( ^ω^)机は繋がり僕らは出逢うようです。

32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/14(木) 18:45:33.88 ID:kzzDN7ps0
《そのよん 会話ろぐはとってない。》

さて。

朝一番に自分の机の前で呆然としているのも僕くらいのものだろう。
教室内の喧騒と、外から聞こえる雨音が体のいいバックミュージックだ。
クラスメートたちは昨日の晩御飯の内容やTVドラマ、
あるいは今日の小テストの話題で盛り上がっている。

教室の一角、机の前。

( ^ω^)「…………おー」
ゆるゆると吐く息はどこか震えていた。
この感情、歓喜とでも言うのだろうか。

        ヽ       初めてそう言われたお! ありがとう
         (^ω^)-┐   
       ┗-ヽ ノ       どういたしまして。
         ┏┘     友人はムカツクと言っていたが、私はそうは思わないよ。



33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/14(木) 18:46:43.05 ID:kzzDN7ps0
( ^ω^)「…………おー」
もう一度、意味のない言葉を、感極まった声を出す。
整頓された字。……綺麗な字だ。
感動している僕へ、ヤブから棒気味に頭にメシャ、と衝撃。

( ゜ω゜)「ぬふぉ!?」

唾が飛び出て放物線。

从 ゚∀从「うっわ、汚ねぇ」
あれ。僕の頭の痛みがリアルならば、原因を作ったのは僕の背後で
ケラケラ笑いながら人の後頭部をグーで殴って置いてさらに
『うっわ、汚ねぇ』って罵倒してきた人物だと思うんだけど。

( ^ω^)「な に す ん だ お ……!」
从 ゚∀从「えー、いやー、なんかお前の頭の上にお花畑が見えたから
こっちに戻ってこさせようと思ったもんのすごい親切心みたいなー?」

もんのすごい大きなお世話様お。

从 ゚∀从「何かおっしゃってかしらー?」
(; ^ω^)「ひ、人のピロートークにまでツッコミいれんなお!」
両の手でガードをする僕に、ケッと悪付いたハインリッヒ。
暴行の現行犯なのにそれももう日常なのか、僕らを特異の目で見てくるクラスメートは誰一人としていない。



34: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/14(木) 18:47:31.84 ID:kzzDN7ps0
从 ゚∀从「それで、何して……ああ」
合点。
ハインリッヒが僕の机をじぃと見る。どうでもいいけど肩に顎のせんなお。こしょばい。

从 ゚∀从「いーじゃんいーじゃんすげーいーじゃん」
棒読みでハインリッヒ。電王か。

从 ゚∀从「んー……何々、どういたしまして……」
読み上げるハインリッヒ。別の意味でこしょばいのだけれども。
背後霊のように背後に立つハインリッヒは非常にのんびりと音読している。
つられて僕も読み返せば、また少し心が浮き足立った。

从 -∀从「ふむ。おかしいのは感性か、目か……」
( ^ω^)「その話はもういいお」
从 ゚∀从「なんだよー」

返信するつもりではあったけど、まさかまた返答が帰ってくるとは思わなかった。
先の見えない暗闇に語りかけるような感覚であったために、
僕は平常以上に喜びを感じているのかもしれない。



36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/14(木) 18:48:44.43 ID:kzzDN7ps0
从 ゚∀从「私ってことは女かー。お前、俺だけじゃあきたらず……ふご」
おま。ハインリッヒが妙なこと言う前に口を塞ぐ。それが最後の『ふご』だった。

変態ラブコメ現在進行形なのにそれももう日常なのか
僕らを特異の目で見てくるクラスメートは誰一人としていない。
くやしくはない。

そして手に篭もる熱。

( ^ω^)「つか、なあ体熱いお。熱でもあるのかお……?」
从 ゚∀从「俺に限って?」
( ^ω^)「心配したわたくしめが阿呆でございました」
よろしい。とハインリッヒ。くそぅ。

从 ゚∀从「朝練なのよー。もーお疲れ様よ俺様は」
( ^ω^)「雨の日もかお。陸上部は大変だおね」
从 ゚∀从「うわっ、すっごい他人事だなおい」
じと目でハインリッヒが言って、それからカラリと笑う。

从 ゚∀从「あー、つかブーン、なんでお前、高校で陸上やらねーんだ?」

その問題が酷く素朴だ、そんなようなハインリッヒの声。



37: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/14(木) 18:49:55.62 ID:kzzDN7ps0
(^ω^ )「お?」
从 ゚∀从「県タイム保持者がもったいねー」

ハインリッヒにしては珍しく、ため息が漏れた。
中学まで陸上をやっていた僕であるけれど、高校に上がってからは自然とそれをやめてしまった。
走る事は、今でも好きだ。だけれど陸上をやろうという気にはどうしてもなれなかった。
先生にやれやれと急かされる度に、その気持ちは大きくなっていったのを、今でも思い出す。

『さあ? ぜんまいでも切れたんだろ』
ドクオの言葉が再生された。
僕のぜんまいも、もしかすると切れてしまったのかも知れない。

( ^ω^)「さあ。なんでだろうかお」
从 ゚∀从「ふぅん……」
ハインリッヒがあっさりと食い下がる。珍しい事尽くめだ。
ふと窓の外をのぞいて、今日の雨はもうちょっと強くなるかも知れないなと思った。

喧騒と雨音はチャイムの音にかき消され、満を持して前方の扉から教師が入ってくる。

从  从ノシ 「じゃあなー」
ひらひらと後ろ手を振りながら去っていくハインリッヒを見ながら、
僕は着席する。手に取ったシャーペンは板書をする為じゃなくて、



38: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/14(木) 18:51:33.21 ID:kzzDN7ps0

『みんなムカツクって言うから正直落ち込んでたんだお!
 それにしても雨がうっとおしいお』

よし、完成。
1人で大袈裟に頷いてみた。
文通をやって居た時代の人間って、多分こんな感じだったのだろう。
相手はどう言う返事をしてくれるのだろう。いつ返してもらえるのだろう、とか。


多分そんな僕は今、割と青春してたりするのだろう。


 《そのよん 会話ろぐはとってない。》 終



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