新ジャンル:FPSのBOT

344: :2007/06/03(日) 11:41:40.52 ID:RVRbdAeL0
何だか酷く疲れた。
もう寝てしまおうか、と椅子から立ち上がったその時、Syobonから何とSkypeがかかってきた。
そんな事は今まで一度もなかったのだけど、少し考えてから、僕は受話器を拾い上げる。

(´・ω・`)「やあ」
( ^ω^)「…どうしたんだお?」
(´・ω・`)「ちょっと今から言う手順でファイルを受け取って欲しい。あまり時間がないから急ぐんだ」
(; ^ω^)「何なんだお。僕は今そんな気分じゃ」
(´・ω・`)「いいからさっさとしろよ」

よたよたと慣れない操作を指示されてまごつく。
僕はゲーム用途以外には滅多にPCなんて触ったりしな……って、

黒い画面にずらりと並ぶファイルの列。
一見すると何だか分からないような名前のものばかりで、そもそも合計サイズもおかしい。

(; ^ω^)「22テラバイトって何だお!」
(´・ω・`)「それが全部NULLなんだよ。自滅する直前に基幹システムと蓄積データをそっくりコピってきた」
(; ^ω^)「いやコピってきたって、お前」
(´・ω・`)「なに、ボッ子の時にもうやってるからね。もっとも、巨大さはNULLほどじゃなかったけど」



345: :2007/06/03(日) 11:43:06.45 ID:RVRbdAeL0

Syobonは一体何者なのだろうか。
追求してみたい気もするが、今はそんな事はどうでも良かった。

(´・ω・`)「こいつは自分で学習して汎用機にも対応するだろう。ちょっと大きいけど、器を用意してやってくれ」
(; ^ω^)「ちょっとじゃないお!無茶言うなお!」
(´・ω・`)「……じゃあちょっと大きいPC送って取り敢えずそれに入れておくから引き取ってよ」



それから三日後、僕の家にブレードサーバーがやってきた。

(; ^ω^)「げぇ!ちょっとってレベルじゃねーぞ!」

一部屋がまるまる潰れるような勢いでそいつは鎮座し、送風機のような轟音を上げる。
きっと来月から電気代を馬鹿食いするんだろう。
でもまあ、それも良いかなと思う。
電源を入れる。
何かが終わって始まる。そんな気がした。


(リ_゚ ワ゚ノリ『スタンバイ、レディ』



347: :2007/06/03(日) 11:43:50.38 ID:RVRbdAeL0

-----それから僕は。

(´・ω・`)「AIの軍事利用計画は結局一時的に頓挫する事になったみたいだ」
( ^ω^)「……それがいいお」

何の代わり映えもしないMAPで僕達は前線を走る。

(リ_゚ ワ゚ノリ『おい、Boon』
('A`)「聞こえてないな。またディープな話して……おい、noob!前に出すぎだ!」
ξ゚听)ξ『ハァ?何であんたの指示に従わなくちゃいけないわけ?』

戦争だけど不毛じゃない。
そんな世界もある。

(´・ω・`)「なくなった訳じゃない。またいつか再開されるだろう。まあ、またFPSでトライアルするとは思えないけど」
( ^ω^)「その時はまた僕達が……」
(リ_゚ ワ゚ノリ『そこの偵察兵と援護兵!前へ出ろ!』
( ^ω^)「ひい!」
(´・ω・`)「……行こうか」

ニヨニヨしながら僕は彼女の後を追う。

カラオケで他人の歌を聞くよりはファッキンヌーブと罵り合い、
昨日見たTV番組の話をするよりは、倒した相手のヤケクソ気味なメディックメディックを聞く方が楽しい。
僕は、今もそんな奴だ。



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