( ^ω^)は綺麗な街に住んでいるようです
- 41: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/03(日) 22:17:57.97 ID:QUlJAi/W0
- 第2話
('A`)「意味ワカンネーよ、おまっ……とうとうイカれたか!」
(´・ω・`)「何でそんな考えに至ったのか、詳しく教えてよ」
( ^ω^)「うん……まず、ゴミの回収の効率をどうすれば良くするか、て話なんだお」
歩きながら、僕らは話した。
行き先は特に決めてないが、3人の足は「バーボンハウス」に向かっていってた。
( ^ω^)「だったら、ゴミを一つに纏めちゃえばいい。 じゃあ、地下で纏めれば……」
('A`)「ちょっと待てよ、それくらいで地下帝国かよ?」
( ^ω^)「つまり、あのゴミ箱は、ウォータースライダーの入り口みたいな感じで……」
(´・ω・`)「なるほどね、あれはゴミ箱というよりただの投入口。地下で大纏め、て感じか」
('A`)「まあ、そっちのが効率いいかもしれんけどよ。そもそも地下帝国ってのが……」
( ^ω^)「まあまあ。シャキンさんとこで詳しく話すお」
僕らの住んでいるのは、ヴィップでも有数のマンション、「ハルヒルズ」だ。
その1番館に僕、2番館にショボン、5番館にドクオが住んでいる。(ちなみに全6棟ある)
僕らの向かう「バーボンハウス」は、2番館の306号室を借りて経営している店だ。
- 45: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/03(日) 22:20:02.06 ID:QUlJAi/W0
- この「バーボンハウス」、実はショボンの父親のシャキンさんがマスターをしている。
そのお陰あってか、僕らは高校1年という年の割には気軽に出入り出来る。
まあ、日が昇っている内限定なんだけど。
306号室の前に着いた。表札は「バーボンハウス」。一応呼び鈴を鳴らしてみた。
(´・ω・`)「父さんはどうせ寝てるよ。だから鍵がないと入れないよ」
ショボンはそう呟き、ドアに鍵を差し込み、回してからドアを開けた。
僕らをショボンが招き入れる。
この店は、リビングとキッチンの仕切りを上手く改造して、見事なバーを作り上げている。
キッチン、つまりマスターのいるスペースには、
本物のバーに引けをとらない程のお酒が揃っている。
僕とドクオはイスに座り、ショボンはキッチンに入ると、僕らにお決まりのセリフを放った。
やあ (´・ω・`)
ようこそ、バーボンハウスへ。
このコーラはサービスだから、まず飲んで落ち着いて欲しい
- 47: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/03(日) 22:21:40.67 ID:QUlJAi/W0
- ('A`)「んじゃ、ぐびなま。を一缶な」
(´・ω・`)「コンビニとかで買って来いや」
( ^ω^)「ショボン。シャキンさんを呼んでくれお。あの話を聞かせたいんだお」
(´・ω・`)「オーケーオーケー。それが目的だったね」
そう言うと、寝室の方にショボンは入っていった。
ドガンバガンと、結構な騒音を響かせた後、しばらくしてシャキンさんが出てきた。
シャキンさんもショボンさんも顔にアザが出来ていた。
(`・ω・´)「ん。何だお前ら、昼間っからバーとは随分不健康だなぁ」
('A`)「はい、不健康だから生き延びてるって感じですよ僕はですね」
( ^ω^)「シャキンさん、僕の話を聞いて欲しいんですお」
僕にとって、シャキンさんは”頼れる大人”なのだ。だから、話をしたかった。
グラスを拭いているシャキンさんに、僕はあの仮説を捲くし立てた。
- 48: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/03(日) 22:23:10.03 ID:QUlJAi/W0
- (`・ω・´)「……ふむ」
僕の話が終わると、シャキンさんは髭をポリポリとかきながら、考え始めた。
('A`)「シャキンさん言ってやってくださいよ、この話の矛盾点って奴を」
(`・ω・´)「まあ……面白い話だよ」
その言葉を聞き、僕は落ち込んでしまった。これから矛盾点を色々挙げられるだろうから。
(`・ω・´)「そもそもシティーポリスマン氏はどういう人か、なんだけど……」
( ^ω^)「(ああ、僕の仮説が崩されていく……)」
(`・ω・´)「株式会社ひぐらしって知ってる? あそこの前社長だったのさ」
(´・ω・`)「ああ……聞いたことあるよ。確か、家もとんでもない豪邸だってさ」
ショボンがシャキンさんの手伝いをしながら答える。
('A`)「まじでか。なら、財力は死ぬほどあるってわけッスね」
(`・ω・´)「そう。財力があるんだ。更にあの人は、効率主義なトコもある」
( ^ω^)「……お?」
何だか、僕の仮説を否定する空気ではなさそうだった。
- 50: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/03(日) 22:24:49.71 ID:QUlJAi/W0
- (´・ω・`)「ついでに僕がブーンの説を信じたのは、DQNが急に消えたからだ」
('A`)「……そういや、ここ最近暴走族とかまるで見ないな」
(´・ω・`)「風の噂で聞いたんだ……謎の集団に拉致されてるってね」
(`・ω・´)「それだけじゃない。実はこの街、行方不明者が多発してるのは確かなんだよ」
(;^ω^)「そ、そうなのかお……」
僕の知らないこの街の姿、それを知る度に寒気が走った。
地下帝国が、段々と僕らの前に音を立てずに近づいていく感触がした。
(`・ω・´)「……この街の清掃は、基本深夜に行われるらしい」
('A`)「ええっ!? ほんとッスか?」
(`・ω・´)「ああ。あまり知られていないが、深夜に白いバンが数台止まり、
そこから出た人間がゴミ拾いなどを行っているって話さ」
(´・ω・`)('A`)(;^ω^)「………!」
その話は、気持ち悪いほど悪寒を走らせた。
深夜に、何でそんなことを……。
- 53: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/03(日) 22:26:19.27 ID:QUlJAi/W0
- (`・ω・´)「だから……ブーン君の話を聞いたとき、何かしっくり来たのさ」
(;'A`)「……マジッスか……」
ドクオが上の空で呟いた。
僕も、仮説を提唱しといて何だけど、正直信じられない。
(´・ω・`)「……法律上、土地ってのはその地下も空中も所有者が権利を持ってるんだ」
突然、ショボンが突拍子もないことを喋った。
(´・ω・`)「勿論……町長になる人間がそれを知らないハズがない
ブーンの話が本当なら、間違いなく町長はその所有者の権利を侵している」
( ^ω^)「……というと?」
(´・ω・`)「仮説が正しいなら、町長は犯罪を犯してでも、地下帝国を作ろうとしている。
いや、もう作っているんだろう。地下に、何かを」
( ^ω^)「綺麗な街作りと、それは関係あるのかお?」
(´・ω・`)「知らないよそんなの。だって僕らはこの件に、片足踏み入れたばかりだよ?」
(;'A`)「……踏みたくねえな」
( ^ω^)「……僕は……地下帝国について調べてみたいお」
好奇心が抑えられない。
- 55: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/03(日) 22:27:25.10 ID:QUlJAi/W0
- あの話の後、僕らは家に帰った。
そろそろ営業時間だから帰れと、シャキンさんに追い出されたからだ。
それに、あの話の後じゃ遊ぶ気にもなれなかった。
( ^ω^)「でも……僕らはこれから一緒に調べるんだお!」
ショボンも、一緒に地下帝国について調べることについて来てくれた。
ドクオも、しぶしぶながらその意見に同意した。
シャキンさんも、出来る限りの力は貸してくれるそうだった。
( ^ω^)「まずは……地下帝国の存在が事実か確かめないと……」
どうやって調べよう。そう考えてる内に、時間は午前2時を回っていた。
( ^ω^)「明日は学校の出向日だから早く寝ないt……て
( ゚ω゚)「アッ―――!!!」
しまったあああああ!!!!
明日、レポート用紙に数Aの問題を解くという宿題を、提出しないといけないんだったあああ!!
こうなれば徹夜でやるしかない、あっでも……
( ゚ω゚)「レポート用紙がねえええええ!!!!」
僕は親にバレないよう、こっそりと家を抜け出し、急いでコンビニに向かった。
それにしても、誰もいないマンションは結構雰囲気があって怖い。
- 56: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/03(日) 22:29:28.92 ID:QUlJAi/W0
- £ ̄> ̄)「いらっしゃいませ〜」
コンビニに入るや否や、僕は素早くレポート用紙とポテチを購入した。
夜食はこれで足りるかな……?
コンビニから急いで出ると、駆け足でマンションに急ぐ。
(;^ω^)「シャキンさんの話が本当なら、白いバンと出くわしちゃうかも……」
走って考え事をすると、疲れる。
そのため僕は、歩いて少し休むことにした。
(;^ω^)「でも、白いバンなんて、何か信じら……」
そう言いながら、交差点に目を向けた瞬間、僕は愕然とした。
まさしく、白いバンが走っていたから、3台が………。
- 58: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/03(日) 22:31:26.05 ID:QUlJAi/W0
( ゚ω゚)「あ…あ…あぁ……!」
僕はその3台のバンを見た瞬間、足が震え、動けなくなるのを感じた。
そして、僕の側の道路を一台のバンが通り過ぎる。
その瞬間、通り過ぎる瞬間……
僕は、運転手と目が合ったような気がした………。
そのバンを見て、震えている僕のことを
バンの運転手が…… 見 た 。
側の道を通り過ぎたのは1台だけだった。2台は他の道を走ったのだろう。
だが、そんなことはどうでもいい、僕は無我夢中でマンションに帰った!
逃げ帰った!
怖い、怖い、恐怖が僕を震えさせる。
( ω)「うわぁあぁあぁあぁあぁあぁあっぁぁあ」
着いた記憶がない。気がついたらマンションのエントランスに辿り着いてた。
(;^ω^)「はあ……はあ……はあ……」
もう、今日のことは忘れたい………そんな考えでいっぱいだった。
地下帝国のコトについて調べるのも、嫌になってきた。
(;^ω^)「(関わりたくないお…… 怖いお……)」
「俺はコーンフレークを喰ってから、バンを待つんだっての!!」
- 60: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/03(日) 22:33:46.21 ID:QUlJAi/W0
「んなことより見ろよ! ダイヤモンドが空飛んでるぜーーー!」
え? な、何だ……? この会話は……?
多分、"それ"は僕の後ろの方に居る。
急いで、声の発する方向の死角へ逃げ込み、そぉっとその声の主の姿を見た。
"それら"はエントランスのイスにもたれ掛かっていた。
川ヽ゚Д゚>「あははあぁぁぁぁ……、死にはしないって……死にはしないって」
ξヽ'A`)ξ「兄さん、1番館をスパイダーマンが昇ってるぅぅひひひひひひぃぃ…」
この2人組は何者だろう…?会話と雰囲気から察するに、薬の廃人みたいだけど。
ξヽ'A`)ξ「LSDやってもダメじゃない…ダメじゃにあのおお」
川ヽ゚Д゚>「だって僕らはジャンキーブラザぁぁぁあああああ!!!」
ぞっとした。ジャンキーの兄弟が、このヒルズに居るなんて……
幸い、その兄弟は僕のことをまるで気にしてない様子だった。
僕は急いでエレベーターに乗り込み、自分の階数の10を選択した。
- 61: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/03(日) 22:35:42.09 ID:QUlJAi/W0
- (;^ω^)「(怖いお……怖いお……)」
恐怖に震えているときに限って、エレベーターの進行速度は遅く感じる。
ビクビクする僕を乗せた進むエレベーターは、どうやら10階にようやく着いたようで、
僕はさっさとエレベーターから降りる。
恐怖を紛らわすためか、僕は何気なく柵から、下を見た。
(;^ω^)「!!」
僕は驚いた。あのジャンキー兄弟が……エントランスの中に居たはずなのに、
今はここから見える位置の、公園に居た。
……いや、それだけなら、僕はそこまで驚いていないだろう……。
複数の人間が、その兄弟を担いで、どこかへ運ぼうとしていたからだった。
そして、暫く眺めていると、僕は理解した。
連れて行く先は、道路に停めてある白いバンだということに。
僕はもう何も考えず、考えられず、自分の家へ向かった。
- 63: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/03(日) 22:37:31.57 ID:QUlJAi/W0
- _____…………
「ふむ……30日まとめは、これで良いか?」
私は、自分の最も信頼するパートナーに尋ねる。
「あのジャンキー共は次回のまとめに載せれば良いからな、OKだ」
その言葉を聞き、私は自分の判子を報告書に押そうとしたが、
ふと、今日のあることを思い出した。
「……そういえば弟者、気になることがあるんだが」
最も信頼するパートナーである、自分の弟に今日起こった、気になることを話す。
- 65: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/03(日) 22:38:32.71 ID:QUlJAi/W0
- 「どうした兄者? 何かトラブルでもあったのか?」
「いや……トラブルというわけでは無いのだが、今日の掃除輸送の際、
私のバンを見て凍り付いている少年が居たのだ。これが気になってな」
「ほう……深夜だというのに、それは気になるな、兄者」
「だろう? このことを、報告書に書くか迷っていてな……」
「ふむ……まあ、良いのでは? 少年のことだ、漫画やら何かに影響されたのであろう」
「そうか、まあ私の思い過ごしかもしれぬしな……。一応、頭の隅に置いておくとする」
「それが最善だな、兄者。もしかしたら、 知っている のかもしれぬしな……」
私は報告書に判子を押すと、思い切り伸びをした。
やれやれ、夜勤は辛いものだ。(第2話終)
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