( ゚∀゚)は一度ふられているようです

55: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/02(土) 23:28:42.51 ID:Uwk/Ynzg0
     *     *     *

俺は、授業が終わってすぐにツンの家に来た。
だから、ここでクーさんに会ったのは驚いた。


川 ゚ -゚)「ジョルジュ君……私は信じているぞ」


クーさんは俺の質問を完全に無視し、俺の肩を叩いてそう言った。


川 ゚ -゚)「じゃあツン、頑張れよ!」


それだけ言って、クーさんは長い黒髪をなびかせながらスタスタと行ってしまった。


(;゚∀゚)「なんだったんだ?」



57: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/02(土) 23:31:13.92 ID:Uwk/Ynzg0
靴を脱いで家にあがり、リビングに向かう。
ツンはどうやら元気そうなので良かった。


( ゚∀゚)「クーさんがこんな時間になんで此処にいたんだ?」

ξ゚听)ξ「午後の授業サボってお見舞いに来てたのよ」

( ゚∀゚)「あの真面目そうなクーさんが?」

ξ゚听)ξ「クーが真面目か……そう見えるけど、クーって実はかなり自由人なのよ」

( ゚∀゚)「へぇ〜、人は見かけによらねぇモンだな。で、お前体調は大丈夫なのか?」

ξ゚听)ξ「うん……」

( ゚∀゚)「?」


ツンの顔がどんどん赤くなっていく。
どうしたんだろう? まだ体調が良くないのか?



59: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/02(土) 23:34:08.18 ID:Uwk/Ynzg0
     *     *     *

私は腹を決めた。今ここでジョルジュに告白しよう。


ξ////)ξ「あ、あのね……私……」


「ジョルジュのことが好きなの」って言うだけだ。
たったの13文字だ。


ξ////)ξ「アアア、アンタのことが……」

( ゚∀゚)「??」


好きなの好きなのスキなのすきなの…



60: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/02(土) 23:36:43.48 ID:Uwk/Ynzg0
ξ////)ξ「アンタのことが……す…」

( ゚∀゚)「? 俺のことが?」

ξ////)ξ「アンタのことが……すすす…」

ξ#゚听)ξ「すき焼き食べたいっていってんのよッ!!」

(;゚∀゚)「エッ!?」


あああぁぁぁぁぁぁ……またやっちゃった…………
もう嫌だ……いっそのこと死んでしまいたい……

なんだか、また体調が悪くなってきた……



61: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/02(土) 23:38:42.71 ID:Uwk/Ynzg0
     *     *     *

キーンコーンカーンコーン

川 ゚ -゚)「む、ツンの奴今日も来ていないじゃないか」


今日は来ると言っていたのに、どうしたのだろうか。
まさか、昨日告白してふられたのか?
で、そのショックで今日は休んでいるとか?


川 ゚ -゚)「こんなところで授業を受けている場合ではないな」

川 ゚ -゚)「先生」


私は教壇に立っている教師に向かって真っ直ぐ手を挙げた。


( ´∀`)「おや、クーさん。どうしたモナか?」

川 ゚ -゚)「ちょっと体調が悪いんで保健室行って来てもいいですか?」

( ´∀`)「わかったモナ。気をつけるモナよ」

川 ゚ -゚)「ありがとうございます」



64: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/02(土) 23:40:44.08 ID:Uwk/Ynzg0
プルルルルルル

適当な人の居なさそうなところを見つけ、ツンに電話をかける。


ξ )ξ《もしもし……》


ツンの声が枯れている。まるでずっと泣いていたかのように。


川 ゚ -゚)「もしもしツン、どうしたんだ今日は?」

ξ )ξ《あのね……カクカクシカジカで……》

川 ゚ -゚)「そうか……でも良かった」

ξ )ξ《よかった?》

川 ゚ -゚)「だって、まだ告白すらしていないんだろう?
     私はてっきり、ふられたショックで休んでいるのかと思っていたよ」

ξ )ξ「……」



67: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/02(土) 23:42:43.48 ID:Uwk/Ynzg0
川 ゚ -゚)「ならまた告白すればいいじゃないか。悩むことじゃないだろう?」

ξ )ξ「無理、だよ……」

川 ゚ -゚)「昨日に+αの勇気があれば大丈夫だよ」

ξ )ξ「無理よ……昨日で精一杯よ……」

川 ゚ -゚)「そうか……まあ、後でまたツンの家に行くよ」

ξ )ξ「うん……楽しみにしてるよ」

川 ゚ -゚)「じゃあ」


そう言うと、電話を切った。


川 ゚ -゚)「ふぅ、都合よくジョルジュ君の方から告白してくれれば良いのに」



69: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/02(土) 23:45:42.35 ID:Uwk/Ynzg0
     *     *     *

('A`)「『アンタのことがすき焼き食べたいのよ』?」

( ゚∀゚)「どういうことなんだ? 単にすき焼き食いたかったのか?
     しかも今日も学校来てないし」

('A`)「ていうか、何で全くモテない俺に聞くんだよ! いくらでも他に適任が居るだろ!」


でもあれだよな、つまりそういうことなのか?
いや、モテない俺の考えがあっているかどうか解らないけど。
でも、そういうことだよな…


('A`)「うーん…それはアレだよ、つまり…」

( ゚∀゚)「お、なんだ? わかったか?」

('A`)「つまり、ツンさんはお前のことが好きだってことじゃないか?」

( ゚∀゚)「ハァ? お前頭おかしいんじゃないか?」

('A`)「いや、俺には告白する勇気が足りなくて、誤魔化したようにしか思えん」

( ゚∀゚)「はぁ……やっぱお前に聞くべきじゃなかったな」



70: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/02(土) 23:47:46.83 ID:Uwk/Ynzg0
ジョルジュが呆れたような顔をしている。
お前が俺に聞いてきたんだろう、ボケが。


( ゚∀゚)「それだけは無ェって言えるんだよ」

('A`)「何でだよ」

( ゚∀゚)「俺は昔、ツンに1回告白してふられてるんだよ」

('A`)「そうだったのか…いつの話よ?」

( ゚∀゚)「ん〜、確か中2だった気が…」

('A`)「へぇ〜…で、お前は今でもツンさんのこと好きなのか?」

( ゚∀゚)「ん? 好きだよ。ていうか何でお前に言わなきゃならねェんだよ」

川 ゚ー゚)「ハハハ、これはいいことを聞いた」

(;゚∀゚)('A`;)「「!?」」



72: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/02(土) 23:50:09.50 ID:Uwk/Ynzg0
俺とジョルジュが振り返るとそこには、口の端をほんの少しニッっとさせるだけという、
何とも無表情な笑顔をしてるクーさんが立っていた。


川 ゚ -゚)「ちょっと面白そうな会話が聞こえてきたのでな。
     私も混ぜてくれないかい?」


そう言うやいなや、クーさんは近くの椅子を引き寄せ、座った。


川 ゚ -゚)「まず、ドクオ君。名推理だ」

('A`)「え? じゃあやっぱり…」

川 ゚ -゚)「ああ、ツンは昨日ジョルジュ君に告白しようとしたのだよ」

(;゚∀゚)「!? mjsk!?」

川 ゚ -゚)「ああ、マジだ。彼女の性格は君もよく知っているだろう?」

(;゚∀゚)「まぁ……でも俺は1回ふられてるんだぜ?」



75: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/02(土) 23:52:12.82 ID:Uwk/Ynzg0
(;゚∀゚)「まぁ……でも俺は1回ふられてるんだぜ?」

川 ゚ -゚)「つまり、その時も今回と同じだったということだ。
     ツンはジョルジュ君のことが好きだったが、
     恥ずかしくてうっかり心にも無いことを言ってしまった、というわけだ」


クーさんは腕組みしながらジョルジュを見つめている。
ていうか、クーさんてこんな性格だったの?


川 ゚ -゚)「で、ジョルジュ君。君はツンが好きなんだな?」

(;゚∀゚)「あ、あぁ…」

川 ゚ -゚)「なら君に頼みがある。すぐにもう一度ツンに告白してくれ」

(;゚∀゚)「はぁ」

川 ゚ -゚)9m「ツンは二度も失敗したことのショックで今日も学校に来れなかったんだ。
      君しか今のツンを救える者はいない」



77: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/02(土) 23:55:07.96 ID:Uwk/Ynzg0
クーさんはジョルジュを指差し、いっそう語気を強めて言う。
いや、『語気を強めて』といってもそれは雰囲気的なもので、
実際にはほんの少し声が大きくなっただけだが。


(;゚∀゚)「ツンは……本当に俺のことが好きなのか?」

川 ゚ -゚)「む、何度も言っているだろう。ツンはお前のことが大好きだ」


ジョルジュが何か決心したような顔をした。


( ゚∀゚)「なら、告白するのに躊躇する必要は無ェな。
     それがツンの迷惑にならねェなら、望むところだ!」

川 ゚ー゚)「お、やってくれるか。そういう度胸のある男、私は好きだぞ」


クーさんがまたあの笑顔になった。



79: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/02(土) 23:57:52.80 ID:Uwk/Ynzg0
     *     *     *

ξ )ξ「……」


私が学校に行くよりも早く、両親が仕事に行ってしまうのをいいことに、
今日も学校を休んでしまった。


ξ )ξ「もうヤダ……」

ピリリリリリリ

ξ )ξ「電話……」

カチッ

川 ゚ -゚)《もしもし、ツン。いい知らせだぞ》

ξ )ξ「クー……いい知らせ?」



82: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/02(土) 23:59:45.14 ID:Uwk/Ynzg0
     *     *     *

川 ゚ -゚)「ジョルジュ君が今日君に告白すると言っている」

ξ;゚听)ξ《えッ!?》

川 ゚ -゚)「彼の方から告白してくるなら大丈夫だろう?」

ξ゚听)ξ《でも、怖いよ……前それでも断っちゃったんだもの……》

川 ゚ -゚)「そこはもう何とかするしかない。後は君次第なんだぞ」

ξ゚听)ξ《うん……》

川 ゚ -゚)「ええい、気合を入れろツン。私は応援しているぞ」

ξ゚听)ξ《……わかったわ、クー。私頑張るわ》

川 ゚ -゚)「そうか! 頑張れよ! じゃあ」


カチッとボタンを押し、通話を切った。

向こうから告白してくるのに、されるほうが『頑張る』なんて、
なかなか面白いな。
普通なら『頑張る』立場はジョルジュ君だろうに。


川 ゚ー゚)「フッ」



83: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/03(日) 00:01:42.76 ID:Kklv5mwp0
     *     *     *

キーンコーンカーンコーン

( ゚∀゚)「じゃあ、俺行くぜ!」

('A`)「おう、頑張りぃな」

( ゚∀゚)「おうよ、じゃあな」

('A`)「あぁ、また明日」


ドクオにそれだけ言うと、鞄を引っ掴んで俺はツンの家まで急ぐ。

まだクーさんの言っていたこと全ては信じられない。
それでも、もう一度勇気を出そうじゃないか。
俺はツンが好きだ。そこには一つだって嘘は無ェ。

ツンの家に着いた。チャイムに指をのばす。


ピンポーン



89: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/03(日) 00:04:54.53 ID:Kklv5mwp0
ガチャ

( ゚∀゚)「よ、ようツン!」

ξ゚听)ξ「ジョ、ジョルジュ……は、入って」

( ゚∀゚)「お、おう」


何故だかツンの顔が赤い。
促されるままに家にあがり、いつも通りリビングに入った。


( ゚∀゚)「体調はもう大丈夫なのか?」

ξ゚听)ξ「う、うん。ちょっとコーヒーでも淹れてくるねッ!」


ツンが妙に落ち着き無くそわそわしている。
畜生、おかげで緊張してきたじゃねェか。
そういえば、前告白したときは心臓が溶けて無くなるかと思ったな。



90: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/03(日) 00:07:12.72 ID:Kklv5mwp0
一生分の勇気を使って告白した中2の秋。
だけど無残にもふられてしまい、それでも今までの関係を維持しようと、
翌朝また勇気を使う羽目になった。
そのときの勇気のおかげで今のこの関係がある。

正直メッチャ怖ェ。
また駄目だったら、そのときの勇気を無駄にしてしまうだろう。

でも、やっぱり幼馴染じゃ嫌なんだ。
もう勇気が残ってないなら、来世の分の勇気も使おうじゃねェか。


( ゚∀゚)「なあ、ツン」

ξ;゚听)ξ「な、何?」


コーヒーを淹れて持ってきたツンに向かって、俺は切り出した。


( ゚∀゚)「唐突ですまねェが……」



94: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/03(日) 00:09:43.45 ID:Kklv5mwp0
     *     *     *

( ゚∀゚)「俺は……お前のことが好きだ。付き合ってくれッ!」

ξ;゚听)ξ「ジョ、ジョルジュ……」


自分の顔が真っ赤になっていくのがわかる。
泣きそうなぐらい嬉しい。


ξ////)ξ「わ、私も……」


アンタのことが好きなの……
あぁ、駄目、また変なこと言いそう……

でも、今度こそ勇気を出さなきゃ


ξ////)ξ「私も…アンタのことが……


        好きなの――――



96: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/03(日) 00:11:43.41 ID:Kklv5mwp0
     *     *     *

――――キーンコーンカーンコーン

ξ゚听)ξ「でね、ジョルジュったらね…」

川 ゚ -゚)「それはヨカッタヨカッタ」

ξ゚听)ξ「……でね……で……がね……なの」


ジョルジュ君の告白、いやツンの受け入れか?は成功したようだ。
実によかった。
で、私は惚気話を聞かされているというわけだ。


川 ゚ -゚)「いやーヨカッタヨカッタ」

ξ゚听)ξ「それで……で……なの」


はぁ…参った。
それにしてもツンは嬉しそうだ。



100: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/03(日) 00:13:42.91 ID:Kklv5mwp0
川 ゚ -゚)「……私も彼氏でも作ろうかね」

ξ゚听)ξ「えッ!?」


私がボソッと言った一言をツンに聞かれていた。


川 ゚ -゚)「いや、君の惚気話を聞いていたらね」

ξ////)ξ「の、惚気話なんかじゃ…」


そのとき、教室の戸がガラッと開いた。


( ゚∀゚)「ツーン、帰ろうぜー」

ξ////)ξ「あ、う、うんッ! じゃあクー、また明日」

川 ゚ -゚)ノシ「あぁ、また明日」



101: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/03(日) 00:15:43.04 ID:Kklv5mwp0
また明日も惚気話を聞く羽目になるのかね、と思いながら彼女に手を振った。
彼氏か……と思いながら天井を見上げていたら、
何か可笑しな笑い声が廊下から聞こえてきた。


('A`)「フヒヒヒヒwwwwwwwwww」


廊下に目をやると、ドクオ君が笑いながら廊下を歩いていた。
そういえば、今回のことには彼の貢献もあったのだったな。


川 ゚ー゚)「でも……彼は無いな。キモすぎる」

从 ゚∀从「おう、ドクオ! 帰ろうぜー」

('A`)「おう! 今日何処行く?」


突如現れた美女がドクオと共に行ってしまった。
私は呆気に取られながらそれを見ていた。


川; ゚ -゚)「不思議なこともあるもんだ……」


       ――( ゚∀゚)は一度ふられているようです・完――



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