( ^ω^)は思い出すようです

76: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/10(日) 22:43:26.53 ID:N8UG7wse0
ツンはしばらく暗い表情をしていたが、気を取り直し真剣な表情で部屋を見回り始めた。

ドクオもショボンも後に続いた。


・・
・・・

ツンはある場所で動きが止まった。


ξ--)ξ「おじさん、おばさん…」


ブーンの両親の仏壇だった。


ξ;凵G)ξ「ごめんなさい…ごめんなさい…」


いつの間にか涙を流し、謝っていた。



77: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/10(日) 22:44:51.31 ID:N8UG7wse0
それにドクオが気付いた。


('A`)「つん、お前は何も悪くない」

ξ;凵G)ξ「だ、だって…」

('A`)「お前はぶーんを見殺しにしたいのか?」

ξ;凵G)ξ「ぢ、ぢがうわよ!!」

('A`)「だったら、涙を拭いて、ぶーんに繋がるものをさがs・・・」


ドクオは仏壇の写真に目が行った。

そして、おかしな点に気が付いた。


('A`)「おい、ぶーんが映ってないか?」

ξ゚听)ξ「えっ!?」

(´・ω・`)「ほんとだね」



写真には仲良さ気な夫婦の間に現在のブーンがうっすらと映し出されていた。

それはまるで、両親と同じ場所にいるみたいだった。



79: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/10(日) 22:45:43.66 ID:N8UG7wse0
( -ω-)「ぅん…」



( ^ω^)「ん?ココは…」


ブーンが目を覚ましたのは自分の家だった。


「目覚めた?カワイイ私のボウヤ」

( ^ω^)「え・・・?ママ?」

「どうしたの?ママがわからない?」

( ^ω^)「ううん!!ママぁぁ!!」



突然目の前に大好きなママがいた。

理由なんてどうでもよかった。

ただ今の幸せをかみ締めたかった。



81: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/10(日) 22:48:13.39 ID:N8UG7wse0
「お、この元気っ子。やっと起きたのか」

( ^ω^)「パパ!!」



まさに幸せの絶頂であった。

大好きな家族と居ることがこんなにも幸せだとは。

他には何もいらないや、そう思うほどだった。



83: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/10(日) 22:49:20.58 ID:N8UG7wse0
『ぶーん…』

( ^ω^)「なんだお?」

「どうしたのボウヤ?何も言ってないわよ?」

(;^ω^)「あれ?呼ばれた気がしたお」

『ぶーん…』

( ^ω^)「むむむ?」



ブーンは周りを見渡してみた。

しかし、居るのはママとパパだけだった。



85: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/10(日) 22:53:29.53 ID:N8UG7wse0
『おねが…もど…て…』

( ^ω^)「誰だお?」

『ぶーん…おね…だか…もど…て』

( ^ω^)「どこにいるお?」


ブーンは仏壇がある部屋に行った。

仏壇には両親の写真はなかった。

が…


( ゚ω゚)「アッー」


自分の写真が置かれていた。



87: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/10(日) 22:55:19.14 ID:N8UG7wse0
『声…える…こたえ…ねがい…ぶーん…』

( ゚ω゚)「どういうことだお?意味わかんないお?」



ブーンは再び混乱していた。

大好きなママがいて、大好きなパパがいて、

幸せな日々が始まると思った。

でも、仏壇には自分の写真があって、

変な声が聞こえて…

変な声?



89: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/10(日) 22:57:51.22 ID:N8UG7wse0
『私…つ…だよ…聞こえ…る…』

( ゚ω゚)「なんか聞き覚えあるお…」

『つん…ぶー…私…つた…たい…」

( ゚ω゚)「つん…?」



誰なんだろう?

確かに聞いたことはある…

でも、思い出せない…

大切なことのはずなのに…



92: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/10(日) 22:59:40.25 ID:N8UG7wse0
ξ;凵G)ξ「ぶーん!!」


写真に気付いたつんはすぐに写真を抱えこんだ。

ドクオとショボンはツンのことを見ると言葉を発することができなかった。


ξ;凵G)ξ(ぶーん…ぶーん…ぶーん…)

ξ;凵G)ξ(ごめんなさい…ごめんなさい…)

ξ;凵G)ξ「ぶーん…ぶーん…」


ツンは写真を抱えながら泣いていた。

心の中で呟いていた言葉が口に出ていた。

自分が言葉を発していることにも気付かずツンはブーンに話しかける。



93: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/10(日) 23:00:24.70 ID:N8UG7wse0
ξ;凵G)ξ「お願い…もどってきてよ…」

ξ;凵G)ξ「ぶーん…お願い…もどって…」


ツンの祈りは悲しく、虚しく部屋に響いた。


ξ--)ξ「お願い…だから…」


そのとき、何かが聞こえた。


('A`)「ん?今、何か聞こえたか?」

(´・ω・`)「ぶーん・・・?」

ξ゚听)ξ「ぶーん!?」


3人ともブーンの声が聞こえた気がした。



94: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/10(日) 23:02:12.02 ID:N8UG7wse0
ツンは写真を見て話しかけた。


ξ゚听)ξ「声聞こえる!?答えて…お願い…ぶーん」

ξ--)ξ「私つんだよ…聞こえてる…?」

ξ--)ξ「つんだよ…ぶーん…私…貴方に伝えたい…」


「つん…?」


確かに全員に聞こえた。

ブーンの声が。


ξ--)ξ「恨んでもいい…呪ってもいい…私は、あなたを…」

('A`)「そんなこと言うな、つん」


ドクオはツンを諭し、ブーンに話しかけた。



96: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/10(日) 23:02:59.20 ID:N8UG7wse0
('A`)「ぶーん、こっちに戻ってこれないか?」

('A`)「こっちに来てみたいとか、行ってみたいとか思ってみてくれないか?」



97: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/10(日) 23:03:46.40 ID:N8UG7wse0






( ^ω^)(つん…?あと、この声…大切な気がする…)


( ^ω^)「ママ!!ちょっと出かけてくるお!!」


( -ω-)(つんのいるとこに行ってみたい…ツンのいるとこに行ってみたい…)



夢から醒めたいと願った。

醒めることは簡単であった。

願えばいいだけなのだから。

記憶がないことを覗けば。



100: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/10(日) 23:04:37.66 ID:N8UG7wse0
(´・ω・`)「ぶーん…」


最初に気付いたのはショボンだった。

ツンとドクオが振り向くと、ブーンが眠っていた。


「「ぶーん!!」」


( -ω-)「ぅん?」

ξ゚听)ξ「ぶーん大丈夫?」

('A`)「大丈夫かよ?」



ブーンの焦点はまだあってないようだった。

ツンとドクオの顔を交互に見た。



101: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/10(日) 23:05:41.84 ID:N8UG7wse0
(´・ω・`)「ぶーん、僕らのことがわかるかい?」


ショボンが突然ブーンに聞いた。

ツンたちが不思議に思っていると…


(;^ω^)「なんとなく来ただけだお。ママはどこにいるお?」

ξ;゚听)ξ「ッ!!」



聞きたくもない言葉だった。

今も夢に依存していた。

過去が現実とリンクしていた。



103: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/10(日) 23:06:27.94 ID:N8UG7wse0
(´・ω・`)「ぶーん、君はお母さんと共にいたいかい?」

( ^ω^)「そりゃ、もちろんだお」



(´・ω・`)「それが本当の幸せだと思うのかい?」


ショボンは冷たく言い放った。

記憶を無くしているブーンに。


(;^ω^)「どういうことだお?オイラは充分幸せだお?」

('A`)「ぶーん、本当に俺らのこと忘れてるのか?」

(;^ω^)「わからないお」



105: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/10(日) 23:07:14.03 ID:N8UG7wse0
ξ゚听)ξ「私よ、ぶーん。つんだよ?」


( ^ω^)「つん…つん…」

('A`)「俺はどくおだ」

(´・ω・`)「しょぼんだ」


(;^ω^)「つん…どくお…しょぼん…」



ブーンは頭を抱え考え始めた。

3人の名前を繰り返しつぶやいた。

その度に体が跳ねた。

そんなブーンの肩にツンは手を…



106: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/10(日) 23:08:07.46 ID:N8UG7wse0
( ゚ω゚)「さわるなお!!」

ξ゚听)ξ「…ッ!!」

( ゚ω゚)「殺人者の娘が気安く触るんじゃないお!!」

( ゚ω゚)「どっか消えるといいお!!」


ブーンはツンの手を払いのけ、体を突き飛ばした。

ツンは痛みというより、驚きで言葉がでなかった。

そして、涙を流した。


(;^ω^)「あ…」



107: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/10(日) 23:09:06.06 ID:N8UG7wse0
ξ--)ξ「私…恨まれてもいいと思ってた…」

ξ--)ξ「何かで償えばいいと思ってた…」

ξ;凵G)ξ「それだけじゃダメだって気付いた…」

ξ;凵G)ξ「いくらぶーんの事が好きでもダメなんだって分かった…」

(;^ω^)「あ…あ…あ…」

ξ;凵G)ξ「ごめんなさい…ごめんなさい…」

(;^ω^)「ぁ…ぁ…」

ξ;凵G)ξ「私、貴方が大好きだったよ…」


( ゚ω゚)「あああああああああああああああああああああああああああ」



ブーンは走り出した。

全てを思い出し

全てに気付き

全てを捨てて



108: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/10(日) 23:09:49.59 ID:N8UG7wse0
('A`)「待て、ぶーん!!」

(´・ω・`)「追うよ、どくお」


ドクオは一瞬ツンのほうを振り返り、ショボンと走り出した。

孤独なブーンを追いかけて。



ブーンの足は速く、ドクオたちは追いつきそうになかった。

徐々に距離を離されていった。

しかし、ブーンが曲がった先は行き止まりだった。

仕方なく、近くの廃ビルにブーンは入った。

そのまま屋上へと走った。全力で。



110: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/10(日) 23:10:48.31 ID:N8UG7wse0
('A`)「ぶーん!!」


扉を勢いよく開け、ドクオとショボンは屋上へ出た。


( ^ω^)「どくお…しょぼん…」

('A`)「一緒に戻ってツンと仲直りしようぜ」

( ^ω^)「オイラは…ママとパパに会ったお…」

('A`)「それは知っている…だがここは」

( ^ω^)「とても幸せだったお」

('A`)「ぶーん!!俺らとの記憶はウソだったのか?」

( ^ω^)「違うお。だけど、もう戻れないお」

(´・ω・`)「ツンは許してくれるさ」

('A`)「そうだ、ずっと心配してたんだから」



ブーンは俯いた…

何を考えているのかはドクオたちには分からなかった。



111: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/10(日) 23:11:31.48 ID:N8UG7wse0
ブーンは顔を上げ笑顔で言った。

( ^ω^)「バイバイだお」


腕を広げ、走り始めた。

何もない空間へと…

「ぶーーーーーーーーーーーーーんっ!!!!」



112: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/10(日) 23:12:27.79 ID:N8UG7wse0
ツンは扉を開け外へ出た。

ふと上を見上げると…

見知った顔をした少年が空を舞っていた。

ξ゚ー゚)ξ「綺麗…」


ブーンの空を飛ぶ姿は影を作り、幻想的だった。

ツンは見とれた。

世界で一番綺麗な光景だと思った。

世界で一番望まない光景だとしても。



113: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/10(日) 23:13:55.74 ID:N8UG7wse0




('A`)「よぉ、元気か?」

ξ゚ー゚)ξ「うん。顔色も良いみたいだし」

(´・ω・`)「僕らも元気だよ、つん。性的な意味で」

(;'A`)「冗談が冗談に聞こえないからやめてくれ」

ξ゚ー゚)ξ「貴方たち付き合えばいいじゃない」

('A`;)「冗談でもやめてくれ」


3人の笑い声が病室に響いた。



ブーンはビルから飛び降りたが、奇跡的に命は取りとめた。

しかし、一生目を覚ますかわからない状態だと言われた。

ツンは毎日お見舞いにきていた。

ドクオやショボンも学校が終わると来ていた。



114: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/10(日) 23:15:14.44 ID:N8UG7wse0
('A`)「さて、そろそろお邪魔みたいだから帰るか」

(*´・ω・`)「そんなに僕と2人に早くなりたいって…もう…」

('A`)「俺は1人で帰る!!ついてくんな!!」

(´・ω・`)「つれないなぁ…」

ξ゚ー゚)ξ「貴方たちは変わらないわね」


(´・ω・`)「時々は家に遊びにきなよ」

('A`)「俺んちも大歓迎だぜ」

ξ゚ー゚)ξ「うん。ありがとう」

(´・ω・`)「またね、つん」

('A`)「またな」

ξ゚ー゚)ξ「また明日」



115: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/10(日) 23:16:18.52 ID:N8UG7wse0
ドクオは病室を出るとき、ツンとブーンの姿を見た。

おそらく、ブーンはまた記憶の世界に行っている。

現実でもツンと手を繋いでいる。

('A`)(たぶん、お前ほど幸せなやつはいねぇよ、ぶーん)


そこには幸せなカップルだけが残っていた。

眠ってる男の子はとても幸せそうで、

側にいる女の子は微笑んでいた。




( ^ω^)は思い出すようです Fin



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