( ^ω^)は綺麗な街に住んでいるようです

70: ◆tOPTGOuTpU :2007/09/19(水) 23:53:05.32 ID:jirveljJ0
第20話

(´・ω・`)「ドクオは大丈夫か……?」

一番心配なのは、やはり根性のあまり無いドクオだ。
この道を突っ切ればドクオの居る地点の近くに行けるはずだが、
辿り着くにやられてないといいのだが……。


延々と車を走らせていたとき、
あることに気がついた。

(´・ω・`)「道脇の扉が増えてきたな……」

扉が、今まで無かったのに段々と現れていく。
それを軽快に過ぎ去りながら、考えた。



(´・ω・`)「ならそろそろ近いはずだ……え?」

突然、    銃声のような物が前方から聞こえた。
何事だ、急がねば。。。



75: ◆tOPTGOuTpU :2007/09/19(水) 23:55:26.45 ID:jirveljJ0
(;´・ω・`)「……。 …!?」

程なくして、不思議なものが姿を現していった。
蹲っている人間。起き上がろうとしている人間。壁の近くで倒れている人間。

近寄り、その人物の認識し……呆然とした。

ドクオが腹を押さえ、血を垂らしながら崩れ落ち
バルケンが、猟銃のスライドアクションを行いながら立ち上がろうとしていた。


(;´・ω・`)「ドクオォォオ!!!!!」

必死で叫んで車を急停車して
バンとドアを開けて、地面に降り立った。

砂利道を走り、ドクオの窮地に赴いた。
ドクオの呻き声と、バルケンの小さな金切り声のような笑いが聞こえる。

(;A;)「痛い……! 痛いぃ……」

(;´・ω・`)「ドクオ!!」

僕には気付いていないみたいだった。車が近づいたことすらも。
バルケンはポンプアクションを終え、再び撃とうとする。 阻止しないと――



77: ◆tOPTGOuTpU :2007/09/19(水) 23:57:52.18 ID:jirveljJ0
動こうとした瞬間、
突然、何かが目の前を駆け抜けていった。
バルケンを抱えて。

(;´・ω・`)「っ!?」

( 。゚3 )「は、離せ……!」

その人間は……弟者だった。

(´<_` )「……」


しかし、抱え込みが不完全だったせいだろうか。
バルケンは、そこまで不自由な体勢ではなかった。
身体を揺らしながらも、冷静に猟銃の引き金を引く。


つい先程聞こえたのと同じような、重々しい銃声がこの地下道を巡った。

(´<_` )「くっ……」

弟者の腹が、ドクオとほぼ同じ位置で、撃ち抜かれていた。
弟者は、抱え込みを解除してしまっていた。

(;´・ω・`)「弟者……」



81: ◆tOPTGOuTpU :2007/09/20(木) 00:01:15.62 ID:XykdEq350
しかし弟者は一旦離した腕を、
今度はバルケンの首に絡ませるようにして巻きつけると
筋を浮かばせながら、強く締め上げた。

( 。゚3 )「キぃっ……ぁっ……ぁっ……ぁ」

顔を青くさせながら、もがき苦しみ、手にした猟銃を落として、
バルケンは、濁った目を見開かせて
ダラリと力を失った。

……死んだ。

間違いなく、今のバルケンはただの死体だった。


バルケンの死体を突き離すと、弟者は僕の方へよろめきながら向かいだす。
僕は、無言でドクオに寄ると肩を抱き、声をかけた。

(;´・ω・`)「ドクオッ…… ドクオっ!!」

(;'A`)「はぁ……はぁ……し、ショボン……!?」

(;´・ω・`)「あぁ!! 僕だっ……! 僕だよ……!!」



83: ◆tOPTGOuTpU :2007/09/20(木) 00:04:30.89 ID:XykdEq350
(´<_` )「ショボン、お前の乗っていた車は兄者の管轄のものだ」

ぶっきらぼうに話かけてきた。
僕は素っ気無く返事を返す。

(´・ω・`)「……だろうね」

(´<_` )「会ったのだな。言え、兄者はどうした?」

(´・ω・`)「聞きたければ先に答えろ。父さんはどうした」

片手で血の流れる腹の一部分を押さえていた弟者の表情が、
「気に入らない」とでも言いたげな風に変貌した。

(´<_` )「……バーボンハウスで撃った後は、知らんな、放っておいた」

(´・ω・`)「地下道で格闘して鍵を貰った後は、知らないね」

(´<_`#)「貴様っ……!」

今にも掴みかかりそうな勢いで怒りを露にする。
腹を押さえていない方の手で握り拳を作り、わなわなと震わせながら。
しかし、突然それを止めると僕をスルーして、ヨロヨロとした足つきで
兄者の居る方向の道を進もうとしていた。

(´<_` )「まぁ、いい。なら確かめるまでだ」



88: ◆tOPTGOuTpU :2007/09/20(木) 00:06:18.29 ID:XykdEq350
兄者のいる場所と、此処はかなり距離があるはずだ。
車を使っても、10分はゆうに越える。

(´・ω・`)「本気か……?」

どうにも、様子からいって
僕の乗ってきた車を盗むつもりではないらしい。
本当に、
歩いて兄者と会うつもりのようだった。

(´・ω・`)「無謀だろう」

(´<_` )「黙れ」



92: ◆tOPTGOuTpU :2007/09/20(木) 00:09:21.22 ID:XykdEq350
僕をまるで気にすることなく、
血痕で地面を赤く色づけながら
どうみても松葉杖が必要そうな、
不安定な歩き方でゆっくりと進んでいった。


僕は、もう何も言えなかった。



(;'A`)「お、弟者……」

そのときだった。
ドクオが、喘ぎながら言葉を発して、弟者に呼びかけた。

背を向いて歩いていた弟者の動きが、ぴたりと止まった。



93: ◆tOPTGOuTpU :2007/09/20(木) 00:11:28.86 ID:XykdEq350
(´<_` )「……なんだ」

(;'A`)「え、えぇと……その、バルケンから助k……」

(´<_` )「感謝のつもりか? 俺はお前を殺そうと考えていたのに」

(;'A`)「それは……」

(´<_` )「結果的に助かったからか? 余裕だなお前」

辛辣な弟者の言葉がドクオを貫いていくのがよく分かった。
出来ることなら止めたかった。
でも、それは2人に失礼な気がして、僕は黙ったまま事の顛末を見守ろうと考えた。

(;'A`)「それは……関係ないよ」

(´<_` )「あ、そう」

一瞬弟者の身体が前のめりになり、転びかけた。
それをすんでの事で回避すると、再び歩みだす。

ドクオの体力は相当消耗されていた。
目は死んだように一点を心無く定めていて、手足もダランとしている。
僕は慌ててバッグから包帯と消毒剤を取り出し
いそいそと手当ての準備を始めた。



94: ◆tOPTGOuTpU :2007/09/20(木) 00:14:00.59 ID:XykdEq350
(´<_` )「俺は……」

弟者の歩の進みが、若干遅くなった。

(´<_` )「……1人じゃこんなガキに、いい様にやられるのか…」

天を見上げて、悲しそうに呟いた。
それから僕達の方を向く。
感情の無い、人形のような瞳だ。

(´<_` )「もう……」

(´・ω・`)「え?」

小さな声で何かを呟いた。
思わず、ドクオの怪我を治療する手の動きを止めてしまう。
弟者は既に僕達の方を向いてはいなかった。

(´<_` )「お前らも……カウントダウンも……CPも、もういいや……」

(;'A`)「……」

諦めの言葉を口にした弟者は、
更にポツポツと喋り始めた。



97: ◆tOPTGOuTpU :2007/09/20(木) 00:17:20.85 ID:XykdEq350
(´<_` )「狩りとか何とか……もう、こんな仕事はやめだ。
       ……誘わなきゃな」

後半になるにつれて、独り言のような風潮となっていった。
どこか嬉しそうな雰囲気も、口調に漂わせていた。

(;'A`)「兄者をか…?」

(´<_` )「……」

2人は身体を動かすことは無かった。
僕も、ドクオの腹に包帯を巻きつける以外
何もすることが出来なかった。

ドクオがもう一度口火を切るまで。



100: ◆tOPTGOuTpU :2007/09/20(木) 00:18:58.61 ID:XykdEq350
(;'A`)「頑張ってくれ……!」

ドクオのその言葉は、珍しく覇気が篭っていた。

関係のない僕が、勇気を貰ってしまうほどの。

弟者はかえりむき、少し口の端を上げながら答えた。

(´<_` )「……ああ」

数回瞬きをしてから、弟者は首を戻してから
道を進みだした。
一歩一歩進む毎に、揺れ幅が酷くなっていた。


(;'A`)「ありがとう!! 助けてくれて!」

あらん限りのその叫び。
その後に、ドクオは尋常でない咳をした。状態は悪い。

一瞬、弟者は立ち止まったかのように見えたが、結局反応はしなかった。

僕とドクオは、弟者の姿が見えなくなるまで、ずっと動かないでいた。



103: ◆tOPTGOuTpU :2007/09/20(木) 00:21:42.90 ID:XykdEq350
(´・ω・`)「……立てる?」

(;'A`)「ん、あ、ぁあ……」

ドクオは勢いよく立ち上がろうとしたが、大きくバランスを崩し
転倒しそうになってしまい、慌てて僕は肩を担いだ。

(;'A`)「サンキュ……」

バルケンの持っていた猟銃を拾うとそのまま僕は、車へ連れた。
ドクオを助手席に座らせたが、やはり活力は無かった。

(;'A`)「やっべぇな」

(´・ω・`)「一度外に出るか? そのままj……」

(;'A`)「んな足手まといなこと、したくねぇよ……」

口調に元気は無かったが、それでもハっとさせられてしまった。

(´・ω・`)「……そうだね」

(;'A`)「ブーンを……」

(´・ω・`)「分かってるさ」



106: ◆tOPTGOuTpU :2007/09/20(木) 00:23:47.93 ID:XykdEq350
力強くブレーキを外して、ハンドルを握りアクセルを踏み込んだ。
僕達を乗せた車は、弟者の行った方向とは反対の道を進んでいく。

エンジン音をバックに、僕達は会話をした。

(´・ω・`)「ここらの道は全然把握してない」

(;'A`)「てことは?」

目の前にカーブが広がった。減速して慎重に走った。

(´・ω・`)「分かれ道があったら、どうしようもない」

カーブを曲がった先の道路は、急に今までのものと姿を変えて
複雑なものとなっていた。
その曲がり道やカーブだらけの、目の前の道路の光景を見て
ドクオはギョっとした表情になる。

(;'A`)「まじ勘弁……」

(´・ω・`)「行くしか、ないな……」

「早くバルコニー・エリアに行き、ブーンと合流しないと」
そんなことを考えていると、自然とハンドルを握る手の力が強くなる。



109: ◆tOPTGOuTpU :2007/09/20(木) 00:25:49.99 ID:XykdEq350
左側の道を選択し、堅実な速度で車を走らせた。
突然下り坂になったりS字形になったりと、
初心者の僕の運転では厳しい箇所が増えていった。


ドクオはやがて喋らなくなり、段々息遣いが荒くなっていた。


早くしないと……早くしないと……!
蛇行運転しないといけないS字箇所を設計した人間に殺意を覚えてしまう。


脂汗を流しながら、僕は何処へ続くかも分からない不可解な道を運転し続けた。
ちゃんとバルコニーエリアに向かっているのか、知る由も無かった。

ただ、進めるしかなかった。
焦りを押し殺したくて、僕はがむしゃらにハンドルを操作した。


ドクオの容態は、徐々に悪化していった。


・・・ ・・・・



112: ◆tOPTGOuTpU :2007/09/20(木) 00:29:13.89 ID:XykdEq350
(;^ω^)「ふぅ……ふぅ……ふぅ」

自然と身体が猫背気味になってしまう、疲労の解消方法を考えている。

バットの端を地面に這わせながら、肩で息をして歩んだ。

ちょっと前に、地上に戻る上がり坂のような箇所から
バンが下っていくのを、後ろ目で発見したのだ。

そこからは我を忘れて、必死で正面を全力疾走し、
いい加減疲れが見え始めた頃に、やっと脚の動きを遅くしたのだった。

(;^ω^)「つ、疲れたお……」

あまりに、体力を使い過ぎていて、

目の前の光景にしばらく気付かなかった。


ベールのようなカーテンに包まれた、
ガラスの扉が50mほど先に鎮座していた。
その奥には、半円状のバルコニーがあるのが、感覚で理解出来た。

そして、そのサイドには2つのドアがある。



115: ◆tOPTGOuTpU :2007/09/20(木) 00:31:49.46 ID:XykdEq350
(;^ω^)「あ、あれは……!」

そこは、見覚えのある場所だった。

 間違いなく、自分は何度もそこに赴いたことがある。

  敵地だというのに、何故ここまで感慨にふけてしまうのだろう。

   決まってる。第一の目的を達成したのだからだ。

(;^ω^)「つ、つまり……僕は……到着したのかお?」


長い時間を掛けて、ようやく僕は……成し遂げた。


 僕は、バルコニーエリアに とうとう、辿り着いたのだった。(第20話終)



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