三丁目の('A`)ドクオ達のようです

205: エピローグ :2010/12/02(木) 00:15:57.26 ID:FcJ1CZT3O
……。
…………。

良かった、死んでない。
安堵に小さく息を吐く。

どれだけの時間が過ぎたのか分からない。数時間のような気もする。数日のような気もする。
あるいは、全てが夢だったのかもしれない。この狭い空間は、最初に入った時と全く何も変わってない。

('A`)「…………」

目の前には鉄格子がある。その向こう側から、見知った人間がこちらを見つめている。
疲れた顔だ、目の下にクマが出来ている。化粧ののりもさぞかし悪かろう。

('A`)「おはよう」

小さく鳴く。
我が飼い主は相変わらずぎこちなく微笑みかけると、檻の中に手を伸ばす。
拳が通るほどの隙間は無い。それでも細い指を伸ばして、俺の額を撫でる。



210: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/12/02(木) 00:18:26.51 ID:FcJ1CZT3O
川 ゚ -゚)『おかえり』

微妙に食い違うやり取り。そりゃあそうだ、猫の言葉が分かるはずも無い。
逆に、分かったからといって、何かがどうなるとも思えない。
今更どうでも良い事だった。

クーの指先が、途切れた右手に触れる。そっと指だけで包み込む。
正直いってものっそい冷たい。こいつ冷え症だし。

('A`)(……それでもお互い生きてりゃ、その内あったかくはなるか)

空は見えない。恐らく曇っているだろう。
梅雨はいずれ明ける。
明けるまで、生きていられるか。それは分からないが。
確信できる事もある。

このぬくもりが伝わるまでは、確実に生きていられる。
つまりはそういう事の積み重ねだ。
死ぬのが少し早いか、遅いかの違いだけだが。
しかし、意味はきっとある。



215: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/12/02(木) 00:20:19.88 ID:FcJ1CZT3O
また、一日が終わる。
俺達の日々に、少しずつ、変化を残して。


俺の名はクロ助。
どこにでもいる、ただの飼い猫だ。



220: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/12/02(木) 00:22:02.78 ID:FcJ1CZT3O
三丁目の('A`)ドクオ達のようです おしまい



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