川 ゚ -゚)クーは生き続けるようです
- 3: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/25(月) 17:12:07.64 ID:p2bmU/NR0
- 第五話 『親友』
正午過ぎ。
太陽が丁度頂点へ昇り、春らしい暖かい光を浴びせてくる。
その下、広めの敷地に古びた道場がある。
周囲は森に囲まれていた。
この敷地は街から少し離れた森の中にある。
人を嫌う師の家らしいと言えば、らしいと言える。
( ・∀・)「ふぅ」
流れ出る汗を拭き取ったモララーは、風を求めて外へ出た。
道場内に満たされていた熱気から解放される。
その心地よさは、室内スポーツを嗜んでいる者しか味わうことが出来ないだろう。
少しの間だけ空を仰ぎ、そして左腕を見る。
一部が腫れるように赤くなっていた。
( ・∀・)「僕もまだまだ、だな」
朝から三時間ほど、武術の師と殴り合っていたのだ。
- 4: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/25(月) 17:13:55.71 ID:p2bmU/NR0
- そんな休憩中のモララーの前に、一人の男がフラリと現われる。
('A`)「……よくやるねぇ」
( ・∀・)「ドクオさん」
やる気のない表情。
今風の格好にして、何故か腰に一振りの日本刀。
御世辞にもフツメンとさえ言えない顔パーツの配置。
というか、ブサメン過ぎて普通のブサメンがフツメンに見えるレベルである。
物理的にも雰囲気的にも色々とズレている男は、めんどくさそうにモララーの格好を見つめ
('A`)「お前とは長い付き合いだが、よくもまぁここまで頑張れるもんだと感心するな」
( ・∀・)「貴方とは長い付き合いですが、よくもまぁここまで堂々とサボれると感心しますよ」
('A`)「良いんだよ、俺は好きでサボってんだから」
( ・∀・)「なら、僕も好きでやってるから良いんです」
('A`)「あー」
空を軽く見上げ
('A`)「問答マンドクセ」
と、気だるそうに呟いた。
彼の表情から察するに、太陽の光さえも疎ましいようだ。
- 5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/25(月) 17:16:28.14 ID:p2bmU/NR0
- ( ・∀・)「あ、そういえば師が呼んでいましたよ」
('A`)「モララー……今日、俺がここにいるのは本当に偶然なんだが。
何であの野郎、俺が帰ってきてるの知ってんだよ」
( ・∀・)「さぁ、僕に言われても」
('A`)「しゃーねぇ、顔くらいは見せてくるか」
まだ熱気が残る道場へ入っていくドクオ。
彼はいわゆる『落ちこぼれ』だ。
師から剣術を主に習ってはいたものの、その実力は門下生の中でも下から数えた方が早かった。
後から入ってきた門下生に次々追い抜かれるのが嫌だったのか
その内、ドクオは道場に姿を見せなくなった。
しかしモララーは、そんな彼に憧れている節がある。
彼は自由なのだ。
家の都合で武術や知識を叩き込まれるモララーとは違い
彼は自分の意思で道場へやってきて、そして自分の意思でサボっている。
それが何よりも羨ましかった。
- 7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/25(月) 17:18:41.59 ID:p2bmU/NR0
- いつしか話すようになり、何度か練習に誘ったりもした。
誘いに乗られても断られても、モララーはドクオを嫌ったりはしない。
その自由な行動を、ただただ憧れの目で見ているだけだった。
( ・∀・)(さて、話はどうなってるかな……?)
師とドクオの口喧嘩は見ていて面白い。
休憩も終わったことだし、暇潰しに見に行こうと立ち上がった時。
正面に構えられた巨大な正門。
そこに、苦しげに喘ぐ人影を発見した。
(;,,゚Д゚)「ハァ、ハァ……モ、モララー……」
汗だくのギコだ。
しかも女性を背負っており、更には棺桶までも引き摺っている。
ギコだと知らねば、どう見ても不審者だった。
(;・∀・)「お、おいおい……何をやっているんだ? まだハロウィンという季節ではないぞ?」
(;,,゚Д゚)「すまねぇ、お前しか頼れそうな奴がいねぇんだ……」
(;・∀・)「は?」
(;,,゚Д゚)「クーを、クーを何とかしてやってくれ……」
力尽きたのか、ドサリ、と背負っていたものを地面に降ろす。
慌てて駆け寄ったモララーは女性を見て、思わず一筋の汗を流す。
(;・∀・)「……この女性は」
- 9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/25(月) 17:21:22.69 ID:p2bmU/NR0
- グッタリしているクーを師に任せ、モララーは道場へ戻ってきた。
ギコは道場の壁際で水を飲んでいる。
( ・∀・)「大丈夫か? 何があった?」
( ,,゚Д゚)「……話していいのか迷う」
( ・∀・)「そうか」
( ,,゚Д゚)「ただ、モララーが『術式』って言葉を使った記憶があったから。
お前なら、何とかしてくれると思ったんだ」
( ・∀・)「なるほど」
別に聞き出そうともせず、隣に座る。
( ・∀・)「まぁ、事情は何なく把握している。
彼女が僕達に比べて特異な存在である、と」
しかし首を振り
( ・∀・)「だが問題はそこじゃない。
お前がどの程度まで知っているのか、それを僕は知りたい。
とりあえず、『術式』という言葉の意味を知っているようだが」
( ,,゚Д゚)「…………」
- 12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/25(月) 17:24:23.60 ID:p2bmU/NR0
- 少し逡巡するような沈黙の後、ギコは重い口を開いた。
その昔、二十一種という化物が存在したこと。
魔術師・気術師・方術師が組んで殲滅にあたったこと。
まだ三種ほど生き残りがいて、術式連合がそれらを狙っていること。
現に中国風の女と、大男が連続で襲い掛かってきたこと。
それらを聞いたモララーは開口一番
( ・∀・)「で、ヒートさんは無事なのか?」
などと聞いてきた。
(;,,゚Д゚)「クーさんが頑張ってくれたおかげで大丈夫だ。
っていうか、お前って結構ドライなのな」
( ・∀・)「何故に目の前でピンピンしているお前の心配をせねばならん」
(;,,゚Д゚)「ですよねー」
話を戻すぞ、と脱線させたモララーが言い
( ・∀・)「つまりお前は上辺を知っているだけで
術式の概要や、組織構成については一切の知識を有しないというわけだな」
( ,,゚Д゚)「あぁ」
- 13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/25(月) 17:25:58.44 ID:p2bmU/NR0
- よく解らない話だが、それ故にギコは素直に頷く。
そして引っ掛かっていた疑問を口にした。
( ,,゚Д゚)「やっぱりというか、何というか……モララーは気術師なのか?」
( ・∀・)「何故にそう思う?」
(;,,゚Д゚)「『術式』って言葉を知っていたってのもあるけど
二十一種なんかの冗談みたいな話に対して、まったく驚きを見せなかった。
逆に、もう既に知ってるから……みたいな空気を感じ取った次第で」
( ・∀・)「お前の空気の読み方は面白いな」
はは、と嬉しそうに笑う。
そして軽く天井を見上げ
( ・∀・)「そう、僕は『気術』を扱う人間……いわゆる『気術師』と呼ばれる存在だ」
と、簡単に白状した。
( ,,゚Д゚)「じゃあ、この街に来たってのは――」
( ・∀・)「あぁ、武術を習うというのも確かにあるが、大部分は気術の修行のためだ」
- 15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/25(月) 17:28:42.49 ID:p2bmU/NR0
- モララーの父は、気術東派という流派をまとめる宗家現当主らしい。
他に『北』『南』『西』の三種があり、気術は現在のところ『東』を加えての四派に分かれる。
東の『気術』。
西の『符陣』。
南の『装具』。
北の『式神』。
上記が示すとおり、それぞれの流派によって得意分野が異なるという。
モララーの家は東派なので、どうやら気術に長けているようだ。
(;,,゚Д゚)「って、何で気術師が気術を得意としてんだ? 普通じゃね?」
( ・∀・)「気術といっても色々と幅がある。
術式としての気術、活力を籠めた符陣、特殊な力を備えた装具、分身体のような式神。
それら全てをひっくるめて『気術』と呼ぶんだ」
( ,,゚Д゚)「はぁ」
( ・∀・)「ぶっちゃけるとお前には関係のない話だな。
周囲に他流派の人間がいるわけではないし、聞いても意味がない。
とにかく憶えておいてほしいのは、僕が『気術』という術式を行使出来る人間だということだ」
( ,,゚Д゚)「気術、ねぇ……よく解らん」
( ・∀・)「術式は、魔術・気術・方術と三種類あるわけだが、それぞれ使い道が異なる。
魔術は『放出』、気術は『流入』、方術は『吸収』、と言った感じで――」
(;,,゚Д゚)「……へぇ」
- 17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/25(月) 17:30:15.98 ID:p2bmU/NR0
- 興味なさげに受け流してみたものの、モララーの口が閉じる気配はない。
説明好きだったのを完全に忘れていた。
さてどうやって止めようか、などと思った時。
('A`)「おい、モララー。 師が呼んでるぞ」
ブサイクな男が道場に顔を出してきた。
ギコの意図を読み取ったのか、モララーの話を潰したようにも見える。
何事かと目を軽く見開き、隣を見れば
( ・∀・)「あ、今行きます」
(;,,゚Д゚)「えぇ? 何で敬語?」
そんな間抜けな表情に、モララーは軽く首を傾げた。
( ・∀・)「僕の先輩にあたる人だ」
( ,,゚Д゚)「あぁ……お前、苦労してんだな」
( ・∀・)「?」
('A`)「何か失礼な発言を聞いた気がするが、俺は心が広いので聞かなかったことにしてやる。
モララー、早く行かねぇと怒られるぞ」
( ・∀・)「はい」
- 21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/25(月) 17:31:50.68 ID:p2bmU/NR0
- 立ち上がり、ギコを見下ろしつつ
( ・∀・)「ギコ、今日はもう帰ってくれないか?
彼女の件は今日中にどうこう出来る問題じゃなくてな……。
ドクオさん、見送り頼んでいいですか?」
( ,,゚Д゚)「え」
('A`)「おぉ」
( ・∀・)「じゃあ、また明日」
有無を言わさない雰囲気を残し、モララーは道場を出て行った。
どうやら長居してはならない理由があるらしい。
('A`)「っつーわけだ。 さっさと帰れ」
( ,,゚Д゚)「アンタそれ客人に対して言う言葉か?」
('A`)「お前のどこが客人だ。
勝手に厄介事を持って転がり込んできて、その上で客人面かよ」
( ,,゚Д゚)「む……」
('A`)「解ったなら素直に帰るこったな」
ほれほれ、とブサイクに背中を押されて退出を促がされる。
何か釈然としない気分を得るも、クーのことを頼んでいるので強くは言えない。
- 22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/25(月) 17:33:43.87 ID:p2bmU/NR0
- 道場を出て、正門へと歩いていると
('A`)「なぁ」
ドクオが呼び止めるように声を発した。
('A`)「お前、どうやってここに入ったんだ?」
( ,,゚Д゚)「へ?」
('A`)「この正門の前にも、いくつか小さな門をくぐったろ?
あそこに『察知結界』っつー警戒用の術式を張ってたんだが……」
( ,,゚Д゚)「いや、別に気付かなかったな」
('A`)「……そうか、ならいいや」
正門から出たギコに対し、背を向ける。
片手をヒラヒラと振りながら
('A`)「これからも友達は大切になぁ」
などと微妙にかっこいい台詞を残して道場へと入っていった。
顔さえ良ければ、きっとギコも素直に『実は良い奴かも』などと思ったのかもしれない。
代わりに、やはり顔という第一印象は大切だな、とギコは深く思った。
- 24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/25(月) 17:35:21.27 ID:p2bmU/NR0
- ( ・∀・)「師、入ります」
そう言い、モララーは多少緊張した様子で障子を開けた。
和を基調とした部屋の中は薄暗い。
中央には布団が敷かれてあり、女性がその中で眠っていた。
その枕元には
ν(・ω・ν)「……モララー」
( ・∀・)「何でしょうか、師」
ν(・ω・ν)「この女、誰が連れてきた?」
( ・∀・)「ギコという、僕の親友です」
ν(・ω・ν)「そうか」
あまり意味のない質問のようにも思えた。
しかし師は何かを考えているらしい。
一見隙だらけに見える格好だが、モララーにしてみれば刃の塊だ。
それほど師は強大なのだ、と思っている。
硬い唾を飲み込む音がやけに大きく聞こえた。
- 26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/25(月) 17:37:46.86 ID:p2bmU/NR0
- ν(・ω・ν)「……モララー」
( ・∀・)「何でしょうか、師」
ν(・ω・ν)「この女、正体は二十一種であろう?」
( ・∀・)「……おそらくは」
ふむ、と師は息を吐く。
ν(・ω・ν)「古い書物によれば、お前達『気術師』は他の術師達と組んでいるのだったな。
相成れないはずの『魔術師』『方術師』……その両者と。
その理由を言ってみろ」
( ・∀・)「災厄をもたらす二十一種を殲滅するのために」
ν(・ω・ν)「では、気術東派当主の息子であるお前がとるべき行動は何か」
( ・∀・)「この女を、気術総本山へ連行することです。
如何に不死といえども、厳重に永久監禁してしまえば事足りましょう」
ν(・ω・ν)「模範解答だな」
師が姿勢をこちらへ向ける。
一気に高まった圧を身に受け、モララーは頬に一筋の汗を流した。
- 27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/25(月) 17:39:58.40 ID:p2bmU/NR0
- ν(・ω・ν)「では、問いかける。
モララーという人間がとる行動を述べよ」
( ・∀・)「彼女を回復させ、親友の下へ帰します」
即答だ。
最初から決めていた台詞を吐き出すような、そんな流暢ささえ見受けられる。
ギコは、モララーを信じてクーを運んできた。
モララーが『気術師』だと半分解っていて、敵になるかもしれないと知っていて
しかし信頼という絆を信じて頼ってきた。
答えなければならない。
自分は『気術東派当主の息子』の前に、モララーという人間だ。
モララーという人間を見てくれたギコに対して答えるのは、やはりモララーという人間だ。
( ・∀・)「師よ、これだけは譲れません。
今の僕は『気術師』ではなく、ギコの『親友』です」
ν(・ω・ν)「ならぬ、と言ったら?」
( ・∀・)「力尽くで黙らせてみせましょう」
敢えて殺気を生み出す。
右手に符を持ち、左手を軽く前へと出し、膝立ちになる。
師が動けば、すぐさま対応出来るように構えた。
- 28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/25(月) 17:41:23.67 ID:p2bmU/NR0
- ν(・ω・ν)「……モララーよ」
( ・∀・)「はい」
ν(・ω・ν)「お前は、愚かだ」
( ・∀・)「僕はそう思いません」
ν(・ω・ν)「お前が思わなくても、他の者はきっと思うだろう。
お前の父であるモナー様も、切磋琢磨し合う仲間のツンやジョルジュも」
( ・∀・)「……いえ」
否定の言葉。
モララーは溜め込むように息を吸い
( ・∀・)「彼らならば僕の行動を解ってくれるはずです……。
理解の絆を育んできたつもりですし、何より彼らは僕以上に僕を知っている」
厳しくはあるが、義を重んじる父のモナー。
馬鹿で意固地でワガママではあるが、信頼出来る実力と絆を持つ仲間。
( ・∀・)「それに、例え彼らが否定したとしても
僕は自分の選んだ道を迷いなく進みます……邪魔する存在を切り捨ててでも」
ν(・ω・ν)「そうか」
師が立ち上がった。
暗くて表情を見ることは出来ないが、どこか敵対心はなさそうに見える。
- 29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/25(月) 17:43:07.25 ID:p2bmU/NR0
- ν(・ω・ν)「では、お前の好きにするといい」
(;・∀・)「……良いのですか?」
ν(・ω・ν)「良いも何も、お前は自分の選んだ道を進むと言った。
師と弟子の関係である私が、色々とやかく言う権利などないだろう。
私は技術を与えるだけの存在だ」
(;・∀・)「はい」
肩の荷が下りたかのように、張り詰めていたモララーの両肩が落ちた。
安堵の息を吐くと同時、じんわりと嫌な汗が額に浮かぶ。
ν(・ω・ν)「だが、この女の回復……お前の手には負えまい。
私が何とかしよう」
(;・∀・)「あ、ありがとうございます」
- 31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/25(月) 17:44:32.18 ID:p2bmU/NR0
- ν(・ω・ν)「だから任せるぞ」
師は、障子の隙間から見える外を見ていた。
おそらくは敷地の向こう側を。
ν(・ω・ν)「この女は災厄を運ぶ……いや、災厄が誘い込まれてくる。
匿うのであれば、それに対処しなければならんぞ」
( ・∀・)「解っております。
師は彼女の回復に専念お願いします。
僕はその災厄の相手を」
ν(・ω・ν)「出来るか?」
( ・∀・)「出来ないことを自主的にする、と言う性格ではありませんよ」
口端を軽く吊り上げ、モララーは自信ありげに答えた。
- 32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/25(月) 17:46:11.33 ID:p2bmU/NR0
- ('A`)「勇気あるっつーか、無謀っつーか」
道場の奥にある師の家での夕食時。
箸をカチカチ鳴らしつつ、ドクオが面倒そうに言った。
( ・∀・)「何がですか?」
ちなみに師はクーの回復に専念しているので、この場にはいない。
モララーもドクオも、心なしかリラックスして食事をしていた。
('A`)「師にああやって言えるのは、一種の才能じゃねぇかと思うんだわ」
( ・∀・)「盗み聞きしていたのなら話は早いですね。
ドクオさん、僕の手伝いを御願いしていいですか?」
('A`)「は?」
いきなり何を言い出すのだこのガキは、と言った様子で呆けるドクオ。
( ・∀・)「あの女性を匿っている以上、何処の人間に狙われてもおかしくはありません」
('A`)「あぁ……だからお前、夕飯直前まで敷地内をウロチョロしてたのか。
トラップやら察知結界やらの調整か? よく働くねぇ」
- 33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/25(月) 17:47:40.31 ID:p2bmU/NR0
- ( ・∀・)「ですが、それでも不安要素はいくつか残ります。
そこでドクオさんがいれば……」
('A`)「お前ね、俺を買い被りすぎじゃねぇか。
俺は落ちこぼれのサボリ魔だぜ?」
( ・∀・)「本当にそうだったら敬語なんか使いませんよ」
(;'A`)「何気に酷くねぇか、それ」
( ・∀・)「とにかく御願いします。
僕一人で何とかしてはみますが、もしもの場合は――」
普段のモララーから出る言葉ではない。
他人を極力頼らない彼が、『もしも』という仮定の状況まで考えて頼んできた。
それほど大切なモノを守ろうとしているのか、ドクオを信頼しての台詞なのか。
('A`)「……それは、あのギコとかいうガキのためなんだな?」
( ・∀・)「もちろんです」
やはり即答だ。
真っ直ぐ過ぎる言葉を受けたドクオは、やれやれと肩を竦め
('A`)「……まぁ、気が向いたら手伝ってやんよ」
( ・∀・)「ありがとうございます」
- 34: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/25(月) 17:48:47.06 ID:p2bmU/NR0
- ('A`)「でもあまり俺を頼ってくれるなよ。
何といっても俺は、木も人も鉄も斬ることが出来ないのだ」
( ・∀・)「はは、それで充分ですよ」
自慢げに言うドクオの言葉に対し、モララーは笑みで答える。
懸念していたことが解消したのか。
心なしか彼の箸の速度が上がったのをドクオは見逃さなかった。
- 35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/25(月) 17:50:17.35 ID:p2bmU/NR0
- 夜が来る。
太陽が消え失せ、夜の象徴である月が浮かぶ時間。
闇と木々に紛れて動く影が二つ。
(*゚∀゚)「ホントに、あの女はここにいるのかネ?」
(゜∈゜)「…………」
ツーとクックルだ。
鬱蒼と茂った木々の中を、素早い動作で進んでいく。
時々、何かに気付いたように足を止め
(*゚∀゚)「ふぅむ……それにしても妙に警戒強いネ。
結界や陣の数が半端ないヨ。
これじゃあ、何か大切なものを匿ってますよって言ってるようなものネ」
(゜∈゜)「…………」
(*゚∀゚)「でもホントなのかネ?
ここに気術師の関係者が住んでるって。
もし彼らが匿ってるなら、連合に対する裏切り行為だと思うヨ」
返事は無い。
隣の大男は言葉を発することなど滅多にないし
そもそも隠れながら進んでいるというのに、声を出すという行為自体がおかしいわけだが。
- 36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/25(月) 17:51:31.65 ID:p2bmU/NR0
- なのだが
(*゚∀゚)「面倒ヨー」
などと言えるのは、やはり自分の力に自信があるからなのだろうか。
(゜∈゜)「!」
その動きが止まった。
今までスムーズに進んでいた潜入の足が止まったのだ。
ツーは上下左右に目玉を動かし、ニヤリと笑う。
(*゚∀゚)「見付からずに行けるのはここまでネ。 どうするヨ?」
(゜∈゜)「…………」
(*゚∀゚)「ですよネー」
躊躇なく、二人は敷地内に足を進めた。
- 37: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/25(月) 17:54:20.99 ID:p2bmU/NR0
- キィン、という甲高い音が頭に響いた。
それは不審者侵入を示す警鐘だ。
( ・∀・)「来たか……思ったよりも早い」
道場の真ん中で瞑想していたモララーが立ち上がる。
元より明かりは点けていないので、外に出ても目を慣らす必要はないだろう。
簡易防護術式を纏わせた和製戦闘服を羽織る。
敵は二人だけ。
もっと大人数で来るのかと思っていたのだが――
( ・∀・)「……だからこそ警戒しなければな」
逆を言えば、二人で充分と判断されたからこその少人数なのだ。
ある程度以上の力を持つと考えた方が良いだろう。
張り巡らせた察知結界をアッサリと潜り抜けたのも気になる。
あれは『察知用』というよりも、『警告』の意味で張ったものだ。
襲撃が来ることは既知済みだと、そういう意味を籠めている。
普通の襲撃者ならば、そこで考えるはずだ。
『既に察知されているのならば、待ち伏せや罠があるに違いない』と。
しかし敵二人は、躊躇することなく敷地内に入った。
( ・∀・)「……考えていても仕方ない。 行くか」
彼女には指一本触れさせない。
モララーは、ギコに対する義を果たすために戦いへと赴いた。
- 39: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/25(月) 17:57:51.39 ID:p2bmU/NR0
- 月下。
とはいえ、頼るにはあまりに薄い明かりだ。
その薄光に照らされた妙に静かな敷地内。
ツーとクックルは、迎撃が無いことに対して肩透かしを食らっていた。
(*゚∀゚)「どういうことカ? 誰もいないヨ?」
(゜∈゜)「…………」
クックルが腕を上げた。
その指が差す方向には、微弱だが異質な何かが発せられている。
不死の臭い、とでも言うのだろうか。
死の臭いがあれば、もちろん不死の臭いも存在する。
言うなれば『絶対に死なない』という安心感に包まれた甘い臭いだ。
(*゚∀゚)「さぁて、トラップかフェイクか……ネ?」
目の前に出された情報を鵜呑みにするほど愚かではない。
敵地の全ては疑って掛からなければならないのだ。
ツーは腰から曲刀を引き抜き、慎重に足を踏み出す。
その時だ。
「……止まれ」
男の声。
突如として聞こえた音に対し、ツーとクックルは警戒の素振りを見せずに首を動かした。
長年培ってきた神経が、『動揺を悟られてはならない』を無意識に実行したのだ。
- 41: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/25(月) 17:59:25.02 ID:p2bmU/NR0
- 暗がりから足音が聞こえる。
時折、高い音が響くことから、どうやら貴金属を身につけているらしい。
出てきたのは
('A`)「そこから動くなよ」
刀を右手に持ったドクオだった。
腰につけたチェーンが揺れ、断続的な金属音を奏でている。
(*;゚∀゚)(うっわ、ブサイク)
ツーの第一印象はそれだった。
ダメだダメだ、と軽く首を振って
(*゚∀゚)「……迎撃は一人カ? 無謀じゃないカ?」
('A`)「あー? 俺一人かよ。
ったく、人に頼んどいて遅刻はねぇんじゃねぇの」
なぁ、と右を見た。
(;・∀・)「何で貴方が先に到着してるんですか」
呆れ気味な表情で現われたのはモララーだ。
- 42: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/25(月) 18:01:02.74 ID:p2bmU/NR0
- ( ・∀・)「まぁいいです、来ないよりマシですから」
('A`)「運良く気が向いたんだ。 感謝しとけ」
運良く気が向いただけならば、先に迎撃に出るのは運が良すぎではないか。
素直ではないドクオの行動に顔をほころばせつつ
( ・∀・)「もちろん感謝しますよ。
ですが、それはあの二人を撃退してからです」
(*゚∀゚)「嘗められたもんネ。
気術師風情が魔術師に勝てると思わないことヨ」
( ・∀・)「僕を気術師だと知っていたのか。
というか、お前は魔術師だったのか……情報ありがとう」
(*;゚∀゚)「あー!?」
('A`)「馬鹿だ、馬鹿がいるぞ」
けけけ、と嫌らしく笑うドクオ。
味方であるはずのモララーでさえ、少しイラっとくる嫌な笑みだった。
- 43: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/25(月) 18:02:39.63 ID:p2bmU/NR0
- (*;゚∀゚)「う、うるさいネ! そもそも気術師が何で二十一種を匿うヨ!」
( ・∀・)「僕は気術師という存在の前に一人の学生でな。
学生の宝は友人だろう? だから僕は友人を優先した」
(*゚∀゚)「はン! gdgd屁理屈面倒ヨ!
すぐに二十一種を差し出さないっていうなら、力尽くで奪っていくネ!」
( ・∀・)「力尽くなら望むところだ。 お前を殴り飛ばす口実が出来る」
('A`)「じゃあ、俺はあのデカブツの相手するかぁ」
面倒そうに欠伸をしながら、ドクオは別の場所へと歩いていった。
ツーのアイコンタクトを受けたクックルも、同じようについて行く。
( ・∀・)(どうにかこの構図に持っていけたか)
この二人がギコから聞いた襲撃者ならば、クックルの相手はドクオが最適だ。
問題は目の前にいる女。
ギコが言うには曲刀二本を扱う剣士らしいが、おそらくは違うのだろう。
魔術師が魔術を使わないわけがない。
- 44: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/25(月) 18:04:27.84 ID:p2bmU/NR0
- ( ・∀・)(しかし……)
(*゚∀゚)「〜♪」
魔術とは『放出』という性質上、どうしても『形』として出なければならない。
不可視にすることは出来るだろうが所詮は『不可視』である。
そこに存在していなければいけないのだ。
さて、上記の条件を勘案して、あの女は魔術を使用していると言えるだろうか?
答えはNOだ。
曲刀自体が魔術という可能性もあるが、根本である魔力を感じない。
見せているのに魔力を隠蔽するメリットは少ないので、あの曲刀は本物だろう。
ということは
( ・∀・)(彼女は『切り札』を備えている。
攻撃は曲刀で行うとして……おそらくは防御系か補助系)
予測はつくが、まずはその切り札の正体を明らかにしなければならない。
信じて良いのは確実な情報だけだ。
腰のホルダーから数枚の符を取り出して構える。
( ・∀・)「……戦闘開始だ」
(*゚∀゚)「うふっふ〜♪」
器用に手の中で曲刀を回転させるツー。
暴風といえる攻撃が開始されたのは、その直後だった。
- 45: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/25(月) 18:08:16.17 ID:p2bmU/NR0
- 川 ゚ -゚)「……?」
目を開くと知らない天井が見えた。
鼻で息を吸えば、また知らない色の匂いを感じる。
それだけの情報で、身が何処かに移動させられていると判断する。
警戒の色を浮かべた両目が、現状を知るために動き始めた。
すぐ傍から声が聞こえたのは次の瞬間。
ν(・ω・ν)「目が覚めたか」
川 ゚ -゚)「貴様は……?」
ν(・ω・ν)「私のことなど良い。 それよりも現状を知りたいのだろう?」
川 ゚ -゚)「貴様のことは現状に含まれんのか」
ν(・ω・ν)「含まれるだろうが、今とこれからには関係ない話だ。
まずはお前の身の回りから知った方が良い」
川 ゚ -゚)「……?」
上半身を動かそうとする。
しかし思うように動かない。
ピクピク、と微かに動く肩や首を確認した後
川 ゚ -゚)「痺薬の類ではないようだな……。
外部的な問題というよりも、私自身に何か問題があるのか」
- 46: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/25(月) 18:10:28.62 ID:p2bmU/NR0
- ν(・ω・ν)「まだ頭がよく回っていないようだ。
あまり焦らんでいいから、少しずつ過去を思い出すといい」
む、と不満げな声を出したクーだが、素直に記憶を紐解きに掛かる。
何せ彼女の脳には二百年以上の記憶が蓄積されているのだ。
思い出すのに、少しばかりの時間を要するのは当然だった。
川 ゚ -゚)「……そうだ」
大男と戦った。
ギコの『危険を見る力』で隙を作り出しし、撃破した。
終わったかと思ったが、大男はまだ動く体力を残していた。
それを追いかけようとして――
川 ゚ -゚)「……単純な枯渇か。
気術師風に言えば、活力が足りなくなったから身体を動かすことが出来ずに昏倒した。
私としたことが油断――」
ν(・ω・ν)「油断ではない」
遮るように、師が言葉を放つ。
ν(・ω・ν)「いいか、本来のお前ならば追えたはずだろう。
しかしそれをすることが出来なかった。 何故か解るか?」
川 ゚ -゚)「……右腕が無いから、だろうな」
- 47: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/25(月) 18:12:32.40 ID:p2bmU/NR0
- 今、彼女に右腕はない。
自分のせいで右腕を無くしたギコへ、代わりとして接着しているからだ。
川 ゚ -゚)「右腕が無いから、その分だけ私の活動容量が少なくなっている。
今までのように戦えば、オーバーヒートのような現象を引き起こすわけだな」
ν(・ω・ν)「バランスなどの身体的ハンデを負いつつ、しかも活力的ハンデも負ってしまっている。
全力で動けない分、今のお前の戦闘力は今までの半分くらいだろう」
川 ゚ -゚)「随分と詳しいな」
ν(・ω・ν)「お前のことは少しだけだが知っている」
立ち上がる。
そのまま部屋の隅へ歩を進め、何か大きなモノを持ってきた。
それはクーの武器である、棺桶を模した武器『突撃機構槍』だった。
川 ゚ -゚)「?」
ν(・ω・ν)「この武器……製作者サインは『WK2』となっているな。
私はこのWK2という人物を知っているのだ」
- 48: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/25(月) 18:14:15.84 ID:p2bmU/NR0
- 川 ゚ -゚)「……本名を言えるか?」
ν(・ω・ν)「輪九和久(ワクワク)。 日本人。
今はもうこの世にはいないが、ヨーロッパの方で暮らしていたはずだ。
一流の武器職人だった男」
少し笑みを漏らし
ν(・ω・ν)「私は彼と関係を持っていてな……輪九和久は死ぬ前に言っていたよ。
『面白い女に面白い武器を作ってやった』、と」
川 ゚ -゚)「…………」
ν(・ω・ν)「お前がこの国に渡ってきた理由が解った。
この突撃機構槍を見せてもらったが、相当にガタが来ているようだ。
おそらくは――」
川 ゚ -゚)「術式連合は私を殺す方法を得ている。
以前よりも攻撃の手が増すのは明確。
いくら私が不死でも、奴らを撃退する力が無ければいずれ捕まってしまう」
ν(・ω・ν)「だからこの国へ渡ってきたのだな。
輪九和久の弟子……『語呂理(ゴロリ)』がこの国にいるのを知ったのだろう?」
- 51: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/25(月) 18:16:02.16 ID:p2bmU/NR0
- 川 ゚ -゚)「彼ならば、私の『突撃機構槍』を修理強化してくれるかもしれない。
ところで――」
少し首を動かした。
師の背後、障子の向こう側で行われている行為に耳を傾け
川 ゚ -゚)「戦いの音が聞こえるようだが……まさか、私の存在が迷惑をかけているのか?」
ν(・ω・ν)「だとしたら?」
川 ゚ -゚)「何故私がここにいるのかは知らんが、早急に出て行こう」
ν(・ω・ν)「動けない身体でよく言う。
どうせ明日まで動けんのだから、おとなしくしておけ」
川 ゚ -゚)「む」
ν(・ω・ν)「その間、ギコとかいう少年に対する感謝の言葉でも考えておくといい。
昏倒したお前をここまで運んできたのは、あの少年だ」
川 ゚ -゚)「ギコが……?」
自分の右腕を与えた少年の顔を思い出す。
脆いが、あの年齢にして芯を持つ珍しい少年。
おそらく顔を合わせれば、また『腕を返す』などと言ってくるのだろう。
そんな一生懸命な表情を思い出し、師から見えない方の口の端を微かに吊り上げた。
- 54: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/25(月) 18:17:29.28 ID:p2bmU/NR0
- ν(・ω・ν)「術師関係の友人に頼るのは愚かだと言える。
しかし結果的には最善だった。
襲撃のことを考えて家には帰したが、明日また来るそうだぞ」
川 ゚ -゚)「何故、彼は私のことを……」
ν(・ω・ν)「気になるなら聞けばいい、明日にでも」
聞きたくはあるが、巻き込みたくもない。
やはり自分は、ギコに右腕を託したまま何処かへ消えるべきなのだろうか。
無くした腕に関しては、誰かに義手でも作ってもらえばいい問題だ。
川 ゚ -゚)(ふむ……その義手にもギミックを搭載するのも良いかもしれん。
常に突撃機構槍で戦えるわけでもないしな)
何十年も使い続けた結果、相棒とも言えるようになった武器。
しかし物である以上は壊れることもあれば、紛失する可能性だってある。
――無機質な親友。
かつてそんなことを思ったこともあった、と思い出す。
ν(・ω・ν)「ところで」
川 ゚ -゚)「ん?」
ν(・ω・ν)「この突撃機構槍、名前は付けられていないのか?」
川 ゚ -゚)「いや、あるぞ。 気に入らないから使っていないが」
- 56: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/25(月) 18:18:45.38 ID:p2bmU/NR0
- 輪九和久が嬉々として名付けていたのを憶えている。
間抜けな響きだったので、正直言ってクーとしては拒否したかった。
しかし流石に製作者の意見を断るわけにもいかず、結局つけられた名前とは
川 ゚ -゚)「――『リュミシカラス』。
何処かの言葉で『永遠の空っぽ』、だったかな」
ν(・ω・ν)「いつまでも空を命ぜられた棺桶といったところか……あの人らしい」
川 ゚ -゚)「実に子供らしいと思わないか?」
ν(・ω・ν)「子供の心を忘れた大人は、ただの大人に成り果てるのだよ」
川 ゚ -゚)「……そういうものか」
ν(・ω・ν)「あぁ、そういうものだ」
クーを見る師の目は、何故か哀の感情が籠められていた。
――――――――――――――――― To be Continued ――――
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