( ^ω^)は綺麗な街に住んでいるようです

86: ◆tOPTGOuTpU :2007/08/22(水) 21:50:49.39 ID:pIvl3DWs0
第16話

(;゚∀゚)「痛……ててて……あー、くそ」

何とかあの軽トラの爆発には巻き込まれなかったが、
火山弾のように飛び散った車の破片を数発、背中に食らってしまった。

……ただでさえ、使い物にならない体だってのに。
背の痛みをじっと耐えて、ただただ歩きだした。

松葉杖が無くとも、歩けないことは無いだろうが
やはり、あると楽だ。 こちらのが速く進むことが出来る上、負担が少ない。

(;゚∀゚)「はぁ……はぁ……はぁ……」

歩く、歩く。

今まで車で走ってきた道を歩く。 
ここはフェイスレスロード……いわゆる、のっぺり道。
変化なく一本道が続くのみ。景観も変化は無い。

疲れ以外、今まで歩いてきた距離を測れそうにはない。
いや……その疲れすら、
今の体では 役立たずな指標になりそうだ。

……役立たず。 役立たず。         役立たず。



87: ◆tOPTGOuTpU :2007/08/22(水) 21:53:42.59 ID:pIvl3DWs0
……嫌な言葉だ、「役立たず」って。

"人間誰もが一役演じる"

この有名な台詞に乗っ取って言えば、俺は人間ですらない。

…………。

勿論、「役立たず」だなんて言葉は
そう俺を罵り嘲る人間の秤から生まれたものだ。
その人間の価値観でしか無い。
はっきり言ってしまえば、その「役立たず」という言葉は
俺の人生には何一つ関係のない。

だけど、
それを受け流すことは、俺には出来なかった。

…………。

無理矢理拉致されて、フーに罵声を浴びせられながら授業に四苦八苦し、
「クズ」という言葉とともに雑用に成り下がって、
周りから卑下の目で見られ、雑務を淡々とこなすしか出来なくなった俺には、
友達も出来ず、信じる人間も居ず、ただただ人生を食いつぶしてきた俺には、

受け流すことなど、出来やしなかった。



88: ◆tOPTGOuTpU :2007/08/22(水) 21:56:40.41 ID:pIvl3DWs0
堕ちていった俺にとって、その「役立たず」「クズ」なんて言葉は
まさに無防備な腹を刺されたかのように、痛かった。
致命傷と思えるほど、痛かった……。

苦しかった。
だけど言い返すことなど出来なかった。

「見返してやりたい」
何度も何度も、心臓を抉るように締め付けながら、
歯を食いしばって、何度も何度もお経のように、心の中で叫び続けた。

でも、どうやって見返せばいい?
雑用から昇格など、まずありえないことだった。
雑用を辞めることも、絶対に許されないことだった。

早い話、見返すことなど出来ない。
俺はこうしてこのまま、年を食いながら
お茶を汲んだり、書類をコピーしたり、あらゆる場所での掃除をしたり、
まるで「責任」の無い仕事をやらされ続けるんだ。

皺が出来ても、白髪が生えても禿げても、
腰が曲がっても、声が枯れても。ずっと。

ただただ、雑用をするだけなんだろう。
若い人間に馬鹿にされて、苛められて。

そうして……死んで…………でも、
代わりの人間が………仕事を軽く引き継いで……俺は、忘れ去られていくんだろう……!



90: ◆tOPTGOuTpU :2007/08/22(水) 21:58:53.15 ID:pIvl3DWs0
そんな自分の未来を考えるだけで、
五臓六腑が焼かれるような感覚に陥った。

理不尽な現状にどれだけ涙しただろうか。
これからの未来にどれだけ絶望しただろうか。


明日を別の日だと、信じることが出来なかった。

俺にとって明日は今日だった。
変化のない。明日は今日で、昨日。
変わりはない、毎日の連続だったから。
「とある一日の生活」を永劫繰り返していた。

一瞬一瞬をありのままに受け入れてたら、
俺はきっと今頃、無気力人間になっていただろう。
いや、今までも、半分そうだった。

もう何もかも諦めようとしたはずなのに、
いざ罵倒されると傷ついてしまう。
「未だ自分の尊厳を保つつもりなのか?」と自問自答して、
その問いにすら俺は苦しめられてきた。

クズ、と自分で認めてしまうのを……躊躇っていたな。そういえば。



92: ◆tOPTGOuTpU :2007/08/22(水) 22:02:01.04 ID:pIvl3DWs0
(;゚∀゚)「……ふぅ……」

かなり歩いたと思う。
松葉杖をロボットのように動かして、体も感情無く動作していたから。
それこそ、いつもの雑用の要領のように。

一度、振り向いて今まで歩いてきた道を見る。
爆発の黒煙は流石に見えないものの、焦げ臭い空気がたちこめていた。

やはり"のっぺら道"といわれるだけあって、どれだけ歩いたか分からなかった。

疲れは……あまりない。 こんな心境じゃ感じないのも当然か。

(;゚∀゚)「あそこへは、まだまだじゃねえか……!」

再び移動を開始した。
歩きながら、ただ歩きながら、
俺はまたも
自分の人生について振り返ってみよう、と思った。

この機会だからこそ……。



93: ◆tOPTGOuTpU :2007/08/22(水) 22:04:43.61 ID:pIvl3DWs0
雑用をやらされて、馬鹿にされてるとき、
俺はどう対処しようと思ったんだっけ。
  
……学校の友達への相談はまず、"無い"と思ったなぁ。
いくらクラスで快活にはしゃごうと、
周りから見れば俺は"2番候補の人間だった"から。
親友などじゃない。 だから、体育のときの2人組を決めるときなんかは……
案外、苦労……したなあ。
なまじクラスで目立ってる方だったから、変な目で見られるのが嫌で必死だった。

親も、特に気に掛けてる様子は無かったな。
ここで幹部候補生扱いされたときに「就職した」と言い訳したから、
切り出すのも気が滅入った。


他を考える余裕は無かったなあ……。
何せその当時は、理不尽な現状に腸を煮えくり返していて
先程の2つを考え付くのが奇跡のようなものだった。


…………つくづく馬鹿だ。俺って。

でも、あいつら……ブーン、ショボン、ドクオのお陰で
    うん。   一変したんだ。



95: ◆tOPTGOuTpU :2007/08/22(水) 22:09:17.02 ID:pIvl3DWs0
あの3人は、きっとこう思っていることだろう。
「ジョルジュに色々手助けしてもらった」と「リードして貰った」と。

でも。 違う。
あいつらがいなかったら、俺は動くことなど出来なかった。
「仲間が居る」。 この気持ちに動かされて、
この止める計画をリードしてきた。


……でも結局、その計画内容はかなり無様なもんだけど……。

だけど俺は、生きる指針ってのを見つけた。

俺も、一役演じることが出来た。

明日は別の日だって、信じることが出来た!
見えない明日を……進もうと、思えた。

それだけでも。。。。俺は、あいつらに感謝し足りない。

( ゚∀゚)「……ブーン、ショボン、ドクオ……ありがとう」

( ;∀;)「ありがとよ……本当に、本当に………ッ!!」

今……俺は、あいつらのお陰で、確かにこの「道」を歩いていられるんだ。



99: ◆tOPTGOuTpU :2007/08/22(水) 22:10:43.81 ID:pIvl3DWs0
( ゚∀゚)「礼代わりに……って奴か? いや、違うかな」

自分で、分かりきっていたことだ。

( ゚∀゚)「……でも、その念も込めてる」

腹の空気を吐き出してから
もう一度、まっすぐ道の先を見つめ直した。

どうやら、辿り着けはしなかったが……その必要も無くなったようで。


目の前には待ち構えていたとばかりに
フーと、その私兵10人ばかしが
拳銃を構えて俺の行く手を阻めていた。

( ゚∀゚)「おでましかい、フー、サン?」

ミ,,゚Д゚彡「ああ……クズ君」

フーは言うと同時に躊躇い無く銃弾を放った。
轟音が鳴り響いたかと思うと、間も無く左膝に激痛が生じる。

(;-∀゚)「くッ……ぅう……ぅ!」

為すすべもない、といった感じに俺は壁へもたれ掛かった。
息も更に荒くなり、松葉杖も離れ、落としてしまう。



100: ◆tOPTGOuTpU :2007/08/22(水) 22:13:01.20 ID:pIvl3DWs0
もたれ掛かった状態だが、何とかして背負っているリュックを
奴らの声が上がる前に、胸の辺りまで持っていく。 これで、よし。

(兵`Д´)「てめーかってに何動いてんァコラ!!」

( `Д´)「ゴミが……フーさん、こいつこのまま撃ち殺して昆虫の標本みたいにしましょうよw」

(  `Д´)「あっはっはwwww ゴミ虫なんか標本にしてどーすんだよwww」

(兵`Д´)「どーしますフーさん? こいつらの言うよう、このまま潰しちまいますぅ!?」

ミ,,゚Д゚彡「フン……はは、もう少しは死にいく者に敬意を払いたまえ、お前ら?」

最もらしいこと言いつつも、フーの俺へ向けたその瞳には敬意などは感じられなかった。
単なる嘲り。 それと奴の持つ独特の闇のみであった。

(;-∀゚)「はんっ!」

嘲る私兵に向けて盛大に鼻を鳴らした。馬鹿にするかのように。
すると当然のようにそいつらの反応が返ってきた。 烈火の如く怒っている。馬鹿め。

「撃ち殺す!!」と喚いている私兵をフーが口元を歪ませながら制す。
まだまだ俺をいたぶり足りないらしい。

ミ,,゚Д゚彡「ジョルジュ、何か言い残すことでもあるか?」



101: ◆tOPTGOuTpU :2007/08/22(水) 22:14:23.13 ID:pIvl3DWs0
(;゚∀゚)「……」

ミ,,゚Д゚彡「どうした? 我々が"情け"をかけてやってるのに……?」

馬鹿馬鹿しい情けだ。

(;゚∀゚)「一服させてくれや」

ミ,,゚Д゚彡「いいだろう。いつも通りの安煙草でも吸っとけ」

どうでもいい、とばかりに興味無いようにフーは言う。
周りの私兵も小ばかにしたようにへらへらした笑いを、顔に貼り付けていた。


ふん、構うもんか。


リュックの中から煙草と100円ライター……を取り出す。
いつも通りの安煙草だ。 エコー。
このオレンジと茶色のストライプの、チープなデザインが大好きだ。



104: ◆tOPTGOuTpU :2007/08/22(水) 22:16:32.27 ID:pIvl3DWs0
ソフトパッケージの包みの中をよく見る。
銀紙が邪魔でよく見えないが、軽く10本はある。


何だ何だ……まだ全然吸ってねぇじゃねえか。
惜しいなぁ。俺は1本取り出し、火をつけ、口に咥える。


優しく吸い、煙を肺に送りこみ、

 味わう。


気持ちよく、一服する。



107: ◆tOPTGOuTpU :2007/08/22(水) 22:18:46.35 ID:pIvl3DWs0
( ゚∀゚)「はぁぁあぁ………」

煙を吐き出す。
それにつられ、笑いを堪えきれなくなったのか私兵たちは痙攣して腹を押さえていた。

"カス"が安煙草を吸っているのがよっぽどおかしいみたいだ。

煙草の値段と人の価値を同等に見るお前らのが"カス"だよ……。
心の中で返す。


エコーは短い。5分もすれば吸い終えてしまう。
優しいこの甘い香りとも もうオサラバか……。
名残惜しむように俺は吸殻を地面に、そっと落とした。

ミ,,゚Д゚彡「お別れだな」

その言葉と同時に周りの私兵が銃を構える。

ミ,,゚Д゚彡「死……」
( ゚∀゚)「待ちな」

言葉を遮り、よっこいしょと壁にもたれるのを止めて、一歩、進む。
そして、挑発。

(#゚∀゚)「俺を撃っちゃっていいのか〜? ぁあん!? コラ!!」



109: ◆tOPTGOuTpU :2007/08/22(水) 22:22:42.72 ID:pIvl3DWs0
(#`Д´)「んだテメェ!! こらッ! おどし掛けるんかいッ!!!」

(兵`Д´)「テメっ!! 上等くれるんかッオラァアアア!!!!」

ミ,,゚Д゚彡「待て……」

予想通り激怒した私兵を軽く止めると、フーは静かに言葉を続けた。

ミ,,゚Д゚彡「何が言いたい?」

( ゚∀゚)「別に? ただ、雑貨倉庫室に行ったてだけだぜ?」

(兵`Д´)「だから何だってんだよボケがァ!!」

ばかめ、と心の中と毒づいた後に、
1人が叫んだ。

(;`Д´)「い、いや待て! 倉庫室にゃダイナマイトがッ!!」

(; `Д´)「な、何だとぉ!!」

突如焦りを伴ったざわめきが、私兵達の間から生まれた。



クス、と俺は笑う。



112: ◆tOPTGOuTpU :2007/08/22(水) 22:26:00.39 ID:pIvl3DWs0
( ゚∀゚)「ほお〜」

よく分かってんじゃん。
口には出さないが、
そう返してやった。

(兵`Д´)「シ、C-4もあるぞ!!」

悲鳴にも似た警告だった。

C-4。ここ最近特に工事で使用しているプラスチック爆弾の名。



その名を聞くと共に、
私兵達は一気に身を引いた。


 情けない姿だ、全く。



115: ◆tOPTGOuTpU :2007/08/22(水) 22:30:30.15 ID:pIvl3DWs0
ミ,,゚Д゚彡「……ダイナマイト、か……」

フー1人が優雅に立ち、残りの私兵は今に逃げそうな風に引いていた。

……いいザマだ、いい気分だ。

両足の痛苦を必死に耐えて、もう一歩、足を進めた。
更に私兵達が怯えていく。 良い気持ちだが、
流石に体の限界だった。 もう歩けない。

自重すべきだな。でも、  愉快だ! ハハハハハハハハハ!!!
(#゚∀゚)「アハハハハハハハハァアアッッハァハハハ……!」

笑いが止まらない。体は軋むほど疲労しきっているというのに。
そして、笑いが済んだ頃には 「ゼヒっゼヒっ」という
不気味な咳音が喉にやってきた。

(;゚∀゚)「ゼっぜへェ……ァハアハハァァ………」

咳に苦しみながらも笑っている俺が、よっぽどキチガイに見えたのか
私兵達の顔は完全に青ざめていて、逃げ出すことすら忘れているようだ。
しかし……

ミ,,゚Д゚彡「ふむ……」

この男だけは余裕面だった。 気に喰わないな……。



116: ◆tOPTGOuTpU :2007/08/22(水) 22:32:38.48 ID:pIvl3DWs0
ほとんど、フーと俺の対峙のような状況だ。
リュックを前方に突き出しながら、脂汗を垂らしながらも
俺は膝をつかないよう、立ち続けることに努めた。


随分、それが長いこと続いた気がする。


そしてその沈黙を掻き消したのは、私兵の1人の叫びだった。

(兵`Д´)「思い出したァ!!!! 倉庫室のダイナマイトは切れてる!!」

( ゚∀゚)「!!」

(;`Д´)「じゃ、じゃぁ奴のあハッタリかぁ!!?」

(兵`Д´)「いやC-4ならあったはずだ!!」

私兵達は再び活気を取り戻し、垂れ下がっていた腕を再び構え、
銃口を俺へ目掛ける。

ミ,,゚Д゚彡「……」



118: ◆tOPTGOuTpU :2007/08/22(水) 22:37:06.70 ID:pIvl3DWs0
プラスチック爆弾C-4は起爆装置を押さない限り、
例え火の中に放り込もうが銃弾をブッ放とうが
爆発はしない。

俺に爆発をさせないよう、さっさと俺を殺すという判断。



その声、その発言を


俺は心の中で、トリガーに設定していた。 お前達が俺達を見くびっていたように
俺もお前達を見くびっていた。弄んでいた。

( ゚∀゚)「……あばよ、楽しかったぜ」

俺は元々勝っていたんだ。


さっきまでのは単なる遊びだよ! クソ共がッ!!!



120: ◆tOPTGOuTpU :2007/08/22(水) 22:39:22.25 ID:pIvl3DWs0
奴らの銃口が俺へと向かれていく中、
リュックをどさ、と地面に落とす。


煙草を取り出す際に、ついでに取り出して……リュックの陰に、隠し持っていた
プラスチック爆弾の、


起爆装置を、押す!

(兵`Д´)「早く撃てェェェェエエ!!!」

ミ,,゚Д゚彡「待てェ!!」

しかしフーの一喝は私兵達には届かず、
銃弾は見事、フーに当てないよう、俺の身体へ目掛けて、 飛ばされた。


その銃弾すら届かない。
既にプラスチック爆弾は、爆発する。



122: ◆tOPTGOuTpU :2007/08/22(水) 22:41:27.93 ID:pIvl3DWs0
間を置いてから、一閃 ほとばしった。

(;`Д´)「うわあああああああああああ!!!」

私兵の叫びすら軽く掻き消す、爆音は弾けて。

視界は一瞬にして赤く染まる。

何も見えない。恐ろしい熱気と風が吹き荒れる。


「ざまぁミロ、俺は最期の最期、夢を叶えてやるぞ」

リュックの中に、たんまり入っていたガソリンも引火し始めるだろう。
更に惨事は発展し、 ここ"のっぺら道の一部"は倒壊するはずだ。

銃弾が身体を貫く感覚は無かった。
弾が届く前に、
俺の身体は既に消滅したのだろう……。

じゃア、今の俺は何者ダ……?   まあ、いいや。


「"お前達より偉くなってやる。 街を救った英雄になってな。"」


意識が薄れていく。
身体だけでなく、魂も消えていくのだろうか。



132: ◆tOPTGOuTpU :2007/08/22(水) 22:59:08.22 ID:pIvl3DWs0
最期の最期まで、俺は絶望で臓腑が、魂が染まっていた。
それももう終わり。 最後は……希望に託そう。
あの3人に、託そう。


ずっと俺を信頼してくれたあの3人に、
俺は全てを託そう。  自分の夢を押し付けてしまった、あの3人に……。


…………。
あ、そうだ……思い出した。

あいつらにゃ感謝し切れないって言ってたけど、
まだあったな。 大事なことを……。


「ごめんよ……ブーン、ショボン、ドクオ。
 お前達が慕っていた俺ってのあ、復讐に塗れた、クズな奴だったんだよ。


 ごめん、ごめん、ごめん……償いきれないよな。
  ごめん。ごめん。ごめん。  本当にありがとう、でも……ご……」



133: ◆tOPTGOuTpU :2007/08/22(水) 23:00:42.21 ID:pIvl3DWs0
・・・ ・・・・

('A`)「……ジョルジュ……」

一人ぼっちで歩きながら、ぼそっと呟いた。

大丈夫だろうか、あいつは……。
何というか、とんでもない執念のようなものを感じ取っていた。
特攻隊にでもなったかのような……。



……だとしても、行くしかない。
これからは単独行動なんだから。


('A`)「うおお〜〜」


小声で咆哮し、ポケットからバタフライナイフを取り出し、
刃を立たせた。

綺麗だ。 敵が来たらこれで立ち向かってやる!



137: ◆tOPTGOuTpU :2007/08/22(水) 23:03:01.19 ID:pIvl3DWs0
刃を出したままのバタフライナイフを手に、
ただただ歩き続けた。

英雄気分で潤歩していく。

すると右壁に、変わった物を見つけた。


('A`)「ん? 【第2酒蔵】だって?」

そんなプレートの付いた扉が見えた。
 その扉を見ているうちに。




     ザリ。




  後ろから、砂を軽く巻き上げる足音が聞こえた。(第16話終)



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