( ^ω^)は綺麗な街に住んでいるようです

3: ◆tOPTGOuTpU :2007/06/14(木) 22:42:55.31 ID:SOA7VsYb0
第6話



蝙蝠が飛び交っても不思議ではない、空の闇。
僕らは祭りの楽しさを完全に萎縮させていた。
目の前の、男……流石と名乗る男が、
僕らの目の前に現れた。

死神と形容すべきだろうか。
いや、それ以外に例えようがない。



5: ◆tOPTGOuTpU :2007/06/14(木) 22:44:28.62 ID:SOA7VsYb0
( ´_ゝ`)「つまりだ」

流石と名乗った男は、更に一歩、踏み込む。
僕らとの距離はもう7mにも満たない。

( ´_ゝ`)「私の第一希望としては、君達が何も言わずに
       私と共に着いてきてくれることだ。人手を呼ぶのは面倒なのでね」


('A`)「んなモン………
   ついて………行くワケねーだろ……!
   お前みたいな怪しい奴によぉ………!!」

ドクオが勇気と言葉を振り絞り、流石を必死に抵抗する。

( ´_ゝ`)「ほう」

(;^ω^)「何が何でも、僕らは連れてかれませんお」

この流石という男は、間違いなく地下に所属する人物だ。
そして、この"手馴れた"感が、僕の精神を圧迫させていく。


( ´_ゝ`)「どうしても……嫌だというのか?」



8: ◆tOPTGOuTpU :2007/06/14(木) 22:46:20.90 ID:SOA7VsYb0
(´・ω・`)「はい。どうしても……お断りします」

ショボンが毅然とした態度で、言い渡す。
その言葉を聞いた流石は、目を怪しく光らせ
まるで僕らを物色するかのように眺め回す。

僕らは身構え、流石を注意する。
ドクオに至っては、エアガンを既に構えており、
いつでも攻撃出来るよう備えていた。

( ´_ゝ`)「やれやれ」

( ´_ゝ`)「プランAからBへ移行するか」

流石はジャケットの内ポケットから、何かを取り出した。
何だろうか、リモコンだろうか……?
と、注意深く目を凝らした瞬間、"それ"は先端から音を立て電撃を放つ。



9: ◆tOPTGOuTpU :2007/06/14(木) 22:48:24.50 ID:SOA7VsYb0
"それ"は、スタンガンだった。
スタンガン………つまり、流石は僕らに危害を加えるつもりだ……!
僕は息を飲み込み、口の端を歪め、立ち止まっている流石に
最大限の注意を払い、凝視し続けた。

すると、流石がスタンガンを自分の顔の高さまで上げて、
電撃部分を僕らに向け、まるで攻撃の意思のように突きつける。

( ´_ゝ`)「最後にもう一度言おう。 来い 」

(;'A`)「嫌だッ!!」

ドクオは有無を言わさず、先制攻撃と言わんばかりに
流石に向けてエアガンを発射する。

( ´_ゝ`)「っ……ッ!!」

流石は首の部分にそれを喰らい、
その部分を手で覆いながらわずかに呻き声を上げる。
しかし所詮は遊戯銃であるため、大した痛手を与えることなど出来なかった。

(;'A`)「今だ、今のうちに逃げようぜ!!」



10: ◆tOPTGOuTpU :2007/06/14(木) 22:50:41.83 ID:SOA7VsYb0
ドクオが僕達の方向に振り向いて、逃げるよう促した。
しかし、僕は一瞬で「無理だ」、と判断してしまう。

「逃げろ!」と叫ぶ間もなく、流石の体がゆらりとドクオに近づく。

( ´_ゝ`)「この私……いや、我々から逃げるだと?」

ドクオの体が力無く崩れ、手のエアガンは派手な音を立てて、
僕の足元近くに転がり落ちる。


( ´_ゝ`)「それは絶対に不可能だな。我々はどんな汚い手も行使する。
       人の弱みに付け込むような、まさしくクズの所業もな」

(;^ω^)「………」


     どうしようもない、
              男の言うとおりだ、
 僕らは絶対的な力に囲まれた。



11: ◆tOPTGOuTpU :2007/06/14(木) 22:52:51.15 ID:SOA7VsYb0

そうだ……僕らは、完全に狙われてしまった。
この男の言うとおり、僕らは、何が何でも連れて行かれる………

そして僕らはどうなるんだ!!??
おそらく、秘密封じに殺されるんだろう。。。


……そんな、そんなことは、嫌だ………
絶対に嫌だ!! 真相も知らずにただ殺されるなんて!!


いや、まだ諦めちゃダメだ!
もしかしたら、もしかしたらこの男を退けば、
まだ僕らは……あの誕生日会や、夏祭りのような……
平穏な日も捨てなくて済むかもしれない! 諦めれてはいけないッ!!
挑め!! あの男に挑めば、まだ何とかなるかもしれない!!!

3人で逃げるんだ!!

( ω )「うあぁあぁぁぁぁぁああ!!」

僕はなりふり構わず、流石の方へ突進した。
拳を握り締めて、殴りかかる。



12: ◆tOPTGOuTpU :2007/06/14(木) 22:55:00.74 ID:SOA7VsYb0
僕は身体を捻転させ、流石を捉える。
この拳が顎にでも当たれば……何故、流石は攻撃する僕を見て驚かない!?

( ´_ゝ`)「殴りかかるとは、見込みがあるのか愚かなのか……」

(;^ω^)「うるさいおおお!!!」

流石の顔に目掛けて拳を伸ばそうとした瞬間、
突然、痛みと共に後方へ吹っ飛ばされた。

(;゚ω゚)「うぉっ……おっ……おぉっ……お……?」

(;´・ω・`)「ぶ、ブーン!! 大丈夫か!?」

息がまともに出来ない上に激痛が腹を走る……どうやら蹴り返されたようだった。。。

( ´_ゝ`)「鳩尾は物凄く痛いだろう? 感想はどうかな?」

流石は嫌味を言いながら、倒れている僕の元へ歩み寄る。

(;゚ω゚)「ぐええ!!」

流石が僕の痛む腹を足で踏みつけ、満足な顔を僕に向ける。

(;゚ω゚)「うっ……うぁあ………ああぁア!!!」

( ´_ゝ`)「今のうちに、逆らったらどうなるか……それを教えねばな」



15: ◆tOPTGOuTpU :2007/06/14(木) 22:57:10.92 ID:SOA7VsYb0

(;´・ω・`)「や、やめろぉ!! もうやめろ、やめるんだ!!」

ショボンが近寄る……だめだ、ショボン……でも、声が出ない…………。
僕の直ぐ側にエアガンが見える。
あ、あれを拾えば……何とかなるかもしれない!

駄目だ……手を動かせない……どれだけ痛いんだよこの腹……ははは

( ´_ゝ`)「ふん。助けなくともよい」

流石がしゃがみ込み、僕の顔に近づき、囁く。

( ´_ゝ`)「お前らの抵抗は元々無意味、さ」

いつの間にか流石の手にはスタンガンが握られていた。
抵抗する間もなく、"それ"を僕の首に押し付ける……や、やめろ……!!



バチン!と、放電の音が、痛みと共に脳内にまで鳴り響く。


意識が薄れ、視界が閉ざされ出していく………。
僕はもう、これから先   どうな――――――・・・・・・・・



16: ◆tOPTGOuTpU :2007/06/14(木) 23:01:30.87 ID:SOA7VsYb0
(;´・ω・`)「ブーンっ!!!」

流石がいつの間にかスタンガンで、ブーンを既に気絶させていた。
僕はそれを止められず、ドクオに続いて、救えなかった。救えなかった。。。

ドクオとブーンの動かない体を交互に見る。
確かにこの2人の抵抗は、失敗に終わってしまった。

( ´_ゝ`)「残ったのは、君だけのようだぞ」

でも! この2人は、抵抗したんだ、決して無意味ではない抵抗を!

( ´_ゝ`)「何だ、 その目は?」

僕は、残った以上……  やらねばならないことがある。


( ´_ゝ`)「一番、賢明そうな君も……やはり、抵抗する気か?」

(´・ω・`)「……するさ」

( ´_ゝ`)「ほう。逃げないのか………そして私とケンカするとはな」

(´・ω・`)「友達2人が一生懸命抗ったんだからもんだからね。
       僕も絶対に屈服はしない」



18: ◆tOPTGOuTpU :2007/06/14(木) 23:03:38.80 ID:SOA7VsYb0

僕は学生ズボンからベルトを、素早く引き抜く。
適当な長さに折り曲げ、バックルを威嚇代わりに回し牽制する。

( ´_ゝ`)「なるほどな」

すると、流石は少し距離を離れたかと思うと、携帯電話を取り出した。

(´・ω・`)「応援を呼ぶつもりか……!?」

( ´_ゝ`)「いやいや。応援は君を叩きのめしてから来させる。
       高校生3人を100m先のバンに積むのは、一人じゃ疲れてしまうんでな」

くそっ……完全に余裕な状態で、僕に勝つ気らしい。
現に流石は、携帯電話のフリッパを開いたり閉じたりしながら、僕のことを楽しげに観察している。
僕がベルトを構えだすと、流石はその遊びを止め、携帯電話を操作しだす。

        今だ!!



19: ◆tOPTGOuTpU :2007/06/14(木) 23:06:44.35 ID:SOA7VsYb0
僕はベルトを何回か振り回し、そして力を込めた後
近くの並木の一本の枝に向かってベルトを振り落とす。


風を切る音がするほどに勢いをつけたベルトのバックルと、枝が衝突した。

(´・ω・`)「(ごめんね)」

心の中で謝る。

枝は痛々しい音で軋みながら、地面にドサリと落ちる。

(;´_ゝ`)「な……ッ! 貴様ッ何ということを!!」

やはり、この男は街を汚すマネには許せないようだ。

(;´_ゝ`)「ぬう……この私の前で、よくもやってくれたな……!」



20: ◆tOPTGOuTpU :2007/06/14(木) 23:10:50.87 ID:SOA7VsYb0
流石は、自分の携帯電話より僕の行為に注意を向けている。
よし、順調だ。そして……

僕はベルトを、流石の携帯電話の持っている方向へ投げつける。


( ´_ゝ`)「!! むッ!」

流石は反応したが、もう遅い。
ベルトは綺麗な一直線となって、順調に流石の携帯電話へと向かっていった。

ベルトのバックルと携帯電話という、鉄とプラスチックがぶつかり
地平線まで届くかのような高音を立てて、その2つは後方彼方へと飛んでいった。

(#´_ゝ`)「………」

(´・ω・`)「よし……」



21: ◆tOPTGOuTpU :2007/06/14(木) 23:14:12.70 ID:SOA7VsYb0

僕は先ほどの折った枝を手にする。
細すぎず、太すぎず。多少短いかもしれないが、喧嘩には充分だ。

( ´_ゝ`)「ゆくぞ!!」

流石が飛び掛り一気に間合いを縮める。
僕は、後ろで後退しながら枝で迎撃する。

枝が多少、ひび割れながらも、見事流石のこめかみにヒットした。

( ´_ゝ`)「こんなモノ……私が食らうと思うたか?」

しかし、大して流石に、効果はなかったようだ。
気がつけば、いつの間にか流石は左手で僕と同じく枝を握っていた。
僕の持っている部分の僅か上。

しまった、枝を奪われてはならないッ!!

そう考えてしまい、一瞬で額に衝撃が走る。

(;´・ω・`)「っぐぅ!!」

流石は、僕が枝を持っているのを構わずそれで殴り返したようだった。
枝の破片が目に飛び散り、視界が一気に狭まってしまう。
しかし幸いながら、枝は取られていなかった。



22: ◆tOPTGOuTpU :2007/06/14(木) 23:19:06.81 ID:SOA7VsYb0
流石は枝から離した左手で、そのまま僕を殴りつける、
その連続に僕は思わず尻餅をつく。

(;´・ω・`)「しまった……」

急いで立ち上がるも、流石の右拳は既に僕目掛けて放たれていた。
くそ、と心の中で悪態をつきながら、枝をその右手に振り下ろす。

( ´_ゝ`)「芸のない、単純攻撃の君に習って―――」

今度は枝を狙ったハズの右手に受け止められてしまう。
ま、またあの攻撃g  同じ部分、額にまたも打撃を食らってしまった。

血が、どろり溢れ出す……。

流石の攻撃は更に続き、枝をとうとう取り上げられた。

(;´・'ω・`)「あ、く…クソ!!」

流石の右手が持つ枝が、まるでナイフを突き立てるかのように、振り上げられる。
とっさに僕は頭を抱えてしゃがみ込んでしまう。
それすらも見越したかのように、流石の膝蹴りが僕のみぞおちに―――


(´・'ω・`)「じゃあ、僕も……」

―――頭を抱えていた両手を素早く解き、流石の膝をがっしりと両手で受け止めた。



26: ◆tOPTGOuTpU :2007/06/14(木) 23:23:25.80 ID:SOA7VsYb0
(;´_ゝ`)「なっ!」

しゃがみ掛かっていた自分の膝を、
バネにして体を上方へ伸ばし、そのまま流石を持ち倒す。


どすん、と音を立てて流石は背中から地面に落ちた。枝も何処かへ転がり、暗闇に消えた。
僕は、垂れた額の血を拭い、そのままマウントポジションに持ち込む。
近くのブーンの気絶した姿が視界に映る。
絶対、この流石を倒してやろうという気力が湧き出す。

(´・ω・`)「これで、終わりだね」

( ´_ゝ`)「ふん。素人のマウントポジションなど―――」

急に、後頭部に叩きつけられたかのような衝撃が走る。

( ´_ゝ`)「―――問題もない」

(´・ω・`;)「うぐぐっ………!」



28: ◆tOPTGOuTpU :2007/06/14(木) 23:25:39.76 ID:SOA7VsYb0

どうやら僕の後頭部目掛けて、流石の足蹴りが放たれたようだった。
流石の上半身が起き上がり、僕の体を押し倒す。
流石と同じように、
背中から見事に叩きつけられた。


( ´_ゝ`)「同じくマウントポジションを取ってやろう」

流石が起き上がり、そして直ぐに僕の上に圧し掛かる。
そして右手には、スタンガン………。

もう、終わったのか………な………?

( ´_ゝ`)「じゃあ、な」



32: ◆tOPTGOuTpU :2007/06/14(木) 23:32:14.92 ID:SOA7VsYb0
スタンガンを見た瞬間、頭の回転が早くなるのが、感じ取れた。
走馬灯をまさか、僕は見せられるのか  ?

いや――  違った。僕は、とあることを思い出した。


流石はスタンガンを僕の首に押し当てる。

( ´_ゝ`)「12時前に終われて良かったよ……。 ! な、にぃ!??」

流石が目を押さえ、スタンガンを落としたのを気にしないほど、苦しむ。



35: ◆tOPTGOuTpU :2007/06/14(木) 23:37:41.64 ID:SOA7VsYb0
自分の目を押さえていた手を離し、僕に乱暴に問いかける。

(;´_ゝ`)「この痛み……まさか、貴様のそれは………!」

(´・ω・`)「そうさ、ドクオのエアガンだ!!」

この地点は、ちょうどエアガンが転がっていったところだった。
僕はブーンの近くに、エアガンが落ちているのを唐突に思い出したのだ。

転げ落ちた流石のスタンガンも拾う。これで有利になった。
しかし、しかし……流石は動じることなく、微笑みを浮かべていた。

( ´_ゝ`)「エアガンがあると見越してわざと倒れたのか?」

そんな芸当、僕には当然出来るハズもないが、何となく格好つけてみる。

(´・ω・`)「プランAからBに移行したまでさ」

( ´_ゝ`)「お前は、素晴らしい人材だな」

すると何処からともなく、謎の音が並木通りを支配する。



37: ◆tOPTGOuTpU :2007/06/14(木) 23:39:34.16 ID:SOA7VsYb0
何だ、この音は……? 連続した単純な電子音だ。

( ´_ゝ`)「おっと……12時10分前になってしまったか」

流石はマウントポジションを解き、立ち上がりつつ、自分の腕時計を操作する。
ふいに電子音が途絶える。
謎の音の正体は流石の腕時計のアラームらしかった。

( ´_ゝ`)「時間切れだ……こうなれば、プランBからCへ 、だな」

(´・ω・`)「プランC?」

僕も立ち上がりながら尋ねる。どうやら今の流石は僕と戦う気はないらしい。


( ´_ゝ`)「出来れば使いたくはなかったがね………
        プランCは、まさしく卑怯で、あまり好きではないのでな」

流石はジャケットの汚れを手で落としながらぼやく。

そして僕に向かって、真剣な顔で、命令する。

( ´_ゝ`)「明後日の午後3時に、女神像公園の噴水前で3人で待っていろ」



41: ◆tOPTGOuTpU :2007/06/14(木) 23:43:39.75 ID:SOA7VsYb0
(´・ω・`)「……行かなかったら?」

( ´_ゝ`)「分かるだろう? 我々は、どんな卑劣な手段も使う」

(´・ω・`)「………」

( ´_ゝ`)「気絶した2人にもそう伝えてくれ」

言い終わると流石は突然、周りを見渡すと、満足したように鼻を鳴らす。


( ´_ゝ`)「お前とはまたサシでやりたいものだ。楽しかったぞ」

(´・ω・`)「それは、どうも」


流石は多少自嘲気味に笑いながら、背を向け去っていく。
そして、姿が見えなくなる直前に一人言のように、漏らす。


( ´_ゝ`)「何も、怖がる必要はないのにな………。
       我々はただ、お前達をスカウトしに来ただけなのだぞ」



42: ◆tOPTGOuTpU :2007/06/14(木) 23:46:17.43 ID:SOA7VsYb0
流石が見えなくなったのを確認してから僕は、
急いで倒れている2人を見る。
ドクオが呻く、どうやら今にも起き出しそうだ。

なら、ブーンは………?

ブーンの上半身を無理に起こし、肩を左右に多少荒めに揺らしてみるも、
まるで起きる気配は無かった。


('A`)「え、ええと……ショボン?」

ドクオが目覚めた!

思わず頬が緩みながら、返事する。

(´・ω・`)「ど……

(´;ω;`)「どくおぉおぉ……ぉぉお!!」

な、何でだろう?
涙が止まらない、嬉し泣きなのかな……?
いや……違う。これからの自分達の人生に……
自分達の人生を考えて、    泣いてしまったのだろう。



45: ◆tOPTGOuTpU :2007/06/14(木) 23:49:11.15 ID:SOA7VsYb0
('A`)「えっと……俺達は……」

朝の目覚めとか、何でもいいんだけど とにかく。
起きた瞬間というのは軽い記憶喪失を起こしているのが嫌いだ。
目覚めて暫くすると蘇ってくるあの記憶の感触が、どうにも苦手だから。

一体、何が起こったんだ?
目の前では泣いているショボン。倒れているブーン。
そして、頭の中を駆け巡る焦燥感。

ぁあ…… 段々と思い出してきた。
俺達は……そうだ。
夏祭りの帰り道、流石という男に会ったんだ。

そして、それで………。

そうだ。 ショボンの傷ついた体を見て思い出す。
俺達は、流石という男から逃げようとして、俺は……多分、ブっ倒れたんだろう。
やられたってのが正しいかな。。。



49: ◆tOPTGOuTpU :2007/06/14(木) 23:52:20.97 ID:SOA7VsYb0
('A`)「ブーン!!」

倒れているブーンに駆け寄る。
ショボンがさっきからやっていた、肩揺らしは効かないと踏んで、
俺はブーンの頬に、往復ビンタを何度も食らわせてみる。

(;'A`)「起きろブーン!! 起・き・ろ!!!」

(´・ω・`)「ドクオ、ちょっとやり過ぎ………」

大丈夫大丈夫。ブーンだから。


おっ……


(;^ω^)「んっ……ぉお……っ」

何だかよく分からない呻き声を上げて、ブーンがとうとう目を覚ました。



52: ◆tOPTGOuTpU :2007/06/14(木) 23:55:35.83 ID:SOA7VsYb0
(;^ω^)「ん、んん〜と……僕は……」

思った通り、こいつも一時的な記憶喪失に掛かってやがる。
今、大変な状況なんだって! 池沼みたいな声出してないで、正常になれ!


(;^ω^)「ハっ!! 流石は!? どこに行ったんだお!!??」

お、結構な記憶巡りが宜しいようで。

('A`)「これからショボンに聞く………」


(´・ω・`)「あ、ああ……。そのつもりだ」

いつになくショボンが動揺していた。
てことは、よっぽど悪い知らせなんだろうか………。

そう考えると、全身の至る所から冷や汗が噴き出してきた。
背筋の突然冷えだし、その後は興奮したかのように熱くなる。

落ち着け……ショボンの、ショボンの話を待つんだ。



54: ◆tOPTGOuTpU :2007/06/14(木) 23:59:25.69 ID:SOA7VsYb0
(;^ω^)「(流石に僕は踏みつけられて……それで……)」

僕は自分の記憶を反芻する。
そうだ、僕は……スタンガンで気絶させられたんだ……。

僕とドクオは黙ってショボンの方向を向き、話を待つ。
僕達の視線に多少違和感を感じているらしいショボンは、
バツの悪い表情で、淡々と語りだす。


(;´・ω・`)「明後日の……午後3時にこの3人で女神像公園で待ってろ……だ、そうだ」

(;'A`)「そ……そんなの………従うワケねーよ!!」

(´・ω・`)「……いや。来なかったら、非人道的手段に出るらしい」

(;'A`)「……んな、んなことって……アリかよ……!?」


(  ω )「…………」

そうなのか……。       じゃあ、つまり、僕は、
くだらない好奇心で、親友2人まで地獄に連れて行ってしまったってことだ。



55: ◆tOPTGOuTpU :2007/06/15(金) 00:00:49.59 ID:42ikyrOV0



あの日……ゴミ箱を見て、あんな仮説を立てなかったら
     それを、2人に得意気に発表さえしなかったら
     その仮説を、シャキンさんに教え更に深めなかったら
     

僕達は  地下の人間に連れて行かれるなんてことは無かったのに
   
  僕達は――平穏のままで居られたのに………


どれもこれも  気付いて、勝手に暴走した、僕のせいだ………!!



57: ◆tOPTGOuTpU :2007/06/15(金) 00:04:00.23 ID:42ikyrOV0
( ;ω;)「……ヒック……ヒック……うぅう……」

涙が止まらなず、溢れ出す。
でも、止める気力はない。

僕はもう、取り返しのつかない。
死刑を宣告された所か、友まで道連れにしてしまったんだ……。


(;'A`)「ブーン………」

(;'A`)「………」



(;A;)「うぅう………!」


(´・ω・`)「2人とも………」

ショボンはそれだけ呟くと、頭をだらんと俯く。
鼻水を啜る音がショボンから聞こえる。



61: ◆tOPTGOuTpU :2007/06/15(金) 00:06:58.41 ID:42ikyrOV0

   どれほど時間が経ったのだろう。

よく分からない。途中、気絶したのかと思うほど、時間の感覚が狂っていた。

そのせいか、ショボンが喋ったのを気付くのに些か時間が必要だった。

( ;ω;)「……え?」

(´・ω・`)「流石が言ってたんだ……"我々はスカウトに来たのだ"って」
(;'A`)「そんなの罠に決まってるだろ!!!」

ドクオの叫びが並木通りに木霊する。

その叫びを聞いて、僕は居た堪れなくなった。

( ;ω;)「2人とも……本当にごめんだお」


(´・ω・`)(;'A`)「  え?  」


( ;ω;)「僕が……僕が、あんな話をしてしまったせいで………!」

(;'A`)「何……言ってんだ、お前……?」



65: ◆tOPTGOuTpU :2007/06/15(金) 00:09:31.95 ID:42ikyrOV0
( ;ω;)「……お?」

(;'A`)「何でお前が謝るんだよ! 悪いのはあいつらじゃねえか!
     それを勘違いするなよ!!」

珍しくドクオが荒っぽく語る。

(´・ω・`)「ドクオの言うとおりだ。それを見誤ってはいけない。
       それに前、言ったろう? 
       地下帝国に一番興味を持っているのは、このs('A`)「あのよー……」

('A`)「言っちゃなんだが、ブーンお前、少しナメてるだろ」


( ;ω;)「………お」

2人は、僕を別の意味で責め立てた。
よく考えれば、それは当然のことかもしれない―――
でも、僕は、感謝の気持ちが抑えきられずに居た。
絶望の涙が、嬉し涙に代わっていった。。。。



68: ◆tOPTGOuTpU :2007/06/15(金) 00:11:44.19 ID:42ikyrOV0
('A`)「とりあえずさ、ブーンお前、涙拭け」

言われたとおりに僕は涙を拭い、無理に笑顔を見せてみる。
拭っても涙は溢れ続けるかと思ったけど、意外にも直ぐにそれは止んだ。

( ^ω^)「おっお。涙が収まったお!」

(´・ω・`)「ははは、それは良かったよ」

心が浮き立つ。
何の解決もしていないのに、僕には何だか全てが上手にいく気がする。
これを、人間の強さと呼ぶのかな。

だとしたら、本当にありがたい力だ。

('A`)「……ふへへ。 ……なんか眠くなってきたな。今何時?」

(´・ω・`)「え〜……とね。1時20分」

(;^ω^)(;'A`)「い、1時20分!!!???」



71: ◆tOPTGOuTpU :2007/06/15(金) 00:13:47.74 ID:42ikyrOV0
(;^ω^)「アッー!!ケータイに親からの履歴がこんもり!!」

(;'A`)「ど、どうどう!!」

いくら祭りとは言え、深夜に帰れば親は激怒する。
危ない、やばい、どうしよう!
僕らの前に、「叱り」という巨大な壁が立ち塞がる。

しかしその壁は、
更に奥に在る抗えない運命を隠し、僕に安心感を与えてくれた。

(´・ω・`)「……とりあえず、帰ろうか」

(;^ω^)(;'A`)「おう!!」

僕らは急いでハルヒルズへと向かった。
深夜帰宅てだけのハプニングで、こうも鬱が晴れるなんて
本当、僕は単純な人間だ。

でも、考えなくてはならない。
連れて行かれるという、この抗えない運命を。
どう、対処すべきかを…………。



73: ◆tOPTGOuTpU :2007/06/15(金) 00:15:03.56 ID:42ikyrOV0

______8月5日特別まとめ 駆除報告書______

(1)活動報告

4日(火曜日晴れ 夏祭り)

11:30 高校生2人組がvipグラウンド周辺の路上で煙草を吸い、
   その吸殻を吸殻入れに捨てなかったのを確認。レベル5の駆除。

12:00 セブンイレブン東区店にて、同店の店員が同店のゴミを回収中、
   路上に散らばったゴミを片付けなかったのを確認。レベル3の駆除。

15:30 シャナ公園にて、中学生の集団が野良猫を虐待していたのを確認。レベル4の駆除。
   また、捕獲の際に逃げ出した中学生にはレベル5の駆除を行った。

21:10 夏祭りの帰りの家族が、ゴミを路上に捨てたのを確認。レベル2の駆除。

   夏祭りの帰りの大学生の集団の、乗る車が違法駐車していたのを確認。レベル3の駆除。
   
   夏祭りの帰りの少年が点火した花火を持ち、走っていたのを確認。レベル1の駆除。



77: ◆tOPTGOuTpU :2007/06/15(金) 00:21:57.51 ID:42ikyrOV0
…………………………

(2)夏祭りの傾向

老若男女、特に隔たりなく世代が集まりました。

(3)夏祭りの収穫

当初の予定通り、駆除の基準を上げた状態で審査致しました。
今日だけで「労働者」の数が9人増加し、
更に多くの初犯の人間が駆除されました。

夏祭りの効果は絶大だったと言えます。

…………………………

(6)その他

Specialの人材を3人確保致しました。
身分証明などを考慮し、8月6日に"招待"を行おうと考えております。(第6話終)



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