( ^ω^)は綺麗な街に住んでいるようです

4: ◆tOPTGOuTpU :2007/08/07(火) 20:42:57.48 ID:Vx6R5We30
第12話

「いらっしゃいませー! こんばんわー!」

店員の威勢の良い挨拶を受けながら、店内を徘徊し始める。
流石に夏休みだから、というべきか
夜10時を回ったこのコンビニ内には、DQNの客が溢れていた。

('A`)「どうするか……な……」

躊躇いなく、酒のコーナーの前に立ち、ビールの壁を眺め、一考する。
スペシャルとなった俺は、正直なこと言うと金を持っている。
だから、いっちょ高級なもの…………あ

(;'A`)「……!」


俺は思わず、そそくさトイレのスペースに篭り、身を隠した。
そして……恐る恐る、窓から自分が先程まで居た、酒コーナーの前を見る。

(^ν^)「どれにするかはしぃ次第!」

(*゚ー゚)「えぇ〜お酒なんてわかんないし! それにめちゃ弱いんだよウチって〜」

(^ν^)「酔ったしぃが可愛いらしい!」

イチャつきあうカップル。この2人を見て否応なく思い出されるのは、小学校の頃の記憶。



5: ◆tOPTGOuTpU :2007/08/07(火) 20:44:20.68 ID:Vx6R5We30
「……あらー、どうしたのドクオ君? グループ研究は皆で行わないと……」

先生のその言葉を、机に突っ伏して眠ったような姿勢で聞いていた。
5年生の頃だったかな……班のグループ研究で、
俺の意見が通らな過ぎなもんだから、ふて腐れてたんだった。


( ・´ー・`)「せんせー! ドクオなんか気にしなくていいでーすw」

(^ν^)「ドクオのイジケが面白い!」

(*゚ー゚)「やだぁ〜、ブイソク君ってばwww」

そんなからかい言葉に特に気に留める様子もなく先生は
班の皆に、グループ研究の方法やらを問いかける。

俺だけは1人、独りぼっちになって、机に……


('A`)「……ふん」

涙は出なかった。でも、
いつだって心は、ポッカリと穴が空いたままだった。
本当に、人生なんてくだらないんだな、て思った。



7 名前: ◆tOPTGOuTpU [>>6 名前あったんだ。] 投稿日: 2007/08/07(火) 20:46:25.60 ID:Vx6R5We30
そんな、余計にイジけてしまいそうな出来事。
最初はただ、構って欲しかった。
ただ、俺に目線だけでもいい、向けて欲しかった。

でも、いつだってそんなときは………。
ブーンどショボンと、一緒だった。

('A`)「……くっそ」

俺は、いつの間にか憎々しいと言わんばかりの視線を、カップルの2人に浴びせていた。
勿論その2人は気付くこともなく、レジ台へと向かっていった。

別に、イジめられていたわけではない。
ただ、合わす顔などない。あんな充実した奴らに、燻っているこの姿は見られたくなかった。
もう、構って欲しくなかった。
あのカップルは俺を見れば、笑い嘲るに決まっている。


あのカップルが店内から消えたのを見計らってから、
俺はさっさと酒を数点選んで、何故か焦燥感に駆られながらも、レジ台の上に置いた。

無気力でだらけている店員が、俺の年を気にすることなく、酒をレジに通していく。
そういえば、一番最初にお酒を買ったのも、この店員からだった。

どうみても中学生のこの俺がお酒を買ったら、どんな反応するんだろうって――――



8: ◆tOPTGOuTpU :2007/08/07(火) 20:48:21.95 ID:Vx6R5We30

(^ν^) すいませんコレの名前をニューソ君へ変更お願いします。

(*゚ー゚)「やだぁ〜、ブイソク君ってばwww」これを
(*゚ー゚)「いや〜だぁ〜、ニューソ君ってばwww」こんな感じに



11: ◆tOPTGOuTpU :2007/08/07(火) 20:50:08.22 ID:Vx6R5We30
「ありがとうございましたー、またお越しくださいませー!」

返事だけは元気な店員の言葉を背に受けて、俺は店外から夜道へ進む。
右手のポリ袋には幾つかの酒がぎっしり入っている。破けてしまいそうで少し気になる。

公道から離れてみて、夜のヴィップの小道を、意識して歩いてみることにした。

('A`)「風が気持ちいいな……」

ひんやりとした風が、生暖かいこの空気の中を駆け抜ける。
俺はその恩恵に与り、涼しさを感じていた。

俺は視線を落とし、たった今買ってきた酒類のラインナップを確認する。
350mlのビール缶3本、500mlのレモンチューハイ缶2本。
ビールは少し奮発し、1本400円以上の「極上」を選択しておいた。
スペシャルとなった自分への、お祝いのようなものだった。

ふと脇を見ると、小洒落たベンチがあったので座ることにした。
袋からガサゴソとビールを取り出し、
缶の冷たさと水滴を手に受け止めながら、プルタブを開ける。

('A`)「おぉ……!」

持ち運ぶ際、少し乱雑に扱ったのかもしれない。
泡が勢い良く、飲み口で暴れだす。

俺はそれもひっくるめて一気に喉を何度も鳴らしながら、ビールを体に流し込んだ。
風味ある刺激、炭酸が喉に心地良い刺激を与える。



13: ◆tOPTGOuTpU :2007/08/07(火) 20:52:11.74 ID:Vx6R5We30
(;'A`)「うっうぅ……」

半分ほど飲んだ辺りで、俺は少しストップした。
無意識に、感慨の溜息がこぼれる。

胃の中のビールが暴れ、じんわりとした浮遊感が湧き上がっている。
そして、急に頭が重くなったように、頭をぐらつかせてしまった。
座っているはずなのに、よろけそうになる。

元々、強い方ではない。それにビール以外のアルコールはまるで駄目だ。
そもそもビールを買い始めたのも、くだらない理由からだった。

でも、俺はもう……
ビールさえ飲めれば幸せだ。
もう一度口に缶を持っていこうとした瞬間、
缶の周りにつく水滴が滑り、手から離れてしまった。

('A`)「あっ……!」

派手な音を立てながらビールは地面で思い切り跳ね、横向きにコロコロと転がっていった。

('A`)「あ〜ぁ」

俺は立ち上がり、転がったビール缶を拾った。



15: ◆tOPTGOuTpU :2007/08/07(火) 20:54:03.00 ID:Vx6R5We30
泡が立ち込めているビール缶、残りは少ない。
まあ、いいやと一気に飲み干した。

(;A;)「……ふぅ……?」

飲み終えた瞬間、何故か、何故か涙がボロボロとこぼれていった。
何故だ、幸せって自分に言い聞かせたはずなのに。


あれ……あれ……あれ……
ああ…………あぁ
そうか……

(;A;)「ブーンとショボンが……いないから……」

あの2人、あの2人が居ると、心の穴は閉じて、満たされた。
でも、今は居ない。俺が、突き放してしまった。

あの2人が居なきゃ、俺はどうしようもないクズだってのに。。。
だから俺は、こんな酒の泥濘で穴を塞いでいる。。。。
こんな自堕落な姿を、幸せと言い切っている。

謝りたい、謝んなきゃ。
でも……CPの真実を知るのが……

(;A;)「……怖いよ……」

どうしよう、そう考えていると、ふと後ろから駆ける足音が聞こえた。



16: ◆tOPTGOuTpU :2007/08/07(火) 20:55:32.29 ID:Vx6R5We30
タッタッタッタッタ……

俺の方へ、その足音の主は走っているようだ。
ランニングしてるおっさん辺りだろう、何気なく俺は振り向いた。

('A`)「 !? 」

その人間は異様な姿であった。
その人間は、この夏なのに白のニット帽とマスクで顔を覆い、
「栄光を目指せ! 特攻隊万歳!!」と書かれた鉢巻を巻いていた。

そして最大の違和感、謎は その人間が、鉄バットを俺目掛けて振り上げていることだった。

風を切る音がして、バットは振り下ろされた。狙いは俺の頭のようだ。

('A`;)「うわっ!!」

反射するように、俺は後ろへ跳び、その一撃を回避する。
地面に敷き詰められたレンガと鉄バットが思い切り衝突し、
カァンと耳に響くような音が発せられた。

('A`;)「な……な……な……んで……」

意味が分からない、何故この人間は俺を襲うんだ!?
不可解な襲撃に、恐怖が弾けそうなほど膨れ上がる。

(   )「タカラ隊長がおっしゃった……」



18: ◆tOPTGOuTpU :2007/08/07(火) 20:57:06.84 ID:Vx6R5We30
突然、口を開いたかと思えばその人間は、敬礼のポーズを取りだした。

(   )「お前の人生に、栄光あれ。この戦争が終われば、良い嫁さんを紹介してやろう。
      そして、我が右腕のお前に、幸せを……と……!」

途中で感極まったのか、声が涙声となり、話も途中で止まる。
鼻をグズグズと言わせ、手で目を覆う。

('A`;)「(何だよこいつ……! に、逃げたい……)」

でも、腰が抜けてどうしようもない。下半身が言うことを聞かない。。。

(   )「そんな……そんなタカラ隊長は……!」

しゃがれた声で、喉を鳴らしながら話を再開しだした。

(   )「最後まで……ワシの幸せを……それこそ、殉職されるまで……!
     ワシのことを、考えてくださったのだ……!」

再び敬礼のポーズを取った。

(   )「ハッ! この中島バルケン! 命尽き果てるまでぇェ!!」

そして再びバットを握り直し、ギラリとした眼光を俺へ向ける。
「ヒィ」と情けない声をあげながらも、俺は縺れそうになる足を必死に動かして
その襲撃者から逃れようとした。

(   )「幸せのためにッ命尽き果てるまでェェェェエエ!!」

('A`;)「うわあああああああ!!!」



20: ◆tOPTGOuTpU :2007/08/07(火) 21:00:10.30 ID:Vx6R5We30
後ろを何度も振り返りながら、俺は夜道を死ぬ思いで走っている。
襲撃者も無論、殺意を持ちながら俺を追いかけていた

一体何で!? 一体誰が!? 誰だよ!?

この道周辺は住宅街も、建物もない。助けは呼べない。
ただ、この先を進んでいけば、中央集会所に辿り着く。
あの周辺は住宅街だ、何とかなるかも……それに、この襲撃者は足が遅い。
そう考えながら、逃げていたときだった。

('A`;)「痛ッ!!?」

その打撃に思わずよろけ、膝がガクガク揺れてその場にへたり込んでしまう。
背中に突然、突かれたような打撃を食らったからだった。
背骨がジンジンと痛み、顔を顰め唸ってしまう。

そして、カラァンと硬質状の何かが地面に落下したような音が聞こえる。

どうやら……襲撃者はバットを俺の背中目掛け、投げつけたらしかった。。。

('A`;)「うぅう……!」

痛い……相当強く投げつけたのか……
背骨の棘突起が一つ、ヒビ割れたかもしれぬほど……痛む

襲撃者の足音が止まる。
そして、地面を擦るようにしてバットを拾い上げた。



21: ◆tOPTGOuTpU :2007/08/07(火) 21:01:39.66 ID:Vx6R5We30
襲撃者は体力があまり無いようで、息を切らしながら肩を上下させていた。

(   )「命尽き果てるまでぇェェェェェェェエェェエエ!!!」

金切り声に似た、悲鳴のような叫びだった。
そして、再度バットを振り上げ、自分の頭上へと持っていく。

(   )「クソガキがッ!!!」

('A`;)「ぅっうぅう……」

どうしよう、どうしよう……立ち上がろうと手を地面へ力を込めたときだった。
何かが、手に触れた。

バットはまたも俺の頭上へと、殺意を発しながら向かっていく。

(   )「キイェェェェェェェエェ!!」

('A`;)「うわあ!」

俺はがむしゃらに、先程まで手に触れていた何か……石を、
思い切り襲撃者の手元へ目掛けて投げつけた。

(   )「うぐぬ!?」

見事、その石は襲撃者の右手の甲に命中した。バットの軌道は大分逸れて、
俺の傍の地面へ、へなへなした打撃を加えた。



24: ◆tOPTGOuTpU :2007/08/07(火) 21:04:22.62 ID:Vx6R5We30
(   )「ぐぐぐ……ぬぁ!」

手の痛みに呻いているその間に、俺は震えながらも立ち上がった。
背中はまだ熱せられたように痛む。走るのはどうやら無理なようだ………。

('A`;)「………!」

……さっきから、気になっていた。

(   )「この……クソガキめ……!」

この声、何処かで聞いたことがある。
訝しげに、襲撃者の顔をよく眺めてみた。

( ,'3 )「くずがッ……うぅぐ……ぐぐ……」

('A`;)「あっ……!」

この顔……この老人はあの鬱陶しいジジイだ!
十日前の集会所で会ったのが最後だろうか。
そういえばあの日の帰り、ブーンが注意してたな。。。

そうだ、そう……ブーンが……言ってた。
気をつけろって、このバルケンという奴には。。。

( ,'3 )「殺す……」

バットのグリップに力を込めなおし、バルケンは目に怒りを宿らせながら、
呪詛のように言葉を吐く。



26: ◆tOPTGOuTpU :2007/08/07(火) 21:07:53.95 ID:Vx6R5We30
( ,'3 )「命尽き果てるまでぇェェェェッ!!」

バルケンはバットを下から斜め上目掛けて振り上げた。
俺の左膝にそれは直撃し、またしても新たな痛みが増えてしまった。

('A`;)「いってえ!!」

膝を庇うよう、少し前屈みになり、左手でその膝を覆った。
骨に直接響いたようなその痛みは、背骨のそれと勝るとも劣らぬ勢いだった。

('A`#)「こ……のォ!!」

そのままの体勢から、右肩を突き出して、
倒れこむようにバルケンにタックルを加えた。

( ,'3 )「ぬお!!」

バルケンの体はまるで俺を包み込むような状態となりながら、地面に倒れた。
そのお陰か俺は衝撃を何一つ食らうことはなかった。

地面に衝突したときから、バルケンは苦しそうに呻き声を上げていた。
俺は膝の痛みを堪えながら、よろよろと半身を起こした。

( ,'3 )「このクソガキ……!」

('A`#)「このクソジジイがッ!」

バルケンへ憎々しげな視線を送る。
ん? 気が付くと、バルケンは左手に何かを握っていた。



28: ◆tOPTGOuTpU :2007/08/07(火) 21:09:37.98 ID:Vx6R5We30
('A`)「あのときの……石!?」

バルケンは倒れたままの姿勢で、左腕を円を描くように振り上げて、
手に持つ石を俺の右コメカミにむけて、殴りつけた。

(゚A゚)「あがッ……! は……!」

眼球が飛び出るかと思うほどの衝撃、苦痛。
頭蓋骨が揺れ、ぐわんぐわんと脳味噌を揺さぶるような痛みが頭全体を駆け巡った。

(゚A゚)「い……てぇェ!!」

頭を抱えながら、横に倒されたドラム缶のように転げ回った。
額に電撃が走ったかのような痛み、朦朧とする意識。

(゚A゚)「あぁァ……ぐ……!」

暫く頭を動かすことは出来ない。


( ,'3 )「お前なぞ……お前なぞ……!」

バルケンが体を震わせながらズルズルと体を這わせ、バットを拾う。

( ,'3 )「何でお前のようなガキが……! 幹部……!!
     わしなんか……わしなんか……!!」

舐めるようにグリップを手で弄ばせながら、ブツブツと呟く。



29: ◆tOPTGOuTpU :2007/08/07(火) 21:12:12.62 ID:Vx6R5We30
( ,'3 )「……死ね……クソガキ……!」

その瞳は俺へと向けられた。
何も見ていない、上の空のような目だった。
しかしその瞳はちゃんと見ている。俺を。

( ,'3 )「……キヒ……キヒィ……死ねガキ……」

('A`;)「うっ……うぅう……!」

動けない。体を持ち上げれば、必然的に頭も動き、
結果、耐え難い頭痛が生じる。


ここで、俺は死ぬのだろうか……?
何も出来ず、何もかもから逃げて、それで……
袋小路が、ここ……?
やっと、やっと、ブーンとショボンに謝ろうと考え出した、この今が、
俺の死ぬとき……?

そんなの……


(;A;)「嫌だ……よお!」

それでも、じりじりとバルケンは俺との距離を詰めていく。
既に、バットはバルケンの頭上に在り、俺の頭を叩き割ろうとしている。



30: ◆tOPTGOuTpU :2007/08/07(火) 21:13:40.33 ID:Vx6R5We30
もう、駄目だ……
終わりか……
やっと、まともな存在、スペシャルになれたというのに、
嫉妬に狂ったこの老人に殺されるなんて……


(;A;)「ひぃ……ひぃぃ……!」

( ,'3 )「え、栄光……!!」

無理にでも体を起こそうとすると、やはり響くような頭痛が走り、泣きたくなる。
四肢なら何とか動かせるが、
胴体が動作すると、頭も動いてしまう。

(;A;)「や、やめて……」

( ,'3 )「命尽き果てるま………がぁ!?」

突然、バルケンが突っ伏して倒れ込んだ。そして唖然とした表情で、地を見つめていた。
一体、何事だ? と俺はバルケンの後ろを凝視した。


(;A;)「……人……?」

人影があった。
その人間は、バルケンを足で踏みつけ、そして見下ろしているようだった。

(  )「何を……やっている中島バルケン」



32: ◆tOPTGOuTpU :2007/08/07(火) 21:16:22.34 ID:Vx6R5We30
その謎の人間の声は、やはり何処かで聞いたことがある。
確か……確か、その声は

( 。゚3 )「……さ、流石様……!」


( ´_ゝ`)「幹部候補生の男をたかが老人会の一員が、殺害するだと?」

兄者だ。
その横には、弟者がまるで虫けらを見るかのような目線でバルケンを見ていた。
この2人はいつの間に、この至近距離に近づいたのか。
一切の気配を感じなかった。

( 。゚3 )「ひ……ひいいいいいぃぃ……」

バルケンはあらん限りに目を見開き、
体を恐怖で震わせていた。
その額には、汗が溜まっており外灯に照らされ、てらてらと光っていた。

(´<_` )「兄者、やはりコイツは……」

( ´_ゝ`)「ああ弟者。今日の会議のときの様子が可笑しかったからな」

( 。゚3 )「ゆ、許してください流石様ァァァッァァァアアア!!」

バルケンは軋むであろうその老体を必死に動かし、
流石に向かって土下座をする。
その息遣いは荒く、「ヒィ、ヒィ」という声が漏れていた。



34: ◆tOPTGOuTpU :2007/08/07(火) 21:17:54.45 ID:Vx6R5We30
(´<_` )「決行日が今日だとはな、この小僧が動いたのは……」

( ´_ゝ`)「うむ、まあ偶然であろう。そして、我らが現場に遭遇したのは……」

( 。゚3 )「流石様……寛大な、処置をっぉぉ……お願いしまひゅぅ……」

俺の方向からでは、バルケンの体は背中と足しか見ることが出来ない。
にも関わらず、歯を鳴らしているが伝わってくる。それ程までに音は大きかった。

( ´_ゝ`)「ドクオよ、運が良かったな。ちょうど、この日でな」

( 。゚3 )「流石様……流石様……」

(´<_` )「鬱陶しいな」

( ´_ゝ`)「中島バルケンよ」

兄者は屈み、バルケンの耳元へ口を近づける。

そして、3文字だけ、口を動かす。

「だ ま れ」と。

それっきり、バルケンは呻くことも、呟くこともなくなった。
ただ、体を震わせているだけの状態となった。



38: ◆tOPTGOuTpU :2007/08/07(火) 21:25:31.10 ID:Vx6R5We30
( ´_ゝ`)「動けるかドクオ?」

('A`;)「え……あ」

恐る恐る、体を動かしてみる。
頭痛は幾分か治まり、何とか立ち上がることは出来た。

('A`;)「ふぅ……」

(´<_` )「兄者。バルケンの処置は……」

( ´_ゝ`)「うむ、無論レベル5だろう」

( 。゚3 )「さ、流石様ァァ!!!」

その言葉に反応したのか突然、飛び上がるようにしてバルケンは体を起こし、
兄者の足元にすがり付いた。
涙を流しながら、夜ということも考慮せず大声を発し続ける。
それはレベル5という言葉への疑問すら、吹き飛ばす程のものであった。

( 。゚3 )「お、お願いしますッ……わ、わたしは……幸せにならないとッ……ならんのです……!」



40: ◆tOPTGOuTpU :2007/08/07(火) 21:29:08.20 ID:Vx6R5We30
(´<_` )「レベル5よりも上。極刑を望むのか?」

( 。゚3 )「そ……それは……」

バルケンが、今度は弟者に目を向ける。

( ´_ゝ`)「これ以上抵抗するのなら、奴隷などでは済まさぬぞ」

いつの間にか、兄者はスタンガンを手にしていた。
電源を入れたのか、電流は既に流れており、火花を散らせていた。
兄者は弟者に合図を送る。
すると弟者が兄者の足元のバルケンを強引に引き離し、羽交い絞めにした。

そして兄者はにやりと笑いを浮かべながらスタンガンを弄んだ。
かたやバルケンの顔、体の全ては恐怖を表現していた。

やがて兄者がまたも弟者に合図を送ると、今度はバルケンの老体を押し倒すように倒した。
もはやこれは虐待と呼ぶべきものであった。

バルケンは必死で起き上がろうとするが、足腰が痙攣を起こしていた。
息遣いも激しく、命の灯火が消えてしまいそうであった。

とても俺を襲撃しようとした人間と同一人物とは思えなかった。



42: ◆tOPTGOuTpU :2007/08/07(火) 21:31:44.83 ID:Vx6R5We30
( 。゚3 )「はぁっは……ばはは……」

どさり、とバルケンは仰向けに倒れた。
時々笑い声に近い何かを口から吐き出しながら、頬に涙を垂らし続けていた。

( ´_ゝ`)「ドクオ、家まで送っていってやろうか?」

('A`)「へは!?」

思わぬ言葉に、俺は間抜けな声を出してしまった。

(´<_` )「そこまでする必要はないであろう、兄者」

しかし、弟者に制されてしまった。

( ´_ゝ`)「ふむ……。このじじいの処分もせねばならんしな」

( 。゚3 )「あっ……あっ……!」

(´<_` )「しかしこの年齢で奴隷化とはな……史上初ではないか? 兄者よ」

( ´_ゝ`)「いや、借金を返せなかった80の爺が1人居た。
       3日でくたばったがな……ハハハハハ………」

心底ゾっとするような談笑だった。
バルケンへの同情も、そんな恐怖で覆い隠され、やがては消え失せた。



54: ◆tOPTGOuTpU :2007/08/07(火) 21:58:13.77 ID:Vx6R5We30
('A`;)「…………」

( 。゚3 )「ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ァァッ!!!」

( ´_ゝ`)「帰るがよい」

絶叫するバルケン、帰れと促す兄者。
まさしく、ここは地獄だと確信する。

( 。゚3 )「イ゙イ゙イ゙ィヤ゙ァァァア゙ア゙ァアアアッ!!!」

(´<_` )「さっさと失せろ」

未だに痛む背骨を擦りながら、俺は振り向くことなく挨拶することなく、
この地獄から逃げ出した。

その間際、兄者がぼそりと言う。

( ´_ゝ`)「これがCPだ、ドクオ」


後ろから聞こえるバルケンの断末魔の叫びを聞く度に、心が裂けそうだった。

―――ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ァァ………

そして兄者のこの言葉が、脳内で繰り返し再生される。

"これがCPだ、ドクオ"



57: ◆tOPTGOuTpU :2007/08/07(火) 22:01:29.97 ID:Vx6R5We30
俺は……老人すら容赦せず奴隷扱いし

"これがCPだ、ドクオ"

あまつさえ、それを話の種にして笑う……

"これがCPだ"

そんな……そんな……組織に……

"CP"

('A`)「何を求めていたんだ……!」


嫌だ、嫌だ……!
もう、嫌だ!! 俺には居場所なんて、1つしか無かったんだ。

助けてくれ、ブーン、ショボン…・・・!

助けてえ!!!



・・・ ・・・・



61: ◆tOPTGOuTpU :2007/08/07(火) 22:03:09.54 ID:Vx6R5We30
・・・ ・・・・

( ^ω^)「……お?」

ふと、目覚めたかのような感覚。
バラエティ番組を見て笑っていたのに。
突然誰かから名前を誰かに呼ばれたような気がした。

( ^ω^)「何だか不気味だお!」

気にしないで、テレビを見ていよう。
そう考えたとき、ケータイがメールを受信した。

( ^ω^)「誰だお?」

from ジョルジュ
sub 明日

明日の昼1時に、友達とカフェ「ファイア」に来てくれ
勿論奢るぜ。カウントダウンについての話だ。



( ゚ω゚)「キタ――――!!」



64: ◆tOPTGOuTpU :2007/08/07(火) 22:05:11.84 ID:Vx6R5We30
カフェ「ファイア」は、カントリー調の店内と緩やかな雰囲気が人気の、
いわゆる"若者向け"の店だった。
ビリヤード場の隣に位置しているのも更に人気を高めている。

ジョルジュからのメールを貰った次の日。
僕とショボンは「ファイア」に時間通り来店した。

店員に待ち合わせの旨を伝え、店内を見渡すと、
「Mother's Milk」とプリントされたTシャツを着ているジョルジュを発見した。

( ゚∀゚)「おーい、こっちこっち!」

( ^ω^)「マザーズミルク……?」

( ゚∀゚)「あん?」

( ^ω^)(´・ω・`)「母乳……?」



( ゚∀゚)b

d( ^ω^)


d(´・ω・`)b



66: ◆tOPTGOuTpU :2007/08/07(火) 22:08:33.03 ID:Vx6R5We30
( ゚∀゚)「まあ、座れ」

( ^ω^)「わかりましたお」

( ゚∀゚)「おっと敬語は不要だぜ」

(´・ω・`)「おう、了解したぜ」

今日のショボンは機嫌がいい。
2人揃って席に着き、メニューを広げる。
カフェの割には異常な程、カクテルが充実していた。
とりあえず、2人してメロンソーダを頼む。


(´・ω・`)「それで……カウントダウンについて、一体何を?」

ショボンが早速本題に入った。

( ゚∀゚)「ん……そうだな」

おどけていた顔が、一気に引き締まった。

( ゚∀゚)「まずは、謝っておかねえとな」

( ^ω^)「お?」

( ゚∀゚)「カウントダウンの目的を知ったのは、随分前だ……10日ほどな。
     だが、その信憑性やらを確かめるために、こんなに知らせるんが、遅くなっちまった」



68: ◆tOPTGOuTpU :2007/08/07(火) 22:12:30.02 ID:Vx6R5We30
(´・ω・`)「いや……謝罪には至らない」

( ゚∀゚)「……そうか」

店の有線ラジオから流れているミクスチャーバンドの"夏ウタ"が緊張感を和らげる。
ウェイターの持ってきたメロンソーダをちびちびと飲み、ジョルジュの言葉を待った。

( ゚∀゚)「カウントダウンとは……要するに、選別だ」

( ^ω^)「選別?」

( ゚∀゚)「ああ……。選ばれた人間のみが、ヴィップに住む。
     それを実行するのが、カウントダウンという計画なんだ」

(´・ω・`)「もう少し、詳しく」

( ゚∀゚)「ああ、わかった」

ジョルジュはここで肩の力を抜くような動作を行う。

( ゚∀゚)「そもそも、ヴィップてのは山に囲まれたベットタウン……。
     幾らテレビや雑誌で"綺麗な街"と紹介されて有名になっても、やはり外界とは少し、遮断されている」

ヴィップの地理状況について、の話だ。
確かにここはあくまでもベッドタウンで、関係のない人間が来ることは稀だ。

( ゚∀゚)「そんな土台だと、一つの組織が根強い力を持ちやすくなるってのかな」



69: ◆tOPTGOuTpU :2007/08/07(火) 22:15:05.60 ID:Vx6R5We30
周りの喧騒が聞こえなくなるほど、集中してジョルジュの話に耳を傾ける。
ショボンも同様に、瞬きすらしていなかった。

( ゚∀゚)「だからこんな計画が可能なのかもしれねえ」

(;^ω^)「は、早く教えてくれお」

( ゚∀゚)「カウントダウンは、住民を地下へ拉致させ、
     地上の"綺麗な街"を、選別された人間が住む。
     そして、気に入らない住民は虐殺する」

(;^ω^)「なッ……!」

唖然。

(;´・ω・`)「そ、それがカウントダウン……!?」


( ゚∀゚)「これが、俺達が立ち向かわねばならねえ……代物だよ」



73: ◆tOPTGOuTpU :2007/08/07(火) 22:19:44.01 ID:Vx6R5We30
理解など、出来るはずもなく唖然とするしかなかった。。
僕も、ショボンも。
アリエナイ。
倫理観も利益も現実味も何もかもを無視した、狂気に塗れた話だった。

( ゚∀゚)「今、何日か分かるか?」

(´・ω・`)「ええっと……集会所が8日だったから、19日だね」

( ゚∀゚)「カウントダウン実行日は、29日の深夜だ」



( ゚∀゚)「あと、10日……」

残された時間は、僅か10日。
遠くない日のうちに、ヴィップは滅ぼされてしまうのか。

(;^ω^)「そんな……そんな……そんなことって……!」

それは、想像以上に邪悪で、壮大で、意味の不明な計画だった。
あまりにも非現実過ぎるその話、疑問は余るほど生まれた。

(;^ω^)「でも……そんなの非現実的だお! け、警察とか!」



76: ◆tOPTGOuTpU :2007/08/07(火) 22:21:54.33 ID:Vx6R5We30
( ゚∀゚)「俺もそこは気になっているが……何か策があるんだろう。
     国家権力すら黙らせる……策が」

(;´・ω・`)「一体どんな……」

(;゚∀゚)「わからねえ!! ……だが、CPは絶対、何かある。
     何せ奴らは、海軍すら呼んできてるんだぞ!」

それだけ一気に捲くし立てると、ジョルジュは胸ポケットから煙草とライターを取り出した。
オレンジ色の、チープだが親しみやすいデザインの煙草だった。
その煙草に火をつけ、ジョルジュはしばしの間、言葉を失くしていた。

やがて、それを吸い終えると灰皿に吸殻を捨てる。
何かを決意したような瞳をしながら。

( ゚∀゚)「なあ……お前達はただの高校生で、俺は大学を中退した使いっぱだ。
     CPの裏がある以上、何かに頼るのは危険だ。
     それでも、このカウントダウンを止める気は……あるか?」

(;^ω^)「………!」


絶望的な状況だ。
可能性など、考えたくもない程低いだろう。

( ゚∀゚)「乗るか乗らないか、決めて欲しい」



80: ◆tOPTGOuTpU :2007/08/07(火) 22:24:47.60 ID:Vx6R5We30
(;^ω^)(;´・ω・`)「…………」

僕もショボンも、押し黙ってしまった。
カウントダウンの全貌に圧倒された上に、絶望的なこの現状。
今の状態を把握するだけで精一杯だった。

「カウントダウンを止めるか」

( ゚∀゚)「……俺の夢はな、昔はおっぱいパブの経営者になることだったのよ」

気が付けば、ジョルジュは自らの夢を語っていた。

( ゚∀゚)「だがもう、変わっちまったな。たまたま……ヴィップの秘密を知ったってだけで捕らわれて。
     オツムが悪いからって、パシリ扱いされて…………。
     挙句、バカにされるんだぜ!? そりゃねーって話だろ!?」

( ^ω^)「…………」

( ゚∀゚)「……友達も出来ない。 やりがいのない、ストレスしか溜まらない仕事。
     人生ってつまんねーんだな、て思った」

口を挟むことの出来ない語りだった。

( ゚∀゚)「そんな俺の今の夢はな、"あいつらを見返したい、あいつらより上に立ちたい"なんだよ。
     人間、こんな夢持っちまったら終わりだよな……」

自嘲するように少し笑いながら、もう1本煙草に火をつける。



85: ◆tOPTGOuTpU :2007/08/07(火) 22:29:20.32 ID:Vx6R5We30
( ゚∀゚)「そんな感じでよ、やる気はめっちゃあるんだぜ。
     ま……気分は特攻隊だな」

( ゚∀゚)「だから……カウントダウンは止めてみせる!」

力強い口調で、はっきりと決意を口に出した。
そして、今度は僕達に「お前達はどうだ?」と言いたげな視線を送る。


(;^ω^)「……僕は……」


どうすれば、いいのか
このまま、ジョルジュとの話は無かったことにして、
見て見ぬ振りをして、カウントダウンまで待つか。
それとも、ジョルジュに乗って、CPに真っ向から反抗するか。


( ^ω^)「……決まってるお」

この話を聞いて、乗らない人間なんか居ない。
自分の街が危機に晒されているというのに、知らぬ振りなど出来ない。

反抗せず、カウントダウンを見逃しても、僕達は生きていけるのだろう。
相当な地位を得ることも、可能だろう。

でも、
街の人達を見捨てて得た幸せなんて欲しくない!



89: ◆tOPTGOuTpU :2007/08/07(火) 22:32:36.48 ID:Vx6R5We30
( ^ω^)「街の人達見捨てたら、罪悪感で死にそうになるに決まってるお!」

( ゚∀゚)「 お 」

いつの間にか、無意識に呟いてしまった。しかも、それはどうやら大声で発していたようで、
隣の席の人が訝しげにこちらを眺めた。 僕達3人は自制しつつ話を進めることにした。


(´・ω・`)「選ぶも何も、分岐点なんて無いよ。 カウントダウンを止めるしか、ない」

( ^ω^)「ショボンもかお」

(´・ω・`)「当然さ。僕だって、この街は絶対に見捨てたりなんか、出来やしないって」

( ゚∀゚)「うお、うお、うお!」

自制するつもりのはずが、どんどん盛り上がり始める。


( ^ω^)(´・ω・`)「カウントダウンを止めてみせる!!」

( ゚∀゚)「っしゃああ!!!」

ジョルジュが喜びのあまり、思わず声を上げて立ち上がった。
これには流石に隣だけでなく、周りの客までが「何事か」と僕達を眺め始める。

(;゚∀゚)「……店、出るか」

(;^ω^)「うん」



92: ◆tOPTGOuTpU :2007/08/07(火) 22:34:49.62 ID:Vx6R5We30
ジョルジュが会計を済ませている間、僕は店内をざっと見回してみた。
殆どが木材で作られているこのカフェは、火がつけば簡単に燃え上がるんじゃないだろうか。
そう考えてしまうと、「ファイア」という店名が皮肉のように思えてしまう。

(´・ω・`)「外がくそ暑いってのに。この店名は頂けないな」

( ゚∀゚)「よし、じゃー……ヒルズまで送ってってやんよ」

店先の白いミニカのロックを外しながら、ジョルジュは威勢よく言い放つ。
何だかんだで、僕達は高揚感と充実感を手に入れていた。

「カウントダウンを食い止める」という目的を共有したからかもしれない。
途方もない、絶望的な計画だというのに、やる気が奮い立ってしょうがなかった。
止めてみせる。

車内、移動している最中にふと、
とあることを思いついた。

( ^ω^)「ドクオを誘わないかおショボン?」

( ゚∀゚)「ん? あの陰キャラ臭えあいつか?」

( ^ω^)「そうだお、集会所で会った」

(´・ω・`)「……ま、どうせ逃げるだろうけどね」

( ^ω^)「でも……ドクオは友達だお、もう一度、仲間になりたいんだお」

ショボンがやれやれと笑いながらも、清々しく微笑んでいたのが印象的だった。



94: ◆tOPTGOuTpU :2007/08/07(火) 22:39:18.75 ID:Vx6R5We30
―――……、、ザザァ……ザァ……ァ……・・・


波の打つラウン湖の浜にて、僕は彼女のことを考えていた。

( ・∀・)「…………」

この湖の底には、彼女の死体が存在するのだろう。
しかし、水死体は相当グロテスクなものらしいので、僕はこれ以上の想像を止めることにした。

( ・∀・)「寂しいな……」

僕の唯一の話し相手であったクー。
そんな彼女を、僕は自分の手で握り殺してしまったのだ。

後悔はない。彼女の父は、ヴィップの街を、汚したのだから。
それを黙りながら、共にヴィップの未来を語り合っていたかと思うと、
今でも怒りで吐き気が込み上げる。

それでも、寂しいものは寂しい。
彼女のために僕は、やっとの思いでベクシンスキーの作品集を手に入れたというのに。
廃墟の写真集も、色々。 贈りたかったなぁ……。

視界が妖しくぼんやりと霧がかかったようになる。
湖を見ていると、彼女の体まで欲してしまう。
あの色気付いた体にむしゃぶりつきたい欲望に駆られてしまう。

駄目だ、妄想が止まらない。
僕の頭の中では彼女が段々と色濃く現れていく。



96: ◆tOPTGOuTpU :2007/08/07(火) 22:41:42.83 ID:Vx6R5We30
(;・∀・)「っがぁあ!!」

欲望を打ち消すように叫び、握りこぶしを作った。
後悔が無いように、と考えたのは自分だろう!?
何をやっているのだ僕は!!

ラウン湖の水を掬い上げ、掌に転がるそれを眺め続ける。
それを捨てながら、やがて僕はあることを思いついた。

( ・∀・)「彼女の像を作ろうか……」

確かに僕は、彼女に恋していた。愛していた。しかし、殺してしまったのだ。
ならば、新たに作るまで。
それも、とびきりに豪華な像を作ってやろう。
女神のような。

僕がヴィップを支配した暁には、彼女の聖像を公園にでも立ててやるか。

何故なら僕は……

( ・∀・)「モララー・シティーポリスマン……"支配者"なんだから」(第12話終)



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