( ^ω^)ブーン達が運命の三日間を過ごすようです
- 102: 1 :2007/06/08(金) 15:30:59.58 ID:ns3m1yJS0
(=゚ω゚)ノ「家帰ったらちょうど目の前に現れたからさ、ぶつけたら死んじまったよ。
知ってるか? 人間ってちょっとぶつかったくらいで簡単に死ぬんだぜ!」
( ^ω^)「……自首しろお! おまいはそんな奴じゃなかったはずだお! 悔い改めろお!」
(=゚ω゚)ノ「……お前、マジでそんなこと言ってんの?」
( ^ω^)「あたりめぇだお! 罪は償うものだお!」
(=゚ω゚)ノ「……」
(=゚ω゚)ノ「お前は親友だと思ってたのに」
(=゚ω゚)ノ「聞かれたからには、生かしちゃおけねぇ」
( ^ω^)「ちょっ」
( ^ω^)(携帯厨舐めんなお! 相手にバレずに携帯の操作するくらい初歩中の初歩スキルだお!)
( ^ω^)(かかった……! おそらくツン!)
(=゚ω゚)ノ「おっと、ポリに通報されちゃかなわんからな。携帯出せ」
( ^ω^)(その手があったかお……)
- 105: 1 :2007/06/08(金) 15:33:04.28 ID:ns3m1yJS0
ぃょぅに携帯を手渡すブーン。
その携帯がどうされるか、興味半分で見ていると急にすぐ横の窓が開いた。
(=゚ω゚)ノ「そぉい!」
ブーンの顔を掠め、携帯はぃょぅと窓の延長線上である喫茶店の窓にぶつかる。
別に狙った訳ではないだろうが、ぶつけられた喫茶店側の反応をみる暇もなくそれはもう遥か後方へ行ってしまった。
(=゚ω゚)ノ「さぁ、時間をやる。おふくろは高校に上がってすぐ死んじまったし、親父の財布に残ってた金も使い果たした。――シケた額だったぜ」
(=゚ω゚)ノ「俺をかくまうか、俺に殺されるか。選べ」
- 107: 1 :2007/06/08(金) 15:34:00.79 ID:ns3m1yJS0
( ^ω^)「かくまうお」
(=゚ω゚)ノ「それでいいんだ。これからよろしく頼むぜ相棒」
(=゚ω゚)ノ「ま、その辺走った後でお前の家に世話になるか」
そして約二時間近くのドライブをぃょぅだけが楽しみ、雨が降り出して完全に水溜が出来てきた頃。
(=゚ω゚)ノ「……おっと、燃料が無いんだった。
これから梅雨だし、充電出来なくなったら困るから一応いれとくか」
そういって、手頃なスタンドに入っていく。
( ^ω^)「つーか金あるのかお?」
(=゚ω゚)ノ「あのな、フルの店ってのはノズル抜いてから会計に来るまでにいくらでも逃げられるもんなんだぜ?」
(=゚ω゚)ノ「あ、レギュラー満タンで頼むょぅ」
**「お支払現金でよろしいですかー?」
(=゚ω゚)ノ「いいですょぅ」
給油中、ワイパーがどうだのオイルの点検がどうだのと聞かれたが、ぃょぅは全て拒否しモーターを始動させていた。
そしてノズルが抜かれ、給油口が閉じられた瞬間、プリウスは音もなく猛スピードでスタンドを出た。
- 108: 1 :2007/06/08(金) 15:35:09.64 ID:ns3m1yJS0
('A`)「で、具体的にどうするかだが」
とにかく外を走り回るしかないだろう。
皆の意見が出るまでもなく決定し、各々が残りのドリンクの消化と出発の準備を始めたちょうどその時。
ピロリロピロリロー、と誰かの携帯が店内に鳴り響いた。
既に烏龍茶を二杯も飲み干していたツンがなんとなしにその音の方向を見る。
すぐ近くの席にすわる赤と黒のスタンドの制服を来た偉そうなオジサンが電話を受けていた。
***「入れ逃げ? ああ、プリウスな、ナンバーは?」
***「高校生くらい? 二人、わかった、とりあえず警察入れろ、すぐ戻る」
- 111: 1 :2007/06/08(金) 15:37:23.84 ID:ns3m1yJS0
三人はもう慌てるしか無かった。
よくよく確認してみれば、静かな店内にあんな音で携帯を鳴らされては当然注目を集めるのだろう、ほとんどの客の視線がその人に集中していた。
ξ゚听)ξ「あの、おじさん!」
***「ん? なんだい?」
ξ゚听)ξ「その、被害に合ったお店ってどこですか!?」
***「悪いけど言えないなぁ」
ξ゚听)ξ「お願いします! 友達が、その、危険な目にあってるのかも知れないんです!」
***「友達?」
ξ゚听)ξ「あの、その……」
*「たかし! 教えてやんなさい!」
('A`)「え?」
見ると、そこには腕を組みおじさんを睨みつけるさっきのおばちゃんの姿が。
- 114: 1 :2007/06/08(金) 15:38:53.32 ID:ns3m1yJS0
***「姉貴……」
*「ごめんねツンちゃん、こいつは昔っから頭硬くてねぇ」
***「わかったわかった。ここからだと……」
ξ゚听)ξ「あ、ありがとうございます!
あとおばちゃん、これ代金ね、おつりはあとでー!」
(´・ω・`)(全員分……ラッキー)
おばちゃんの弟でもあったおじさんから道を教えられ、大急ぎで店を飛び出す三人。
ついでにわからなかったナンバーもしっかりと聞き出しておくツン。
(´・ω・`)「急展開すぎワロタ」
ξ゚听)ξ「はやく! この際信号なんてどうでもいいわ! 犯人はまだ近くにいるはずよ!」
('A`)「だから無茶言うなって」
教えてもらった通りに走ると、やがて二車線の大きな国道に出た。
- 116: 1 :2007/06/08(金) 15:41:03.13 ID:ns3m1yJS0
話によると、被害に遭ったスタンドは国道沿いにあり、給油後は必ず同じ方向にしか出れない。
小さな交差点すらも殆ど無いため、直進してればすぐに追い付けるはずだ。
(´・ω・`)「つかプリウスがどんな車かわからないんだが」
('A`)「偶然だな、俺もだ」
ξ゚听)ξ「私はわかるわよ! ナンバーも聞いといたから、**-**よ!」
('A`)「把握した」
完全な暴走行為で車の間を縫いながら走るドクオ車。
オービスなんて装置、この三人には未知の存在である。
('A`)「ん? おいツン、あれプリウスじゃないか?」
ξ゚听)ξ「え? どれ?」
('A`)「あれあれ」
ξ゚听)ξ「…………間違いないわ! ナンバーも合ってる!」
(´・ω・`)「発見か!」
('A`)「あ、信号に引っかかった方なのね」
- 118: 1 :2007/06/08(金) 15:42:51.72 ID:ns3m1yJS0
('A`)「さて、どうコンタクトするべきか」
ξ゚听)ξ「とにかくぶつけて停止させなさい。あいつらもう罪犯してるんだし」
('A`)「……俺の車は……」
ξ゚听)ξ「こんな車なんてどうでもいいわよ! ほら、横に着けて!」
三人がブーン達を見付けたのはスタンドから約三キロ離れた所だった。
信号は赤だが他の車は居らず、ドクオ車はプリウスの後ろにくっつく。
ツンはバレないように後部座席で潜り、前に座る二人もまるで気にしていないかの様なそぶりをみせつけていた。
単刀直入に言うとあまり意味の無い行為だった。
- 121: 1 :2007/06/08(金) 15:44:36.27 ID:ns3m1yJS0
- ( ^ω^)(車の中じゃこいつぶっ殺しても運転できなくて一緒にあぼんだお。
家に帰って車から降りたときが狙い目だお)
ブーンは何度か信号待ち中に脱出を試みたものの、チャイルドロックがかかっていたせいで失敗に終わってしまった。
たしかにぃょぅは根性だけは人並以上だが、対格で言えばブーンの方が勝っている。
ピザの輝ける瞬間が近付いているのだ。
( ^ω^)「お?」
どうやってフルボッコにしてやろうかとブーンが考えていると、その目に見覚えのある車が目に映った。
車だけじゃない。
乗っている人物にまで見覚えがあった。
( ^ω^)「ドクオとショボン! 良い所で現れるお! 偶然って素晴らしいお!」
(=゚ω゚)ノ「ダチか? っておい、なにしてる」
( ^ω^)「もちろんSOS信号だお! 人殺しなんかとドライブなんてしてらんねぇお!」
(=゚ω゚)ノ「ま、あいつらが妙な真似してきたら事故装ってぶっ殺してやるけどな」
((;^ω^))「gkbr」
- 122: 1 :2007/06/08(金) 15:46:03.42 ID:ns3m1yJS0
- ('A`)「気づかれたぜ……あの馬鹿」
(´・ω・`)「まぁ仕方ない。追っていけばいつかは止まるさ」
ξ゚听)ξ「ふぅ……なによ、私が隠れる意味なくなっちゃったじゃない」
('A`)「とりあえず――――潰しにかかるぜ」
信号待ちしている車は相手と自分の二台のみ。
ドクオは隣の車線へと移動し、停止線を目安に隣にプリウスを見る形になった。
目の前の横断歩道の信号が点滅する。
数回点滅し赤が灯り、数秒の間を開けて交差している信号が黄色に変わり赤になった。
暗黙の了解、信号無視ともとれる見切り発進で、二台の車が猛スピードで発車した。
- 126: 1 :2007/06/08(金) 15:47:49.32 ID:ns3m1yJS0
- ( ^ω^)「おおおおおおおおお!?」
(=゚ω゚)ノ「俺に喧嘩売る気か!」
('A`)「シートベルトしめとけぁ! 無駄話すっと舌噛むぜ!」
進行方向に車は無い。
ぃょぅのプリウスはアクセルを限界まで踏み込みキックダウンをかまし、ドクオのインテグラはそれまでの走りよりも少しだけ変速のタイミングを延ばしていた。
(=゚ω゚)ノ「はっはー! ガードレールにぶち込めボケがぁ!」
追い越し車線からはみ出しながら、インテグラへ幅寄せするプリウス。
('A`)「省燃費風情が調子にのってんじゃねー!」
バケットシートで体が固定され、衝突時の衝撃は普通の車に比べ極端に少ない。
それを事故で知っていたドクオは、なんの迷いも無くプリウスを居るべき車線へと押し戻した。
('A`)「幅寄せっつーのはこうやるんだよ若葉野郎!」
完全に横から寄せてきたプリウスに対し、ドクオは少し前に出てから寄せ始める。
センターラインとして機能する縁石に擦らせながらドクオはなおもハンドルを右斜めに切りながらアクセルを踏み込む。
- 130: 1 :2007/06/08(金) 15:50:21.70 ID:ns3m1yJS0
- しかしプリウスはそれを急ブレーキで回避、ドクオは結局フロント右側までもボコボコにさせるハメになった。
('A`)「例えこの車が真っ二つに折れようとも! ――――俺の心は折れやしねぇぜ!」
一瞬の出来事でかなりの距離が空いたが、それを詰めさせるようにドクオはギアを一気に二段階落としてエンジンを唸らせながら減速する。
突如目前に迫ったインテグラに為すすべないプリウスだが、ドクオは前を一切見ずにバックミラーに全神経を注ぎ回避、追突を免れる。
そしてプリウスは追い抜いた安心感からかチョッカイを出すのを止め、再びフルスロットルで加速していった。
('A`)「あの小者、たったあれだけでブルっちまいやがったぜ!」
- 133: 1 :2007/06/08(金) 15:51:32.52 ID:ns3m1yJS0
(=゚ω゚)ノ「な、なんだあいつ、初心者マーク貼ってる癖にめちゃくちゃ危ねぇ!」
('A`)「ハッ! 戦いっていうもんはなぁ! 先に攻めることを止めたほうが負けなんだよ!」
フルノーマルのプリウスと走り屋の前オーナーが大事にしていたインテグラ。
ゼロ四で勝負をしたらどちらに軍配が上がるかは言うまでもないだろう。
(=゚ω゚)ノ「うわっ! もう後ろについてきてやがる!」
('A`)「逃がしゃしねぇぞクソ餓鬼がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
フォグ、ハイビーム、そしてネオンとありとあらゆる灯火具を全開に光らせながら小刻みな蛇行で威嚇するドクオ。
(=゚ω゚)ノ「うわああああああああああああ! 殺されるうう!!」
――そしてついに。
- 153: 1 :2007/06/08(金) 15:53:58.75 ID:ns3m1yJS0
- ( ^ω^)「お?」
(=゚ω゚)ノ「うわああああああああああああああああ!」
もうだめかもわからんねと一歩引いた目線でつき合っていたブーンだったが、周りの景色の動きが不自然であることに気づいた。
( ^ω^)「ふつうの車かと思ってたらこれボンドカーかお!
横方向に走るなんてカオスすぎワロタwwwww」
(=゚ω゚)ノ「うわああああああああああああああああああああああああああああああん!!!!!」
(=゚ω゚)ノ「――――――!!」
( ^ω^)「――――――??」
- 159: 1 :2007/06/08(金) 15:56:20.80 ID:ns3m1yJS0
- ――二分後。
('A`)「さて、さっさとずらかるか」
事の顛末を確認したドクオは、その現場を通り越して交差点をUターン、先ほどまでの熱さを一切感じさせない運転でそこを確認しつつショボンに通報を促した。
(´・ω・`)「もしもし。はい。あ、さっきはどうも。
あ、いえ、ちがうんです、あ、その、国道で事故があって、え?
いえ、違います、通るときに……はい。
えーと、セブンとローソンが並んでる所です。はい。はい。
あ、でももう通り越しちゃって……え?
いや、それはちょっと……。ええ。ええ。はい。お願いします」
('A`)「ブーン、無事だといいな」
ξ゚听)ξ「いや、元凶はあんたでしょ!
これでもしブーンが大変な事になってたらあんたのせいだから!」
('A`)「ハッピーエンドに期待しようぜ」
鳴り響いていた排気音が聞こえなくなった頃、ハイドロプレーニング現象により半回転以上スリップしてガードレールに運転席から突っ込んだプリウス。
その助手席から、かの人物が姿を現した。
( ^ω^)「……複雑な気持ちだお」
( ^ω^)「助けられたような逆にとんでもないことされたような……?」
( ^ω^)「まぁいいお。こんなアフォも放っといてさっさと帰るお。ヘイタクシー!」
- 165: 1 :2007/06/08(金) 15:59:13.68 ID:ns3m1yJS0
- 奇跡的にブーンは軽く頭を打った程度で済み、映らないテレビを叩いたら直るように少し頭の回転が冴えたらしい。
チャイルドロックで出れないかと思われたブーンだったが、衝撃でドアが歪み楽々出られた様だ。
その事故は暴走の果ての自損事故ということで片付けられた。
さいわい目撃者は名乗りでておらず、こういうケースは往々にしてそのまま終わるものだ。
そして翌日。
いつもより早く登校した四人はブーンの席にあつまり昨日までの事を話していた。
- 167: 1 :2007/06/08(金) 16:01:00.07 ID:ns3m1yJS0
( ^ω^)「へぇ……人がピンチの時にそんな真相が語られてたのかお」
('A`)「仕方ないだろ」
( ^ω^)「そういえば昨日はドクオがぶっこわした看板見てたらぃょぅに会ったんだお。
やっぱ偶然って素晴らしいお!」
('A`)「?」
ξ゚听)ξ「まぁ今さらだけど私はドクオが事故った現場みちゃったんだけどね」
('A`)「マジで?」
( ^ω^)「あーだからこの前ドクオ誘ったときに変な言い訳されたのを流してたのかお!」
('A`)「変?」
- 169: 1 :2007/06/08(金) 16:02:15.94 ID:ns3m1yJS0
- ( ^ω^)「日付とか伝えてないのに『その日は用事が……』なんて言っちゃったりしたお」
ξ゚听)ξ「かわいそうじゃない。あとあんたもつくならもっとマシな嘘つけば良いのに」
('A`)「まいったな」
(´・ω・`)「んで結局、モララーを轢いたのもあいつだったのか?」
( ^ω^)「多分そうだとおもうお。
ぃょぅは僕やツンと同じ地元なのに、ドクオとかショボンの家の近くの方やその先も少ししってるみたいだったからだお」
(´・ω・`)「しかし……親も亡くして……ていうか轢いて、車は大破、そしてひき逃げ。
あのガリ勉野郎おわったな。わざわざぶちころしに行くのも手間だ。
お国に合法的に拷問されれば良い」
( ^ω^)「昔はいいやつだったんだお。今は変わり果てた姿だお」
( ^ω^)「あとツン、嘘の事ならドクオの事言えないお。下手すぎだお」
ξ゚听)ξ「あんたは年中嘘ついてるからうまいもんね」
( ^ω^)「僕は神に誓って純全たる正直者だお」
川 ゚ -゚)「席につけーホームルーム始めるぞ」
- 170: 1 :2007/06/08(金) 16:03:18.58 ID:ns3m1yJS0
- 川 ゚ -゚)「まずは……ブーン、みんなに言うことは?」
( ^ω^)「お? みんなおはようだお!」
川 ゚ -゚)「はぁ、あまり心配かけさせるなよ」
( ^ω^)「手間のかかる生徒ほど可愛いもんだお」
川 ゚ -゚)「ああわかったわかった。で、今日の連絡事項だが……」
昨日の雨が一気に大気中の水分を降り落としてくれたように、今日は30度を越える真夏日になるようだ。
それぞれの中に沈んでいた蟠りが取り除かれた様に、ブーンのクラスではいつものメンバーが楽しそうに騒いでいる。
卒業までの一年は、皆こうしていられるだろう。
たった数年でぃょぅの様に人は変わってしまう。
それは自分が望んだ理想形からはかけ離れた状態へ。
その変化を感じながら成長していくブーン達は、社会的に失敗をしていても、人道的に間違った方向へは行かないだろう。
今日もブーン達の笑い声が聞こえてくる。
- 172: 1 :2007/06/08(金) 16:04:47.24 ID:ns3m1yJS0
- ――夜。
J( 'ー`)し「…………」
('A`)「…………ゴメン、コワレチャッタ」
J( 'ー`)し「ローンと修理代、自分で払いなさいよ」
('A`)「…………」
完
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