( ^ω^)は綺麗な街に住んでいるようです

146: ◆tOPTGOuTpU :2007/06/19(火) 23:58:01.90 ID:QBMMwaVi0
第8話

僕らが目を覚ましたのは、9時頃。
ついでに言うと、僕とドクオはシャキン親子の作る豪勢な朝食の匂いにより起きたのだった。

こんがりと焼かれたトースター、ベーコンエッグ、ビーンサラダに、コーンポタージュ。
どれも、在り来たりと言えばそれまでだが、これだけの量があるのにも関わらず
手抜きの要素らしさが微塵も見えず、全てが輝いていた。

('A`)「うっひょお! やべえ豪華過ぎだぜショボン!」

(´・ω・`)「来客の居るときは、ホテルの朝食辺りを意識して作るのさ」

( ^ω^)「アメリカのホームドラマの朝食より凄いお!」

(`・ω・´)「微妙な褒め言葉をありがとう。さあ、冷めないうちに食べようか」

食事の間、僕らは他愛もない会話をした。
今からどこへ行こう、だとか。ゲームのギャグシーンの再現とか。

本当に楽しい朝食だった。でも、またいつか……と考えるのは止めることにした。



150: ◆tOPTGOuTpU :2007/06/20(水) 00:00:06.03 ID:yX/7MV3Y0
朝食を獣のように食べ終われば、ショボンの部屋に篭り3人でゲームをプレイする。
基本RPGくらいしかやらない僕は、ショボンの多く所有する格闘モノや
スゴロクパーティーものはまず、苦手で いつも最下位を掻っ攫ていたが、

('A`)「まずは、肩慣らしにブーンといっちょやるかw」

今日は違った。
アドレナリンの分泌が凄まじいのか、とにかく
判断力、反射神経全てが比類なく強化され、
格闘モノは素人のはずなのに、あのドクオを赤子のようにいなした。

('A`)「ば、バカな……! 俺の空中コンボを回避するだと!」

(´・ω・`)「何ィ!? それは僕でも不可能な芸当だ!」


( ^ω^)「ファファファ」


遊びに遊び、時刻はいつの間にか11時を過ぎていた。



152: ◆tOPTGOuTpU :2007/06/20(水) 00:02:08.32 ID:yX/7MV3Y0
まるで小学生のように、さっさと外に僕らは飛び出た。
何をやろうか、それは特に決めていなかったが、
別に問題ない。
今の時間なら遊べる場所はいっぱいある。

僕らは、自転車でビリヤード場へと行く。

('A`)「自転車のチリンチリーンってね。鳴らすの好きなんだよな〜」

( ^ω^)「それって性格、相当悪いお」

(´・ω・`)「僕はむしろ鳴らすの嫌いなんだけどな」

('A`)「少しくらい賛同しろって」

辿り着いたビリヤード場は、時間帯のためガラガラだった。



157: ◆tOPTGOuTpU :2007/06/20(水) 00:06:21.69 ID:yX/7MV3Y0
(´・ω・`)「よいしょっと」

カコォン! 一回一回、派手な音でボールを突き落とすショボンは
僕とドクオより遥かに巧い。本人曰く、
バーのマスターはこれ系が巧いイメージだから、頑張っていてらしい。

( ^ω^)「よ〜し! 僕も行くお!」

狙いを定め、そして………スカっ! 手球はお情けのようにのろのろ動くだけだった。

( ^ω^)「あれ、あれれ?」

('A`)「やはり予想通りの結果だな。 ブーン、もっと体を低く屈めろ」

(´・ω・`)「あと、時間は掛かってもいいから、キューの先で手球の中心を狙うんだよ」

( ^ω^)「ほうほう」

('A`)「ちゃんと、棒の滑りよくしろよ」

僕自身、ビリヤードは初めてだったので、2人のアドバイスは的確だったが、
何故ここまでこいつらは出来るのか……と疑問が起こる。

(´・ω・`)「オヤジから習ったのさ」

('A`)「ソースはネット」



163: ◆tOPTGOuTpU :2007/06/20(水) 00:09:32.03 ID:yX/7MV3Y0
1時頃を過ぎると流石にお腹がすいてきた。
ビリヤードのチョークをやり過ぎて、左手の甲一部が白い。

('A`)「マックいこーぜ」

( ^ω^)「え〜、モスのがいいお」

('A`)「バカ言うなよ。俺のマックカードの存在を考慮しろ」

(´・ω・`)「ほぉ……」

1時間後。

( ^ω^)「いや〜ショボンが間を取って、ラーメンにしてくれて助かったお! 美味しかった!」

(´・ω・`)「だろう? あの店は知る人ぞ知る名店でさ、いつか紹介したかったんだよ」

('A`)「何でハンバーガーとハンバーガーの間を取るとラーメンになるんだよ……」

(´・ω・`)「おいしかったろう?」

('A`)「おいしかったけど! マックカード使いたかったの!!」

やれやれ。

僕らは、自転車で公園に向かわず、自転車を引きながら徒歩で進んだ。



168: ◆tOPTGOuTpU :2007/06/20(水) 00:13:02.91 ID:yX/7MV3Y0
('A`)「ふう。俺らはさ」

ドクオは道端のゴミ箱を眺める。

('A`)「知っちまったから、こうなっちまったんだよな」

静かに、でもどこか楽観的な雰囲気で語りだす。

('A`)「まさかゴミ箱がダストシュートとは思わねえよなぁ!」

カラカラとドクオは笑う。ショボンもつられ、笑顔になる。
僕も……ついつい頬を緩めてしまう。

(´・ω・`)「本当にさ……。ブーン、君は凄いね」

( ^ω^)「え? そ、そうかお?」

('A`)「考えつかねーよw地下のことなんてさ!」

(´・ω・`)「僕らは僕らなりに、調べ、動いたんだよなぁ」

ショボンの言葉が心に染み、だんまりとしながら
自転車を引き歩いてく。



171: ◆tOPTGOuTpU :2007/06/20(水) 00:15:16.05 ID:yX/7MV3Y0
( ^ω^)「僕は……後悔は、して……どうなんだろう……」

後悔はない、て断言したかったけど、やはりそこまでは考えられない。

道の前方に、またもゴミ箱が見える。
僕はそのゴミ箱を睨みつける。

( ^ω^)「自分に後悔はさせないお!」

('A`)「よく言った! Me Tooだぜブーン!」

(´・ω・`)「同じく。 それだけじゃなくとも、好奇心を満足させたいのさ」

( ^ω^)「ショボンはいっつもそれだお!」

3人で大笑いしながら、ゴミ箱を通り過ぎていく。

そろそろ、女神像公園に到着する。


('A`)「よくさ……物事を悪く考えててさ……」

(´・ω・`)「 ん?」


('A`)「ん、いや。公園の中で話すわ。もう着いたしな」



173: ◆tOPTGOuTpU :2007/06/20(水) 00:17:22.50 ID:yX/7MV3Y0
公園の中。午後2時だというのに、不思議なことに人気は少ない。
多少風は強いが、今日は昨日と違って快晴だというのに。。。

('A`)「物事をさ、悪く考え過ぎてると……なんつーか、案外大したことないのよ」

よいしょ、とベンチに腰掛けながらドクオは話す。

('A`)「鬼教師って呼ばれてるクマー先生の初めての授業のときさ……」

( ^ω^)「あー、そうそう。ドクオ教科書忘れたんだお」

('A`)「その3時限目までの間、ホントに怖くて怖くって……」

よく覚えている。物理のクマー先生は鬼のような先生だから気をつけろ、と
わざわざ担任から言われたのに、ドクオは初日から教科書を忘れたのだった。

(´・ω・`)「でも、そんなに怒らなかったよね、クマー先生」

火山を噴火でもさせるのか、と僕は思ったのだが
クマー先生は意外にも大して怒らず、注意で済ませたのだった。

('A`)「俺の人生……そんな感じのが多いのよ。悪く考えすぎてると、
    案外、現実は大したことなかったり……そんなんばっかだな」



181: ◆tOPTGOuTpU :2007/06/20(水) 00:22:42.94 ID:yX/7MV3Y0
('A`)「だからさ今回も、殺されるとかは無いんじゃねーか、て思ってるっていうか……」

そうだ、そうなよな、ドクオ……と、口には出さず、心で唱える。

( ^ω^)「なんか、心が晴れたお」

でも、僕が本当に、本当に無事だったとしたら
ツンを突き放したことが無意味となってしまう。

ズキン、と心臓に痛みが刺さる。泣きそうになるが、堪える。

(´・ω・`)「それでも……まだ、怖いものだね」

('A`)「……そりゃ、決まってるじゃん」

(´・ω・`)「どうなるか、分からないんだよ……」

(  )「怖がる必要は、ないぞ」

謎の声が聞こえ、風が強く舞う。
反射でその声の主を見上げるも、砂埃により一瞬を取られ、姿の確認を出遅れる。



197: ◆tOPTGOuTpU :2007/06/20(水) 00:48:41.47 ID:yX/7MV3Y0
( ´_ゝ`)「覚悟は必要だがな」

流石、いや……今は兄者と言った方が良いだろう。
似た顔つき、体格の……弟者が側にいるから。
この2人は、スーツを着てどこかダウナーな印象がある。
普通ならサラリーマンにしか見えないだろうが、
僕にはやはり、死神にしか見えない。

(´<_` )「よろしい。3人とも来たな。では、立て」

( ´_ゝ`)「時計台のある方面の出口の近くに、我々のバンが停車している。
       それに乗り込め。確認次第、我々も乗る」

僕らは心なく、立ち上がる。
この兄弟が来たせいで、今までの勇気とか……
希望はまるで弾けて飛んでいってしまったかのようだった。

('A`)「行くか……」

( ^ω^)「うん……」

(´・ω・`)「そうだね……」

殺される、という心配は少なくなったが、それでも……恐ろしい。

まるで処刑台に向かうかのような足取りで、僕らは流石の言うバンへ向かう。



198: ◆tOPTGOuTpU :2007/06/20(水) 00:51:01.83 ID:yX/7MV3Y0
そのバンは、やはり 白かった。
そしてその近くに作業服の男が2人、屯していた。

まるで獰猛な肉食獣のような目で、僕らを睨みつけ、
バンのドアを開ける。1人が命令する。

(=゚ω゚)「乗れ」

僕らは黙って頷き、乗り込む。
煙草の匂いが充満していて、肺が痛む。

窓を見つめていると、流石兄弟もやってきた。

(=゚ω゚)「お疲れ様です!」

( ´_ゝ`)「ああ。行き先は分かっているな?」

(=゚ω゚)「はい! 勿論です」

(´<_` )「さて。お前らにはこれを着けて貰おう」

弟者が僕達にアイマスクとヘッドホンを手渡した。
どうやら、目的地への道筋を見せるつもりは、毛頭無いらしい。

全員がその2つを装着すると、エンジンの音が鳴り響くも、
ヘッドホンから流れるラジオのニュースの音声にすぐに掻き消された。



201: ◆tOPTGOuTpU :2007/06/20(水) 00:53:35.46 ID:yX/7MV3Y0
バンが発車したのが、感覚で分かる。
 そうか、僕らはとうとう連れて行かれてしまった。
  この状況では、ツンのことが仕方ない と考えてしまえるから不思議だ。

煙草の煙の充満する、この車内の空間も今は気にならない。


僕は視界は遮られているが、天を見る。



生まれて初めて神様に祈る気がする。

僕達をどうか、救ってください――と。

この街の陰謀を、解き明かすのにどうか……手を貸して下さい―――



202: ◆tOPTGOuTpU :2007/06/20(水) 00:54:31.45 ID:yX/7MV3Y0
______Special/Blown It (Delete As Appropriate)______


(1)目的
 この案は、偶発的に発生した特殊な一般人の対処法、またその保護認定を
 行い、CPの目的を補助することを目的とする。

(2)定義
 ヴィップの地下の存在を独自に探求し、解明する。
 その条件を満たし、且つCPの認定を受けた一般人の総称。

(3)設定
 定義の条件の満たし方により、処分方法を変更させる。
 変更の選別については、次項にてその定義をする。

 (a) 特別候補生
 (b) 奴隷
 (c) 処分

      ………   ______      ……(第8話終)



205: ◆tOPTGOuTpU :2007/06/20(水) 00:58:04.51 ID:yX/7MV3Y0





         第1章「Nowhere Man」終



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