( ^ω^)は綺麗な街に住んでいるようです

5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/03(日) 21:53:21.44 ID:QUlJAi/W0
第1話

僕らの住む街、ヴィップは綺麗な街ということで有名だ。
実際、ゴミもほとんど落ちていない。
落書きだって、次の日には消えている。
DQNも、補導されたのか最近は全く見ない。

4年前、シティーポリスマンという人が町長になってからだ。
その前も、ヴィップは充分綺麗な街だったけど
この人が町長になってからは、まるで芸術品のように街は変わっていった。
そして最近は、特にそれが強まっていった。


僕らは、そんな「綺麗過ぎる街」にだんだん、息苦しさを覚えていった。


「( ^ω^)は綺麗な街に住んでいるようです」



7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/03(日) 21:54:27.11 ID:QUlJAi/W0
この夏はあまりにもセミの鳴き声がうるさいな、
噴水の中心の女神像も、毎日聞かされて大変だろうに。

(´・ω・`)「今日もこの公園は綺麗だね〜」

('A`)「つーか、いつ掃除してんだろ? 清掃の人見たことねえよ」

( ^ω^)「僕らが学校行ってるときにやってるんだお、きっと」

(´・ω・`)「でも、今は夏休みだよ? だってのに見ないじゃない」

空き缶どころか吸殻一つ捨てられていない、ヴィップの象徴のようなここ、
「女神像公園」に大よそ似合わない、ぐうたらな3人組がベンチに座ってる。

僕らです。

あ、僕の名はブーン。しがない高校1年生さ。
両脇に座ってる陰気な2人は同じ学校の腐れ縁って奴だ。

('A`)「ショボン、今日こそ例のTシャツ貰うからな」

(´・ω・`)「君は1年も前からそれ言ってるよね。守銭奴だね」

(#'A`)「1年前に前金払ったんじゃねえか!! むしろてめぇが……」
(;^ω^)「ド、ドクオ!! ちょっと黙ってくれお」

(#'A`)「はあ!? どうしたb……お、おう……」

目の前に彼らが通り過ぎる。



9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/03(日) 21:55:58.87 ID:QUlJAi/W0

/ ,' 3 「ほっほっほ……バルゲンさん、今日は張り切ってますのぉ」

( ,'3 )「いやいやチノフさん、ワシはまだまだこれからですぞ」

老人の集団が僕らの前を通り過ぎていく。

('、`*川「あらあら皆さん、私を置いてくつもりでして?」

( ,'3 )「いやいやそんなことは!! イヤッハッハッハ!!」

一見、老後を満喫してそうな集団だ。

老人の一人が、ドクオの持っている缶ジュースに目を向けた。

/ ,' 3 「君、ちゃんとその空き缶はゴミ箱に捨てなさいよ」

(;'A`)「あ、はいわk( ,'3 )「ポイ捨てしたらぶっ殺すぞおおおおおおお!!!!!」


怒声が鳴り響く。

/ ,' 3 「以前、君のような少年が空き缶を投げ捨てていたんだよ!!」

('、`#川「街を汚したらアタシら許さんからなあ!!!!」

( ,'3 )「分かっとんのかゴラア!!!?」

……まだ、汚してないのにこの言い草だ。



11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/03(日) 21:57:00.96 ID:QUlJAi/W0
(´・ω・`)「……わかりました」

その後老人達はしばらくドクオを睨みつけていたが、やがて談笑しながら去っていった。

あの老人の集団は、よく分からない存在だ。
分かっているのは、町長の賛成派、で街の美化に協力している、てことくらい。


('A`)「……ブーン、ありがとな。あのままハシャいでたら、もっと言われてた……」

(;^ω^)「だ、大丈夫だお! ドクオ! 気にするなだお!」

(´・ω・`)「コンビニでも寄ろっか。道中、空き缶については考えなくていいもんね」

( ^ω^)「確かその間の道に6個はゴミ箱あるお」

('A`)「50メートル間隔で置いてあるもんな……置き過ぎだっての」

( ^ω^)「あと、何で円筒状のタイプのゴミ箱がないんだお?」

設置されてるゴミ箱は、全てコンビニの前などにある、横に穴があるタイプだった。

まあ、いいか。
そう言い、3人で笑いあうと僕らはコンビニへ向かった。



12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/03(日) 21:58:29.90 ID:QUlJAi/W0
4年前、シティーポリスマン氏が乗り出した「ヴィップ芸術的美化計画」の政策により、
まず行なわれたのが、大量のゴミ箱設置だった。
大体ドクオの言うとおり、50メートル辺りの間隔でゴミ箱は設置してあった。

さっきまで居た公園、ヴィップの象徴的場所のあそこに至っては
12個のギリシャ彫刻のような形の石像がグルリと公園を囲んでいた。
勿論、その石像もゴミ箱だ。
そして、その公園の中心の噴水には金の女神像。……町長の趣味らしい。

さっきのような老人達は、これを絶賛し彼を英雄のように褒め称えていた。
僕も、良いこととは思うけど、少しやり過ぎと思っていた。

('A`)「さっきの話の続きだけどさ、このゴミ箱の回収もいつやってんだ?」

(´・ω・`)「……昼間じゃないのかい?」

('A`)「いや……こんだけのゴミ箱だぞ? 街にゴミ箱、何千個あると思ってんだ?」

(´・ω・`)「と、いうと?」

('A`)「俺らでも絶対遭遇出来てるハズなんだよ。だってよ……
    土日は俺ら昼間でもフラフラしてんのに、一回も見たことねえ」

( ^ω^)「そういや、一回も見たことないお」

('A`)「だろ? なんか、凄いそこが気になるんだよな〜」

そう言いながら、目につくゴミ箱をドクオは眺めていた。
確かに……これだけのゴミ箱のゴミを、行政はいつ回収しているんだろう?



14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/03(日) 21:59:15.45 ID:QUlJAi/W0
コンビニに着いた。
普通、コンビニの近くの道というのは、そのゴミが散乱していることが多いが
やはり今日日ヴィップはそんな状態に成らない。

( ^ω^)「ピザポテトは定番だおwwwwwwww」

('A`)「また太るつもりかwww俺はたけのこの里さ。きのこなんかマジーしw」

(´・ω・`)「ぶちころすぞたけのこ厨。俺のキノコで黙らせてやろうかあ?」


(´・_ゝ・`)「お会計の方3点で704円になりまーす」

('A`)「今日は俺が払うわ」

( ^ω^)「助かるお」 (´・ω・`)「悪いね」

('A`)「いや、何々。俺は優しいからな、そして優しいから募金もしちまう」

ドクオはお釣りの小銭をレジの募金箱に入れた。落とした小銭が軽快な音を立てる。

(´・ω・`)「何か腹黒いモノが見えるね、ブーン」

( ^ω^)「うんショボン、きっとこれは罠だお!」

突然、何かが頭の中で引っ掛かった。



16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/03(日) 22:01:03.81 ID:QUlJAi/W0
コンビニから出ると、アテも無くブラブラ歩き出す。
道中、ゴミ箱があるからって歩き食いは出来ない。
さっきの老人の集団みたいなのに遭うと、また何かと文句を言われるからだ。
コンビニから出ても、ドクオとショボンは「きのこvsたけのこ」論争を繰り返していた。
ゴディバ派の僕には関係のないことだ。

すると、ショボンは思い出したかのように話題を変える。

(´・ω・`)「にしてもドクオ、何でさっきはあんなに太っ腹だったんだい?」

( ^ω^)「今日は7月29日……。何かあったっけお?」

('A`)「だってよ、3日後は俺の誕生日だぜ〜。ここで恩売ってお返し期待するのさ」

( ^ω^)「ホワイトデー商法かお。みみっちーおドクオ」

(´・ω・`)「なんだ、そんなどうでもいい理由か。それより、今から僕ん家来ない?」

ショボンは冷静で大人びてる割に、ドクオをからかうのが趣味だった。



18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/03(日) 22:01:45.59 ID:QUlJAi/W0
('A`)「どうでもいい理由だと、てめえショボン! このケチンボが!!」

(´・ω・`)「まあまあ。さっき言ってたキノコ、振舞ってあげるよ」

('A`)「断る。ぶち殺すぞ」

(´・ω・`)「人のセリフぱくんな。ぶち殺すぞ」

( ^ω^)「うはwディズニー並に厳しいww」

('A`)「そういや知ってるか? ディズニーもゴミ落ちてないんだってな」

(´・ω・`)「あと、鏡が異様に少ないとか。これまめちしきね」

また、頭の中に何かが引っ掛かる。
その「何か」が分からなくて、もどかしい。



23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/03(日) 22:03:23.98 ID:QUlJAi/W0
(´・ω・`)「あのメルヘンランドには、勝てないね」

('A`)「何がどう、勝てないんだよ?」

(´・ω・`)「例えばあのネズミは、登場する際、他のランドには絶対居ないとか」

( ^ω^)「聞いたことあるお。世界で1匹になるよう調整してるって」

('A`)「マジか。効率悪いな〜」

(´・ω・`)「そこら辺の商売魂が、成功の秘訣なのかもね」

またも、何かが頭の中に引っ掛かる。
そして
唐突に引っ掛かってた「何か」がパズルのように構築され、
一つの仮説を組み上げた。

それは、突拍子もない仮説だったが、個人的にはしっくり来るものだった。



24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/03(日) 22:04:12.75 ID:QUlJAi/W0
( ^ω^)「……ドクオ、ショボン、ちょっと話をしていいかい?」

('A`)「何だよ、俺らガチムチにメルヘントーク中だってのに」

ドクオは相変わらずだが、ショボンは空気を読んでくれた。

(´・ω・`)「何だい、ブーン?」

( ^ω^)「あの、大量にあるゴミ箱の話なんだけど……」

('A`)「だからメルヘントーク中にゴミの話すんなってば」

(´・ω・`)「何か気付いたのか、ブーン?」

( ^ω^)「うん……これだけ大量にあるゴミ箱って、回収の際、効率悪いよね」

(´・ω・`)「まあね。相当面倒くさいだろうね」

( ^ω^)「じゃあ、効率良くするにはどうすればいいのか? て話なんだお」

('A`)「勿体ぶるなってブーン。結論を先に言えよ」


( ^ω^)「……この街には、地下帝国が存在する。」

(´・ω・`)('A`)「はあ〜〜〜〜〜??」



26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/03(日) 22:05:20.72 ID:QUlJAi/W0
______7月30日まとめ 駆除報告書______

(1)活動報告

28日(火曜日晴れ)

3:30 暴走族の生き残りと思われる4人の集団が、女神像公園にて
   花火、その他非衛生的行為、ゴミの散らかしを行ったことを確認。レベル5の駆除。

14:00 中学生が3丁目の公道にて、空き缶を投げ捨てたのを確認。レベル2の駆除。

23:30 酔っ払いのサラリーマンが女神像公園付近の、電柱に放尿したのを確認。レベル3の駆除。


29日(水曜日晴れ)

8:20 犬の散歩をしている中年女性が、2丁目公道にて犬のフンの後片付けをしないのを確認。レベル2の駆除。

14:30 小学生の集団がヴィップ公園にて、ゴミを出していたのを確認。レベル1の駆除。

15:30 高校生の3人組が女神像公園にて、ゴミを出す可能性を持っていたのを確認。レベル1の駆除。

18:50 高校生のカップルがヴィップ公園にて、性行為を行っていたのを確認。レベル5の駆除。

23:00 大学生と思われる集団が3丁目アパートにて、深夜にも関わらず騒音を発していたのを確認。レベル3の駆除。



27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/03(日) 22:06:24.32 ID:QUlJAi/W0
(2)近日の傾向

夏休みによる開放感のせいか、マナーを持たない人間が増加しています。
しかし4日に開催される夏祭りにて、一斉に駆除出来ると考えられます。


(3)対策

    ………………………………………………………………


(6)その他

地下の建設の人材が不足しております。
駆除のレベルの基準を下げ、収容者を増やして頂きたいと考えております。ご検討ください。(第一話終)



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