( ^ω^)机は繋がり僕らは出逢うようです。

82: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/15(金) 21:57:15.57 ID:+WqRDSZD0
《そのはち 揺籃のしらべ。》

思えば、彼女とのやりとりには、その端端に小さな食い違いがあった。

从 ゚∀从「ブーン。聞いてるか?」
ハインリッヒのいぶかしげな声。

初めは、天気だ。
僕が初めて彼女のメッセージに返信した時のこと。
『雨がうっとおしい』と洩らした僕に、『天気がいい』と答えたのだ。
あの日の雨は、僕の予想通り一朝一夕で止むような種類のものではなかった。

そして、教室の隙間風のこと。
『隙間風がひどくて足が冷える』の言葉。
その時は、もしかすると夜は冷えるのかも知れないお。なんて、
そう一人で納得していたけど、それでも僕が座っている間中は、
隣りにある扉からすきま風なんて一つも吹き込んでこなかった。

『全日制』と『定時制』の壁でもまだ足りない、
決定的な何かが、僕等の間にはあったように思う。



84: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/15(金) 21:58:53.58 ID:+WqRDSZD0
从 ゚∀从「おい、ブーンっ」

そして極めつけがこれだ。いつもより少し長めの返信で、

【机の中にあったプリント、見たんだが……
 平成19年? 今は16年じゃないのか?】

机の中にあったプリント、と言うのはやはり、僕が昨日探していた文化祭の連絡の紙だろう。
そこに文化祭の日付と、年度が書いてあったハズだ。

いや、それにしても――

从♯ ゚∀从「オイコラッ!」

放たれたのは正確なみぞおちパンチ。いや、パンチって言うと響きに可愛げがあるな。
放たれたのは正確な正拳突き。ヒュ、と風切り音がしたような気がする

( ゜ω゜)「だぼァぁッッ!?」
唾どころか臓器まで飛び出しそうな勢いで言葉が出た。
腹筋を固める暇からなかったお!?
朝食につまんで来たアンパンが胃の上部で激しく自己主張する。

ぐらついた足もとを根性でふんばって、
正拳突きを繰り出して来た人物を見る。



87: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/15(金) 21:59:45.13 ID:+WqRDSZD0
(♯ ^ω^)「なにスん……!?」
从 ゚∀从「どういう事だよ、これはっ……!」

(♯ ^ω^)「僕に聞かれても、知るかってんだお!」
从♯ ゚∀从「違うだろ!? 俺が聞いてるのは、そういう事じゃなくてっ」

みぞおちはまだ痛む。さすりながら、ハインリッヒを見た。
言葉を吐くたびに、苦々しい物になっていく表情。その中の真意を、僕が察することはない。


从 ゚∀从「この人は――」
言葉が途中で途切れる。
ああこいつでもこんな表情をすることがあるんだな、と現状とはかけ離れた考えがめぐっていた。

ハインリッヒが空気を吸った。
言葉を待つけれど、その口から出るのはか細い吐息だけで。

( ^ω^)「なんで、お前が泣きそうな顔になってんだお……」
从 ゚∀从「っ……黙れよ!」

授業開始のベルが、沈黙した僕らの間に流れた。

僕らの間には静寂が。
彼女との間には、三年と言う年数が平気な顔をして横たわった日の出来事。


《そのはち 揺籃のしらべ。》 終



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