄者と弟者に叫ぶ。

( ´_ゝ`)「イエッサー!」

(´<_` )「右に(ry」

━━と、その時、耳をつんざくばかりの轟音と共に空から何かが降ってきた。



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